ANVIL / THIS IS THIRTEEN

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映画で話題のANVILの現時点での最新作となる13枚目のアルバム。

タイトルはその名も「THIS IS THIRTEEN」。今回も秀逸なタイトルだ。
私は彼らの音楽的な才能はあまり高く評価していないが、アルバム・タイトルのネーミング・センスは高く評価している。

99年の「SPEED OF SOUND」以降、日本盤の発売のなかったANVILだが、本作は映画のサウンドトラック的な扱いでソニー・ミュージックからの日本盤リリースが実現した。

もちろん本作はサントラとして制作されたわけではないが、映画『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』は本作の制作ドキュメンタリーとしての側面もあるので、関連が深いことは間違いない。

そして映画をご覧になった方であれば、本作がリップス(Vo, G)が実のお姉さんに200万円近いお金を借り、ANVILの初期のアルバムを手掛けた有名プロデューサー、クリス・タンガリーディスにプロデュースを依頼して制作されたことはご存じの通り。

劇中でリップスが言うように、クリスのプロデュース効果か、本作はANVILのカタログ中では最も良好なプロダクションを備えており、アートワークも一番スケール感があって、メジャーから出てもおかしくない雰囲気である。

しかし、音楽的な内容についていえば、見事に「いつも通り」(苦笑)。
個人的な印象ではMOTORHEADとJUDAS PRIESTを7:3の割合でミックスし、楽曲からフックを抜いたようなサウンドだ。

この音は確かに80年代初頭においてはそれなりに刺激的で、彼らが元祖パワー・メタル、元祖スピード・メタルなどと言われ、スラッシュ・メタルの誕生に影響を与えたというのもある程度は事実なのだろう思う。

ただ、そのスラッシュ・メタルやデス・メタル、メタルコアなどといったさらに過激な音楽が溢れかえる現代のシーンにおいてはどうにも中途半端な激しさで、イマドキの若者を熱くさせる音とは言い難い。

そうなると有るといわれれば有るような、無いといわれれば無いようなメロディのつまらなさは致命的で、ANVILのアルバムにいったい何を期待すればいいのか、私などにはさっぱりわからない。

特に本作は1曲目のタイトル曲からスローでへヴィな楽曲のため、ツカミが悪いことこの上ない。
このスローな曲で始まる構成は、彼らの初期の名盤の1枚とされる「FORGED IN FIRE」を意識したのかもしれないが…。

いっそのこと#8「Feed And Greed」みたいに、R&R色の強い楽曲で押し切ってくれた方が別の楽しみ方ができたかも。

本作に収められている音楽は紛れもないメタルだが、映画を観て感動した一般の方が聴いて楽しめるとはとても思えないのが残念なところ。

ま、私は彼らに対するカンパのような気持ちで購入しましたけどね。
ちゃんとお姉さんに借金返せよ、と(笑)。

日本盤には、映画の中でリップスが口リフ、口ドラムで聴かせてくれた、ずっと温めてきた曲だという「Thumb Hang」、そして劇中でもフィーチュアされていた代表曲「Metal On Metal」、「666」のリメイク・バージョンが収録されている。…のはいいのだが、歌詞の対訳が記載されていないのは経費削減の結果ですか?【70点】


◆ANVILのMySpace
http://www.myspace.com/anvilmetal
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