2011年は「女子メタル」が来る?

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2011年の記念すべき「ライヴ初め」は仕事の関係でabingdon boys school & T.M.Revolution、そして石川智晶だった管理人です。

いや、abingdon boys school & T.M.Revolutionは良かったですよ。音楽的な意味でもエンターテインメント的な意味でも非常にプロフェッショナルなパフォーマンスで感心しました。

しかも彼は「野郎限定ライヴ」でJUDAS PRIESTの「Electric Eye」「Freewheel Burning」をカヴァーしたこともあるようなメタラーのようなのでOKですよね(何が?)。実際HR/HMのライヴに負けないエネルギッシュなステージでした。

とまあ、そんな正月休み(休めてないわけですが)を経て、4日から仕事初め。

ただ、私は担当クライアントがまだ休んでいるので、のこのこ昼頃に出社して年末忙しくてできなかった大掃除などをしてみたり。

そして見本誌で届いていた12月29日発売の「日経エンタテインメント」2011年2月号などをパラパラとめくってみる。

この雑誌ではマーティ・フリードマンが「J-POP メタル斬り」という連載コラムを持っているが、最近は単なる自分の気に入った、あるいは流行っているJ-POPを普通に音楽的に分析することに終始していて、全く「メタル斬り」していない。

まあ別に私はマーティのコラムが読みたくてこの雑誌の見本誌を取り寄せているわけではないのでかまわないのだが、今月号の特集「2011年ヒット完全予測」の「音楽編」に「女子メタル」が取り上げられている。

当然例のALDIOUSが取り上げられているわけですが、同誌によると「『けいおん!』人気で、楽器を弾く女子がかっこいい、という気運が高まったのが人気の後押しになっている」そうで。ホンマかいな。

ついでに、この雑誌では芥川賞作家の平野啓一郎も連載コラムを持っているのだが、今号では「極悪レミー」に絡めてちょっとメタル話が展開されている。

平野氏はMOTORHEADが日本で海外ほどに受けなかった理由を「そのどことなくルーズな感じが、スーパーテクニシャンのギタリストや様式美を愛する日本のHMファンにはピンと来なかったのかもしれない」と分析しているあたり、HR/HMをちゃんと通った人だな、という印象。まあ私の2歳上だから、まだHR/HMの人気がそれなりにあった世代ですしね。

話が逸れた。女子メタルだ。
なんでもALDIOUSのデビュー・アルバムは16,000枚売れたそうで、メタルとしては大ヒット、らしい。

イングヴェイが30万枚、HELLOWEENが20万枚売れていたのを目の当たりにしてきた私のような世代にはこの程度のセールスでヒットと言われると愕然としてしまうが、それが現状なのだろう。

ALDIOUSはHMVの大プッシュを受けていたことはご存知の方も多いと思うが、実際Amazonの年間ランキングHMVの年間ランキング(※追記も参照)を比較すると彼女たちの売れ方がいかに特定のリテールに偏った歪な(いびつな)ものかよくわかる(メーカーよりも流通が力を持つ今の時代を象徴していると言えなくもないですが)。

HMVは最近ALDIOUSの2匹目のドジョウを狙うかのようにDESTROSEやGALMETといった女子メタル・バンドをプッシュしており、この1月の22日(土)、23日(日)にはHMV主催で「IRON ANGEL LIVE」なる女子メタル・イベントを開催するらしい。

参加バンドを見ると、流石にオール女性のギャルバン(死語?)だけでは駒が揃わなかったのか、「嬢メタル」などと呼ばれる「Voだけ女性」のバンドも数多く出演するようだ。

ちなみに現状女子メタルの代表であるALDIOUSの客層は30代男性が9割とのことですが(平野啓一郎や私と同世代…:苦笑)、徐々に女性のファンも増えているという。

「日経エンタテインメント」では「約20年ぶりのブーム到来?」などと書いているが、こういうのは古参のメタル・ファンの方にとっては複雑かもしれません。

正直ALDIOUSをはじめとする「女子メタル」バンドはちょっと聴く限りあまり演奏がお上手ではないので、演奏力にこだわる人が多いベテラン・メタラーにとってはまずそれらがブームによって「メタルの代表」とされることが許しがたいでしょうね。

だいたい古参のHR/HMファンの方にはかつての「ヘビメタブーム」を今でも苦々しく思っていらっしゃる方が多いようなので、こういうマスコミ/業界人が飛びつく/仕掛けるような「ブーム」自体に対して恐らく否定的でしょう。

私自身はブームが終了してからHR/HMを聴き始めたので、「ヘビメタブーム」も結果的にはより本格的なバンドへの「入口」になったり、ファン層の裾野を広げることに貢献したんじゃないかと思っていたりするのですが。

