トビアス・サメッツ・アヴァンタジア来日公演レポート

結局行けなかったFINLAND FEST08の二の轍を踏まぬよう、綿密なスケジュール調整をして備えたTOBIAS SAMMET'S AVANTASIA来日公演@品川ステラボール。

品川ステラボールでHR/HM系のライヴなんて初めてじゃないか?
少なくとも僕は他に例を知りません。

とはいえ、仕事でこの会場を使ってイベントをやったことがあるので、迷うことなく着いた(知らないと入り口がわかりにくいと思う)。
綿密なスケジュール調整の割には開演時間ギリギリの滑り込みだったので、迷ったらアウトだったな。

思うに、ここは会場のキャパに比べてステージが広いので、ゲストの多い今回の公演内容に適しているのと、日本で1回きりのライヴということで、地方から来る人が参加しやすい(新幹線や羽田空港からのアクセスがいい)品川という立地がマッチしているという判断だったのではないかと思われ、それは結構妥当な判断だと思います。

キャパに比べて、とは言ったものの、ステラボールはなんだかんだでスタンディングなら1800人は入るので、スカスカなのではないかと危惧していたが、かなり埋まっていてひと安心。1日限定効果か。

まあ会場の両端を柵で絞っていたし、密度的にはギュウギュウからは程遠かったので、実際の集客は1300~1500人といったところかな? 

以下、今回は結構ガッツリとレポするので、読む方は覚悟を決めて読んでください(笑)。



到着してほどなく照明が落ち、始まるか、と思いきやなぜか一瞬SEのBGMが鳴るなど、軽く不安にさせるトラブル(アレは演出じゃないよね?)。

気を取り直すかのように沸き起こった観客の手拍子と歓声の中、最新作のオープニングナンバーだった「Twisted Mind」がスタート。

冒頭、アルバムではロイ・カーン(KAMELOT)が歌っていたパートはトビアス本人が歌う。
トビアスの歌唱力はカーンにおさおさ引けを取るものではないが、やはりあの妖艶なムードはトビアスには出せないね。

それでもサビではかなりの合唱とフィストバンギングがまき起こり、オーディエンスのモチベーションの高さが感じられた。
日本におけるAVANTASIAの人気がどれほどのものかイマイチ確信が持てていなかったので、この「様子見」感のない盛り上がりはちょっと意外。

続く2曲目はアルバムの流れ通り「The Scarecrow」。イントロのケルティックなメロディにグッと来る。
1曲目ではちょっと輪郭のハッキリしなかったサウンドがかなり明瞭になり、ややフラットだったトビアスの歌唱にも張りが出てきた。

そしてこの曲で登場したのはゲストのヨルン・ランデ(元MASTERPLAN他)。アルバム通りの鬼神のような絶唱を響かせ、喝采を浴びていた。僕も後半の加速するパートでは鳥肌が立った。

アルバムではゲスト・シンガーとして参加していたオーリー・ハートマン(元AT VANCE)が今回のツアーにはギタリストとして参加しており、この曲のギター・ソロではなかなか素晴らしいトーンで弾きまくって見せ場を作っていた。

トビアスとヨルンの漫談(エロ有り。笑う所なのはわかったし、会場も笑っていたが、僕はドイツ人のジョークが面白いと思えたためしがない)っぽいMCの後、「Another Angel Down」がプレイされた。
非常にわかりやすいメロディアスかつアップテンポな曲なので、当然盛り上がる。

「Another Angel Down」が終わると、会場が暗転。
しばらくすると流れてくる、『METAL OPERA Part I』の冒頭を飾る「Prelude」の旋律に歓声が上がり、「Reach Out For The Light」が疾走を開始する。

アルバムではマイケル・キスクが参加していた曲だが、今夜登場したのはアンドレ・マトス(元ANGRA~SHAMAN)。

昨年から某掲示板上では(ある意味)大人気の人物ゆえ、「マトス!マトス!」「ホーリーランド!」と異常な盛り上がりを見せる…かと思われたが、普通の温かい盛り上がり(笑)。

