ALKEMYST / MEETING IN THE MIST(2003)

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本サイトでSECRET SPHEREの新作をレビューしたタイミングでCDラックの奥に眠っていたこんなアルバムを掘り起こしてみました。

このALKEMYSTはフランス出身のバンドで、1992年にギタリストであるアルノー・メナードを中心に結成、しばらくはENDLESSというバンド名で活動していたが、99年、同名のバンドが存在していたため現在のバンド名に変更する。

バンド初期にはスラッシュ系のサウンドに、プログレッシヴな要素を盛り込んだ音楽をプレイしていたそうだが、当時欧州を席巻していたパワー・メタル・ブームに刺激されてかメロディック・パワー・メタルに路線変更。これが功を奏したのか大手「Nuclear Blast」との契約を獲得、フィンランドの名門スタジオ「FINNVOX」で、名手ミカ・ユッシーラにマスタリングされてリリースされたのがこのデビュー作。

このバンドの不思議な所は、なぜかVoにイタリアのバンドであるSECRET SPHEREのラモン・メッシーナを起用していたことである。

当時かなりSECRET SPHEREを気に入っていた私は、ジャンル的にも私の好きなメロディック・パワー・メタルということもあり、本作にもつい手が伸びてしまった。

正直理解に苦しむのは、バンド活動というのは何だかんだ言って身近な人間とやるのが一番やりやすいのに、隣国とはいえイタリア人のシンガーを迎えたことだ。まして国境を超えてバンド活動をするというのはこれだけインターネットが発達した現代においてもそれほど容易ではない。

JUDAS PRIESTがアメリカ人シンガーのティム・オーウェンズを迎えたように、ビッグなバンドが脱退したメンバーの穴を埋めるためにやむなく(?)異国人を迎えることはある。しかしこれはビッグなバンドであればこそ、の荒業といえる。

かつてオランダのELEGYが英国出身のイアン・パリーを迎えたり、ドイツのPINK CREAM 69が同じくイギリス人シンガーのデヴィッド・リードマンを迎えたりという例もあるが、この場合イアン・パリーはそれ以前からオランダに活動拠点を移していたし、デヴィッド・リードマンもバンド加入に当たってドイツに引っ越してきた。

国籍の違うシンガーを迎える意味というのは主に2つあって、ひとつは非英語圏のバンドが、英米での成功を目指して英語圏のシンガーを迎える場合である。

これは古くはドイツのACCEPTがアメリカ人シンガーのデヴィッド・リースを迎えたり、我が国のLOUDNESSがマイク・ヴェセーラを迎えたり、というケースである(そもそも英米でHR/HMの人気がなくなった90年代以降はあまり見られなくなったケースでもあるが…)。

もうひとつは、単純に優れたシンガーで、国籍の壁を超えてでも迎えたい場合。ノルウェー人で、英語がネイティヴではないロイ・カーンを迎えたKAMELOTなどがこのケースに該当するだろう。

しかし、残念ながらと言っては失礼だが、ラモン・メッシーナはどちらにも該当するとは言い難い。彼はイタリア人で、母国語は当然イタリア語だ。

そして歌唱力も、控え目に言っても力強いとは言い難い。STRATOVARIUSのティモ・コティペルトがヘナチョコ呼ばわりされるなら、このラモンも間違いなくヘナチョコの称号を授かることだろう。

蛇足ながらルックスも、少なくとも日本人の考える「イケメン」とはやや距離がある(下の写真参照)。メタル・シンガーにしてはオシャレだし、ラテン系ならではのフェロモンみたいなものは発散しているが、人によっては「ゲイっぽくてキモい」と感じるかもしれない。

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しかし、実は私はティモ・コティペルトが好きなこともあってか、彼の歌声を結構気に入っていた。だからこそこのアルバムを買ったのである。

内容? 内容はちょっとプログレ・メタルの要素があるメロディック・パワー・メタルで、まあ典型的な「欧州型メタル」という感じ。演奏力はまあまあで、音質はちょっと軽め。ぶっちゃけこの時期にはかなり飽和状態を迎えていた「ありがちなメロパワ」で、こうして久方ぶりに聴き返してみても全く印象に残っていなかったというのが事実。

好きなヴォーカリストの存在をもってしても、楽曲が良くないと「お蔵入り」になっちゃうんだなあ、ということを感じさせられた一枚です。

というか、やはりラモン・メッシーナが魅力的なシンガーに聴こえたのは結局SECRET SPHEREの音楽が魅力的だったからなんだろうなあ。そうでなければただのB級シンガーとして記憶にも残らなかったに違いない。

ただ、SECRET SPHEREの前作「SWEET BLOOD THEORY」のレビューにも書きましたが、彼の歌声は「細めのハイトーン」という、形容詞だけ聞くとありがちなタイプながら、個性は意外と強いと思うんですよね。

ALKEMYSTのメンバーもその辺を評価したのかなあ、などと思っているのですが、実はどちらのバンドも国境に近い街の出身で、単純に地理的に結構近い存在だった、なんてオチだったりして。

2008年にセカンド・アルバム「THROUGH PAINFUL LANES」をリリースしており、HELLOWEENの名曲「Eagle Fly Free」のカヴァーなども収録しているようですが、ちょっと買ってまで聴きたいと思えませんでした。すみません。【73点】

◆ALKEMYSTのMySpace
http://www.myspace.com/alkemystmusic


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コメント

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私はセカンドを買っちゃってました!やっぱりお蔵入りですけど(笑)あらためて聞いてみましたがやはり印象に残る様な作品ではないです。イーグルフライフリーもなんだかなぁという感じでした。ただ、好きなバンドのメンバーだからひいき目に見てしまうのか、バックの音質が軽いからか、Voは本職よりも力強く感じてしまいました。
アルケミストのメンバーからしたら、ラモンは大物なのかもしれませんね。
私もこの人嫌いじゃないです。

>DYさん

たしかにこのバンドで聴く方が歌声が力強く感じますね。SECRET SPHEREはちょっと彼に難易度の高いメロディを歌わせているのかもしれません。

「大物」かどうかはともかく、彼が「先輩格」として見られていることは確かでしょうね。

しかしこのVoを嫌いじゃない、というのはDYさんもだいぶB級メロスピに慣らされてしまった人ですね(笑)。