そういう意味で、今回の「女子メタルブーム」も、結果的にむさくるしかったメタルのイメージを少しでも変えてくれるなら個人的にはウェルカムだと思っています。

「見た目主導のブーム」を苦々しく思う「硬派な」メタラーさんたちも、女の子がメタルを聴いてくれる/演ってくれること自体はまんざらじゃないだろうと思うので(?)広い心で受け止めてあげて頂きたいですね。

そもそも本当にブームが来るかどうかも極めて怪しいですし(いち広告業界人として予測させてもらうと、残念ながら一般レベルのブームにはならないと思います…)。

いずれにせよ、たとえどんな形であれ「メタル」に対する認知・関心が高まることはメタルにとってプラスになる、というのがエックスをきっかけにメタル好きになり、こんなサイトまで作るに至った私の持論。

HR/HMには既に40年以上の歴史があり、ちょっとやそっとのブームでそのアイデンティティが揺らぐはずもなく、たとえミーハーな動機で入門してきた人でも、ある程度好奇心と探究心のある人であれば、きっといつかその奥深さと魅力に気付くはず、私はそう信じています。



【追記】

※リンク切れを想定し、AmazonとHMVの2010年HR/HM年間売上ランキングを転記しておきます。

◆Amazon

01. BON JOVI / THE GREATEST HITS -ULTIMATE COLLECTION
02. SLASH / SLASH
03. BULLET FOR MY VALENTINE / FEVER
04. IRON MAIDEN / THE FINAL FRONTIER
05. SCORPIONS / STING IN THE TAIL
06. AC/DC / IRON MAN 2
07. ANGRA / AQUA
08. RHAPSODY OF FIRE / THE FROZEN TEARS OF ANGELS
09. HELLOWEEN / 7SINNERS
10. GAMMA RAY / TO THE METAL

英米で売れる大物バンドと、メロディック・パワー・メタル系のみ。
恐らくこれが現在の日本におけるCD購買の実態により近いと思われます。


◆HMV

01. IRON MAIDEN / THE FINAL FRONTIER
02. ALDIOUS / DEEP EXCEED
03. ALDIOUS / Defended Desire[Maxi]
04. OZZY OSBOURNE / SCREAM
05. RATT / INFESTATION
06. AC/DC / IRON MAN 2
07. SCORPIONS / STING IN THE TAIL
08. AVENGED SEVENFOLD / NIGHTMARE
09. HELLOWEEN / 7SINNERS
10. BLIND GUARDIAN / AT THE EDGE OF TIME

2位と3位が明らかにおかしい(笑)。
BON JOVIが入っていないのは、このランキングの発表がBON JOVIの発売前というかなり早いタイミングだったからですね。

こうして見ると、Amazonの方にオジーとA7Xが入っていないのがちょっと意外ですが、何か割引なり特典なりで差があったんですかね?

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コメント

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May You Be A Happy Metal Year !

今年もご意見を参考にさせていただきます。宜しくお願いします。

私はLIV MOONがダメでALDIOUSはオッケーです。
硬派orひねくれ者?
え~BETTY BLUEも大丈夫です。

ALDIOUS…ギターの娘の笑顔は良いですね。メタル愛を感じさせてくれます。
それに比べるとLIV MOONの主要メンバーは…
まぁ、最近のジタバタぶりを俯瞰で楽しんでいますが。

自分達からブームを発信させないと…業界の必死さを感じますし、
ランキング、レビューの点数、動員数の裏に『話題作り』が見えてくる記事には不快感を覚えます。

閉鎖的になって欲しくないですが、ブームは終わりの始まりですし…
個人的には、人為的なブームは要らない…ですかね。
ベテランでも新人でもキワモノでも何でも良いのですが、
とにかく愛情ある良質の作品を今年も待っています。

Amazonの方が正しいですね。

すいません、僕はLIVMOONはOKでALDIOUSはだめです(笑)。
それにしても、いつ読んでも流石ですね。恐れ入ります。
現在の嬢メタルのインチキさ加減(?)を論理的に的確に表現されていますね。
HMVのやり方には、??を強く感じていましたが、やっぱそうですよね。
ああいう自作自演商売は大キライです(笑)。
日頃HMVでは通販でも買わないようにしてます。
POPSでもHMでもROCKでもいろんなジャンルが正当に評価される時代が来てほしいです。
でももう無理ですかね...。

最近SHOW-YAなんかを聴いてます

今年もよろしくお願いします。

非メタルリスナーや世間に届く「ヘビメタブーム」を苦々しく思うファンがいるのは、聖飢魔II、初期X、マシンガンズ、ホルモン、最近ではThe冠などといった、
意図的に笑い所を用意したかのようなものでないと受け入れられにくいことに対する苛立ちがあるような気がします。「笑わば笑え」ならともかく「どうぞ笑ってください」的な姿勢には嫌悪感を覚えてしまうというか。
でも今挙げたようなバンドがメタルへの入口になるというプラスの面は大きい思うので、本当にそんなものが到来するのであれば「女子メタルブーム」なるものは歓迎したいですけどね。

