MASATOSHI “SHO” ONO / THE VOICE –STAND PROUD!

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GALNERYUSのヴォーカリスト、SHOこと小野正利による洋楽HR/HMカヴァー・アルバム。

「STAND PROUD!」シリーズの名前を冠してリリースされており、シリーズとしてはこれで通算5枚目となる。小野正利は3枚目以外には全て参加しているので、このシリーズのファンにとってはある意味おなじみだろう。

参加メンバーはSyu(G)、TAKA(B)、JUNICHI(Dr)、YUHKI(Key)というGALNERYUSの同僚を中心に、KENTARO(G)、TOSHI(B)、KATSUJI(Dr)というGARGOYLE組、ルーク篁(G)、MASAKI(B)、雷電湯澤(Dr)というCANTA組、そしてMASAKIも在籍する地獄カルテットの小林信一(G)という顔ぶれ。

どのメンバーもハイレベルなプレイヤーながら、かなりオリジナルに忠実な演奏に徹しているため、あまり個性は見えにくい。さらにヴォーカルが小野正利固定なこともあって、これまでのシリーズにあった「オムニバス感」は薄く、単一アーティストのアルバムを聴いているようで、それをどう捉えるかは聴き手次第か。

今回も好きな楽曲が多くてかなり楽しめました。HR/HM界の名だたるハイトーン・シンガーを擁するバンドはほとんど押さえているものの、ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)をの持ち歌にトライしていないのは1作目で「Exciter」を既にやっているからですかね。

ジェフ・テイト(QUEENSRYCHE)も外しているのはGALNERYUSの「VOICES FROM THE PAST III」で既に「Queen Of The Reich」をやっているから、でしょうか。

あとはマイク・マテアヴィッチ(STEELHEART)やマーク・ボールズ(YNGWIE MALMSTEEN, RING OF FIRE)あたりの楽曲も押さえてくれればほぼ完璧だったのですが(笑)。

以下は前回同様長~い全曲紹介。ご興味のある方だけどうぞ。



1. Lady Of Winter (CRIMSON GLORY)
今回一番マニアックな選曲かな? BURRN!誌のインタビューによると小野正利は昔やっていたバンド(イカ天にも出場したFORT BRAGGのことと思われる)で来日公演の前座をやり、本家の前でこの曲をプレイしたことがあるそうです(笑)。

オリジナルのシンガーであるミッドナイトはジェフ・テイト型の強力なハイトーン・シンガーだったので、小野正利の代名詞である「ハイトーン」のアピールとしての選曲なのか、それとも先日亡くなったミッドナイトへの一種のトリビュートなのか。

しかし何もアルバムの冒頭にこんな辛気臭い曲を持って来なくても…(苦笑)。
選曲はともかく、曲順にはちょっと異議あり、だなあ。もっとツカミのいい曲でアルバムを始めてほしいです。


2. Spotlight Kid (RAINBOW)
言わずと知れたRAINBOWの名曲。オリジナルのシンガーはジョー・リン・ターナーで、小野正利とは異なるタイプだが、この曲はジョーのようなソウルフルなシンガーより、ハイトーン型のシンガーの方が合いそうな様式系のスピード・チューンなので、これはこれでアリかと。


3. Tonight I’m Falling (TNT)
オリジナルのトニー・ハーネルもまた強力なハイトーン・シンガーとして知られる人物で、これも「ハイトーン」がテーマの選曲でしょうか。

このマジカルなまでにドリーミンな(意味不明)ハード・ポップの名曲を、オリジナルよりも軽やかに歌いこなしているが、ギター・ソロ直前のスクリームはさすがですね。

Syuによるエンディングのギター・ソロも聴き所。


4. Rock ‘N’ Roll Children (DIO)
HR/HMヴォーカルものとしてはやはりロニー・ジェイムズ・ディオは避けて通れませんが、RAINBOWでもBLACK SABBATHでもなくDIOの、しかもこのキャッチーな楽曲を持ってきた所が素晴らしい。

キャッチーといっても「Hungry For Heaven」や「Mystery」みたいな不自然にアメリカンな曲ではなく、ディオらしさのあるキャッチーさという意味でこの曲はディオが歌った楽曲の中で最高にキャッチーな魅力が映える曲で、選曲の勝利ですね。

ディオを歌うには小野正利の歌声はちょっと軽いのでは? と思ってましたが、思いのほかパワフルに歌いこなしていて、さすがプロだな、と。


5. Mighty Wings (CHEAP TRICK)
映画「トップガン」のエンディングに流れるテーマ曲。当時やや落ち目だった(しかしその後「永遠の愛の炎」の全米No.1ヒットで復活)CHEAP TRICKの曲だが、作曲は映画音楽を書いていた人のものなので、この曲がベスト・アルバムなどに入ることはない。

恐らくCHEAP TRICKのファンにとってはこの曲は全くバンドの持ち味が出ていない駄曲だと思われるが、個人的にはCHEAP TRICKの楽曲で一番好きな曲です(笑)。実際、メロディアス・ハードとしては素晴らしい完成度の楽曲だと思います。