日本での大人気(?)に応えるかのように、途中アンドレが日本の国旗をステージ袖から持ち出し、それを受け取ったトビアスが「The Trooper」におけるブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)のようにそれを振ってみせる一幕も。

続くバラード「Inside」ではトビアスがカイ・ハンセンそっくりの歌声を披露。この人はマイケル・キスクの物真似も上手だし、器用な人だ。

この曲ではアンドレが観客に「3,2,1で歌え!」と指示する。
僕は「みんな歌えるのか!?」とドキドキしたが、思いのほか見事なサビの合唱が響き渡ってちょっと感動。
やはり今夜のお客さんはかなりモチベーションが高いようだ。

トビ「次は『METAL OPERA PartII』からの曲だ。みんなアルバム持ってるよな?」
客「イェー!」
トビ「50%くらいだな(場内笑い)。残りの50%の奴はパチンコやって金稼いで絶対に買え!素晴らしいメタル・アルバムだぜ!」
…なぜパチンコ。やはりドイツ人のジョークは理解できん。

そんなMCの後、「No Return」がスタート。メロスピ然とした疾走曲で、サビも叫びやすいので盛り上がる。

そして、正確にどの曲の前だったか忘れたけど、この辺りの中盤で今日の公演がDVD収録されているとアナウンスして会場を盛り上げた後、「もっと歓声を上げて、DVDを観て僕がアジアで大スターだと思い込んだドイツの女の子たちがみんな僕とファックしたくなるようにね!」と、本日のトビアスは下ネタ多めでした(いつもなのか?)。

欧州のライヴには参加していたゲスト(ボブ・カトレイ)が今夜は参加していないけど、ちゃんと全部やるよ、という釈明というか説明の後、新作の先行EP収録曲だった劇的なバラードの「The Story Ain't Over」がプレイされる。

そして「速い曲が聴きたいか? 知ってるぜ、日本人は速い曲が好きだよな」というMCに続いて新作から「Shelter From The Rain」がプレイされる。

ここで再度登場したアンドレ・マトスは先ほどまでの黒ブラウスから「赤シャツにチョッキ(あえてベストとは呼ばない)」という微妙なセンスの格好へ衣装替え。

チョッキはANGRAの初来日公演のときから着ていたので多分気に入っているのだろうが、誰か「イケてない」と面と向かってハッキリ言ってやったほうが長期的に見て本人のためだと思う。

とはいえ、この人はマイク・スタンドの扱いがなかなかダイナミックで、主役であるはずのトビアスを食うほどのエネルギッシュなパフォーマンスで客を煽り、場内を盛り上げていた。ショウの途中ハシャギ過ぎてスタンドマイクを倒し、ハウらせていたのはご愛嬌。

続いて、「僕の人生史上初の、本国でのトップ10シングルだ」というMCに観客から大きな拍手と喝采。

大げさに紳士風の御礼をした後、お茶目にくるくる回って喝采に応えたトビアスが「金のために売れ線に走ったわけじゃない。良い曲なんだ」てな感じのことを言い、「Lost In Space」をプレイ。

この曲では2人いた女性コーラスのうちの一人であるアマンダ・ソマーヴィルがフィーチュアされる。
僕のアマンダに対する印象は「たくましい…」でした(笑)。
ダイナマイトバディと言いたいが、これは太いだけでは…(失敬)。
歌は普通に上手い。

続く、古典的なHMリフを持つ「I Don't Believe In Your Love」では「彼は素晴らしいギタリストであると同時に素晴らしいヴォーカリストでもある」と紹介されたオーリー・ハートマンが見事な歌唱を聴かせる。

曲が終わると、トビアスが「どうだ、彼は凄いだろ? 彼にギターとヴォーカルを教わりたければ2時間5ドルだ。さらに…」とここで書いたらアダルトフィルタに一発で引っかかる卑猥なジョークを口にする(個人的にはドン引き)。

