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ワーナーミュージックジャパンにメロディック・スピード・メタル専門レーベルが発足

大手外資系レコード会社、ワーナー・ミュージック・ジャパンがこの度メロディック・スピード・メタル専門レーベル“a quarter century flame”の設立を発表しました。

レーベル名にある「quarter century」、つまり「四半世紀」とは、メロディック・スピード・メタルのパイオニアとされるHELLOWEENがそのスタイルを確立し、ジャンルの幕開けを告げた名作「KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part I(邦題「守護神伝 第一章」)が発表された1987年から来年で25年を迎えることに由来しているそうです。

他社に所属するアーティストに由来するレーベル名とはまた大胆ですな。
いやまあ、そのリスペクト精神は買いますが。

ワーナー・ミュージック・ジャパンといえば、かつて「Atlantic」や「Elektra」といった名門レーベルを擁し、80年代HR/HMブームを牽引したレコード会社。

アメリカのメジャー・レーベルゆえに、アメリカで売れないバンドは契約を切られるため、90年代のグランジ/オルタナ革命以降は、DREAM THEATERやMR.BIGなどわずかな例外を除き、HR/HMとは(いや、BURRN!誌とは、と言うべきかな)ほぼ無縁のレコード会社になっていました。

しかし、アメリカでのメタル復権の流れを受け、2006年末に「Roadrunner Records」をアメリカのワーナー・ミュージック・グループが買収した辺りから風向きは変わってきていました。

今年、ワーナー・ミュージック・グループではない「Nuclear Blast」所属のHAMMERFALLの新作国内盤がワーナー・ミュージック・ジャパンからリリースされた時点で「あれ?」と思っていましたが、今思うとこの動きの伏線だったのかもしれませんね。

プレス・リリースでメロディック・スピード・メタルのことを“MSM”と表記しているのはなんだかビミョーな感じですが、まあ、「メロスピ」というのは元々(たぶん)2ちゃんねる上で、一種の蔑称として誕生した略称ですから、それとは異なるちゃんとした(?)略称としてこのMSMという言葉を普及させよう、という崇高な理念に基づいてこういう表記をしているのかもしれません。

ただ、現時点では「MSMレーベル」という字面を見て「メロディック・スピード・メタル・レーベルの略だね☆」と一発で理解できる人はそう多くないのではないかと思います(苦笑)。

そのうち「俺ってエムエスエムが好きでさー」なんて発言を耳にする時代がやってくるのでしょうか。

そしてこのレーベルのロゴがコレ↓ですが。

aqcf_logo.jpg

なんかこう、ドクロってのは確かにヘヴィ・メタルの象徴的なイメージの一端を担っている気がしますが、ことメロディック・パワー・メタルに関してはなんかちょっと違う気も。

しかしそれも、従来のイメージ通り、剣だのドラゴンだのといった、ファンタジーっぽいモチーフを使ってしまうと「メロスピ=オタク向けの音楽」というイメージから抜け出せないことを憂慮し、あえてこういう汎メタル的(って何だ)イメージのロゴデザインにしたのかもしれません。

ただ何と言うか、12月21日に発売される第一弾アーティストがウクライナのCONQUESTってのはどうなんでしょう。
あまりにもマニアックすぎるような…。

しかも税込2,800円って、価格設定が高けーよ。
キングレコードやAVALONの2,700円でさえ高いな、と思っていたのに。

この価格では私のような日本でのHR/HM振興や来日公演の増加を願って、カンパのような気分で国内盤を買うように努めているようなファンしか手が出ないのでは。

きっと社内にやる気がある人がいて発足したレーベルではないかと推察しますが、外資系だけに成果が出ないとすぐに切り捨てられるのではないかと思われ、HELLOWEENやANGRA、DRAGONFORCEくらいのセールスが見込める「核」となるバンドがいないと厳しいんじゃないですかね。

しかし最近、同じく外資系メジャー大手のUNIVERSALでも鋼鉄倶楽部やらNWOUHMやら、メタルをフォーカスしようという動きがありますし、音楽業界的には再びメタルで商売しようという流れなんですかね。

そういう意味ではたしかに、日本コロムビアがNUCLEAR BLAST日本法人のディストリビューターになったり、EMIミュージックジャパンがハイドラント・ミュージック(このレーベルはHR/HMというよりもう少し広義のヘヴィ・ロックを扱っていますが)のディストリビューションを手掛けたりと、ここ1、2年そういう動きが顕著になっている観はありますね。

