ONSLAUGHT / KILLING PEACE

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80年代後半のイギリスはレイヴ全盛で、メタルはおろかロック全般に勢いがなく、目だったバンドが登場してこなかった。

したがってその時期全盛を極めていたスラッシュ・メタル(と、BON JOVI型のポップ・メタル)についてはアメリカはおろかドイツにも見劣りする淋しい状況だったわけだが、そんな中数少ない(というかほとんど唯一)国際的にスラッシュ・マニアの注目を集めていたイギリスのバンドがこのONSLAUGHTである。

83年に結成され、3枚のアルバムを残して91年に解散した彼らが06年に15年ぶりに再結成、なんと「THRASH DOMINATION 06」に参加する形で来日公演まで実現させた。

解散後、サード・アルバム「IN SEARCH OF SANITY」で歌っていたスティーブ・グリメット(元GRIM REAPER)が結成したLIONSHEARTのデビュー・アルバムが日本でヒットした際に一瞬だけ再注目されたものの、それも随分前の話で、解散後はカタギの仕事に就いていたという元メンバーがこうして再び集まったというのは奇跡のようにさえ感じられる。

メンバーが昨今のメタル・ブームに乗っかろうと考えたのか、リリース元である「Candlelight」の社員にファンがいて、再結成のために尽力したのだろうか?

再結成後の第一弾アルバムとなる本作で歌っているのは、彼らの出世作であるセカンド「THE FORCE」で歌っていたサイ・キーラーで、当時「切り裂きジャック的」と評された(なんだそりゃ)シャウトは健在…どころか当時より安定感を増していてちょっとビックリ。

先述の「THRASH DOMINATION 06」での演奏は、ブランクを感じさせないと言えば嘘になる、ちょっと危なっかしいものだったようだが、リハーサルを重ねた結果か、本作では非常に安定感のあるプレイを聴かせ、展開多めのリフ・ワークをキレよくこなしている。

彼らが年齢を重ねた結果か、あるいは我々リスナーの感性がブラック・メタルなどより凶悪な音楽に慣れてしまった結果か、かつてのこのバンドの音楽から放たれていた狂気めいたアブナさは薄くなっているものの、スラッシュ・メタルの生命線ともいうべきリフ・ワークには磨きがかかっており、スラッシュ・フリークであれば充分楽しめるクオリティが保たれている。

爆走型ではないが、90年代的なヘヴィさがなく、あくまでスラッシュらしい「前のめりな勢い」に満ちているのがいい。

日本盤ボーナス#10は、彼らのデビュー・アルバムに収録されていたタイトルトラックの「Power From Hell」の再録。
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