BOB CATLEY / THE TOWER(1998)

bobcatley01.jpg

先日のAVANTASIAの来日公演において、一番知名度と評価を上げたのはボブ・カトレイなのではないでしょうか。

もちろんMAGNUMにおける78年のデビュー以来30年以上のキャリアを持ち、MAGNUM時代には全英TOP10ヒット・アルバムなども出していただけに何を今さら、とおっしゃる方も多いかもしれないが、私のように90年代以降に洋楽を聴き始めたような人間にとってMAGNUMはそれほどなじみのあるバンドではない。

私は後追いでMAGNUMのアルバムを何枚か聴き、確かに上質なメロディアス・ハードだと思ったものの、琴線に触れそうで触れ切らないような微妙なもどかしさもあって、日本でブレイクしなかったというのは(まあレコード会社のプロモーションの問題とか、時代性やタイミングとか、ルックスの地味さとか、色々理由はあるんだと思いますが)その辺に理由があるのかなあ、などと思っていたり。

しかし先日生で観たボブ・カトレイの歌唱・パフォーマンスがあまりに素晴らしかったため、ついCDラックから過去作を引っ張り出して聴き返す行動に出てしまった。

本来であればMAGNUMの「CHASE THE DRAGON」や「ON A STORYTELLER’S NIGHT」のような代表作をピックアップするべきかもしれないが、ここではあえてボブ・カトレイが98年に発表したファースト・ソロ・アルバムを。

本作のプロデュースおよび作詞作曲を手掛けているのは当時日本で結構人気があった英国のメロディアス・ハード・ロック・バンドTENの中心人物であるゲイリー・ヒューズ。

しかもギターは当時TENのギタリストだったヴィニー・バーンズ、ドラムも同じくTENのグレッグ・モーガンで、ベースとキーボードはゲイリー・ヒューズ自身が演奏しているので、さながらTENにボブ・カトレイが加入したかのような構図である。

そういうわけで、本作で聴ける音楽性はTENをよりヴォーカル・オリエンテッドにしたAOR寄りのメロディアス・ハードと形容できるサウンドである。

ただ、ゲイリー・ヒューズは元々MAGNUMの大ファンだったそうで、本作の音楽性もそういう意味ではMAGNUMの系譜にあるものと言えなくもないかも。

1曲目「Dreams」の哀愁に満ちたケルティックなイントロからグッと来るが、全体的にTENよりもウエットで叙情的な印象が強いのはボブ・カトレイの歌声のせいか。

目を閉じて聴いているとまるで中世イングランドの風景が浮かんでくるかのような気品を感じさせる作品だが、その手の音楽が陥りがちな「雰囲気モノ」にならないのは、メロディアスであるのは勿論ながら、サビでちょっとベタなくらいわかりやすく盛り上がる展開が耳残りを良くしているためだろう。しかしそのキャッチーさにアメリカンな要素はほぼ皆無で、どうにもブリティッシュ、あるいはヨーロピアンな所が素晴らしい。

ハード・ロックっぽい勢いのある曲も悪くないが、むしろ#4「Deep Winter」や#6「Madrigal」、#9「Fear Of The Dark」のようなややメロウな楽曲が醸し出すムードの素晴らしさが絶品で、ボブ・カトレイの歌唱の味わい深さも際立っている。

かのCastle Of Pagenにおいて97%という超高満足度を獲得した作品であり(私の本作購入理由です:笑)、「死ぬまで聴き続けること決定」とまで言わしめた秀作。【86点】


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント