REINXEED / SWEDISH HITZ GOES METAL

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話のスジ的にはというか、CDの品番の並び的には(笑)同時発売のオリジナル・アルバム「1912」からレビューするのが正しい姿(?)なのかもしれませんが、忙しいので書きやすいこちらのアルバムから先にレビューします。

本作は、もはや新世代メロディック・スピード・メタルの旗手と呼んでもいいかもしれないREINXEEDによる、母国スウェーデンのヒット曲をパワー・メタルにアレンジした企画盤。

スウェーデンのヒット曲といっても、スウェーデン語で歌われているようなドメスティック・ヒットではなく(それはそれで聴いてみたかったような気もするが)、ABBA、ROXETTE、ACE OF BACEという英米でも売れたインターナショナル・ヒットのみを取り上げており、選曲のネタ元は狭い。

したがってまあ私のような、メタル以外のジャンルに関しては広く浅く、な人間でも収録曲は全て既知の楽曲ばかりである。

スウェーデン発のインターナショナル・ヒットといえば我らがEUROPEもそうだが、これはあまりにもジャンル的に近すぎたのだろうし、THE CARDIGANSなんかも映画『ロミオ+ジュリエット』に起用された「Lovefool」が世界的にヒットしているが、これは恐らく楽曲がソフト過ぎてメタル化し難かったのであろう(THE CARDIGANSのメンバー自身はHR/HM畑の出身で、THE CARDIGANSでもBLACK SABBATHやTHIN LIZZYの楽曲をカヴァーしていたりするのだが)。

CDショップでバイトしていた時代を思い出すと、そーいやメイヤとかいう女性シンガーもかなり売れてたなー、という印象がありますし、ギター・ポップやダンスものではかなりスウェーデン発のヒット曲は多かったように記憶しています。

ただまあ、その辺は本国と日本、下手すると日本だけのヒットだったりする可能性があって、ライナーノーツを読む限り、特に熱心なポップ・リスナーであったとは思えないトミー・ヨハンソン(Vo, G)は全く知らなかった可能性もある。

ABBAに関しては、かつて「アバメタル」なんていうメタル・バンドによるABBAのカヴァーだけを集めたオムニバスがリリースされたこともあるし、AT VANCEがデビュー作から3作続けてABBAのカヴァーをアルバムに収録していたり、パッと思いつくだけでもイングヴェイやHELLOWEENなど、著名なHR/HM系アーティストが彼(女)らの楽曲を取り上げて来たので、ご存知の方も多いと思われます。

というか、普通に日本人として暮らしていれば、代表曲「Dancing Queen」などは今でも街でしばしば耳にするし、20代以上の方であればドラマ『ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ』の主題歌として記憶しているかもしれません。ABBAの楽曲をテーマにしたミュージカル『マンマ・ミーア!』もコンスタントに公演が行なわれているし、かのマドンナが大ヒット曲「Hung Up」でサンプリングしていたりと、その音楽に触れる機会はいくらでもあるので、ABBAについて今更語るのも野暮と言うものでしょう。

とにかくABBAの楽曲は圧倒的にメロディが優れているので、どんなアレンジでも聴けてしまいます。同ジャンルの大先輩であるHELLOWEENやAVANTASIAがカヴァーした「Lay All Your Love On Me」をここで敢えてカヴァーしているあたりはチャレンジャーだな、と思いましたが。

個人的なことを言うなら、私にとってABBAとの「出会いの曲」であった「Summer Night City」をカヴァーしてくれているのは嬉しいですね。中学生の頃、ラジオでたまたまかかったこの曲を聴き、すぐに地元のCD屋に走った(チャリで)記憶があります。この曲はTHERIONもカヴァーしていますが、そちらはちょっと不気味なカヴァーで個人的にはハマれなかったので(苦笑)。

あと、強いて言えば私の一番好きなABBAの曲である「Gimme! Gimme! Gimme!」もカヴァーしてほしかったかな。イングヴェイや、最近ではLIV MOONもカヴァーしてましたが。

一方、ROXETTEについては、実はそんなに思い入れがないんですよね。ポップでメロディアスではあるものの、そんなに北欧ならではの哀愁が強くなくて、個人的には爽やか過ぎる印象です。ただ、音楽的にはハード・ポップ的な要素もあるので、HR/HM的なアレンジはしやすそうかな、という気がしますね。

