STEEL PANTHER / BALLS OUT

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80年代ヘア・メタルのトリビュート・バンドとして全米のセレブたちの間で大人気(らしい)のSTEEL PANTHERのセカンド・アルバム。

あまりの人気に元々出演していた『Key Club』のキャパでは収まらなくなり、月曜はウエスト・ハリウッドの『House Of Blues』、木曜日はラスヴェガスの『House Of Blues』、金曜日にはやはりラスヴェガスの『The Green Valley Ranch』と興行の規模を拡大し、全米のみならず、全世界からの観光コースの中に彼らのライヴ体験が組み込まれるほどの大人気ぶり。

とはいえ元々カヴァーで人気を獲得した彼ら、前作「FEEL THE STEEL」も全米98位と大したセールスではなかったし、オリジナル楽曲で勝負するのはツラいんじゃない? と思っていたら、本作は全米TOP40入りと、ハリウッド・セレブ限定のローカル人気だったのが全米規模に広がる勢いだ。

前作は彼らがMETAL SHOPやMETAL SKOOLと名乗っていた時代のマテリアルを含む、10年に及ぶキャリアの集大成的な作品だったが、本作はオール新曲である。

だからというわけでもないと思うが、L.A.メタル調の曲から正統派メタル風まで幅広い楽曲が収められていた前作に比べると、よりアメリカン・メタル然とした楽曲に焦点が絞られていて、前作よりも統一感がある。

有名コメディアン、ディン・クックのナレーションをフィーチュアしたイントロダクションの#1に続く#2「Super Sonic Sex Machine」のイントロで、このリフであればドラムはこう入ってくるに違いない、という予想通りに入ってくるドラムを耳にした時点で思わずニンマリ。

勢いのある曲からグルーヴィーな曲、比較的落ち着いて聴かせるタイプの曲までソツがない。前作ほどあからさまな有名バンドの有名曲のパクリ(オマージュ?)は少なくなっており、「それっぽい」「聴いたことがあるような」パートは随所に登場すれど、パクリにうるさい諸兄が眉をひそめるような要素は影を潜めている(#9のサビなどは割とまんま「Cherry Pie」だが、これは先日急性アルコール中毒で亡くなったジェイニー・レインへのトリビュート…かもしれない?)。

個人的な趣味はどうあれ、楽曲の質、アレンジ力、演奏力、サウンド・プロダクションともに間違いなく「プロの犯行」で、往年のヘア・メタル・バンドがリリースしたアルバムでこれほどの完成度に達したアルバムはそう多くないに違いない。

歌詞は相変わらずお下劣極まりない下ネタ路線で、きっと私の英語力がネイティヴだったらこれほど素直に音楽だけを楽しめたかは疑問(笑)。#3「Just Like Tiger Woods」なんてタイガー・ウッズに訴えられないのか?(B!誌のインタビューによるとタイガー・ウッズも彼らのファンとのことだが…ホントにぃ?/笑)。

こういう企画モノっぽいバンドのオリジナル曲に対する需要がどこまであるのかについては未だに懐疑的な私ですが、現在来日中のDEF LEPPARDや先日来日したMOTLEY CRUE、もうじき来日するAEROSMITHの前座などでこのバンドが出たら、きっと盛り上がるだろうなあ、という気がします。

なお、#6「It Won’t Suck Yourself」にバック・コーラスでチャド・クルーガー(Vo:NICKELBACK)、ギター・ソロでヌーノ・ベッテンコート(G:EXTREME)がゲスト参加しています。【83点】

◆本作収録の「Super Sonic Sex Machine」のライヴ映像



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コメント

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この人たちがBURRN!でカラーで載ってるの見てやっぱりこういう派手なルックスのバンドはカラーだなって思いました。
僕は80年代のLAメタルのアルバムを聴くと「サウンドが古いな」とか思うんですが、
「今のバンドが80年代リバイバルの音楽をやってる」とカッコイイって思うので僕的にこれはアリです。
タイガーウッズかわいそうですが(笑)

催促したみたいですみません

おおらかな(イメージの)アメリカ人ならではのバンドってかんじですね。こんなに下ネタ満載のバンドは日本ではうけないでしょうねきっと
動画サイトを見ればたくさんあるんでしょうけど、彼らの本業(?)の80`SメタルカバーをボーナスDVDでつけてほしかったかな

>B!13さん

この手のバンドがモノクロだとうら悲しいですよね(笑)。
タイガー・ウッズはこのバンドがネタにしたくなるくらいのナイトライフを堪能しているんですから、このくらいかわいそうでもなんでもないでしょう(?)。

NOV-LYNNさん

どういたしまして。
確かにムッツリの多い(私もです/笑)日本ではここまであからさまな歌詞のバンドは受け容れられないでしょうね。

私もぜひそのDVDは観たいですが、そんなものをリリースしてしまったら、彼らの「本業」である(?)ショウの価値が薄れてしまうんじゃないですか?(笑)

レビューされているRECKLESS LOVEをはじめとして、北欧等から80年代ヘアメタルにインスパイアされたバンドが出てきていますけど、やはり“本場もの”は漂ってくる体臭が違いますね。

この人たちはキャリアがかなりあるので、あの時代の空気を実体験として知っていて、かつ客観的にエンターテインメント化できるだけの賢さもあるようで、曲作りにもそつがなく、かといって嫌味も感じさせませんね。あと“アメリカ英語”もこの手の音楽をカッコよく聴かせるのに大事な要素なのかなとも思ったり。

遠く離れた北欧ほどには当のアメリカから“Sex, Drugs And Rock N' Roll”なヘアメタルに影響された若いバンドが出てこないのは、
アメリカの現代の若者にとって物理的にも精神的にも距離が微妙に近くて「見てる分にはいいけどやりたくはないな」って感じなのでしょうか。

となるとますますこのバンドの希少性が高まることになるので本作も楽しんで聴きたいですね(でも今のところは前作の方が好きかも)。

>OBさん

そうですね。やっぱりこういう音は「アメリカの音」なんだろうと思いますし、それでいてアメリカ人にとっては(どちらかというとネガティヴな意味で)「過去の音」なんだろうな、という気がします。

ただ、このバンドはそのネガティヴな部分もエンターテインメントに昇華させているあたりが上手いな、という感じですが。
私もどちらかと言えば前作の方が好きですね。