「トップガン」って映画としてはしょうもない話だけど、音楽は最高にカッコいいですよね。


6. Never Surrender (LION)
RIOTに続くビッグ・イン・ジャパン・オンリーなバンド、LION(最近の人には現WHITESNAKEのギタリスト、ダグ・アルドリッチがいたバンド、と言わないとわからないんでしょうか?)の曲。

このバンドの代表曲というと「Power Love」というのが当時の一般的な評価らしいですが、後追いでアルバムを聴いた身としてはこの曲が一番カッコいいと思っていたので、こちらもこの選曲にニンマリでした(個人的には「トランスフォーマーのテーマ」も捨て難いですが)。

ただ、こうして一流のHR/HM名曲が居並ぶ中で聴くと、やっぱりB級バンドの曲だな…って感じてしまうのも正直な所。


7. Angel Don’t Cry (TOTO)
TOTOのアルバムの中で最もメロディアス・ハードっぽい作風の5th「ISOLATION」からのシングル曲。オリジナル・シンガーのデニス“ファーギー”フレデリクセンも素晴らしいハイトーンの持ち主だが、小野正利もおさおさ引けを取っていない。

というか、こういう楽曲のハマり方を聴いていると、やはりこの人は本来メタルというよりはAORが一番向いているんだろうな、という気がしますね。爽やかな歌声の持ち主なので。

現在となっては最高に時代錯誤な、壮大なポリシンセのサウンドを見事に再現するYUHKIのKeyも素晴らしい。


8. Stranded (AIRPLAY)
デヴィッド・フォスター(Key)とジェイ・グレイドン(G,Vo)というアメリカのポップ・ミュージック・シーンにおける裏方の大御所2人が、当時のAORブームに乗って結成したプロジェクト、AIRPLAYの楽曲。

アルバム1枚のみを残して活動を停止したこともあり、AORファンの間では伝説的な存在ですが、GALNERYUSで小野正利の存在を知ったような若い人にはあまり知られていないかもしれません。

イントロの一人多重コーラスがやはりインパクトありますね。MASAKIのベースはこんなバリバリのAORでさえ容赦なく弾きまくり(笑)。


9. Fool For Your Loving (WHITESNAKE)
言わずと知れた初期WHITESNAKEの代表曲。正直デイヴィッド・カヴァデールのようなディープでソウルフルな歌声の持ち主とはスタイルが違いすぎるので、どんなもんかと思っていたが、これが意外なほど様になっている。

というか、節回しのひとつひとつ結構歌い込んでいる形跡が見受けられ、ひょっとすると小野正利はこの曲が好きなのかも、と思いましたね。個人的にはもっとハード・ロック然とした「Children Of The Night」をカヴァーしてほしかったですが。

ただ、ギター・ソロは弾き過ぎじゃないですかね(笑)。オールド・ファンには不評なスティーヴ・ヴァイのバージョンを意識したんでしょうか。


10. I Want Out (HELLOWEEN)
まあ、マイケル・キスクもHR/HM界を代表するハイトーン・ヴォーカリストなので、小野正利のハイトーン・シンガーとしての資質を意識した選曲がなされていると思しき本アルバムでHELLOWEENの楽曲が選ばれているのはわからなくもない。

ただ、ちょっとこの曲における小野正利の歌唱にはいささか「やっつけ仕事」を感じてしまったというのが正直な所。

一応所々マイケル・キスクっぽい歌い回しを意識している節は感じられるのですが、先の「Fool For Your Loving」で感じたような原曲に対する愛、みたいなものが感じられなかったんですよね。まあ、それは私がHELLOWEENを愛し過ぎているが故の「温度差」で、普通に聴けば他の曲と同様、優れたカヴァーなのだと思うのですが。

まあ、それでもとりあえずSONATA ARCTICAがカヴァーしたバージョンよりは良いと思います(笑)。


11. Lovedrive (SCORPIONS)
「STAND PROUD!」の1作目では「Blackout」を、前作4作目では「We’ll Burn The Sky」を、そしてGALNERYUSでは「Rock You Like A Hurricane」を歌っていたので、小野正利の歌うSCORPIONS音源を聴くのはこれで4曲目。

他の曲についてはこれまでカヴァー音源を発表したことのないアーティストを意識していると思われるのにSCORPIONSだけは例外となっているのは、(私もそうですが)皆それだけ小野正利の声がSCORPIONSにハマっていると感じているということなんでしょうね。

当然ながら本テイクも秀逸ですが、なんでSCORPIONSの十八番であるバラードには手を出さないんでしょうね?


