SCHEEPERS / SCHEEPERS

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元GAMMA RAY、現PRIMAL FEAR(以下PF)のヴォーカリストとして知られるラルフ・シーパースの初のソロ・プロジェクト・アルバム。

ソロの構想自体は7年くらい前からあったそうで、当初は全曲バラードで…というアイディアもあったそうだが、さすがにそれはラルフのイメージにそぐわないということで却下され、結果として出来上がったのはほぼPFの新作と言ってもほとんど違和感のないピュア・メタル・アルバムである。

バックで演奏するのもマット・シナー(B)にマグナス・カールソン(G)と、PFのメンバーであり(それ以外に元AFTER FOREVERのサンダー・ホマンズがツイン・ギターの片割れを担い、Drは元KING DIAMOND~DREAM EVILのスノーウィ・ショウが担当している)、プロデュースはマット・シナー、ミックス&マスタリングを手掛けているのもPFやSINNER(他にBRAINSTORMやHIBRIA、AMON AMARTHなど)を手掛けているアヒム・ケーラーだけに、本作とPFを区別する要素はほとんどない。

そういう意味では意外性は一切ないものの、逆に言えば安心感のある作品で、PFのファンであれば安心して楽しめる作品である。

強いて言えばPRIMAL FEARに比べれば若干パワー・メタル色が薄く、よりヴォーカルを聴かせる作風に仕上がっているようにも思えるが、そのこともまた近年のPRIMAL FEARの方向性に準じるもの。

#10、#12の2曲を除けばラルフ単独で曲を書いているわけでもないだけに、なぜわざわざソロ・プロジェクト名義でこのようなアルバムを作る必要があったのか、傍目にはやや理解に苦しむ部分もある。

しかも#9のようにPFのアウトテイク的な楽曲(アルバム「BLACK SUN」制作時にお蔵入りになった曲で、当時のPFのギタリストであるステファン・レイビングとラルフの共作曲)も収められている。

しかし、ライナーノーツを読みつつ聴いていると、やはりこれはラルフ・シーパースというシンガーにとって一種の集大成というか、アイデンティティの証明として「一度は作っておくべき作品」だったのではないかという気がする。

かつて84年にTYRAN’ PACEというバンドでデビューし、マニアの間で「ドイツのロブ・ハルフォード」の異名をとり、実際ロブ・ハルフォード脱退時、後任のオーディションにおいて最終選考に残っていた(結局ドイツ人であるということがイメージおよびアクセントの問題からネックになって落選したらしい)という経歴が物語る通りの、JUDAS PRIESTおよびロブ・ハルフォードへの憧れやこだわりが本作の随所から伝わってくるのだ。

まずJUDAS PRIESTのカヴァーである#7「Before The Dawn」を取り上げて、やはりロブそっくりの歌唱を披露している。個人的には「Painkiller」などの強烈な楽曲によって、あらためてラルフのメタル・シャウターとしてのポテンシャルを誇示してほしかったような気もするが、シンガーのソロ・アルバムとしてはこういう「うた」を聴かせる選曲をしたくなるのだろう。

さらにゲストにはなんと落選したラルフに代わってJUDAS PRIESTのシンガーになったティム“リッパー”オーウェンズが#2に参加してラルフとデュエットしており、またHALFORDのギタリストである“メタル”マイク・クラシアク(G)も#1、#9のギター・ソロにゲスト参加していることも、恐らく意図的な人選だろう。

そう考えると、このソロ・プロジェクトの名義がフルネームではなく「SCHEEPERS」であることもHALFORDを意識したものであるように思えてくる(笑)。

その他、上述したラルフのデビュー・バンドであるTYRAN’ PACEの楽曲である#6「Saints Of Rock」のリメイクしていることもキャリアの総括的なニュアンスを感じさせるし、かつての盟友カイ・ハンセンが#10に参加している(カイには珍しい、ワウを使用したエモーショナルなプレイを聴かせている)こともまた然り。

