V.A. / GUITAR HEROES

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近年活況を呈しているフィンランドのHR/HMシーンで活躍するギタリストをフィーチュアしたインスト曲のオムニバス。

BURRN!誌にも書いてあったように、このCDが売れない御時世にこのようなCDが「Sony/BMG」というメジャー・レーベルからリリースされるというのは驚きに値するし、ましてやそれが日本でもちゃんとソニーから発売されるというのは数年前では考えられなかったことだ。

それはきっとCHILDREN OF BODOMのアレキシ・ライホや、STRATOVARIOUSのティモ・トルキなど、日本での知名度がそこそこあるプレイヤーが参加しており、ある程度採算が見えたからなのだろうが、フィンランドのメタル・シーンの盛り上がりを端的に伝える出来事だろう。

てなわけで(?)、またもや全曲解説。長くなるので興味ない人は読み飛ばしてくださいな。

1.12 Donkeys

本作のプロデューサーであるTHUNDRESTONEのギタリスト、ニノ・ラウレンネの曲。全体的な曲調としてはTHUNDERSTONEに通じるちょっと地味めのパワー・メタルで、本作に参加しているギタリスト全員がリレー形式でプレイするギター・ソロが聴き所だが、歌ならともかくギターでリレーされても聞き分けるにはそれなりの訓練と集中力が必要だ。

楽曲タイトルは12人のギタリストと、テリー・ギリアムの95年の映画「12 MONKEYS」のパロディか(あんまり面白くないけど)。

2.Sioux City Sarsaparilla

購入者の何割かはこのトラック目当てであろう、アレキシ・ライホ(CHILDREN OF BODOM)の曲。どちらかというとCOBのプログレッシヴな側面が強く出たナンバー。個人的にはもっとネオクラしてほしかったが、充分にカッコいい。

3.Fat Batman

日本では無名に近いラウド・ロック系バンドBLEAKのMr.Crabの曲。プログレッシヴかつコンテンポラリーな曲で、かなりのセンスと技術の持ち主であることが一聴してわかる。

4.Soap On The Rope

元STONE、というよりは現CHILDREN OF BODOMという方が通りがいいであろうローペ・ラトヴァラの曲。本作で最も激しいパワー・メタル・チューンで、フィンランド・メタル・シーン創成期以来の重鎮としての面目躍如。まだまだ若い者には負けん、って感じだね。

5.Ulterior Motive

NIGHTWISHのエンプ・ヴオリネンの曲。NIGHTWISHというバンドをメタル・バンドにしたのは彼だとされるだけに、ギンギンにメタルなプレイを聴かせてくれるかと思いきや、本作中唯一のアコースティックで来ました。

ヨーロピアン・トラッドのようでもあり、フラメンコのようでもあり、中東あたりを思わせるようなムードもあるエスニックな曲で、そのミステリアスなムードには結構惹かれるものがある。

6.Hellbilly

これも日本ではあまり知られていないが、既に3枚のアルバムをリリースしているというメタルコア・バンドGODSPLAGUEのギタリスト、ユーゲ・ヴァロヴィルタの曲。

ヒルビリーをもじったタイトルから想像がつく通りのカントリー風の曲で、どちらかというと暗めの楽曲が多い本オムニバスの中で異彩を放つ楽しいナンバーに仕上がっている。ザック・ワイルドを思わせるギター・プレイもなかなかのもので、ちょっと所属バンドの音楽も聴いてみたくなった。

7.Sauna Blast

AMORPHISのエサ・ホロパイネンの曲で、AMORPHISのアルバムに収録されていてもおかしくないような孤高の世界観が展開されている。

しかし、「TALES FROM THOUSAND LAKES」で彼らの音楽を初めて耳にしたときには、まさかこのバンドのギタリストがコミック調のイラストになって、ソニーから出るCDでプレイするとは夢にも思わなかったなぁ~。

何気に「サウナ・ブラスト」ってタイトルがふざけてる。KORPIKLAANIか。

8.Antz

TAROTのザシャリー・ヒエタラの曲。苗字で想像がつくと思いますが、NIGHTWISHのベーシストであり、TAROTのフロントマンでもあるマルコ・ヒエタラのお兄さんだそうです。

とってもシュラプネルな仕上がりで、このオムニバスのタイトルに最も相応しい楽曲ではないでしょうか。シュラプネルの連中ほどバカテクではないけれども、プレイも曲も悪くない、というかなかなか良い。

9.The Mystic Castle of Dr.Shred

最新作が本国では結構売れたらしい一風変わったメロディック・パワー・メタル・バンド、KIUASのギタリストであるミッコ・サロヴァーラの曲。

確か一昨年のFINLAND FESTで来日していて、バンドとしてのパフォーマンスについてはまだまだだなあと思いつつ、ギターがやたらと巧いってのは印象に残ってた。

めまぐるしく曲調が変わり、HR/HM以外の音楽からの影響も感じ取れる玄人好みの一曲だ。

10.Imolan Musta Viikonloppu

かつてPANTERAのフィル・アンセルモがファンであると発言し、アレキシ・ライホも一時在籍したことがあるベテラン・ブラック・メタル・バンド、IMPALED NAZARENEを昨年脱退したトゥオミオ・ロウヒオの曲。

ブラック・メタル出身らしいヘヴィかつ禍々しい楽曲だが、その上で展開されるトゥオミオのプレイはスティーヴ・ヴァイなどを彷彿させるコンテンポラリーかつテクニカルなプレイで、あんまり禍々しくなかったりする。

これだけ弾ければブラック・メタル以外のフィールドに出てみたくもなるかもね。

11.If God Will Send Her Angel

STRATOVARIOUSの…いや、REVOLUTION RENAISSANCEのギタリスト、ティモ・トルキの曲。

むう…これは、演歌?(笑)

などと思ってしまうような、泣きのギターをフィーチュアしたギター・インスト・バラード。なかなか良いメロディを持っているのだが、ティモのギター・サウンドに今ひとつ泣きが足りない(ESPのギターがいけないんじゃないか?)のと、あからさまに打ち込みなバッキングのせいでムード音楽になってしまっている感も無きにしも非ず。

でもまあ、アルバムの締めくくりとしては悪くない。


ヴァイやらイングヴェイやらのようなカリスマ的なプレイは見当たらないものの、全体的なレベルはなかなかに高く、東京の半分の人口しかないフィンランドのメタル・シーンの層の厚さを感じさせられる一枚だ。

特に、#3や、#6など、全く知らないバンドのギタリストの曲とプレイが耳を引いたことが、その印象をより強めている。フィンランド恐るべし。

個々の楽曲のクオリティもまずまずで、曲調のバラエティも豊かなので普通に楽しめる。歌モノ好きな人にはあえて薦めませんが、「インストも好き!」という方はぜひどうぞ。

しかしフィンランドのギタリストはESP使いばっかだな。
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