fc2ブログ

KAMELOT来日公演 at クラブチッタ 2023.11.3 の感想

11月3日は文化の日、ということで文化的なイベント(?)に参加しようとKAMELOTの来日公演に足を運びました。

川崎なんてクラブチッタ以外のために来ることがないので、最後にクラブチッタに足を運んだのはコロナ禍前の2018年に遡る、約5年ぶりとなります。

本日のKAMELOTの公演は、同日にMOTLEY CRUEとDEF LEPPARDの公演がある関係で13時開場・14時開演という異例のスケジュール。こんな早い時間に川崎に着いたのは初めてです(笑)。

バンドとしては不本意なんじゃないかという気がしますが、日本のメタル・マーケットというのは今でも80年代リアルタイム組の人が中心を占めていて、世代交代されていないという事情をレコード会社なりプロモーターなりが説明してご理解をいただいた、ということなんでしょうかね。

とはいえMOTLEY CRUEとDEF LEPPARDとKAMELOTを1日で掛け持ちする奴なんかいるのかという気もしますが、両方観たい人がいるのは確かだと思うので、KAMELOTが割を食ったことは間違いないでしょう。

そんなわけで(?)会場の入りはパッと見7割、詰めたら6割以下という感じではないでしょうか。寂しい限り。

開演前の場内BGMは親和性の高い欧州のパワー・メタルやゴシック・メタルではなく、EVANESCENCEやAVENGED SEVENFOLDといったアメリカのバンドが中心。まあKAMELOTもアメリカのバンドではあるんですけどね。

そのBGMが止まり、謎の気まずい無音時間がしばらく流れた後、メンバーが三々五々ステージに現れて、"HAVEN"(2015)からの名曲、"Veil of Elysium"で幕を開ける。

だが、トミー・カレヴィックのマイクの調子が悪いのか、PAの問題か、ヴォーカルがほとんど聞こえない。せっかくのカッコいいコーラス・メロディも、ゲストのコーラス要因であるメリッサ・ボニーの歌声ばかりが聞こえていた。

そんな感じで序盤はトミーのヴォーカルが聞こえづらい状態が続いたが、3曲目くらいで持ち直す。ただ、3曲目の"Opus of the Night (Ghost Requiem)"でも結局メリッサの歌声の方がハッキリと聞こえることについては変わらず、これはぶっちゃけ元々のポテンシャルの問題だと感じざるを得ませんでした(苦笑)。

7曲目に演奏された"New Babylon"ではメリッサのグロウルが披露され、それまでの女性らしい歌声とのギャップで場内のオーディエンスは少なからずインパクトを受けたのではないでしょうか。

ここまでトミー加入後の曲を中心に演奏されてきましたが、その"New Babylon"に続いて演奏された"Karma"ではひと際大きな歓声が上がり、日本ではやはりロイ・カーン時代の楽曲の方が認知されている印象でした。

かく言う私も、歌詞を覚えているのは"EPICA"の曲(全曲ではありませんが)くらいまでだということを告白します。

そういう意味で、本日のライブのハイライトは、新加入のドイツ人ドラマー、アレックス・ランデンバーグ(元ANNIHILATOR, AT VANCE, AXXIS, LUCA TURILLI'S RHAPSODY, 現CYHRA, MEKONG DELTA他)のドラム・ソロに続いて披露された"March Of Mephisto"だったと言えるでしょう。

アルバムではDIMMU BORGIRのシャグラットが担当したグロウル・パートを見事にこなしたメリッサ・ボニーは、ラメが輝くスタイル抜群でないと着こなせないコスチューム含め、本日のMVPでした。

新作"THE AWAKENING"を聴いただけではあまり彼女の存在を意識していなかった人は、きっと本日の公演後、彼女のメイン・バンドであるAD INFINITUMなど、彼女の音源をチェックしたのではないでしょうか(笑)。実際、女性メタル・シンガーの中でトップクラスの実力者だと思います。

