PASTORE / THE PRICE FOR THE HUMAN SINS

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BURRN!誌で90点を獲得し(評者は広瀬編集長)、「驚異のハイトーン・シンガー」「まさにメタルを歌うためにあるヴォイスの持ち主」と絶賛されたヴォーカリスト、マリオ・パストーレ率いる正統派HMバンドのデビュー・アルバム。

そのマリオ・パストーレはブラジル南東部、サンパウロ州サン・カエターノ・ド・スウの出身で、1987年からバンド活動を開始。TITANIO、FACE OCULTA、REVENGE、SOCIAL FEARSといったローカル・バンドを経て、1990年に参加したスラッシュ・メタル・バンドACID STORMで91年に発表した「BIOTRONIC GENESIS」がレコーディング・デビュー作となる。

その後TAILGUNNERSやSACRED SINNER、DELPHTといったバンドで活動する傍ら、クラシック音楽のヴォーカル唱法を学び、95年からは自身が音楽学校でヴォーカル・レッスンの講師としても活動。2009年に開催された「フェスタ・イタリアーナ」というイベントではBONANNI ITALIAN SHOWの一員としてステージに立ち、オペラの名曲を歌い上げたという。

その力量にもかかわらず、長年に渡って活動してきた割には無名に近かったマリオ・パストーレが注目を集めるきっかけになったのは、ANGRAのエドゥ・ファラスキやHIBRIAのユーリ・サンソンなどが参加していることで知られるブラジル版AVANTASIAとでも呼ぶべきメタル・オペラ・プロジェクト、SOULSPELLが昨年2010年に発表した「THE LABYRINTH OF TRUSHS」にキャストの一人としてゲスト参加し、その卓越した歌唱を披露したことがきっかけだった。

そのマリオが、かつてACID STORM時代に一緒に活動していたドラマーのファビオ・ブイットヴィダス(ACID STORM~ENGRAVE~JUSTNESS~SHADOWSIDE)、マリオのヴォーカル・レッスンの生徒で、スタジオのレコーディング・エンジニアでもあるというラファエル・ガザル(G)、リカルド・ラヴァチェ(B)というメンバーを集め、2007年にこのPASTOREを結成。

本作のレコーディング直前にリカルド(B)が脱退してしまったため、本作のベース・パートはギタリストのラファエルがプレイしているが、現在はアレックス・ガルッチなる新メンバーが加入し、本作の日本盤ボーナス・トラックである#13「Out Of Control」ではそのアレックスのプレイを聴くことができる。

キャリアが長く、そのくせデビュー作ということもあって前置きが長くなったが、本作の感想をひと言で言ってしまうと、「凡庸なメタル・アルバム」というのが正直な印象。

たしかにマリオ・パストーレのヴォーカルは凄い。ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)やラルフ・シーパース(PRIMAL FEAR)を思わせるハイトーン・スクリームを自在に操りつつ、中音域においてはブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)や故カール・アルバート(VICIOUS RUMORS)を思わせるタフな歌唱を披露していて、これはまさに広瀬氏が絶賛する通り「メタルを歌うための声」だ。

ただ、その広瀬氏が「インパクトが物凄い」と形容する1曲目のタイトル曲からしてJUDAS PRIESTの「Painkiller」の出来損ないのような曲で、マリオの強烈なスクリームこそインパクトはあるものの、楽曲としてのインパクトは薄い。

その他の曲も率直に言って「B級な正統派」で、リフといいソロといい、『君にも弾けるヘヴィ・メタル・ギター』みたいな教則本にありそうな「ヘヴィ・メタルのリフ・パターンその1」「ヘヴィ・メタルのギター・ソロ・パターンその2」のような典型的な、しかし個性や面白みの薄い要素で構築されており、全体的にフックが弱い(#4、#9は比較的マシか…)。

