Syu / CRYING STARS -STAND PROUD!-

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以前紹介したGALNERYUSのギタリスト、Syuのソロ・アルバム。

エイベックスがこれまでレーベルを微妙に変えつつリリースしてきたカヴァー集「STAND PROUD!」シリーズ名を冠してリリースされている。

起用されているヴォーカリストは4人(Syu本人を入れれば5人)と少なめで、ざっくり分けると上手いシンガーが歌っている曲には小野正利(GALNERYUS)、上手くないシンガーが歌っている曲には坂本英三(ANTHEM)、デス声の曲はSyu本人という、ちょっと英三さんには残酷な振り分け(笑)。

非メタルであるMUSEの#8を除いて基本的にオリジナルに忠実なアレンジで、それが逆に「わかってる」。
メタルの曲は大抵作り込まれているので、下手に変えるとロクなことになりません(笑)。

ちょっと序盤に熱い曲を集め過ぎて中盤以降テンションが落ちていく印象がありますが、名曲揃いなので楽しめる。特に私のように90年代以降にメタルを聴き始めた人にとってはさらに楽しめる選曲でしょう。

以下、長くなりますが全曲コメント。ご興味ある方だけどうぞ。

1. Street Lethal (RACER X)
かつてポール・ギルバート(MR.BIG)やスコット・トラヴィス(JUDAS PRIEST)が在籍していたバンドの代表曲のひとつ。
この曲を1曲目に持って来るとは個人的にはちょっと意外でした(#2か#4か#7で来るだろうと思っていました)。

RACER Xに関しては「演奏は超一流だが、歌と曲は二流」と感じていて、個人的にはあまり思い入れもなく、期待もしていなかったが、これが予想以上に熱い仕上がり。

Syuの弾きまくりもさることながら、この曲に関しては坂本英三の熱い歌声の勝利だね。ぶっちゃけこれまで聴いてきた英三さんの曲の中でもかなり上位に来るパフォーマンスだと思う。

セカンド・ソロをかつてYU-TOという名でGALNERYUSにベーシストとして在籍し、現在はDELUHIというバンドのギタリストをやっているLedaが弾いているのはRACE Xが後にポール・ギルバートのG.I.T.における教え子だったブルース・ブイエを迎えたことを意識しているのか。


2. The Damnation Game (SYMPHONY X)
セカンド・アルバムの冒頭を飾るネオクラシカル・チューン。
VoがNOV(地獄カルテット)と聞いて「え?」と思いましたが、聴いて納得、激ハマリ。個人的に初期AIONやVOLCANOでのスラッシーなシャウトの印象が強かったが、実はハイトーンでのメロディックな歌唱も得意な人でした。

Syuのギターはこの曲が一番テクニックの限界が見える感じかな。破綻はしていないけど、マイケル・ロメオの域はまだ遠い。
でも完コピに挑んだ心意気は買う。オリジナルではスカスカだったドラムの音がマトモなのがいいね。


3. Silverwing (ARCH ENEMY)
ARCH ENEMY史上最も「ポップ」なこの曲を選んだのが日本人ならではの感性ですね。
近年のワウを使ったプレイが一番生きている。


4. Never Die (YNGWIE MALMSTEEN)
イングヴェイの曲でこの選曲、ってのがほぼ同世代ならではでニヤニヤ。
オリジナルではアルバム開始早々の超速弾きで度肝を抜いたイントロを敢えて泣きのフレーズで始めているものの、全体的にはオリジナルに忠実で、元々速いテンポがさらに上がっていてスリリング。

個人的には小野正利よりYAMA-Bのほうがマイク・ヴェセーラっぽいイメージを持っていたが、さすがモノマネ番組で鳴らした小野正利、見事なモノマネっぷりです。


5. We’ll Burn The Sky (SCORPIONS)
小野さんは屍忌蛇による初代「STAND PROUD!」でもSCORPIONSの「Blackout」を歌っていたが、やっぱりクラウス・マイネはハマリ役だね。

Syuはもっとウリっぽく弾けたんじゃないかと思うが、あえてウリの「速弾きオリジネイター」としての面にスポットライトを当てたのかな。


6. Alone (HEART)
HEARTの全米No.1ヒットバラード。Syuに80年代洋楽ポップの嗜好があるという話は聞いたことがなかったが、まあ私と感性が近いなら嫌いなはずはない(?)。ただ、この曲はもともとヴォーカルを務めるアカネ・リヴ嬢のバンドであるLIV MOONが今年3月のライヴでプレイしていたようなので、アカネ・リヴ嬢ありきの選曲かもね。

個人的にはアカネ・リヴ嬢の歌唱はこういうアメリカンな曲よりもっとヨーロピアンな曲の方がハマると思っているが、もちろんお上手です。


7. Against The Wind (STRATOVARIUS)
個人的にGALNERYUSというバンドの「基本」はSTRATOVARIUSだ、というのが私の持論で、実際この曲のレコーディングメンバーは完全にGALNERYUSのメンバーであるというのもそのことを裏付けていると思う。

バンド名の元ネタがヴァイオリンの名前、というのも一致してるしね。

そんなわけで激しく期待していたのですが、正直可もなく不可もなくという仕上がり。ちょっと期待し過ぎたかな(苦笑)。
小野正利はティモ・コティペルトより声域が広く、歌も上手いと思うけど、やはりティモ・コティペルトの方が独特の魅力がある、というのはファンの贔屓目ですかね(笑)。


