『CD Journal』2010年7月号特集「ヘヴィ・メタルのススメ」

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「日本で唯一の音楽総合情報誌」を標榜する音楽誌『CDジャーナル』誌上で、創刊以来26年に及ぶ(奇しくも『BURRN!』誌と同じ年に創刊されている)長い歴史の中で初となるヘヴィ・メタル特集が行なわれました。

その名もズバリ、「ヘヴィ・メタルのススメ」。

14ページに渡る内容をザッと列挙すると以下のような感じで、主に過去『BURRN!』誌に身を置いていた(あるいは寄稿していた)、メタル歴の長い人ならなんとなく知っている人たちが執筆しています。

◆80年代メタル・バンドたちのリバイバル(担当:奥村裕司氏)
→IRON MAIDENとかRATTとかANVILとか。

◆ヘヴィ・メタルとアート(担当:山崎智之氏)
→TOOLとかNEUROSISとかISISとか、私の疎い分野。

◆国内ヘヴィ・メタル最新事情(担当:増田勇一氏)
→LOUDNESSやOUTRAGEから、DIR EN GRAY、マキシマム・ザ・ホルモン、9mm Parabellum Bulletまで。

◆ヘヴィ・メタルのスゴいヤツ講座(担当:ケリー・サイモン)
→メタル界の凄腕プレイヤーの紹介。マイク・マンジーニ(Dr)ってギネス記録保持者だったんですね。

◆ロニー・ジェイムズ・ディオ追悼&彼の残した傑作5選(担当:奥村裕司氏)
→BLACK SABBATHであえて「MOB RULES」を選んだのは通ぶってみたのでしょうか。

この他コラムがいくつかあって、普通のメタラー的にふんふん、と読めるのは山崎智之氏によるヘヴィ・メタルと悪魔の関係についてでしょうか。

個人的には高岡洋詞氏というフリーのライターさんによる「愛すべきメタルヘッズによるメタル語り」なるコラムが興味深かった。たしかにメタル特有のミソジニー(女性嫌悪)は「モテないから」という「ボンクラ」な理由でしょうね(笑:ちなみに同氏はそのことをバカにしているわけではないので、念のため)。

インタビューはRATTにGRAND MAGUS、マキシマム・ザ・ホルモンのダイスケはん(Vo)にLIGHT BRINGERというカオスな面々(笑)。

当サイトをコンスタントにご覧になるようなタイプの方って割と保守的な感性のメタラーさんが多いんじゃないかと勝手に推測しているのですが、そういう人たちにとってマキシマム・ザ・ホルモンみたいなバンドって、割と賛否両論というか、「あんなんメタルじゃねえ」と思っている人が多いんじゃないかと思います。

私個人も、音は別に嫌いじゃないけど、私自身の考える「メタル」からはちょっとはみ出してるかなぁ、と思っています。

ところが彼のJ-POPから普通の洋楽からゲーム音楽まで通過してきた音楽遍歴や、「哀愁のあるキレイなものから凶暴で泥臭いものまで表現できる、喜怒哀楽が全部ある音楽」っていうメタルに対する考え方って結構私と似通った所があって、勝手に親近感を抱いてしまいました。

しかも、彼のフェイヴァリット・アルバム5枚というのがちょっとビックリ。

・BLIND GUARDIAN 「SOMEWHERE FAR BEYOND」
・NAPALM DEATH 「FROM ENSLAVEMENT TO OBLITERATION」
・ANGRA 「ANGELS CRY」
・HIBRIA 「DEFYING THE RULES」
・HEAVENLY 「CARPE DIEM」

NAPALM DEATHを除けば、「釣り」なんじゃないかと思ってしまうほど私の感性ド真ん中。
ちょっとググってみたら、私と同い年。なるほどねー。


全体的に、変にメタルの長い歴史をクドクドと語り倒すというよりは、あくまで「メタルの今」を伝えようという意図の感じられる特集で、『BURRN!』の保守的過ぎる編集方針にいささか辟易している身としてはなかなか好感の持てる内容でした。

まあとにかく冒頭の扉ページに掲げられた「一部のファンだけに愛されている感のあるヘヴィ・メタルですが、じつは広いレンジと優れた音楽性を備えた、素通りするにはもったいないジャンルなのです」という一文に尽きますね。

そう思ってたならもっと早くから特集してよ、って思わないでもないですが(笑)。

◆CDジャーナルの公式サイト
http://www.cdjournal.com/Company/products/cdjournal.php?yyyy=2010&no=07


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コメント

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 僕もメタルは音楽としてかなり幅広いのが面白いと思います。一口にメタルといってもSWALLOW THE SUNとARI KOIVUNENとBLOOD STAIN CHILDじゃ全く別のジャンルですし。

 アルバム内でも冗談みたいにファストな曲をやったあとに一転してバラードでしっとり聞かせるとか、10分超の大作をやったりと、バラエティがありますしね。

マキシマム、音作りはかなり好きですよ~!「爪爪爪」とかメッチャカッコ良かった(笑)
歌詞は適当な日本語にしか聴こえないので、ほぼ洋楽と同じ感じで聞いてます。それにしてもブラガやANGRAからの影響は聞き取れないなぁ(爆)

今度、書店で読んでみます!

>ノームさん

メタルは幅広いですよ。速いのから遅いのまで、明るいのから暗いのまで、複雑なのからシンプルなのまで、各種取り揃えられております。

とはいえ、私はその全てを好きになれるほどキャパの広い人間ではないのですが(笑)。

>珍獣メガネコアラさん

たしかにマキシマム・ザ・ホルモンの音楽からブラガやANGRAの要素は感じ取れませんね~(笑)。

雑誌はいつの間にか店頭から消えていることが多いので、ご興味がおありならお早めに。

いろいろ

ほんとうに細分化してしまって、興味ある知人に説明するにもリアルタイムで知っているだけに、どうやったらわかり易く理解してもらえるかという事に、いつも悩みます。
社会における時代背景にも密接に関係しているので、かろうじてしがみ付いている自分には当たり前の事であっても、初めて興味をもった方には新鮮な音であると思うので、単純にエンターテインメントとして楽しめるぐらいのシーンがまた戻ってくれないかなー。
と切に願っているのですが、渋谷のHMVが閉店するという昨今、なかなかトンネルの先は見えなさそうです。

今までにいろんなジャンルを演奏してきましたが、スポーツに近い感動があるのは、メタルなどのへヴィー系だけでした!
関係ないのですが、Fantastic Plastic Machine のオシャレーな田中さんも、学生時代はシェンカー大好きだったらしいです。

>【S】さん

たしかに今これだけ拡散が進んでしまうと「HR/HMの全貌」を伝えるのはかなり難しいですよね。

私はもう個人的な説明のレベルでそれを伝えることは諦めてしまい、そのためにこのサイトを作ったという面もあります(特にHR/HMの歴史などがそうですね)。

日本における代表的なCDショップのひとつである渋谷HMVの閉店は私もショックでした。もはや音楽が「世の中」レベルで共有される時代は終わりつつあるのかもしれませんね。

歌は世につれず、あくまで個人の嗜好があるのみ。まあ、音楽というのは昔から究極的にはパーソナルなものだったとは思いますが…なんか寂しいですね。

結構前の事になりますが、Fantastic Plastic Machine の田中さんを起用してFMの特番を作ったことがあります。
その番組は70年代のディスコ・ソウルをメインにした番組だったのでシェンカー好きという事実には迫れませんでしたが(笑)、田中さんは本当に音楽が好きなんだな、というのが伝わってくる熱い人でした。

正直直接会う前は私もオシャレーな人かと思っていましたが、会ってからはかなり暑苦しい音楽オタクな人(もちろんいい意味です)だという印象に変わりましたね(笑)。

>>HR/HMの全貌

新しい友人にCDを貸しまくっているのですが、「あのCDよかったね!」ってのはあっても、「メタル」にハまらせることが出来ないんですよね……細かいジャンル(「メロスピ」「スラッシュ」とか)の内容や代表的なバンドの説明までできない……
そもそも「メタル」って、外延が広すぎて、音楽ジャンルの規定として成功してるのかも疑わしいですし。
僕は音楽を自覚的に聴き始めた初期にメタルにであったので良かったですが、もう既に音楽的趣味が固定している人達に勧めるのは本当に難しいです。

メタルをフェイバリットとして挙げるだけなら「まあ特集だから」で済みますけど、このチョイスの偏り方(もちろん、僕も大好きなCDですが)に本気度を感じますね(笑)
下手に通ぶられるより迫力があります。

 メタルは下手したらクラシック音楽以上に幅広いから凄いですよね。これだけ拡散していると逆にとっつき辛いという人もいるかもしれません。
 僕が懇意にしていたCDショップが複数同時期に潰れたり、まあ今はAmazon があるのでさして困りませんが、それでも寂しくなったなあと思います。

>伊豆略さん

大学に入って痛切に感じたのは、「ハタチ超えた人間の趣味は変えられない」ってことですね(苦笑)。

逆に私もUKロックとか薦められても迷惑なだけだったので、お互い様ということでメタルを他人に直接薦めるのはやめましたが。

自発的に興味を持った人を引き込むことはできても、興味自体を持たせることはかなり難しいですね。
興味というのは自然に覚えるものであって、他人に無理やり喚起されるようなものではないだけに。

このサイトも、「メタルへの門」を目指していつつ、そもそも門にたどり着くかどうかはその人次第でしかない、という限界は感じています。

ダイスケはんのこのチョイスは、同い年だけにこの人が本当にメタルを好きで聴いてきて、今もちゃんと聴いている、というのが伝わってくる強烈なリアリティを感じますね(笑)。

>ノームさん

クラシックというのは当時の音楽全てを意味する言葉ですから、幅広いのも当然ですが、メタルはポピュラー音楽の一部であるロックのそれまた一部でしかないのにここまで拡散しているのだから、やはりある意味特殊な音楽ですよね。

まあ別に全部を好きになる必要なんてないんですけど(笑)。

Amazonは確かに便利ですが、やはりリアル店舗には店頭演奏が気になって、とか、ふと目に入って、みたいな「未知へのきっかけ」があるのが魅力だと思うだけに、最近のCDショップの減少は寂しい限りです。

これほど多様性に満ちた音楽は他にはないですよね、同じメタルでもほぼ対極の音楽性なんてざらですし

でもいくら細分化しようとも「ヘヴィメタル」とゆう強力な魔力によってみんな繋がっているんだと勝手に思っているんですが、それがメタルの魅力(魔力)だと・・・

まぁ無理なジャンルはメタルと思ってないですがね(笑)

>darklordさん

他に無いかどうかはともかく、幅広いことは間違いないですね。

対極と思えるほどに細分化しても全てのバンドに存在する(はずの)「メタルとして定義づけるもの」は何なのか、ちょっと興味深いですね。