LIONSHEART / LIONSHEART

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先日のONSLAUGHTのレビューで名前を出したので、ついでと言ってはなんだがこちらの作品も紹介しよう。邦題は「獅子の咆哮」。

このLIONSHEARTは元GRIM REAPER~ONSLAUGHTの巨漢(というかデブ)シンガー、スティーブ・グリメットが結成した正統派ブリティッシュ・ハード・ロック・バンドで、本作は93年に発表されたデビュー・アルバム。

当時この手の音楽に対して盲目的とさえ言っていいほど甘い酒井康氏が編集長を務めていたBURRN!で、新人バンドとしては異例のトップでのクロスレビュー&高得点を獲得したため、この時期にHR/HMのファンであった人ならかなり記憶に残っているバンド、アルバムである。

音楽は先述したように正統派ブリティッシュ・ハードで、全体として一番近いバンドは初期のWHITESNAKEであろう。ただ、日本でウケが良かったのはブルージーなそれっぽい曲ではなく、キャッチーな名曲#5「Can’t Believe」、ドラマティックな#6「Portrait」、イングヴェイの曲かとさえ思わせる疾走チューンの#7「Living In A Fantasy」という、このバンドとしては恐らく例外的に様式美色の強い楽曲であった。

これらの楽曲を産み出したギタリストのマーク・オウアーズ(G)は、イギリス人には珍しいハイテク型のプレイヤーで、正直本作の大半を占めるブルージーな楽曲群においてはやや「弾き過ぎ」気味なプレイとメタリックなトーンで楽曲をぶち壊していたりもするのだが、先述の様式色の強い楽曲においては強い輝きを放っていた。

しかし、本作発表後、ツアーに出ることなく脱退、兄のスティーブ・オウアーズ(B)もそれに続いた。

スティーヴ・グリメットはマークの脱退について、本人の精神面の弱さの問題と説明していたが、後年のBURRN!誌のインタビューで「後から入ってきたスティーヴが中心人物のように振舞ったことによる人間関係の問題」だったことが理由だったと明らかにされた。

本作はBURRN!誌および伊藤政則氏の強いプッシュによって日本ではかなりのヒットを記録(当時実家で取っていた読売新聞紙上のCDセールスランキングで、なんと本作が7位を記録、キャリアのないハード・ロック・バンドとしては異例の3万枚を売り上げたという記事が載っていた)、当然来日公演が行なわれた。

しかし、マーク・オウアーズの後任として加入したニック・バー(G:元KILLERS)が全くマークのハイテク・フレーズを再現できず演奏はボロボロ、スティーブ・グリメットもカンニングペーパーに頼りっきりという情けないパフォーマンスで一気に評判を落としてしまった。

普通来日公演というのはファンを増やす効果をもたらすものだが、このバンドについては逆効果で、次作が基本的な音楽性や楽曲の平均点においては本作と大差ないものを呈示したにもかかわらずセールス不振に陥る一因(主因はあくまで様式色のある楽曲が消滅したことだと思う)になってしまった。

そしてバンドは次第にフェイドアウトしていくわけだが、本作に関しては今聴いてもスティーブの艶のあるパワフルな歌唱は素晴らしく、私も先に挙げた様式色の濃い楽曲ばかり好んで聴いていたクチだが、楽曲も全体的に良くできている。

現在は廃盤だが、当時よく売れただけあって中古盤屋にはかなり安く転がっていることが多いので興味のある方はどうぞ。#5「Can’t Believe」(マジで90年代以降最高のブリティッシュ・ハード・ロック・チューンだと思う)だけでもモト取れると思いまっせ!
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コメント

非公開コメント

今度スティーブグリメットが来日するらしいのですがこのバンドの曲もやるらしいので楽しみです。

>へたれ学生さん

へたれ学生さんはスラッシュ好きだから今回のライヴに足を運ぶんですね。

スラッシュ・バンドがプレイするLIONSHEARTの曲…ちょっと恐いもの見たさで聴いてみたいような、聴かないほうが幸せなような…(苦笑)。

1993年当時を振り返って

METALGATEの最新コメント欄を眺めるのが楽しくて日課している、暇人もしくは構ってちゃん参上です。

このアルバムは当時BURRN!!で推されていたので聴いてみたのですが、良い処も悪い処もadoreさんと全く同意見なんです。

たしか毎年恒例のBURRN!!の人気投票でも、伊藤正則を始めBEST TUNEに#⑤CAN'T BELIEVEを推す方が何人かいたと記憶しています。

あえてadoreさんと違う処を挙げると、1番好きなのは#⑦LIVING IN A FANTASYですね。

1993年はclassの夏の日の1993、ミスチルのイノセント・ワールド、Tomorrow nver knowsなどが世間では流行っていましたが、それらが一時の流行として懐メロに成り果ててしまった2013年現在では、私にはとってはブラジルの至宝ANGRA/ANGELS CRYが発売された年であり、LIONSHEART/LIVING IN A FANTASY、ANGRA/EVIL WARNING、PRAYING MANTIS/RISE UP AGAINといった神曲たち(AKBから借りましたm(._.)m)に出会えた年でもあります。

まあスティーブグリメットがいた頃のOnslaughtはメロディアスなパワーメタルでしたし意外とマッチするかもしれませんねw
Grim Reaperの曲もやるらしいので結構楽しみです。

メタル聴き始めの頃にこれと「サーペンスアルバス」と「ブルーマーダーの2nd」を知り合いに借りたので何となく思いいれがあります。当然「Can’t Believe」大好きですが、バラードの「All I Need」も好きでした。あと今作のジャケ裏見てルックスに驚愕したのもいい思い出です(笑)

まとめてお返事

こんな過去の記事のコメント欄が賑わうとは、世の中何が起きるかわかりませんね(笑)。

>ゆうていさん
当サイトのコメント欄を眺めるより有益な日課はたくさんあると思いますが…(笑)。

たしかに「Living In A Fantasy」はカッコいい曲で、メタル好きにはむしろこっちがアピールすると思いますが、こういう曲をやれるバンドは他にたくさんいるかな、というような気もするので、そういう意味でも「Can't Believe」を推しますね、私は。

神曲という表現はAKBというより、元々は2chとかニコ動あたりのネットスラングじゃないんですか?
ミスチルもclassも、今でもカラオケだとよく聴かされますけどね(笑)。


>へたれ学生さん
GRIM REAPERの曲もやるんですか。まあ「See You In Hell」とプラス1、2曲といったところでしょうが、それはちょっと聴いてみたい気がしますね。


>B!13さん
その知り合いは30代後半から40代前半くらいのアラフォーな人じゃありませんか?(笑)。
スティーブ・グリメットのルックスは、「ロック・バンドのフロントマン」のイメージを打ち破るものですよね(笑)。