あと、平野啓一郎のモーターヘッド論…理解できなくはないのですが、ミュージックマガジンやロッキングオンあたりのライターが、モーターヘッドやAC/DCを使ってメタルをコケにする時に
ありがちなロジックでもあるのでちょっとイラッとしてしまいました(笑)。モーターヘッド自体、別に欧米でもバカ売れしてヘッドライナーとしてアリーナツアーしてきたわけでもないですしね…

あー、なんというか、SHOW-YAみたいなハードな服来た女王様ねーちゃん(なんだそれ)がハスキーな声で正統派メタルやってくれるバンドが増えるのかうれしいなーと思ったらそうでもないみたいですね。さすがに時代錯誤か。最新知識がないってバレますね。

「けいおん!」ファンとメタルファンって正直な所結構重なってるんじゃないかと思いますが、まぁ、あんまり関係ないでしょうねぇ。

>Johnさん

こちらこそ今年もよろしくお願いします。

バンドブーム便乗のBETTY BLUEがアリということは、別にLIV MOONがレコード会社によって仕立てられたバンドだからダメ、というわけではないんですよね?
LIV MOONの「作られた感」がダメ、ってのはなんとなくわかりますが…。

話題づくりと人為的なブーム作りを生業としている身としては耳の痛いお言葉ですが、これだけ色々なコンテンツが溢れかえっている今、ただ良質な音楽であるというだけで売れる=やっている人たちが食べていける、というのは難しいのではないでしょうか。

>マジンガーZZさん

マジンガーZZさんはALDIOUSがダメですか。先にコメントくださったJohnさんと見事に意見が割れましたね(笑)。女性の趣味の問題かもしれませんが(笑)。

私はまあどっちも嫌いではなく、HMVはALDIOUSを「売ろうと努力して売った」わけで、そういう意味ではAmazonより主体的に頑張ったと評価してあげてもいいんじゃないですかね。私は別にそれを否定しているわけではないです。

なかなか「正しい」売り方をしているだけでは新人が売れるのは難しいご時世だと思いますし…。

>OBさん

偶然ですね、私も年末年始実家に帰った際、久々にSHOW-YAを聴きましたよ。「OUTERLIMITS」は名盤ですね。

真面目に黙々とやっていてもウケないなら、積極的にウケを取りに行く、というのは生き方、あるいは仕事への向き合いとしては間違っていないと思いますが、まあそれをカッコ悪いと思う人はいるかもしれませんね。

平野啓一郎のあの書き方は、本当はHR/HMが好きだけど、趣味の悪い人間だと思われたくない…という90年代に青春を過ごした人間ならではの書き方だと思いました。私もああいう物言いをしたことがあるので、なんとなくそう思います(違うかもしれませんが)。

>伊豆さん

やっぱりSHOW-YAが日本史上最強の「女子メタル」ですかね。私も好きですが。

メタルファンと「けいおん!」好きが被っているというより、よく言われるようにアニメファンとメタルファンが被っているんじゃないですかね。
特に「けいおん!」はこのブログでも何回か取り上げたようにメタルとの接点も一応あっただけに、親和性は高いと思いますが。

はじめまして。このサイトは以前からちょくちょく拝見させてもらっています。メタル関係の情報源として重宝してます(笑)
T.M.Revolution自分も好きです(笑)
ライブ映像を見るとすごくエネルギッシュだし、歌い方や音楽性にもメタルの影響みたいなのがある気がします。

彼は昔、ロブハルフォードやブルースディキンソン、それにロニー・ジェイムズ・ディオなどに憧れてたそうですよ(笑

文章で伝えるって難しいですね…

そうでした。adoreさんは丁寧にコメント返ししてくれるのですね。
ありがとうございます。

JS脱退後のWHITESNAKEはリアルタイムで受け止められましたよ…ちょっと違いますか?
ダメなのは…おそらくメタルへの愛情を感じられないこと、ですね。
なかなか面と向かっては言えない言葉ですけど、
それがあって作品が良質であれば、話題作りをしようがブームが来ようが大喜びです。

「難しい」から…というお言葉を、生業とされている人から聞くとガッカリしますね。
某誌のレビューに違和感を感じておられたようだったので…

HMVは頑張ってほしいです。渋谷の閉鎖はショックでしたから…

>にわかメタラーさん

はじめまして。当サイト/ブログはにわかさん歓迎です(笑)。
ただし、メタルの情報源としては扱う情報が偏っているのでご注意ください(笑)。

T.M.R.のライヴはパフォーマンス、オーディエンスの盛り上げ方などHR/HMに通じる部分が多く、楽しめました。
せっかくなのでメタル・カヴァー・アルバムとか作ってもらいたい所ですが、きっと無理でしょうね(笑)。

