V.A. / 究極の重金属トリビュート・アルバム

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先日、「プリンセス・ジブリ」というメタル側からアニソンにアプローチしたアルバムを聴いて取り上げましたが、今回はアニメ側(?)からメタルにアプローチしたアルバムを。

オビタタキによると「HR/HMの名曲をアニソン風女性ボーカルが歌い上げる、禁断のトリビュート・アルバム」。

何が禁断なのかは不明ですが、まあそういう趣旨のアルバムで、私の検索履歴を元にAmazonさんが紹介してくれたので、出来心でポチしてしまいました。

こういうイロモノ企画で100%満足できることなんてありえないことは経験則で充分知っているはずなのに、それでも身銭を切ってしまうのはいかなる業の深さか…(苦笑)。

というのも1曲目から「Emerald Sword」というガチなチョイスで、その他BON JOVIやVAN HALENといったメジャーなアメリカンものからSLAYERのようなヘヴィなもの、JUDAS PRIESTやOZZY OSBOURNEといった王道から、なんとDREAM THEATERまで、HR/HMをまんべんなく網羅した選曲がなかなか興味深かったからだ。

Amazonの紹介文によるとシンガーや演奏陣は同人音楽の世界ではそれなりに知られた人たちのようで、自分のバンドでオリジナルのアルバムをリリースし、BURRN!でレビューされたりしたこともあるレベルの人もいるようだが、私は全然存じ上げない人たちでした。すみません。

とりあえず若干期待して再生ボタンを押してみると、「Emerald Sword」のあの高揚感溢れるイントロが何やら妙なことになっている。

ちょっと調べてみると、どうやらこのイントロはアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の挿入歌で、ファンの間では人気の高い曲であるらしい「God Knows」という曲のイントロを拝借したものらしい。

しかし、そのパート以外はごくマトモというか、ほぼ「コピー」で、単にジャパニーズ・イングリッシュな女性ヴォーカルがカラオケをしているだけといった印象。

#2「It's My Life」はBON JOVIファン激怒必至の(?)、ダンサブルな異色アレンジ。キーを変えた歌メロに違和感が。ギター・ソロだけ哀愁があって良い感じかな。

#3「Exciter」は、バックの演奏はほぼ完コピで、ヴォーカルがこれまでの2曲以上にいわゆる「萌え声」を強調して歌っている。

ただ、個人的にはいい歳した女性が幼女のような舌足らずで甲高い声で話したり歌ったりすることに「萌え」を感じる感性は持ち合わせていないので「普通に歌えば?」という身も蓋もない感想が浮かんでしまいました。

SLAYERのカヴァーである#8「War Ensamble」でもその「萌え声」が大フィーチュアされており、SLAYERファンは怒髪天を衝くことと思われるが、まあここまで違和感があると逆にネタとして笑えるのかな…。

そういう「萌え声」で歌われていない#4「Weballegy」(SONATA ARCTICA)や#9「Take The Time」(DREAM THEATER)のような楽曲はある意味「普通に」聴けるが、単に女性ヴォーカルをフィーチュアした上手いコピー・バンドを聴いている気分。

大学のサークル・バンドとかでは多いんですよね、ハイトーンの出る男性ヴォーカルが見つからなくて女の子を無理やり連れて来てメタル歌わせるケース(笑)。そんな感じ。

個人的には全曲馴染みのある曲だし、演奏は手堅くまとまっているのでそれなりに楽しめなくもなかったが、正直他人に薦めたいとは思えないというか、誰に薦めていいのかわからない…。

プリンセス・ジブリや、往年のアニメタルは一般人に聴かせても笑いが取れる可能性があったが、本作に関しては一般人はおろか多少メタルが好きな人に聴かせても笑いが取れる気がしない。

かといってアニソンが好きな人に聴かせるにはバックの演奏がマジ過ぎて、気に入ってもらえると思えない。

いっそ#1でやっていたように有名なアニソンのフレーズを取り入れるとか、そういった試みをもっと増やさなくてはアニソン・ファンの興味を惹くことは難しいでしょう。

メタル者である私などにとってはやはりヴォーカルはパワフルな男性ヴォーカルの方が熱くなれるだけに、わざわざメタラーな方が本作を聴く意味も感じられない(あ、ただOZZY OSBOURNEの「Goodbye To Romance」のカヴァーである#10はオジーの歌よりもメロディアスさが強調されてイイ感じでした)。

マスな有名人が参加しているわけでもなく、ちゃんとしたプロモーションが行なわれるメジャー・プロダクトでもないだけに、このアルバムをきっかけにメタルに興味を持ってくれる人がそれほど多いとも思えないですしねえ…。

演奏のガチっぷりを聴く限り、ここに参加している人たちがメタルを愛していることを疑うつもりは毛頭ありませんが、正直企画としてはいささか自己満足的で、一部のマニアックなリスナーを対象とした同人音楽の域を出ていないと言わざるをえません。

が、「Vol.1」と銘打ってあるってことは今後も続けるつもりなんでしょうね。まあ、同人音楽はセールスより自己満足が優先されるある意味幸福な環境ですから、それもまた良し、でしょう。

※HMVのサイトでクロスフェード・サンプルが聴けます
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4041932


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コメント

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これ購入しようか迷ってたんです!レビューありがとうございます。スルー決定で。。。

やっぱりHMを歌いこなすのは相当なハードルってことなんでしょうね^^;
アレンジうんぬんはともかくとして、やっぱりハイトーンとアニメ声は違いますよ…

そう考えると黒猫はやっぱりすごいんでしょうか?w

試聴してみましたが、なんともガッカリな仕上がりですね…ボーカルが完全に曲を台無しにしています
アニソンを全然知らないメタラーが聴いたら、アニソンを嫌いになるのではないでしょうか

どうせならJam Project(影山ヒロノブがやってるユニットです)みたいなガチなアニソンシンガーのメタルカバーが聴いてみたいです

人柱ありがとうございます(笑)

僕も気になってたんですけど、スルーします(苦笑)。
アニメは僕はドラえもん、しんちゃんくらいしか・・・

8月3日にSABER TIGERがアルバム出すので下山さんの歌聴いてみたいと思って
梶山&下山のアルバム買いました。B!でもライナーでも帯でもしつこいくらい
「正統派HM」を強調してたのですが、ジョー時代のRAINBOWが思い浮かびましたね。暑苦しいと評判(?)の
下山さんの声は想像よりは爽やかでした^^インタビュー読むと意図的だそうで。期待してた感じとは違いましたが、GWはこれとVR、SYMPHONY Xをヘヴィロテしてました。

サンプルクリップを再生した瞬間に背筋がゾクゾクーッ!
選り好みせずに聞こうと思ってもこれはなかなか手強いですね。
ただ、Take the Timeなんかは意外と聴けるような・・・
あ、「普通に歌っている」からそれなりに聴けるだけか^^;

ちょっとこれは・・・

このジャケだと多くのメタラーさんは買おうとは思わないですよね(汗)
個人的に同人音楽はサウンド・プロダクションや演奏技術が劣悪で内輪ノリ的な内容も多く、ちょっと苦手ですね。(ドラガの3rdは良かったです)
プリンセス・ジブリのように同人でやるようなことをプロのレベルでやってしまう人たちは凄く痛快なんですが・・・。

RIOTの新曲「Wings Are For Angels」が日本の震災支援CDとしてマーキー/アヴァロンからリリースされるみたいですよ!(マークHPより)
かなりカッコ良い曲だったと記憶しています。

メタルもアニソンも好きですが、これはちょっといただけないですね。なんかいまいち芸がない。
以前、声優がパンクの名曲を歌うアルバムが出てましたが、あちらの方がもっと面白かった気がします。

トミー・ハートあたりがGRANRODEOの曲を歌うアルバムを作ってくれないかな(笑)。

どうせならガチにCannibal CorpseとかMorbid Angelをバックにアニソン声で歌ってくれた方がネタとしてクオリティがあったのに……w Slayerじゃまだネタとしては甘いですな。

と思ってしまい(ry

adoreさんから見ると、一部のマニアックなリスナーに入るかも知れないですね~私は。
すいません、やや否定的意見です。
演奏に関して、ガチ過ぎて芸がないというのは同意ですが、
個人的には、#3「Exciter」なんかは全然ありかな~って思いますね。
むしろ、#4や#9みたいに普通に歌ってるのなんて面白みにかけると思うんですよ。折角、声に魅力がある方達なのに、キャラを出さずに普通に歌うのって自己表現としてどうなんだ?と思うんですよ。これだったら、ボカロで歌ってくれた方が、まだ面白みが出てくるような気が。
次世代的には同人系(というかアニソン系)がメタルと言うジャンルに結構のしてくるような気もしています。
メタルは、伝統を強く重んじるジャンルだから、こういうアプローチは幅を広げると言う意味では全然ありかな~と思うんですよね。

ただ今作が1800円はちょっと高いかなぁ…著作権料とか考えると仕方ないかもだけど。

まとめてお返事

まさかの大反響にびっくり。

>DEATHさん
レビューを鵜呑みにせず、試聴してから切ってくださいね…。


>yu-kiさん
本作で歌っているシンガーさんの名誉のために言っておくと、別に歌いこなせていないわけではないですよ。
ただ、歌い方のアプローチがオリジナルと違い、それが私の趣味に合わないだけです。