どうせだったらGAMMA RAYの曲も1曲くらい取り上げてもよかったのではないかという気もするけど(笑)。

ちなみにその他、やはりPF~SINNER人脈のミュージシャンであるアレックス・バイロット(G:SILENT FORCE, VOODOO CIRCLE)や、ヴィクター・スモールスキ(G:RAGE)などもゲスト参加している。

ジャケットはもう少しどうにかならなかったのかという気がするけど、まあ本人が「売れそうかどうか」より「メタル・シンガーらしさ」を重視したということならこれでいいんでしょう。【82点】。


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コメント

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バラエティ豊かなアルバム構成ですよね。
全曲試聴して「Play With The Fire」のみダウンロード購入しました。
ヴィクター・スモールスキの超絶ソロが映える疾走曲で気に入ってます。
もうちょいこういう曲が欲しいけど、それじゃ単なるPFのアルバムですよね(汗)

記事と関係ないですがVERSAILLESの2ndが6月に出るんで楽しみです。

「好きなボーカルは?」って聞かれたら真っ先に思い浮かぶ人です。
彼の過去作品中古でコツコツ買い集めてます^^
ヨルン・ランデがロニーのカバー(トリビュート?)アルバム出した様に
ロブのトリビュート作品出してほしいです。妄想ですが(笑)

Accept聴いてて思ったんですけど、ウドと人見さんてにてません?声質は当然違いますけど、
節まわしと言いますか・・・「You~♪」とか、「Oh~♪」のあたりが

提案

D.C.クーパーも加えて、JUDAS PRIESTトリビュートなんていかがですかね(笑)。

はじめてJUDAS聴いたときはこんなシンガーいねえよ。と思ったけど世界を探せばそっくりさんがいるもんで、ホント、ラルフもリッパーも素晴らしいですな

まとめてお返事

>学生メタラーさん
PRIMAL FEARよりちょっとだけバラエティ豊かですね(笑)。
最近のPFが好きな人向けという気がします。

VERSAILLESはシングルも良かったし、楽しみですね。


>B!13さん
ラルフがロブのトリビュート作を出したら「まんま」になってしまいそうですね(笑)。それはそれで聴いてみたいですが。

ウド・ダークシュナイダーと人見元基…あまり意識したことないので今度意識して聴いてみます。


>ゆうていさん
JUDAS PRIESTのオーディション落選者でトリビュート作を作ったら面白いかもしれませんね。
ラルフとD.C.以外に誰が受けていたのかわかりませんが…。


>naokiさん
まさにメタルを歌うための声ですね。
かなり特殊な声だと思いますが、やはり世界を探せば似ている人がいるということなんですねえ。

アレックス・バイロット(G)といえば確か、最近出たPFのライブ盤LIVE IN USAに出ていた。
ゲスト参加で出てたのかな?
ヘニー・ウォルター(G)はどうしたのかな?
最近PF買ってない…。
PFもSILENT FORCEも好きだけど。

ウドと人見さんの件は、

ご寛容な心でお願いします(笑)ネットでもそんな意見見かけませんし、
友達に聞いても賛成意見がないので(汗)
でも‘‘Metal Heart‘‘の歌い出しとか似てませんかね?

「まんま」のトリビュートでもいいので聴いてみたいのは黒猫さんの浜田麻里トリビュートです^^意味がないくらい似てますよね(笑)

>ストラディキャスターさん

へニー・ウォルターは脱退したはずです。
アレックス・バイロットはツアー・サポートかなんかだったような。
アルバムは買い続けているものの、あまりその辺の細かいメンバーチェンジについては細かく追いかけていないので不確かですが、へニー・ウォルターが昨年脱退したのは確かだと思います。

>B!13さん

「Metal Heart」の歌い出し…う~ん、言われてみればハスキーなパワフルさには通じるものがあるような…?
正直そんなにピンときません、ごめんなさい(笑)。

黒猫は確かに浜田麻里に似てますね。あそこまでクドくパワフルではありませんが(笑)。

やっぱりそうか!