アレックス・ランデンバーグは10月30日、トミー・カレヴィックは11月1日と誕生日が近いこともあり、バンマスのトーマス・ヤングブラッド(G)が場内に"Happy Birthday"を歌わせますが、どちらの名前を歌っていいかわからず、名前を歌うパートでグダグダに(苦笑)。

本編ラストの"Forever"(やけにテンポ速くなかったですか?)では、彼らのライブ定番のオーディエンスとの掛け合いパートの前にQUEENの"We Will Rock You"が挿入される。

オーディエンスとのコール&レスポンスも、2015年にLOUD PARKで観た時にはもっと音楽的だった(今でもあの時に歌わされたメロディが鼻歌で出てくるほど)のが、どちらかというと「客いじり」に近い無茶ぶり系のものになっていました。

前任シンガーのロイ・カーンは明らかに普通ではないというか、孤高のカリスマという感じでしたが、トミー・カレヴィックは一個人としては陽キャというか「爽やかな良い人」だと思われ、加入当初はロイ・カーンを意識している感じもありましたが、加入から10年経った今はだいぶ自身のキャラを出している感じで、良くも悪しくもライブ全体の雰囲気は私がロイ・カーン在籍時に観たライブよりもかなり明るい(いや曲調はご存知の通り明るくないので語弊がありますが)、親しみやすい雰囲気になっていました。

"We Will Rock You"は、「今のKAMELOTのノリだからこそ」ということなのでしょう。

アレックス・ランデンバーグの前任のケイシー・グリロ(現QUEENSRYCHE)ほどタメの効いていない、典型的なパワー・メタル・スタイルのドラミングも、少しKAMELOTサウンドの表情を変えていた気がします。

まあ、実はKAMELOTはその劇的なイメージに対して楽曲の多くは3分台~4分台とコンパクトで、意外とわかりやすくてライブ映えするバンドなので、親しみやすさを増すことはバンドの本質と大きく矛盾するものではないのだろうと思いますが。

アンコールは"Phantom Divine (Shadow Empire) "、"One More Flag in the Ground"(この曲では、曲名にちなんで日本国旗が振られました)、そして再びメリッサ・ボニーの見せ場がある"Liar, Liar"で終幕。

翌日4日の公演では名曲"Center of the Universe"もプレイしたそうで、その点は大変遺憾です(苦笑)。

いや~、しかし本当にメリッサいいですね。かつて同じくKAMELOTのライブで観たアリッサ・ホワイト=グラズのパフォーマンスも素晴らしかったですが(前回2018年の来日公演に帯同したONCE HUMANのローレン・ハートは未見)、彼女も全く見劣りしません。

なんなら「アリッサとメリッサ」というユニットでも結成しませんか? 語呂もいいですし、なんて与太話をしたくなるくらいです(笑)。

終演後、ドリンクカウンターでハイネケンを持ち帰って家で飲むために受け取り、会場を出ると、前方にMOTLEY CRUEのTシャツを着た男性と、同じくMOTLEY CRUEのパーカーを来た女性のカップルが足早に駅に向かっていました。

やっぱりこのライブの後にMOTLEY CRUEとDEF LEPPARD観に行く人いるんだなあ、隣の駅とはいえ、ご苦労さんですね、と心の中で呟きつつ、私も彼らの後を追うように駅に向かいました。

kamelot2023.jpg
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

何はともあれ…

今回のLIVEはadoreさん的にメリッサさんが大活躍しMVPだったようですね、KAMELOTを喰った!(笑)
非常に興味深くレポートを読ませて頂きました。
私は昨年あたりまで、ほとんど女性シンガーのバンドに興味が無かったのですが(アリッサとタチアナだけは別格で大好き)、今年は一気にダイサさん、FROZEN CROWNのジャーダさん、そしてこのメリッサさんと実力ある女性シンガー達に耳が魅了された年でした。今回のLIVEでの活躍が少しでも知名度の向上、そして自身のバンドにも好影響を与える形になると良いですね。
 
