LOVEX / WATCH OUT!

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前作「PRETEND OR SURRENDER」発売直前には「FINLAND FEST 08」で、そして翌年には「V-ROCK FESTIVAL ‘09」で来日を果たしたLOVE Xのサード・アルバム。

これまでこのバンドのことは本サイトのレビューで扱ってきたが、今回ブログの方で扱うことにしたのは、もはや本作の音楽性がHR/HMの範疇で語ることが難しい領域に踏み込んでしまっているから。

そのことは、本作のジャケットにあるロック・バンドというよりはむしろBACKSTREET BOYSやらN’ SYNCやらといったボーイズ・グループのようなメンバーショットからも感じ取ることができるだろう。

本人たちが「思い切った変化を求めた」という通り、本作の音楽性は、前作までの一時期「ノリノリゴシック」と呼ばれたような音楽性から、80年代的な華やかさを感じさせるきらびやかなポップ・ロック・サウンドに変貌している。

もともとポップでキャッチーな楽曲作りには定評があるバンドだけに、そのクオリティは高く、一回聴いただけで耳に残るメロディを持った楽曲ばかりである(さらに言っておくと、スタイルとしてのHR/HMから離れたとはいえ、HR/HMゆかりのダイナミックな躍動感はキープしており、決してソフト過ぎる音楽になってしまったわけではない)。

ホーンを大胆にフィーチュアしたダンサブルなオープニングの#1「Queen Of The Night」から、アメリカンなテイストのファースト・シングル#3「Slave for Glory」、メジャー感のある#4「Time Of Your Life」、インパクトのあるサビを持つタイトル・トラックの#5、スピード感のある#6「15 minutes」、多少前作までの面影を残すメランコリックな#8「Worlds Collide」、HR/HMの要素はほぼゼロに近いポップ・チューン#9、北欧のバンドとは思えないスケール感を醸し出す#10「Marble Walls」まで楽曲は本当に粒ぞろい。

ただ、このバンドは日本のバンドでいうならヴィジュアル系に近い存在であっただけに、この「変貌」については恐らく賛否両論のはずで、きっと地元のコアなファン(特に女の子)の間では彼らを見限る向きもあるのではないかと推測する。

実際、本作は前作同様フィンランドのナショナル・チャートで初登場12位を記録するヒットを記録しているが、デビュー作が4位まで上昇していたことを考えると「伸び悩み」感は拭えず、本作におけるこの大胆な変化が必ずしも商業的な成功の拡大に結び付いてはいないという見方もできる。

このバンドがあと10年続くかというと微妙な気がするし、このアルバムが10年後も語り継がれているかというと、そうは思えないというのも事実である。

しかし、少なくとも「今」を楽しませてくれるキャッチーなポップ・アルバムとして本作は充分なクオリティを備えており、この2011の夏をリアルタイムで生きた若者にとってのサウンドトラックとしては文句なしのアルバムである。

HR/HMファンの中にはそんなものは使い捨てのくだらない音楽だ、と馬鹿にする人も多いかもしれず、たしかに「俺、あの年の夏はSLAYERに夢中だったなあ」なんていうインスタントなハマり方をしないのがHR/HMの特徴だと思いますが、個人的にはそういう「ひと夏の思い出」と結びついたポップ・ミュージックというのがあってもそれはそれでいいんじゃないか、と思っています。

ちなみに日本盤ボーナスにはセカンド・シングル「U.S.A」に、日本のヴィジュアル系ギタリスト、雅-MIYAVI-によるギターが重ねられたリミックス・バージョンとなっている。

こういうヴィジュアル系とのコラボレーションがマッチしていたのは前作までの作風だと思うんですけどね…。

◆「U.S.A.」のPV [YouTube]



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>人さん

HANOI ROCKSはともかく、このバンドは間違いなくHIM~NEGATIVEの流れにあるバンドのひとつでしょうね。

人口が少ないのに、これだけ質の高いロック・バンド/メタル・バンドが次々と登場するフィンランドはすごいですね。

さっきレビューみてみて初めてラベックスじゃなくてラブエックスだって知った(笑)

どんな音楽やってるか知りませんけどどちらにせよ思い切ったバンド名ですねw

>まっつんさん

流暢な英語で発音するとラベックスなんじゃないですか(笑)。