映画『シャイン・オン-トラベローグ・オブ・アウトレイジ』の感想

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日本を代表するスラッシュ・メタル・バンド(と、単純にカテゴライズするのは微妙なのだが)、OUTRAGEのドキュメンタリー映画「シャイン・オン -トラベローグ・オブ・アウトレイジ-」を観てきました。

場所は、先日「極悪レミー」を観に行ったばかりのシアターN渋谷。
ただ、「極悪レミー」が75席のシアター1だったのに対し、こちらは102席のシアター2だ。

とはいえ21:10からのレイトショーのみなので、公開規模はこちらの方が小さい(当たり前かもしれないが…)。

公開開始から既に一週間以上たっているので、熱心なファンの方はもう一通り観てしまって、今日などはもうガラガラなんじゃないかと思っていたが、まあまあ入っている。6割ちょっとくらい? 当然ながら男性客ばかり、平均年齢高め。

毎週水曜日はこの映画館のサービスデーで料金が1000円に割引されるので、それを狙って来た人も結構いるのかな?(私はたまたまこの日にしかスケジュールの都合がつかなかっただけで、別に割引を狙ったわけではないですが)

予告編が15分と結構長い…しかも2月公開のbloodthirsty buchersのドキュメンタリー映画以外は特にロックと関係ない普通の映画の予告編ばかり。

ミニシアターだけに、B級っぽい作品が多い。R15、R18指定の映画が多かったように思うのはOUTRAGEファンの属性を踏まえて、でしょうか(多分考え過ぎ)。『孫文の義士団』がちょっと面白そうだった。

映画は、「アンヴィル!」のヒット以降、色々なバンドがドキュメンタリーを制作しているようで、これもそのひとつ、ということになるのだろう。

初期の彼らについてはほとんど映像素材が存在しないらしく、最初は写真のスライドショー状態。このまま最後までこんなんだったらどうしようと思いましたが、さすがにそれはなかった。ただ、相当安く作っているのは素人目にも明らか。

メインで語られるのはメンバーたちの「現在の心境」で、ファンにとっては色々と感慨深いだろうと思うが、正直彼らに関心のない人がこれをどう受け止めるかは微妙な所。

かなり赤裸々な実生活が描かれているので、ある種の共感を覚えるかもしれないし、なんとなく「地元に根差しつつ、地道に頑張って、自分たち的にはそれなりに満足してます」的な「ほどほど感」を「あまりロックっぽくない」と考える人もいるかもしれない。

もう少しライヴ・シーンを充実させて、ライヴ・ビデオ的な仕立てにすればファン向けのDVD映像作品としてはなかなか面白いものになったかもしれないが、いずれにせよ「映画」としてはちょっと平坦な感が否めない。

恐らくそれは、彼らにのキャリアにメタルについて知識のない人でも単純に凄いと思えるような「明確なハイライト」が無いからなんですよね。
もちろん80年代後半から90年代初頭の彼らにはそれなりの栄光と可能性があったことをファンは知っているけど、客観的に世界はおろか日本でも「ブレイクした」とは言い難い。

橋本直樹が脱退してから10年、解散せずに3人で耐え抜いたのは本当に凄いと思います。
かつて世界進出を本気で狙える所まで行ったバンドが、1桁~十数人の客を相手に地方のライヴハウスをドサ回りして、時に泊るホテルさえもない、なんて境遇、20歳かそこらならともかく30代、40代でそれですからね。よほどの信念がなくては耐えられません(一方で、大した成功を経験しなかったからこそ、その状況に耐えられたという面もあるのかもしれませんが)。

この辺についてはANVILにも負けない「どん底の苦労話」になり得るはずなのですが、彼らの場合そのどん底と対比するような「栄光」がないせいで、今ひとつそのエピソードが引き立たない。単純に「橋本直樹が戻ってよかったね」で終わってしまう。

そもそも事情を知らない人には何故橋本直樹が脱退するに至ったのかがこの映画を観ているだけではよくわからない、というのが問題。

私のようにリアルタイムで彼らの動向を見てきた人にとっては当時の彼らが抱えていたであろう「行き詰まり感」がなんとなくわかるのだが、映画としてオープンに公開する以上、そういう昔からのBURRN!読者でなくてはわからない事情を「これを観に来るような人は皆知ってるでしょ?」みたいな感じで流してしまってはいけないと思う。その辺の葛藤を描くのは「物語」を作り上げる上では結構重要だったんじゃないでしょうか。

そういう意味でやはり映画としては「アンヴィル!」とは比較にならないなあ、という感じ。
現在進行形のバンドとしてはANVILより勢いがあると思いますけどね。

まあ、それでもOUTRAGEが好きなら結構楽しめることは確かなんですけどね。
丹下さんのお母さんが微笑ましいなあ、とか、橋本さんの奥さんはかわいらしいなあ(でも意外と気が強そう:笑)、とか。

ただ、これを面白いと言ってしまうなら、それなりのキャリアがあるバンドで、栄光と苦悩があり、現状が悪くなければどのバンドでもそれなりに面白いドキュメンタリー映画は作れるということでもあるんですが。

個人的にはLOUDNESSのドキュメンタリーを観てみたいのですが、バンドの現状が良いとは言い難いだけにどうオチをつけるかが問題になりそう(苦笑)。

◆OUTRAGE公式サイト
http://www.outrage-jp.com/




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コメント

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私もこの日、この映画を拝見しました。サービスデーであることを狙ってw、極悪レミー(2回目)と連続で見ました。
ずっと拝見し勉強させていただいたHPの管理人の方もいらしていたとは、映画とダブルで感動です。

私も正直、リアルタイム世代でないので、橋本脱退の下りは「?」だったのですが、映画自体はかなり楽しめました。

アイポッドにはまだmy final dayしか入れていませんが、今まで知らなかったアウトレイジの曲も好きになったし、ライブシーンもかっこよくて、もっと早くから聴いておけばよかった、もっとアウトレイジを知りたいと思いました。

>zkさん

なんと、zkさんもあの場にいらしたのですか。偶然ですね~。
やっぱりサービスデー狙いという人もいらっしゃったんですね。「極悪レミー」との二本立てというのはたしかにメタルファン的には効率がいいですね(笑)。

OUTRAGEはカッコいいですよ。ぜひ初期のアルバムもチェックしてみてください。
私にとっての「スラッシュ四天王」はMETALLICA、TESTAMENT、OUTRAGE、ANNIHILATORです(最近はKREATORが良作を連発していて、彼らも捨てがたいのですが)。