ヘニー・ウォルターまた脱退したのか(爆笑)!
トム・ナウマン→ヘニー・ウォルター→トム・ナウマン→ヘニー・ウォルターってメンバーチェンジしたけど、ついに両方ともいなくなったのか。
「それでどう?」ってわけじゃないけど、俺より詳しいと思って確認してみた。
あとでPRIMAL FEARオフィシャルサイト見たら、Alexander Beyrodt (founder member & guitarist of Voodoo Circle & Silent Force)になってた。
ちゃっかりラルフとマットの間に入っていた(笑)。

SILENT FORCEが商業的にキツイからPFの正式メンバーにならないかな(あくまで妄想)?
…したら買ってもいいかな~なんて思ったりして。
そういうのはマットが決めることだから。
といってもPFも最近は商業的にキツイんじゃないかな。

JUDAS PRIESTのオーディション

記憶は定かではないですが、
SHYのトニー・ミルズも受けていたかと思いましたよ。
で、落選したから、SHYが復活だったような…

>ストラディキャスターさん

最近はよほどの大物でない限り商業的にはキツいでしょう。
それでもSILENT FORCEよりはPRIMAL FEARの方が実績もファンベースもしっかりしていると思うので、「就職先」としては悪くないような気がしますけどね。

>ここみんさん

あ~、そういえば確かにトニー・ミルズの名前も出ていたような気がします。
たしかに声域の広さに関してはロブにも劣らないでしょうね。
同じイギリス人ですが、やっぱりハード・ポッパーなイメージがダメだったんでしょうかね。

最後までレビュー拝見させていただいてジャケット見て吹き出してしまいました(笑)
ラルフらしいといえばラルフらしいですね!

カイ期ガンマレイの曲はぜひ聴きたかったですね。僕はカイの声大好きですが、普通に上手いヴォーカリストが歌うガンマレイをもっと聞いてみたいので。
まあ、カイ以上にハマってたりしたら、自分で歌い続けているカイは困るでしょうが(笑)

黒猫はむしろ堀江美都…なんでもありません。

>shockwavesさん

たしかにラルフらしいかもしれませんが…(苦笑)。

でもまあ、無難なイラストとかに逃げるより、ある意味インパクトはあるかもしれませんね(笑)。

>伊豆さん

いや~、さすがにリメイクするとしたら自分が在籍していた時期の曲じゃないと難しいでしょうね。

ラルフが「LAND OF THE FREE」アルバムや「SOMEWHERE OUT IN SPACE」アルバムの収録曲を全曲歌い直してくれたら、という思いは私にも未だにありますけどね(笑)。

黒猫はたしかに曲調によっては「歌のおねえさん」っぽい雰囲気なので堀江美都子に通じるものもあるかもしれませんね。

「DRAGONFORCE(みたいな曲)やれば?」→「作ってみるか」→「4~5時間で完成」

SCHEEPERS視聴しまして、今の所保留。出来は勿論良いと思いますが、、、なんとなくですが16.6で間に合ってしまう気がします。今後機会があれば手にとってみます。
またアーチ・エネミーに関しては、突き抜けた曲があまりなかった(そんなことはないか)。いいところで展開がかわるような、、、アルバムの中でメリハリがあるのはいいけど曲単位で、変化が多いと、時に煮え切らない感じになりますね(あくまで個人的な)。ネメシス級の曲があればイメージも違ったかもしれません。
REINXEEDは文句なく過去最高と思います。一曲目聴いたときはちょっと不安になりましたが、、、
アモルフィスはやはり傑作ですね。
前作はあまり好きになれなかったんですけど、今回は別格。
最初から鳥肌。メタル界のシベリウスといっても過言ではない。
これからミッドナットソルを聴きます。リーヴスアイズは相当良かったので妹にも期待。ついでにパンドラの塔にも期待。

>フィンさん

新譜買いまくりですね(笑)。私はとりあえず聴きたいものは入手しているものの、最近忙しくてあんまり聴けてません…。

トミー・ヨハンソンの最大の才能は曲を早く書けて量産できることですね。
そんなにDRAGONFORCEっぽいとも思えない(言われればなんとなく…)普通のトミー節に感じられますが、まあきっとそれはいいことなのでしょう。