これではマリオ・パストーレの強力なヴォーカルも宝の持ち腐れ状態。もっと良い曲を書けるメンバーと組む、もしくは楽曲は光るがシンガーが弱いバンドに加入することを強く勧めたい。

ただ、本作で一番最後に書かれたマテリアルである日本盤ボーナス・トラックの#13が何気に本作で一番メロディックかつキャッチーな楽曲だったりするので、次作ではもう少し楽曲の質が上がるのではないか、という期待感が持てるのはせめてもの救い。【76点】

◆PASTOREのMySpace
http://www.myspace.com/bandapastore




どうでもいいことですが、ロブ・ハルフォードといい、マイケル・キスクといい、ラルフ・シーパースといい、そしてこのマリオ・パストーレも、皆揃いも揃ってスキンヘッド。

これはまあ「潔くした」ということなのでしょうが、かつてイングヴェイが太り、ティモ・トルキやマイケル・ロメオといったギタリストが登場した際に「ネオ・クラシカル系のギタリストは太る」という風説の流布(?)があったが、こうなると「ハイトーン・スクリーマーはハゲる」という説が現れてもおかしくないですね(笑)。

一般的にも甲高い声を「頭のてっぺんから出るような」などという形容をすることがありますが、頭部を突き抜けるように響き渡る高音のシャウトが頭髪に与える影響について、ひょっとすると研究する価値があるかもしれません。

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コメント

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そのころディアノは豚箱へ

同感ですね。

聴いてて何か物足りない感じ・・・手持ち無沙汰といいましょうか。

正直彼のボーカルもそんなに凄く感じられず。
最も僕はエクストリーム思考のリフ第一主義で、ボーカルがうまいとかそんなことはどうでもいいんですけどねw下手はやだけど。

PASTREなんかどうでもいいからさっさとANGRAの人とバトンタッチすればいいでしょう。ロブとかみたいにあの中に加わればハゲも光りますよ。ピカッとね。オシャレ的な意味で。

>まっつんさん

手厳しいですね(笑)。
曲はともかく歌はAクラスだと思いますよ、なんだかんだ言って。

ANGRAにはちょっとマッチョ過ぎるような…(笑)。

コメント:86

曲はつまらないけど、歌は上手ですか。

...その昔、STEELHEATというバンドが有りました。

私は曲が良いほうが良いな、OZZYやフィフス エンジェル(笑)のように。

同じこと考えてました…

スキンヘッドのくだり…最近ではユーリサンソンなんて若手まで。う~ん、確かに皆上手い…アングラのエドゥなんかはスキンヘッドにしたらハイトーンがでたりするのかも?

>ゆうていさん

STEELHEARTには「She's Gone」という「奇跡の1曲」があったじゃないですか(笑)。たしかにそれ以外はアレでしたが…。

私も曲の良さを重視したいですが、歌があまりにもアレだと楽曲のよさもぶち壊しになるので、難しい所ですね。

>まるさん

ハイトーンが出る人がスキンヘッドになるのか、スキンヘッドになるとハイトーンが出るのか…難しい所ですね(笑)。

同じく

Voは良いが、演奏がイマイチと思った者です。
マリオはロブやラルフというよりはハイトーン出してた(出せてた?)頃のフィル・アンセルモみたいだな、と感じました。
これでは宝の持ち腐れ。第二のHIBRIA、LOST HORIZONには程遠いような・・・。
日本人に受けるにはもっとスピード・テクニック・哀愁のメロディが必要かと。
売り文句でVo面にしか触れてなかったので怪しいと思ってましたが(笑)

>学生メタラーさん

「POWER METAL」の頃のフィル・アンセルモ…なんで学生さんがそんなもの聴いてるんですか?(笑)
さすがネット世代、ということなんでしょうか。

まあ、現在の日本のマーケットの購買力を考えると「日本受け」を意識する意味はあまりないと思いますが、どこで成功を狙うにせよ現在のままでは厳しいでしょうね…。