欧米では5年くらい前からメタルの商業的な意味での復興が顕著になっていましたが、やはり日本の洋楽市場というのは欧米の5年遅れくらいの感覚で動いているということなんでしょうか。

ただ正直な所、今の日本でビジネスとして成立するくらいの売上が見込めるHR/HMバンドの数というのはそんなに多くない気がします…。

まあ、これで少しでもメロディック・スピード・メタルがメジャーになるならそれは喜ばしいことですが、メロディック・スピード・メタルをずっと愛してきた人間にとっては「10年遅いよ」ってのが正直な気分ですね。

◆a quarter century flame 公式サイト
http://aquartercenturyflame.com/

◆ニュースソース
http://www.werockcity.com/2011/11/39813.html
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コメント

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たしかにバンドロゴちょっとイメージ違うような(苦笑)
この手のバンドは世界に星の数ほどいますが、クオリティの高い若手バンドはごく少数ですよね。有望なバンドはAVALONやメタル・フロンティア、スピリチュアルビーストの3レーベルが独占してますし。
DERDIAN、OPERA MAGNA、INSTANZIA辺りが日本盤出てないので出して頂けると嬉しいです。今後の展開に期待します。

Amciemt Bardsの新譜がここから出ればいいのに。

確かにHAMMERFALL国内盤が伏線だったようです。
ドクロもあまり好かないですね。

ちなみにそのHAMMERFALL国内盤も未開封で手に入れました。新品と同じでケースは綺麗です。
レビューで叩かれてたので購入を躊躇してたけど、ちょうど例のディスク・ユニオンにあったので買ってみたというわけです。聴いてみたらそんなに悪くなかったです。
HELLOWEENも「GAMBLING WITH THE DEVIL」は国内盤が初回のみデジパックだったけど、その前の、「KEEPER~ -THE LEGACY」の音楽性に嫌気が差して、「GAMBLING~」は躊躇してたけど、意外に売れていて早めに通常盤に切り替わったので買えた…、というわけです。だから今度も通常版欲しいと思って…(苦笑)。
ただデジパックが好きではないのは確かですが、GAMMA RAYのリマスターや一部はデジパックなので持ってます。STORATOの最新作もステッカー欲しかったのでデジパックです。

DRAGONFORCEっぽい(?)レーベルのロゴが何かイマイチ・・・w。イメージしにくいレーベル名も何だかなぁって感じが。
値段も確かに高いですよね、最近はただでさえ値上がりで手が出しにくくなっているのに。

なんだかパッとしないロゴですねえ・・・

いつも思っているんですが日本盤ってどうしてこんなに高いんでしょうね

こんばんは

完全に後追いなんですが、メロスピ(MSM)が大流行したのって2000年あたりですよね?
だからやっぱり「10年遅いよ」ってのは的を得てますね。

レーベルとレコード会社って、どちらが主でどちらが従なんですか?
アホな質問ですいませんが、お時間あるときでいいので教えて下さい<m(_ _)m>スイマセン(汗)

ロゴの右下に七つの鍵があるのがちょっとうれしいです笑

メロスピ愛に満ち溢れた社員がワーナーにはいるんですねー
ブームが過ぎ去ったジャンルの専門レーベルなんて、よく上層部を説得できたなぁと思いました

まず、自分が「タダで音源が聴ける」と喜んでadoreさんにも勧めてたConquestがまさかのメジャーデビューってことに驚きですなww
好きな地下アーティストがメジャーで評価されることは、喜ばしいですけどね。まさかこいつらに着目してくるとはww

しかしロードランナーを買収しているとはいえ、ここ数年メタル市場から遠ざかっていたワーナーのレーベル設立に、いかほどの威力があるかは微妙なところかな……と考えてます。
最悪、Wicked World Recordsのような立場になってしまうのかなあという気がしますね。

まとめてお返事

>学生メタラーさん
ワーナーの資本力で他レーベルの有望バンドを引っ張ってくる、という方法があるかもしれませんね。
DERDIAN、OPERA MAGNA、INSTANZIAクラスのバンドを地道に発掘しているだけではビジネスとして成り立たない気がします。


>へたれ学生さん
SPIRITUAL BEASTに何か恨みでも?(笑)


>ストラディキャスターさん
HAMMERFALL新作、別に悪くはありませんが、過去と比べて良い、とは言えないのが微妙なんですよね。
欧州であれば彼らが「核となるバンド」になりえるんでしょうが、日本ではキツいですね。