12. Open Arms (JOURNEY)
いかにも大団円なこの選曲(笑)。小野正利はオリジナルのスティーヴ・ペリーほどハスキーな声の持ち主ではありませんが、当然無難に歌いこなしています。

ただ、やっぱりちょっとこの選曲はベタ過ぎかなぁ(笑)。


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コメント

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ほんと器用ですよね。あざといモノマネでもないし。
ディオとか意外とそれっぽく歌えているのが驚きでした。

買おうか迷いましたが、僕が今まで聴いたメタル曲の中でTOP5に入るくらい好きな「I Want Out」が収録されてるので勢いで買ってしまいました。
原曲を知ってたのは#4#9#10#12だけでしたが、#2とか#8はとてもカッコイイ曲ですね。Syuのやつと同じように原曲知らなくても楽しめたので良かったです
#5をきくために改めて「トップガン」見てみようと思います

ラウパ楽しんできてください^^

>naokiさん

そうですね、正直ここまで器用なシンガーだとは思っていませんでした。
TVのモノマネ番組で培った技術が生きているのかどうかわかりませんが、決して安っぽいモノマネではない所が素晴らしいですね。

>B!13さん

カッコいい曲が多いですよね。
「トップガン」は映画は観なくてもいいですが、サントラはぜひ一度聴いてみてください。他にもいい曲が結構ありますので。

ラウパはめいっぱい楽しむつもりです。ありがとうございます。

ガルネリの新譜結構良かったです。
初期の頃のネオクラ要素が戻ってきてますね。
個人的にもうちょい全編通して疾走する様な分かり易い楽曲も欲しかったですね。

このアルバムまだ買ってないのですが、評判良さそうですね。
小野さんならミケーレ・ルッピなんかもハマりそうです。
去年のSyuのアルバムはかなり良かったです。

本家サイト見てきましたが、GALNERYUSの新譜点数高いですね^^
実際良いアルバムだと思います。

特に後半が素晴らしいですね~

このアルバムも聴いてみようと思います。

>学生メタラーさん

まあなんだかんだ言って単純な疾走曲が一番盛り上がれたりしますから、そういう曲は今後も期待していきたいですね。

ミケーレ・ルッピは有名曲がないからこの手の企画では取り上げにくいでしょうね…。
「STAND PROUD!」シリーズはどれも良いのでオススメです。

>yu-kiさん

実質ガルネリのメンバーでプレイしている曲もあるので、ぜひ一度聴いてみてください。

初めまして

前からよくお邪魔してましたが、コメントなどをさせていただくのは初めてのりょうといいます。
音楽の好みが非常に私とかぶっており、新譜購入の際は参考にさせていただいています(^^)
さて、昨日、ガルネリウスShu&Shoのミニライブに行きましたが、やはり上手いですね。小野さんなんかあの声量で高い声だして、全く声枯れないんですから驚きです。
ライブは、ガルネリウスの新譜から3曲、カバーアルバムから3曲演ってくれました。
今回のカバーアルバムはとても楽しみにしてましたが、期待に応える内容だと思います。ただ選曲は、?の部分もありますが(^^;;個人的にはジューダスやヴァンヘイレン、ヨーロッパ、ファイヤーハウスなんか聴いてみたかった
ですね。
ではまたお邪魔しますので、どうぞよろしくお願いします(^O^☆♪

こんばんは。

こんばんは。僕も、このアルバムはGALNERYUSのアルバムと一緒に買いました。
"Spotlight Kids"だけは何だかリズムが走り過ぎに感じてしまいあまり楽しめなかったですが、他は十二分に楽しめました。今後、小野さんはメタルを中心にしつつ活動していくものと思いますので、是非Part2もお願いしたいところです。RHAPSODYとかSONATA ARCTICAとかを是非カヴァーして欲しいですね。

>りょうさん

はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。コメントはお気軽に。

小野さんはプロフェッショナルですから声を枯らすようなことはよほど不調でない限りないでしょうね。

選曲についてはいろいろ意見があると思いますが、個人的にはメジャー曲と「隠れた名曲」のバランスがいい、まずまずの選曲だと思ってます。

>ピッペンさん

「Spotlight Kid」はガルネリのファン向けに意図的に速くしたのではないかと(笑)。

RHAPSODYやSONATA ARCTICAも小野さんであれば歌えるでしょうけど、なんとなく小野さんはその辺のバンドにはあまり思い入れがなさそうな気がします。

330

CRIMSON GLORYのミッドナイト、亡くなわれてしまったのですね(泣)。

その昔BURRN!!で80年代の名盤特集で紹介されているのを見て、直ぐに中古レコード店に1stと2ndを買いに行きました。

CRIMSON GLORY、曲もVoもジャケットも良かったのに、ついでにBURRN!!のレビューの点数も高かったのに、売れなかったのはせつないなぁ。

やはり3rdの路線変更がまずかったのか(-_-;)。

...仮面のせいではないと思うのだが(笑)。

>ゆうていさん

ミッドナイトが亡くなったのは結構前ですね。
個人的な思い入れがほとんどなかったのでこのブログでは取り上げませんでしたが…。

CRIMSON GLORYが売れなかったのは、BURRN!のレビューが異常に良かった(97点とかでしたよね)割には楽曲が日本人好みではなかったせいではないかと個人的には思っています。

もちろん仮面がイロモノ感、B級感を醸し出していたのも確かだと思いますし、3rdの路線変更があまり好意的に受け止められなかったことも事実だと思いますが。