MACHINE HEAD / UNTO THE LOCUST

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前作「THE BLACKENING」は名盤だった。本来私はこの手のヘヴィでエクストリームなバンドをあまり好まないし、特にこのバンドのトレンド(主にNU METAL)志向にはむしろ嫌悪感を持っていたとさえ言っても過言ではなかったのに、それでも見事に持っていかれた。

その素晴らしさはLOUD PARK 08では人生最初で最後の(?)サークル・ピットに飛び込むほどだったし、このブログで勝手に選出した「00年代の名盤20選」にもエントリーさせたほど、と言えば伝わるだろうか。

4年ぶりの新作となる本作は、長尺の楽曲をメインにした前作以上にドラマティックな作風となっている。

サウンドは相変わらずエクストリームだ。「野蛮」と形容したくなるほどにエネルギッシュなその出音は、バンド史上最高にアグレッシヴと言っても過言ではない。

一方でメロディの充実も、このバンドとしては充分にメロディアスだと感じた前作以上で、楽曲のストラクチャーやリード・ギターのフレージングは北欧のメロデスや、極言すれば時に「ジャーマン・メタル」のように響くことさえある。

1曲目から8分を超える組曲形式の大作で、しかも「ソナタ・イン・C♯」なんてクラシック風の副題が付いているあたりもまるで欧州の様式美系バンドのようで、かつての彼らであればこういう大仰なノリは「クールじゃない」ものとして忌避したのではないかと思うのですが。

さらに限定盤ボーナス・トラックとしてJUDAS PRIESTの「The Sentinel」を取り上げているが、「BRITISH STEEL」や「PAINKILLER」の収録曲ではなく、この正統派HMのお手本のようなコテコテの楽曲を取り上げている辺りも、とてもかつて「俺達の音楽はメタルじゃない。ヘヴィ・ミュージックにヒップホップの要素を混ぜたものだ」なんて発言をしていた人(ロブ・フリン)のものとも思えないセンス。

いや、個人的には前作以上に聴きやすい音楽性にシフトしていて楽しめたんですが、これ、このバンドの音楽をずっと愛し続けてきたファンの方にとってはどうなんですかね? 本人たちとしては前作で好評だった「メタル路線」をさらに突き詰めた、ということなんだろうと思うんですけど、さすがに「やり過ぎ」だと感じる人もいるんじゃないかと余計な心配をしたくなるくらいです(笑)。

そして、正直な所楽曲がここまでメロディアスになると、ロブ・フリンの粗野な歌声はちょっとミスマッチというか…もっと歌い上げられる人だったらより魅力的になるのに…と思ってしまうんですよね(まあ、そういうありがちなスタイルじゃないからカッコいい、という声もあると思いますが)。

そういう意味で、前作の攻撃性とメロディ/ドラマ性のバランスは絶妙だったとあらためて思ったというのも事実です。

いずれにせよ、このバンドがここまで古典的なスタイルのメタル然とした楽曲を、しかもこれほどまでに完成度高く体現してくるとは正直予想外でした。#5「Darkness Within」のような「聴かせる」楽曲にも説得力があるし、楽曲の完成度で言えば今回も文句なしに良作だと思います。

ボーナス・トラックを除くと7曲というのはやや少ない気もしますが、この密度・音圧で新曲を10曲以上も聴かされたらさすがにヘトヘトになってしまいそうなので、このくらいでちょうどいいのかも。

ただ、個人的に感じている「名盤はジャケもいい」という法則に照らすと、10年後に本作は名盤とは呼ばれていない予感がするな。そう思うのは単に私が虫嫌いなだけかもしれないけど(笑)。


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コメント

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Machine Headですか...前に一度1st聴いて以来一回も聴いてませんがちょっと興味が出てきました。

前身のVio-Lenceは結構好きなんですが。

「The Sentinel」のカバー目的で聴きました。
割と忠実なカバーで好感が持てましたが、サビのハイトーンで叫ぶ所が再現されていなかったのがちょっと残念です。

ご指摘の通り前作に比べてジャケットが変ですよね(苦笑)。
これってバッタなんですか?

今作もなかなか評判いいですよね。でも、一番のお目当ては
前作収録の「Halo」のライブ音源だったりします(笑)
そろそろ稲刈りの季節なのでこのジャケットのやつらに会いに行きます(苦笑)

ちょっと質問ですが、Versaillesのレビューは
本サイトのほうでやらないんですか?(インディーズ時代も含めて)

そういえば昔Agent Steelもイナゴジャケがありました。

それを意識していたりして...

正統派をSpeed Metalにした感じのバンドだったので。

まとめてお返事

>へたれ学生さん
MACHINE HEADよりVIO-LENCEに親しみがあるなんてかなりの少数派ですね(笑)。
スラッシュがお好きなら前作「THE BLACKENING」がオススメです。


>小梅さん
同じロブでも歌唱スタイルが全く異なるので、私は意外と健闘してるなと感じましたが、まあ、声域の違いは否めませんね。

他の方も書いてますが、バッタではなくイナゴのようです。


>B!13さん
ご実家が農家なんですか? 稲刈りお疲れ様です。
VERSAILLESのレビューはブログでやっているし、本サイトでやる必要はないかな、と思っています。
インディー時代のアルバムをブログで取り上げることはあるかもしれませんが。

お気に入り

新作も前作同様かなり良かったです。
1曲目~4曲目の流れが熱いですね。
メロスパー兼スラッシャーとしてはこういう激しさとメロディが上手く融合した音楽性はモロ好みです。7曲という聴き疲れしない程度の長さも◎。

ブックレットのバッタはEXODUSの生首バンドショット以上のトラウマになりそうです(笑)

>学生メタラーさん

7曲なのに聴き応えのある良作ですね。
バッタではなくイナゴのようですが、いずれにせよ大量の虫の襲撃は本能的な恐怖を誘われますね(苦笑)。

七曲目は子供たちの合唱パートからゾクゾクしました。#5のヘヴィバラード?のような曲もいいですね。

もしMachie Headがもっと歌える専任ボーカル入れるとしても、
この音圧に負けずに歌うのはハードルが高いですよね。Judas Priestのカバーを聴いて、
「ラルフシーパースなら歌いこなせるかな」と思いましたが、ハゲが二人もいるとバランス悪いですね(失礼)

>B!13さん

このバンドが#5や#7みたいな、クサいほどにドラマティックな構築美あふれる曲をやったのは驚きでした。

ラルフならこのバンドの音圧でもパワー負けはしなそうですね。
ハゲは最近のHR/HM界では珍しくないので、別に気にするような問題じゃないと思います(笑)。