>名も無きメタラーさん
まあ、メタル的な感性においてはなかなか最高とは言いがたいヴォーカル・スタイルですよね。

全てのアニソンがこの手のスタイルで歌われているわけではないでしょうから、これでアニソン嫌いになるというのはデス・メタルだけ聴いてメタル全てを嫌いになるというくらい理不尽だと思いますが…。


>B!13さん
ドラえもんやしんちゃんしか観たことのない人にとっては、そもそもこれがアニソン風なのかどうかも判断つけ難いでしょうね(笑)。

下・梶のアルバムは聴いていないので何とも言えませんが、例え暑苦しいにせよ下山氏がかなりの実力を備えたメタル・シャウターであることは確かだと思います。充実したGWを過ごされたようで何よりです(笑)。


>774さん
「Take The Time」はフツーに良かったですよ。
大学の学園祭とか、その辺のライヴハウスに出ているコピー・バンドでこのレベルのバンドを観たら大喝采したと思います。

ただ、CDで聴くならオリジナルを聴くなあ、と…。


>学生メタラーさん
同人音楽も最近は機材や作曲ソフトの発達と共にかなりレベルが高いものも多いようですし、実際本作も決して質が低いわけではないんですけどね。

RIOTの件はアヴァロンの公式サイトで以前から告知されていましたが、切り売りしているヒマがあったら早くフル・アルバムを出してほしいです(笑)。


>Harvestさん
そうなんですよね。質が低いわけではないけど面白くない、それに尽きる気がします。


>cthuさん
メロデスであればいざしらず、ブルデスにノーマルなヴォーカルを乗せるというのはほぼ「作曲」に近いものを求められそうですね(笑)。


>ここみんさん
「一部のマニアックなリスナー」という言い方が気に障ったらすみません。メタルも日本では充分マニアックですが、少なくとも国際的に見たときには同人音楽よりメジャーだろうという意識で書いています。

ここみんさんはご自身でも同人音楽などに関わっていらっしゃるようなので私のようなメタラーの感覚に同意しかねるのはわかります。
ただ、声に魅力があるならキャラ作りなんて不要なのではないでしょうか(お芝居やキャラソンであればともかく普通の曲を歌う上では)。

アニソンとメタルって極めて近接しながら絶対交わらない微妙な距離を持っているジャンルで、融合って簡単に行っても至難の業だと思うんですが(ドラガもうまくいってないんじゃないかな~)、視聴した限りなんというかそういう問題ではないですね(笑)。企画先行という感じ。
Exciterなんかはミスマッチ萌えがあるんじゃないカナとは思います。僕はわ か り ま せ ん が。Tornade of souls とか、ボーカルのリズムが合ってなくて怒りつつ爆笑しました。

実際、メガデスとかドリームシアターとかラプソディーとか、ヴォーカルの難易度が異常に高い曲をマジで取り上げてうまくいくわけがないわけで。デスメタルとかスラッシュ主体にして萌え声で歌うアルバムならまだネタ的に良かったんでしょうが、まあ、好きな曲をやりたかったんでしょうね。

根本的にアニソンには特定のスタイルがないので、アニソンからメタルへのアプローチは絶対失敗すると思いますねぇ。大体、声優がメタルを歌うアルバムなら失敗例があっry

>adoreさん

いえいえ、むしろ、一部のマニアックなリスナーと言われることは光栄ですよ。ただ、こういう意見があってもありかなっていう声を聞いて頂きたかったって感じです。それと、こういうナメてると思うようなことをするって心意気が私は結構好きなんですよ。
ちなみに、最近私はボカロメタルがマイブームだったりするのもあって、アニメ声、ボカロ声は大いに肯定派です。

ボカロメタルのオススメその1
http://www.youtube.com/watch?v=vaahxGZdVFA

ボカロメタルのオススメその2
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14291996

こんなのメタルじゃねーと思ったらゴメンなさいです。

>伊豆さん

かなりシビアに聴いてらっしゃいますね(笑)
まあ、おっしゃる通り「好きな曲をやること」が主眼の企画だと思いますし、一応メタルへの愛は感じられるのでいちいち青筋を立てることもないのでは(まあ、金返せ的な思いは否めないのかもしれませんが…)。

声優がメタルを歌うアルバムの失敗例というのは聖飢魔IIのアレですか?(笑)

