ANGELS OF BABYLON / KINGDOM OF EVIL

angelsofbabylon01.jpg

元MANOWARのドラマーであるライノの結成したニュー・バンド。元MEGADETHのデイヴ・エレフソン(B)が参加していることで話題になっており、BURRN!誌でも89点の高得点を獲得した(評者は広瀬編集長)注目作。

ライノといえば、重病に罹った息子の病気の看病のために脱退したスコット・コロンバスの後任としてMANOWARに加入する際、「俺に過去はない。あるのはMANOWARの一員としての未来だけだ!」という熱いセリフと共に、自分がこれまで使ってきたドラム・キットを燃やした、という話で有名になった人物。

しかし、スコット・コロンバスは息子の病気が回復するとさも当然のようにMANOWARに復帰、結果としてライノはアルバム「THE TRIUMPH OF STEEL」1枚に参加したのみで脱退することになってしまった。

今にして思えばドラム・キット云々はメディア向けのパフォーマンスで、そのドラム・キットが本当にライノのものだったのかは疑わしいし、仮にそうだったにせよ充分な「補償」がライノに支払われていたことは想像に難くないが、個人的には「気の毒な人」というイメージを持っていた。

そして自身のバンドを組んでみれば、なまじデイヴ・エレフソンをメンバーに迎えていたため、彼のMEGADETH復帰の話題ばかりが取り沙汰されることになってしまった。しかも、当然ながらMEGADETH復帰によってこのバンドでツアーに出ることなどはできない、と言われてしまったのだから、やっぱりこの人は不幸な星の下に生まれたとしか思えない。

そんな不幸な(?)本作は、やはりというかかなりダークな雰囲気に包まれた正統派メタルで、メンバーの出自であるMANOWARやMEGADETHに通じる要素は少ない。

強いて言うならKAMELOTにロニー・ジェイムズ・ディオやトニー・マーティンが在籍していたころの「様式美BLACK SABBATH」の雰囲気を加えたような音楽性といった感じか。

かつてFORGOTTEN REALMというバンドでライノと行動を共にしていたVoのデイヴィッド・フェフォルトのややハスキーな歌声は、声域・歌唱力ともにまずまずだが、やや没個性で華がなく、MySpaceを通じて発掘したという新人ギタリストのイーサン・ブロッシュは速弾きを多用したソロでこそ高度なテクニックが光っているものの、リフ・ワークは凡庸で、Keyサウンドが結構前に出ていることもあって、バッキングにおける存在感は薄い。

メロディもシリアスでダークな分、キャッチーな要素は薄めで、ミドルテンポの楽曲が多いこともあって、正直なところ全体的な印象は地味である。

近年のバンドは正統派といってもパワー・メタル的なアグレッションを備えていることが多い中、このアルバムのサウンドは軽めで録音レベルも低く、アグレッシヴな音に慣れてしまった近年のメタル・ファンにはそういう意味でも地味に響くかもしれない。

ライノの父親がやっているバンドで歌っていたという女性シンガーの歌声を絡めたボーナス・トラックの#11「House Of Pain」だけはキャッチーな色が強い、本作の中ではやや異色の楽曲で、個人的にはこの曲が一番印象に残ってしまった。【77点】

◆ANGELS OF BABYLONのMySpace
http://www.myspace.com/officialangelsofbabylon



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント