NEGATIVE / NEON

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フィンランドの人気バンドNEGATIVEの、アメリカン・メジャー「Warner」と契約してのワールド・デビュー作となる通算5作目のフル・アルバム(日本でのリリースは引き続きビクター・エンタテインメント)。

このバンドがデビュー当初からレコード会社(ビクター)の大プッシュを受けていた(BURRN!での扱いが大きかったのもレコード会社のプッシュを受けてのものでしょう)理由って、なんとなく理解はできるんですよ。

やっぱりフロントマンであるヨンネ・アーロンの美貌は類い稀なものがあるし、何よりバンド名がキマってる。

ネガティヴ。恐らく60年代から今日まで、何万、何十万というロック・バンドが世界中で生まれ、カッコいい単語はバンド名として使われ尽くしているはずなのに、この単語が残っていたことはむしろ奇跡。

もちろん一般的にはあまり良い意味に受け取られる単語ではないし、だからこそ使われなかったのかもしれないけど、このバンド名がハマる音楽性を持ったバンドはそれこそ70年代末のニューウェーブ期以降たくさんあったと思うし、このワードの響きに惹かれるネクラな若者たちってのはいつの時代にも一定数いたはずだと思う。

カッコいいバンド名とフロントマン。これが揃っていれば極端な話、楽曲や演奏はどうにでもなるって気がします(笑)。

そしてとりあえずこれまで発表されてきたアルバム/楽曲も悪くなかったし、演奏もまあ、別にテクニカルなわけじゃないけど、この手のそんなに複雑じゃないロックをプレイするには充分でしょ。

実際本国では人気が出ていて、シングルやアルバムが出ればチャート上位の常連になっている。

でも正直日本では、レコード会社が期待しているほどの人気があるようには思えない。

それは何故かと考えると、日本にはヴィジュアル系という好き嫌いのハッキリ分かれる、そしてHR/HM好きの中には否定的な意見の多い文化があったからだと思う。

このバンドは、ヨンネ・アーロンのルックスやバンド名の醸し出す雰囲気に、もの凄くヴィジュアル系に通じるものがあって、このルックスを敬遠する人も多いと思うし、逆に雑誌やアルバム・ジャケットなどでルックスから興味を持って聴いてみた人は、このバンドのサウンドに違和感を覚えるのではないか。

意外とオトコっぽいのですよ。ヨンネ君の歌声や、楽曲のトーンが。

日本のヴィジュアル系ヴォーカルとは言わないまでも、せめて同じフィンランドのHIMのヴィレ・ヴァロくらいの耽美的な妖艶さを期待している向きにとって、ヨンネ君の歌声はちょっと繊細な色気に欠けると思う。

ぶっちゃけ本作の出来は良い。文句なしの「世界レベル」で、もはや英米のメジャーなロック/ポップスばかりがかかるラジオや店で流れていても一切違和感はないだろう。

マイナー調のメロディを基調とした楽曲の充実はかなりのもので、どの曲も印象的なサビを持っているし、疾走感のあるアグレッシヴな曲からビートルズ風な曲、アコースティックなバラードまで、楽曲はクオリティ、バラエティともに非の打ち所が無い。

ただ、曲を聴いて気に入った人たちの中にはNEGATIVEのルックスを見て「ゲッ、ヴィジュアル系かよ」と引いてしまう人がいるような気がするし、逆にルックスからヴィジュアル系っぽい音を期待した人たちにとっては、ちょっと楽曲にスケール感があり過ぎる気がする。

きっと「Warner」としては「第二のHIM」としてゴールド・ディスクを獲れるバンドになることを期待しているに違いないが、逆にここまでメジャー感のある音だと、バンド名が「NEGATIVE」である必要もなく、Voが女性的な美形である必要もない。

質の高いロック・バンドなんてアメリカには掃いて捨てるほどいるわけで、このバンドならではのスペシャルな何かが無ければ、フィンランド出身という事実がむしろ単なる足枷になるだけのような気がする(実際、このバンドがワールド・デビューまでに4枚ものアルバムを要したのもフィンランドという「辺境国」出身だからだろう)。

要はイメージと実際のサウンドの間にちょっとギャップがあるということなのですが、なまじイメージの強いバンドだけに結構その問題は深刻な気がする。美しさって罪ですね(笑)。

いや、マジで本作は良いですよ。どの曲もシングルカットできそうな出来で、個人的にも#2、#4、#6、#8、#9はかなりのお気に入りだし、中でも#6「Celestial Summer」の激哀のサビはたまらないものがある。

ただ、私がこのバンドを聴いて感じる「いいねぇ」って感覚は所謂メタルを聴いているときのそれというよりは、むしろNICKELBACKとか、オリアンティとかを聴いて「いいなコレ」と思う感覚に近いのです。

もっと極端に言えば、同じフィンランド出身で私が大好きなSTRATOVARIUSやSONATA ARCTIVAを感じたときに感じる「良さ」より、LADY GAGAを聴いているときに感じる「良さ」に近いというか。

ハッキリ言ってLOUD PARKよりはサマソニに出してあげた方がいいかも。
でも、サマソニに来るような人は「北欧のアイドルバンド」なんて見向きもしないかなぁ…?

◆NEGATIVEのMySpace
http://www.myspace.com/negative


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コメント

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以前、昨年のV-ROCK FES.の総集編がテレビで放映されたので(ほぼ)Negative目当てで見たのですが、予想通りというか…やはり浮いてましたね。
オーディエンスは(少なくとも前列は)そこそこ盛り上がっているように見受けられましたが、場違い感は否めませんでした。

このバンドの雰囲気も楽曲も結構好きなだけに残念でした。

日本での売り方の路線変更とバンド自体が一皮剥ければビッグになれそうな要素はあると思うのですが…。

>クラウザーさん

V-ROCKフェス、あのカオスなメンツではそりゃNEGATIVEは浮きますよね…。

私の限られた経験から言うと、V系の熱心なファンの子というのは自分の知らないバンドでも楽しもう、盛り上げよう、というタイプの子が少ないように思うので、フェスには向かないジャンルかなぁ、と。

ポテンシャルはあるバンドだと思うので、今の日本の状況はちょっともったいないですよね。
でも確かに売り方は難しいバンドだと思いますね。テレビにガンガン出せるくらいの予算があれば別ですが…。