そして「全ての始まりの曲だ」というMCに導かれて「Avantasia」がプレイされると、再び大きな合唱と共に場内がヒートアップする。
あまりハシることなく安定したビートを叩き出していたフェリックス・ボーンケ(Dr:EDGUY)だが、この曲は明らかにスタジオ盤より速く、高揚感を増していた。

続く「Serpents In Paradise」では再度登場のヨルン・ランデとトビアスが対峙するかのように歌い、その掛け合い自体はカッコよかったのだが、横から見るとトビアスの頭髪戦線の後退が顕著で痛々しい感じ(苦笑)。

Promised Land」で本編が終了した後、大したインターバルもなく、アンコールへ。
スタジオ盤ではアリス・クーパーがアクの強い歌声を聴かせて邪悪なムードを醸し出していた「The Toy Master」でスタート。

衣装替えし、ジャケットのドクロ案山子(?)と同じような帽子を被ったトビアスは明らかにそのアリスの歌唱を真似して歌っており、あらためてモノマネ芸人(?)としての高い資質を示していた。

ショウの終わりが近いことを感じさせる「Farewell」の後、メタル系バンドの「お約束」である「掛け合い」をやった。

僕は元々この「掛け合い」という文化を「サムい」と思っているタイプである上に、なにやらトビアスは妙に難しい節を叫ばせようとするので、僕はすぐに脱落したが、多くのファンが喰らい付いて見事な掛け合いを演じ、あらためて今夜のショウに対するモチベーションの高さを示していた。

そして「Sign Of The Cross」のイントロが鳴り響き、曲が始まるかと思いきや、この期に及んでようやくメンバー紹介。

女性コーラスのうち、アマンダに比べて目立たなかったクラウディだが、ここでのピースにちょっと胸キュン(笑)。
ヤンという姓からして中国系だと思うが、遠目にも美しい黒髪がなんともアジエンスでなかなか魅力的。
それでいてバストはしっかりヨーロピアン・サイズでした(笑)。

ちなみに、女性メンバーに対するリアクションが薄かったことに対し、トビアスが「君らゲイ?」とツッコミを入れていました(笑)。

バックのメンバーを結構細かく紹介した後、トビアス自身はオーリー・ハートマンが紹介し、曲へなだれ込む。

最後はヨルン・ランデとアンドレ・マトスも登場し、フルメンバーで「Sign Of The Cross」、そして『METAL OPERA PartII』の冒頭を飾る大作「The Seven Angels 」のサビへとつながるメドレーをプレイ。

これだけ優れた歌い手が大合唱する中でもウザいほどに存在感を主張してくる「ヴァイキング(と紹介されていた)」ヨルン・ランデはやっぱ凄いわ。

全体的には非常に充実したライヴで、オーディエンスの反応も含めてムードが良く、楽しめました。

僕は正直、AVANTASIAの音楽については、「オペラ」というにはちょっと軽い、と思っていましたが、その軽さがライヴにおいてはかえって「ノリやすさ」につながり、プラスに働いたと思います。

ただ、僕がこのツアーのプロデューサーだったら、ステージセットや衣装にもっと凝るし、映像とかも交えてさらにこのプロジェクトに相応しいものにするのにな(ステラボールは映像使えるよ? 実際使ったことがあるのだから、間違いない)。

まあ、いかに多少メタル人気が復活してきたとはいえ、そこまでの予算をかけられない(ましてや日本公演では)というのが実情なのでしょう。AVANTASIAのライヴは今回限りだと言っていたので、そこはちょっと残念かな。


■セットリスト

01. Twisted Mind
02. The Scarecrow
03. Another Angel Down
04. Prelude
05. Reach Out For The Light
06. Inside
07. No Return
08. The Story Ain't Over
09. Shelter From The Rain
10. Lost In Space
11. I Don't Believe In Your Love
13. Avantasia
14. Serpents In Paradise
15. Promised Land
※以下アンコール
16. The Toy Master
17. Farewell
18. Sign Of The Cross / The Seven Angels

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