8. Thoughts Of A Dying Atheist (MUSE)
HR/HMファンにも人気の高いUKロック・バンドの、最もHR/HM色の強いサード・アルバムからの選曲。

HR/HM色が強いと言ってもこのコテコテな楽曲群の中では浮いてしまうのを考慮してか、本作中最も大胆なアレンジが施され、スラッシーとさえ形容できるようなアグレッシヴな曲に生まれ変わっている。


9. Red Sky (M.S.G.)
M.S.G.の曲だが、定番である1st~3rdの曲ではなく4thからの曲というのがちょっぴりマニアック。
さらに意表をついてマッコーリー時代の「Save Yourself」とかでも個人的にはよかったけど(笑)。

この曲も英三さんが健闘していて、熱い仕上がりでナイス。


10. I Remember You (SKID ROW)
SKID ROWのヒット・バラード。オリジナルのセバスチャン・バックはむしろ坂本英三に近い不器用なパワー・シャウターだと思うけど、ここでのVoは小野正利。

まあ、楽曲のメロディの良さを引き出す意味ではこれで正解だけど、単なる「上手なカラオケ」になっている感も否めず。
こういう明るいパワー・バラードより「Quicksand Jesus」みたいな暗めの曲のほうが良かったな、個人的には。


11. The Spirit Carries On (DREAM THEATER)
DREAM THEATERのこちらも名バラード。
決して悪くはないけど、正直やはりDREAM THEATERは格が違うわ。歌も演奏も音作りも、そして感情表現さえも。
申し訳ないけど完全に「格下バンドのコピー」になっちゃってる。

結論:DREAM THEATERはやはり聴くバンドであって演るバンドではない(苦笑)。


12. Only For The Weak (IN FLAMES)
IN FLAMESのレパートリーで一番キーボードが目立っている曲だから選んだのでしょうか。
正直IN FLAMESのメンバーより演奏の上手いメンツによるかなり忠実なカヴァーだと思うけど、オリジナルの持つ独特なグルーヴ感は再現しきれてないなぁ。やはりあれはIN FLAMESというバンドならではのものなのか、プロデュースやエンジニアリングのなせる技なのか。

エンディングのギター・ソロは日本人の琴線を責めまくりですなぁ。

Syuのデス声はとりあえず本作で聴く限り可もなく不可もなく。ヨハン・リーヴァにアンダース・フリーデンという決して強力とは言い難いシンガーの曲だからなんとかなってる、という面もあると思いますが(笑)。


以上全12曲、ちょいちょい辛口なコメントも書いていますが、メチャクチャ楽しめました。
アルバム全編を通して弾きまくりなのが「俺のギターを聴け!」って感じで潔くていい。発売以来ずっとヘビロテでした。


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コメント

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StratovariusのAgainst the windはストラトの中でもかなり好きな曲なんで、このカバーは嬉しいですね^^

ちなみにSyuはAushvitzでも軽くデス声出してましたね~
かなりヘッポコでしたけど、曲自体はかなり作り込みがあって好きでした^^
あとDELUHIは良いバンドですよ~
デスヴォイスとかヴィジュアル、痛い歌詞などがV系そのものですけど演奏力は随一でキャッチーなサビとハードなメロのコントラストが素敵なバンドさんです^^

>yu-kiさん

Ledaが元GALNERYUSというのもあるのかもしれませんが、結構メタル好きの中にもファンが増えているみたいですね>DELHI

ぶっちゃけ日本ではV系のパイの方が大きいので、GALNERYUSの人気を抜く日も近いかもしれませんね。

私も買いました。+訃報....

結構面白いカバーアルバムでしたね。しばらく聞き込んでいます。
LIVMOONのコメントで、静かなお客さんのことを地蔵呼ばわりしてしまい、
大変失礼しました(笑)。謹んでお詫び申し上げます。

話は変わりますが...
ゴットハードのVo、スティーヴ・リーがバイク事故で亡くなったそうです。(享年47歳)
念願の米国ツーリングを、バンドメンバーのベーシスト含む21人で慣行中、
雨具を着ようとみんなで路肩で途中休憩していたところ、トレーラーが誤ってS.リーをひいてしまったそうです。
正確な報道はもう少しあとで出ると思いますが、ほぼこの内容のようです。
昨年のラウパで勇士を観て感激し、次の来日公演時には必ず観に行こうと友人にも話していましたが....。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
...でも悲しすぎます....ショックで体に力が入りません....。

>マジンガーZZさん

このサイトやブログを定期的にチェックするような感性の方だったら確実に楽しめるカヴァー・アルバムですね。

スティーヴ・リーの件は(事故だから当然ですが)何の前触れもなかっただけにビックリしました。コメントをいただいたとき、ちょうどその件についてのエントリーを書いていましたよ…。

自分にとっては知らない曲ばかりだったのですが、オリジナルの楽曲に思い入れがない分とても楽しめました。

ちょっと残念だったのが、デス声の曲はてっきりNOVさんが歌うものだと思い込んでいたのでちょっとガッカリしました。

一番楽しみにしていたIN FLAMESのOnly For The Weakのカヴァーも微妙だと思います。(Children of Bodomの楽曲の方が良かったのでは・・・)。

それでも、Street Lethal (RACER X)のような曲は、「この曲かっこいい、オリジナルの曲も聞いてみようかな」という気持ちにさせてもらったので良かったです。

>私はカイになりたい さん

私もデス声はNOVが歌うものと思っていました。
ただまあ、Syuには「自分で歌いたい願望」があるみたいですし、彼のソロ・アルバムなのでこれはこれでアリかな、と。

ただ、Syuのデス声(?)はかなりマイルドなので、CHILDREN OF BODOMのようなブラック・メタル風のVoだとちょっと厳しかったのではないかと思われます。