>Johnさん

サイクシーのWS脱退がリアルタイムという時点で私よりはるかに先輩ですね。生意気なこと言ってすみません。

たしかにLIV MOONの音楽にメタル愛は感じないですね。音楽的ブレーンである西脇氏の作曲/プレイにHR/HMからの影響がほとんど感じられないのが私もLIV MOONにのめり込めない理由ですが、前回観たライヴでは新加入の若いドラマーさんからはメタル愛が感じられましたよ。

ブームが起きること自体はポジティヴにとらえている私ですが、ブームを起こすに当たって必要なのは「音楽以外の何か」だったりするのが実情ですね。今回でいえば「華やかな女性であること」なんでしょう。

HMV渋谷店閉店はショックでしたね。再出店するという話もありますが、もうあんな良い場所ではやれないでしょうね…。
今回のALDIOUSのブレイク(?)はHMVのメタル担当の方のモチベーションのなせる業だと思いますので、頑張ってもらいたいですね。

今年の聴き初めはVOIVODの「WAR AND PAIN」だったcthuです。今更ですがあけましておめでとうございます。

書店で立ち読みしてみましたが、HMVの関係者のコメントが商売根性九割、メタル愛一割的な感じで思わず笑ってしまいました。いや、しょうがないんでしょうけど。

何というか、「女子メタル」が流行ること自体は別に構わないのですが、それに伴ってちゃんと「女性Vo」を評価する必要性が生じてきそうですね。

今の女性の関わるメタル・シーンでは、どう考えても「女性である」というだけでもてはやされているように思いますんで。それだと女性ボーカルとかに対するマイナス・イメージを埋め込むだけに終わって、かえってメタルへの損失になるのでは? なんて考えてしまいます。

>cthuさん

ライヴ初めはT.M.R.でしたが、聴き始めはSYMPHONY Xの3rdでしたよ、となぜか釈明(?)してみたり。あけましておめでとうございます。

メタル愛一割でも、ゼロじゃないだけいいんじゃないですか。
ゼロ以下、メタル買う人を小馬鹿にする自称センスのいいCDショップ店員さんもいっぱいいますからね。

おっしゃる通り、現状の女子メタルシーンはレベルがあまり高くないので広がりにも限界があると思いますし、耳の肥えたメタラーさんからは「やっぱ女のメタルはレベル低い」と思われて逆にネガティヴな印象を作ってしまう恐れがありますね。

ただ、いち流通と弱小レーベルの仕掛けるトレンドごときが損失を与えられるほど現在のメタルが持つ伝統と広がりはヤワじゃないと思っているので、割と楽観的に考えていますが。

全然関係ない話で恐縮ですが、この(adoreさんの)記事をきっかけになぜか最近現代嬢メタルでなく80年代後半~90年代の女性VoのポップなRock(SHOW-YA、プリプリ、大黒摩季、後期浜田麻里etc.)を聞いていて、意外にクオリティが高くて感激してます。なぜ今更「ダイアモンドだね~、あーあ」と口ずさんでいるのか自分でもわかりませんが。きっかけを頂きありがとうございます。

僕自身は流通の人間でもなければアーティストでもないので、嘘ブームでもなんでも構わないと思っていますが、メタルが盛り上がってより良いバンドが出てくるとか、こういうふうにいいアーティストを発見するきっかけになってくれれば、とりあえず正義ですよね。

>伊豆さん

その辺のアーティストはメジャー資本が投下されていますからクオリティは間違いないですよ。
ましてその時代はメロディが良い曲=売れる曲という図式が生きていた時代ですしね。

その構図が既に存在しない現在、女子メタル「ブーム」がどうなっていくのかはわかりませんが、伊豆さんが挙げたようなアーティストは最近忘れられ気味だと思いますので、再評価のきっかけになるといいですね。

プリプリの「Diamond」はレベッカの「フレンズ」と並ぶ80年代ガールズ・ロックを、いや邦楽ポップを代表する超名曲だと思います。

今更ながらコメントさせていただきます。

安達久美さんなど演奏が上手い人なら、好きですが見た目だけで売っている今の嬢メタルはホントにどうかと思います・・・

それを持ち上げるB!やヤンギも神経を疑いますね。

>名無しさん

安達久美さん(同い年)くらい弾ける人は男でもそんなにいないでしょう(笑)。

まあ、B!もYGも商売ですから、売れる人たちは取り上げざるをえないんじゃないですか。
彼らも彼女たちを「上手い」とは思っていないと思いますよ。

実際、音楽は上手いからといって必ずしも魅力的になるとは限らないわけですし。