MOTORHEAD / BASTARDS (1994)

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映画『極悪レミー』効果で注目が集まるMOTORHEADなわけですが、彼らのアルバムを聴いたことがない人がまず一枚、と言われたら、もうこれは恐らく10人が10人81年発表の名作ライヴ「NO SLEEP ‘TIL HAMMERSMITH(当時の邦題は「極悪ライヴ」)」を挙げると思います。私も全く異論はありません。

あんなラウドなアルバムが30年前に全英1位に輝いていたというのが驚きですが、凄まじいエナジーが封じ込められたロック史に残るライヴ・アルバムの名作です。

スタジオ・アルバムから一枚、と言われたら、まあこれは10人中7人くらいが「ACE OF SPADES」(1980)を挙げるんじゃないでしょうか。表題曲は代表曲ですし、よほど彼らに対して特別な思い入れがなければコレでしょう。私もそうです。

しかしそんな語り尽くされた名盤をここで紹介しても意味がないので、私の世代(現在30代前半~中盤くらい?)にとってのMOTORHEADといえばコレ、というアルバムを。

それがこの94年に発表された通算11枚目のスタジオ・アルバムにあたる「BASTARDS」。当時「BURRN!」誌でもなかなかの高評価を獲得していたので、当時の読者の中には聴いてみられた方も多いのでは。

当時彼らはあまり好調とは言えず、HR/HMの人気が落ちていたこともあって本作の前作にあたる「MARCH OR DIE」を最後にメジャーの「EPIC」からドロップしてしまっていた。そのため本作はドイツの「ZYX」というそれまで主にイタロ・ハウス(ユーロビートの一種)のようなディスコ・ミュージックを多くリリースしてきたHR/HMファンにはあまりなじみのないレーベルからの配給になっている。

アルバムタイトルの単数形である「BASTARD」というのは元々MOTORHEADを結成する際にバンド名の候補として考えていたネーミングらしく、本作に込められた「原点回帰」の意志を表しているらしい。

なお、本作は前作「MARCH OR DIE」ではゲスト扱いだった現ドラマーでもあるミッキー・ディー(Dr:元KING DIAMOND、DON DOKKEN)が正式メンバーとしてクレジットされた初の作品でもある。

本作が好評だった理由は、何と言っても彼ららしい攻撃的なパワーが強く感じられることだろう。特に冒頭4曲のエネルギッシュかつソリッドなナンバーの畳み掛けは強力である。

もちろん映画でも明かされていたBEATLESを愛するレミーならではのポップ・センスも発揮されており、#6、#9のようなバラード、ゴキゲンなR&Rナンバー#7、キャッチーにドライヴする#11のような曲も収録されている。ただ、やはり序盤に彼らのブランド名に期待されるようなパワフルな曲を集めたことでアルバムとしての印象が決まった感じかな。やっぱり第一印象は大事ですね。

本作はリリース元がマイナー・レーベルだったため、日本では廃盤になってから一度も再発されていないし、ベスト・アルバム等に本作からの曲がピックアップされることもないので、そういう意味ではリアルタイム世代以外にはあまり知られていないかもしれないと思って取り上げてみました。

LOUD PARKや映画でMOTORHEADに興味を持った若い世代の方にもぜひ聴いてもらいたい一枚です。

◆本作のリーダー・トラック「Burner」のPV(YouTube)


ミッキー・ディーのドラムがパワフルかつタイトでカッコいい。『極悪レミー』のパンフのディスコグラフィーにも書いてあるように「ミッキーは上手すぎるがゆえにモーターヘッドの疾走感には合わないという意見も一部である」ようだが、私のようなメタル者にとってはこのドラムが叩き出すグルーヴィーな疾走感が最高に気持ちいいです。


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コメント

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僕もモーターヘッドのアルバムの中で、このアルバムが一番好きです。
スピード感があって、曲が良くて、何より彼らのアルバムの中でメタル色が強いのが良いですね。

後追い世代の自分にとっては、往年のファンの方に人気の高い「ACE OF SPADES」や「IRON FIST」等も一通り聴いてみたのですが、どこか古臭く感じてしまうのは否めませんでした。
そんな中、一番違和感なく聴けたのがこのアルバムです。

最近のエクストリームなメタルの音に慣れ親しんだ若いリスナーの方にも聴いてほしい作品ですね。

僕もMotorheadというと、1916~Bastardsの時期に思い入れがありますね。
特にこのアルバムはミッキーのドラミング故にパワフルなメタル成分が色濃く、それが人によっては受け入れ難いのでしょうが、
この力強さがレミーの年齢的な衰えをうまく補い、バンドを今日まで牽引してきたのだと思います。

こんばんは。
私、adoreさんと同世代です。
よって、このアルバム、私も大好きです。
同世代で「Burner」にノックアウトされた人は、沢山いると思いますよ~。

まとめてお返事

>私はカイになりたい さん
いわゆる「メタル」を好むタイプの人間には一番聴きやすいアルバムですよね。
スピード感のある曲もさることながら、それ以外のタイプの曲の出来も何気にいいですしね。


>OBさん
先日のLOUD PARKでも思いましたが、現在のMOTORHEADの突進力の源は間違いなくミッキー・ディーですね。
まさに「バンドのエンジン」という感じでした。


>marochikuwa
私と同世代だとやっぱりこのアルバムですよね~。
「Burner」のアツさはハンパないですし、続く「Death Or Glory」も中間部の「ハイ!ハイ!」が印象的な疾走曲ですね。