TAKING DAWN / TIME TO BURN

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大学時代に一般教養として取っていた講義で「文化は辺境に残る」という話を聞いた記憶があります。

現在の沖縄の言葉が奈良時代の都の言葉に近かったり、現在の日本における漢字の音読みの発音は、古代の中国のものに近かったり、みたいな例を聞いた気がしますが、この辺は10年以上前の記憶でうろ覚えなのであまり突っ込まれても困ります。

要は、東京では既に終わってるファッションが地方ではまだイケてることがある、みたいな話だと思うんですね。

近年北欧ではLORDI、WIG WAM、POODLESといった80年代テイストのHR/HMサウンドが結構受けていて、彼らのような一種の色物だけではなく、H.E.A.T.とかCRAZY LIXXみたいなイキのいい若手が本気でそういうサウンドを鳴らして注目を集めている。

ただ、それはやっぱり北欧という、英米を中心としたポップ・カルチャーにおける辺境地域だからこその現象で、ここまで「モロに80年代」な音がアメリカで脚光を浴びることはもうない、と思っていたんですよ。

現在大人気で、「80年代風」とされるレディー・ガガだって決して「まんま80S’」というわけじゃなく、ちゃんと新しさのあるポップ・ミュージックをやっているし、そうやって時に過去の音楽を振り返りつつも少しずつ変化していくのが、まあ健全な進化というもんだと私も思います。

前置きが長くなりましたが、そこで期待したいのがこのラスヴェガス出身の新人4人組。少なくとも向こう2~30年はアメリカがポップ・カルチャーの中心地であり続けると考えるなら、彼らこそが80年代HR/HMの魅力を現代に蘇らせる最有力候補のひとつと言えるのではないでしょうか。

TAKING DAWNの前身バンドである7TH SON(何て元ネタがあからさまなバンド名!)が結成されたのは06年、地元ラスヴェガスのクラブを中心に活動を開始した。

中心メンバーだったクリス・バビット(Vo, G)とマイキー・クロス(G)は現地の『ハードロック・ホテル』でセキュリティのバイトをすることで数々のバンドのライヴを観て「勉強」しつつ、スター・セキュリティとして「リハブ・ショウ」なるテレビ番組で紹介されたこともあるらしい。

そして08年にINCUBUSやSTORY OF THE YEARを手掛けたマイケル“エルヴィス”バスケットをプロデュースに迎えて制作したデモが「Roadrunner Records」のモンテ・コナーの目に止まり、契約を獲得した。

しかし、育成能力に長けたA&Rマンとして知られるモンテ・コナーは彼らをすぐにデビューさせることはせず、ソングライティングに磨きをかけ、良い曲が揃えることを優先させた。かつては一般的だったとはいえ、すぐに結果が求められる近年ではあまり見られなくなったこういうやり方をさせたあたりに、レーベルの期待が窺われる。

そしてバンド名をレーベルからの薦めに従ってTAKING DAWNに変更し、アルバム発表前にTRIVIUMやDRAGONFORCE、SKID ROW、ALL THAT REMAINSなどのサポートとしてのツアーを経験し、満を持して発売されたのが本作「TIME TO BURN」である。

正直、1曲目のタイトル曲を聴いた時点では、90年代的なミクスチャー感覚を持つパンキッシュなヘヴィ・ロック・バンドの雰囲気を感じて、あまり良い印象はなかった。テクニカルがギター・ワークがフィーチュアされた2曲目「Like A Revolution」も、ちょっと脳天気な感じであまりピンと来ない。

しかし3曲目、「Take Me Away」、これは来ました! これぞキラー・チューン。

7TH SON時代からの代表曲だったというこの曲は、誤解を恐れずに言えばSKID ROWの「Youth Gone Wild」を思わせるキャッチーでありながら熱いHR/HMチューンで、80年代の有名バンドがこの曲を発表していればBURRN!誌の年間ベスト・チューン候補になったであろうこと間違いなしの名曲である。

そしてこの後堰を切ったようにモロに80年代型のHR/HMチューンが連発され、あの時代のHR/HMを愛する人間の頬を緩ませる。
1、2曲目を試聴して見切りをつけた人、ちょっと辛抱が足りなかったかもしれませんよ(笑)。

本作のプロデュースを手掛けているのは前述のデモを手掛けたマイケル“エルヴィス”バスケットで、彼は先日発表されて好評を博しているRATTのカムバック作「INFESTATION」も手掛けている人物だが、なかなか80年代好きのツボを心得た人物と見た。

キャッチーな曲でもハイエナジーな熱っぽさを感じさせる所がデビュー時のSKID ROWを彷彿させ、決して甘口になり過ぎない所がいい。

なお、#11「The Chain」はFLEETWOOD MACの大ヒット作「RUMOURS」に収録されていた楽曲のカヴァー。

「ラスヴェガスからは本物のロック・バンドはSLAUGHTER以降、全く出てきていない」という発言も頼もしい、80年代型HR/HM復権の一翼を担う強力なニューカマーの登場である。【84点】

◆「Take Me Away」だけでも試聴してみてほしいTAKING DAWNのMySpace
http://www.myspace.com/takingdawn


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コメント

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taking dawnいいですね!私もitunesで購入しましたがCDで買えば良かったと後悔しています。itunes限定のボートラに惹かれてつい・・・。
同系統といえるかどうかわかりませんがSHYLOCKの新作も個人的にはかなりツボでした。

>rassieさん

TAKING DAWN、いいですよね。レコード会社もそこそこ力入れてるみたいですし、BURRN!誌でもまずまずの評価だったのに日本ではほとんど話題になっていないのが残念です。

バンド名にインパクトがないのと、ジャケットが地味なのがいけなかったんですかね。

SHYLOCKは評判いいですね。試聴してみます。