>ハルディンさん
たしかに微妙にDRAGONFORCEっぽいロゴですね。
お金のない学生だった頃、洋楽のひとつの魅力は邦楽より安い、ということもあっただけに、最近の価格設定は若者にとって厳しいですね。


>中禅寺巽さん
値段が高いのは産業構造の問題でしょうね。
崩壊しつつある産業構造ですが…。


>B!13さん
客観的に見れば「大流行」というほどではありませんでしたが、2001年ごろのメロスピ・フィーバーはファンにとってはかなりのものでした。
あの時代がなければこのサイトも生まれていなかったと思います。

レコード会社とレーベルの主従、というのは何を持って主と呼び、従と呼ぶかによって微妙な所ですが、一般的にはレコード会社傘下のレーベル、という風に形容されるので、レコード会社が「主」であり、レーベルが「従」というのが資本主義社会における認識ではないでしょうか。


>handiさん
あ、ホントですね。こんな所にまでHELLOWEENへのオマージュが(笑)。
HELLOWEENの引き抜きを真剣に狙っているのかもしれませんね(笑)。


>高見沢さん
今はバカ売れするアーティストというのがほとんどなくなったので、こういう固定客のついているジャンルを地道に押さえていくことで売上を積み上げようという考えなのかもしれませんね。


>cthuさん
そういえば以前オススメしていただきましたね(笑)。
まあ普通の人はあまりレコード会社がどうとか、レーベルがどうとか気にしていないと思うので、どれだけいいバンドを引っ張ってこれるか、が全てだと思いますが。

三銃士と平清盛

ワーナーミュージックのジャーマン藤井さんあたりが絡んでいるのではないですかね。解説で和田誠氏の出番が増えるかもしれません。まぁ良い事だと思いますが、値段がね。本来は税込で2500円くらいが妥当かと、、、根拠はないです。ただし私は買いますよ。BURRNも1800円くらいまで上がっても買います。たいして金は持ってないけど(笑)
今月も結局CD結構買ったな~(苦笑)
来月はかなり抑えます、目標3枚(予定)
後半はアルマー、アンテリア、RIOT、ゴールデン・レザレクション、ナイトレイジ、メガデス、アレサナと怒涛の購入ラッシュでした。
アンテリアは視聴した時がピークでした。でも悪くは無い。
帯にはニューエイジ・メタル、解説にはスラッシュ、メタルコア、ブルータル性等色々な言葉が飛び交う。
アルマーは好みの展開では無かったけど良かった。
でも次の作風も同じ印象を受ければ買わないかも。けど今回はかなり好き。
RIOTは確かに「THUNDERSTEEL」を踏襲した素晴らしい作品でした。次作も同じメンバーでやってくれるのなら是非ホーン・セクションも復活させて下さい(嘘です、でも個人的にあれは嫌いでは無い)
ゴールデン~、もっとネオクラ色バリバリの浪花節が聞けると思ってたのですが、比較的落ち着いた曲調で、それは少し前のDIVINE FIREの新譜でもシンフォ・ブラックのような激しい音色を期待していたが、それほどでも無かったのと同じ。リベルに名前戻してくれ(関係ないですね)
ナイトレイジは良作です、ただしキメ曲に欠ける。
アレサナ→ポストハードコア、スクリーモ、メタルコア等アンテリア同様解説に色々な言葉が飛び交う。
新世代はハイブリッド色が好きなようですね。レーベルの戦略なのでしょうか。今後その逆風で復古主義の時代が来るかも。
メガデスは一見、落ち着いた曲調が目立ちますが、聴きこんでいないのでなんとも言えません。ムスティンの最近の爽やかな服装と関係があるのでしょうか(無いですね)
話は変わり、ワンピースの最新刊、次郎長三国志(映画)、任侠か、、、うーん、そういうのってどうなのかな。
浪曲も好きだけど、このサイトではレビュー無いですよね(竹山の三味線とかも)

>フィンさん

ユニバーサル・ミュージックの価格設定が適正価格ということですね。私も同感です。
BURRN!の上限価格が1800円という根拠は興味深い所ですね(笑)。

当サイトに浪曲や津軽三味線のレビューが期待されているとは思いませんのであしからず。

“メロディック・スピード・メタル”とは言えないでしょうが、MANOWARって今日本での契約がないと思うので、ワーナーから出してくれませんかねえ。(このレーベルからじゃなくてもいいので)

>OBさん

MANOWARは「ATLANTIC」在籍時にワーナーから日本盤を出していたんですけどね。
まあ、彼らくらいのバンドであれば、実際にアルバムを作りさえすればどこかのレーベルがリリースしてくれる…はず。