代表作「LOOK SHARP!」とベスト・アルバムくらいは押さえていますが、正直それほどグッと来るものはありませんでした。ただ、これも私の世代にはジャストな時期(そして世界的には既に落ち目な時期)のヒット曲である「Sleeping In My Car」を怒涛のスピード・メタル・アレンジで聴かせてくれたのはGood。

私の世代にとって一番馴染みが深いのはACE OF BACEですね。洋楽を聴くこと自体がオッシャレ~と思っていた高校時代、世界的に爆発的なヒットを記録していた(当時2300万枚を売り上げ、最も売れたデビュー・アルバムとしてギネス・ブックに載った)デビュー・アルバム「THE SIGN」は愛聴盤のひとつでした。

ただ、その「THE SIGN」の収録曲は後ノリの音楽であるレゲエ色があるため、正直なところ前ノリの音楽であるパワー・メタル・アレンジとの相性は良くないのですが、何せ「せーしゅんの一枚」でもあるので、何だかんだ言って個人的には楽しめました。が、リアルタイムでない人にとって彼(女)らのメタルのアツさとは相反するクールなメロディがどう響くのかは不明です。

全体的には割と安直なパワー・メタル・アレンジで、特に楽曲に対する深い造詣や愛情が感じられるわけでも、気の利いた小技があるわけでもなく、元曲のメロディの良さに依存した力任せのカヴァーと言われても仕方の無い面があります。

とはいえ、元曲がポップスであったことなどお構いなしに疾走し、ギターを弾き倒す様はある意味痛快だし、何度も言うように元曲自体が優れた楽曲ばかりなので、そもそもこのアルバムは誰が何のために企画したんだ、とかあまり細かいことを考えなければ楽しめるアルバムだと思います。

というか、むしろ元曲を知らない方が楽しめるアルバムかもしれませんが、北欧のポップスはアメリカのR&Bやヒップホップの要素が強いポップ・ミュージックを受け付けない人(たぶん、メタラーに多いと思います)でも親しみやすいものが多いので、もし本作を聴いて気に入ったら、ぜひオリジナルにもトライしてもらいたいと思います。


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コメント

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以前図書館においてあった唯一のイングウェイのアルバムを借り、ライナーノーツを読まずに聞き始めたら、一曲目が素晴らしいポップセンスにあふれた曲だったので、友人に「この曲すげえよ!サビが耳に残んの」と聞かせたら、「ギミギミギミって、コレABBAだぞ」と言われたという事件がメタラーなりたての頃にありました(アルバムは「アンソロジー」でした)。
今からでもちゃんとABBAを聴き始めたいんですが、どれから聞けばいいですかね。ベストですかね。

>伊豆さん

そうですね、ABBAはアルバム・アーティストという感じではないのでベスト・アルバムでいいのではないでしょうか。

どのベストを買っても選曲は大きく変わりませんが、1枚もののベストだと私の好きな曲になぜか必ず漏れがあるので、2枚組モノをオススメしたいところですね。

ABBA 懐かしいですね~。
でも私的には、スウェーデンと言えば EUROPE です。
ジャンルは近くても、EUROPE のカヴァーもしたらよかったのに~と思います。
ところでTommyの顎から目が離せないのは、私だけかしら。

>ririxさん

まあ、80年代を体験したHR/HMファンの多くにとってはスウェーデンと言えばEUROPEでしょうね。
3倍速の「The Final Countdown」、たしかに聴いてみたいような気もします(笑)。

トミーの顎…ririxさんはフクフクした方がお好みなんですか?(笑)。

COVERも良し悪し

俺の大好きな北欧ネオ・クラシカル様式美バンド「NATION」も2nd Album「WITHOUT REMORSE」でABBAの「WATERLOO」をCOVERしている。

が、出来は大変よろしくない(笑)。

やたらと明るい曲調からして、Albumから完全に浮いている。

これなら日本盤ボーナストラックとして、最後に収録して欲しかった(´Д`)。

余談ですが、ANGRAの1st Albumのケイト・ブッシュのCOVER「Wuthering Heights」は素晴らしい(^-^)。

>ゆうていさん

NATIONの「Waterloo」は、別に出来はそれほど悪くなかったと思いますが、アルバム中では浮いてましたね。私もボーナストラック扱いにした方が良かったと思います。母国での話題化を狙ったのかもしれませんが…。

今のアンドレにはあの「Wuthering Heights」は歌えないでしょうねえ…。元々男であの曲を歌える、歌おうという気になると言う時点でおかしいと思いますが(笑)。