>ここみんさん

別にこのアルバムがメタルをナメてるとは思いませんし(むしろ真面目過ぎると思うほど)、ご紹介いただいた曲がメタルじゃねーとも思いません。なかなかよくできた曲だと思います。

ただ、個人的にはやはりボカロは厳しいですね…。
いわゆるボカロ曲の中にもいくつか好きなものはありますが、やはりボカロのバージョンより、誰かが「歌ってみた」ものの方が好きです。

いや、別に怒ってないっすよ。萌え声が嫌いなだけです(笑)。
自己満足をやるにせよ、もっとやり方があるだろう、とは思いますが…(以前書いたように僕は打ち込みギターが好きなので、ハチプロで無理してメタルを作る九十九百太郎さんとか、好きですよ)なにせ買ってないもんで、偉そうなことは言えませんよ(笑)

広瀬編集長の「宝物をありがとう」にドン引きなさって梶山&下山作品聴いてないんですか?(笑)
インタビューもべた褒めでしたし汗
あんなに褒めるのは大人の事情か、ほんとにあの作品を気に入ったのか・・・
You Tubeに一曲アップされてる曲かっこいいですよ。
ぜひ第二弾聴きたいです。

>伊豆さん

萌え声が得意な人にとってメタル愛の表現方法はこれしかなかった…と考えればいいのでは。
私が拙いレビューを書くことでしかメタル愛を表現できないように。

>B!13さん

ドン引きというよりは失笑でしたね(苦笑)。
正直梶山氏の書く曲は私にとってはどれも退屈なのです…(2、3作品だけ聴いての判断ですが…)。
ギターは上手いと思うんですけどね。

party hardのイントロもけいおん!の有名曲「ふわふわ時間」だったりしますね。
個人的にけいおん!の曲はメタラー的に見てもデスデビルのものより圧倒的に放課後ティータイム(主人公たちのバンド)の曲の方が質が高いのでぜひよかったら聴いてみてください^^

自分もメタラーでありながらアニオタなんですがこのアルバムはちょっと気になってます。でも知ってる声優いないんだよな。

このアルバムを聞いて普通のアニオタがメタラーなアニオタに変身してくれると嬉しいのですが、このアルバムにたどりつくオタクはすでにメタラーの可能性が高いでしょうね(笑)

>LAMPSさん

「Party Hard」もそうだったんですか。
『けいおん!』が表現する世界観は私が好むものとはちょっと異なるのですが、友人も大好きですし、機会があれば聴いてみます。

>へたれ学生さん

これを歌っているのは声優さんじゃなく同人音楽の方なのでは?
声優としても活動しているのかもしれませんが…。

普通のアニヲタの方にとっては知らない曲ばかりでしょうから、よほど歌い手さんの大ファンでもない限り、本作を聴くまでにはかなり高いハードルがありそうですね(笑)。

adoreさん自身が思われている通り、予想以上の凄い反響ですね(笑)。
斯く言う僕自身も手に取りかけていたアルバムなので、レビュー助かりました。

クロスフェードを聴いた程度の印象ですが、良くも悪くも生真面目過ぎるのかなと。
僕自身はアニソンとかボカロ系も結構聴くのですが、その立場から考えても、アニソン風という
趣旨にしては弱い…なんとなくブレてる印象は否めません。メタルをバカにしたり
曲解したような印象が無いのは良い事かもしれませんが、もう少しネタで良いのかなぁとか。

メタラー兼オタクの僕としては購入しておきたい所ですが、ちょっとこれに
1890円はやっぱり高いですかねぇ…(^^;

>ruchiniumさん

なんか手に取りかけていた人をたくさん思いとどまらせてしまったようで、制作者の方に怒られそうですね…(苦笑)。
確かに本作はアニソン風にしたというよりは、ガチにカヴァーしてしまった印象があって、ネタ色が薄いのがつまらない理由かなぁと。

もっともネタ色を強めたら強めたで怒る人が続出しそうなので、その辺は難しい所ですが。

みんな4曲目と9曲目を聞いてレビューを書いたのか??

正直youtubeで2、3曲聞いた感想でしかないとしか思えない

>名も無きメタラーさん

みんな、というのが私以外の誰を指しているのかわかりませんが、少なくとも私はちゃんと買って全曲複数回聴いてレビューをしてますよ。

4曲目と9曲目なんて最も「これを聴くくらいならオリジナルを聴くよ」と言いたくなるカヴァーならぬ「コピー」じゃないですかね。

フラッと立ち寄った大学の学園祭でこのレベルでコピーをやっているバンドがいたら拍手喝采しますが、お金を払って買うCDでコピーを聴かされても…というのが正直な思いです。