しかし大御所バンドと同日とはいえ、メタルのLIVEで14時開演ですか…異例だったとはいえ、変な感じですね、まるで"文化の日・歌謡曲コンサート第1部"みたいな(苦笑)adoreさんお疲れ様でした。

なんだか今日は1人で何回もコメ連しちゃって、イキってるみたいで…すみません(汗)あの、全部が全部の私のコメにお返事をして頂かなくて結構ですからね…adoreさん大変ですから(苦笑)
それでは、また。

>Kazuriさん

フェスでもないのに14時にライブを観るのはなんだか変な気分でしたね。

KAMELOTからこれまでになく妖気を感じなかったのも、時間帯の問題かもしれません(笑)。

No title

私も3日にお邪魔してました。

>きっと本日の公演後、彼女のメイン・バンドであるAD INFINITUMなど、彼女の音源をチェックしたのではないでしょうか(笑)。

呼びました?w
女性ボーカルは避けていたんですがちょっと追っかけてみようと思うぐらいでした。

確かに出だしのつまずきや、ハッピーバースデーのどっち?問題wなどはあったのですがHavenツアー以来のライブ参戦、大変楽しゅうございました。

>翌日4日の公演では名曲"Center of the Universe"もプレイしたそうで、その点は大変遺憾です(苦笑)。

なんですと?w

No title

自分も参戦していましたv-410メリッサ良かったですね。スタイルも良いし、愛用がありましたねv-398
確かに満杯にはならなかったけどゆったりと見れて良かったです。アンコール観ずにちらほら退室する人がいて、おそらく横浜にむかったんだなと思いました。

>0x4e71さん

いや、あのパフォーマンス観たらメリッサが気になってしまうのは当然ですよね。

最近割とあちこちに出没している感じなので、ぜひチェックしてみてください。

あの"Happy Birthday"、正解はきっと「アレックスandトミー」だったのだと思いますが、私の滑舌では追いつきませんでした(笑)。

"Center of the Universe"については、私も4日のセットリストを見て「なんですと?」と思いました(笑)。

>しんさん

たしかにゆったりと観れましたね。バンドにとってはともかく、観る側にとってはありがたかった一面はあります。

アンコールを観ても移動するだけなら余裕だったと思いますが、飯でも食べたかったんですかね。

4日の公演に行ったのですが、"Center of the Universe"の演奏で特段盛り上がっていたのは周囲で私くらいで、思いのほかオーディエンスの反応が薄かったのは意外でした。
実は最近ファンになった方も案外多いのかなと思いました。(かくいう私もトミー時代しかリアルタイムで聞けていないですが)

>にわかメタラーさん

今、日本のメタル界が求めているのはまさに「にわか」な人だと思います。ライブ会場行くとみんな一家言ある歴戦の猛者ばかりです。ありがとうございます。

"Center of the Universe"、盛り上がらなかったですか。たとえ初見(聴)だとしても一撃で魂を射抜かれる名曲だと思うのですが、KAMELOTの音楽が好き、というかなり限られた幅の人の中にも色々な感性の方がいるんですね。

レポートありがとうございます!私も3日参戦でした。フェスでもないのに昼間にメタルでしかもKamelot、って一生に一回あるかないかなレアイベントですよね。
夜の方に人が集中したためか、こっちにはコアなファンが集まった印象です。体感7割はKamelotシャツだった気が。
個人的なハイライトはMarch of Mephistoでした。メリッサはAdの印象だとちょっと迫力不足では?と思ってましたが失礼な思い込みでした。
強いて言えば新譜からGreat DivideかEventideやってくれたらと思いつつ、盛り上げも上手くてかなり満足でした。

>名無しのメタラーさん

同じ会場にいらっしゃったんですね。たしかにあの時間のライブというのはそれ自体レアな体験だったと思います。

"March Of Mephisto"、素晴らしいパフォーマンスでしたよね。実際、メリッサのグロウルはそこまで凶悪ではありませんが、必要充分な迫力と、やはりクリーン・ヴォーカルとのコントラストが素晴らしいので、あの日のハイライトになっていましたね。