LOVE. MIGHT. KILL / BRACE FOR IMPACT

lovemightkill01.jpg

METALIUMやFIREWINDのメンバーとしての来日経験があり、ウリ・ジョン・ロートやヴィニー・ムーア、キー・マルセロといった一流ギタリストのバック・バンドとしての活動歴もある実力派ドラマー、マイケル・エーレ(Dr)を中心としたHR/HMバンドのデビュー作。

ギター隊は1991年にデビューしたCROSSROADSのギタリストだったステファン・エラーホルストとクリスティアン・ストーヴァという、マニアの方には「!」と思わせる面子。

本作はBURRN!誌のレビューで広瀬編集長から91点という高得点を獲得しているが、個人的には広瀬編集長の高得点に対してはもはや第一次世界大戦後のドイツにおけるインフレに近い印象を持っており、「どうせそんなに良くないんだろう」と高を括って聴いてみたが、これが結構良くて驚いた(とはいえ91点というのはやはり「盛り過ぎ」だと思うが)。

ミドルテンポの#1で幕を開けた時点では、「ふむ、まあ意外とスケール感はあるけど、ちょい地味かな…」くらいに思っていたが、まるでメロディック・パワー・メタルかと思うようなスピード・チューン#2で身を乗り出し、フックあるリフと、哀感に満ちたキャッチーなサビが中毒的な魅力を放つ佳曲#3で脱帽でした。

RAINBOW、WHITESNAKE、JUDAS PRIEST、DIOといったオールド・スタイルのバンドから影響されているというそのサウンドは、その言葉通り王道感のあるHR/HMだが、アレンジが良く練られていてモロに元ネタが割れることもなく、単なる懐古趣味のハード・ロックにとどまらない現代的な魅力を放っている。

#2、#5、#9といったパワー・メタル的とすら言える勢いのある楽曲がアクセントとなり、アルバム全体にメリハリを生んでいるのも、私のように「ハード・ロックよりメタルが好き」というタイプのリスナーにとっても集中力を切らすことなく聴ける要因となっている。

Voは当初ドゥギー・ホワイト(元RAINBOW, YNGWIE MALMSTEEN他)が想定され、楽曲の共作なども行なっていたようだが、契約の獲得に難航したこともあって結局加入には至らず、かつてマイケル・エーレがキー・マルセロ(G:元EUROPE)とイタリアをツアーした際に飛び入りしてEUROPEの名曲「Rock The Night」を歌ったことがあるジャン・マネンティという無名のシンガーがVoを務めている。

このジャンがなかなかの逸材で、トニー・マーティンを思わせる堂々たる歌唱がこのサウンドの「王道感」を見事に演出することができているのもこのバンドの強み。

というわけでなかなかに優れた正統派HR/HMアルバムなのだが、ふとシーンを見回してみると、この手の音楽性で一線級の活動をしていると言えるのはわずかにWHITESNAKEくらいのもので、かつて少なくとも日本では「王道」と言われたこの手の音楽はもはや絶滅危惧種。

この手のサウンドのファンは未だに「ブリティッシュ」へのこだわりを捨てきれない人が多く、大陸ヨーロッパのバンドを「B級」と見做す傾向が強いため、ドイツを拠点とし、イタリア人シンガーをフロントマンとするこのバンドがどこまで支持を得られるかわからないが、個人的にはこういうバンドには頑張って麗しきハード・ロックの伝統を守ってもらいたいなあ、と思います。【84点】

◆本作収録「Pretty Little Mess」のPV [YouTube]


◆本作のトレーラー映像 [YouTube]

1:58~あたりで映し出されるCROSSROADS時代のギター隊2人の映像が何とも時代を感じさせていとをかし。


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

EUROPEっぽい。

このPVを観た限りですが。

サウンドは「ブリティッシュHR/HM系」で良いんじゃないかと思います。
ただ、メンバーのルックスが少々残念な感じですね(苦笑)

それにしても、広瀬氏のレヴューは毎度の事ながら信用できませんねぇ。

>メタライヴさん

この曲はかなりキャッチーな部類の曲なので、全体的にはEUROPEよりは骨太な感じですかね。

メンバー、特にギター隊については80年代からキャリアをスタートさせているかなりのベテランで、恐らく現在音楽で生活はしていないと思われるだけにやむをえないかと…。

広瀬氏の85点超えのレビューは基本マイナス10~15点くらいで見るとちょうどいいことが多いですね。
本作は割と誤差が少なかったですが(笑)。

B!誌はハイドラント・ミュージックのアーティストにはやたらと高得点付ける場合が多いですよね、しかもドでかいカラーの広告付きで(笑)
最近は羽田さんかjun kawaiさんのレビュー以外信じられなくなりました(苦笑)
他の方は例え内容が伴ってなくてもベテランやお気に入りというだけで90点以上付ける人ばかりで…でも、たまに当たりがあるから困る(苦笑)
このバンドは良いですね。

>学生メタラーさん

いやいや、カラーの広告が出ているから高得点が付くんです(笑)。
でもまあ、どんなレビューであっても、全く情報がないよりはマシだと思いますよ。なんだかんだ言ってB!誌のレビューは買うアルバムを決める大きな判断基準になっています。

それに私もベテランはともかく、お気に入りのバンドには高得点をつけますよ。
高得点をつけたくなるようなバンドだからお気に入りになる、というのが正しいのかもしれませんが。

とりあえず、おっしゃる通りこのバンドは良いです。

このバンドはいいですね。マイケル・エーレ(Dr)ですか。最近FIREWIND界隈だとボブ・カティオニス(Key)×マース・クロス(Dr)も一足先にデビューしてますよね。こういったプロジェクトはいいアイデアだと思います。

俺も広瀬編集長の採点に関しては疑問を持っていました。特にティモ・トルキとのやり取りはこのサイトでも取り上げてましたよね。そんなティモ・トルキの新バンドSYMFONIA「IN PARADISUM」に88点付けたぐらいですから。STRATOVARIUS「VISIONS」は80点そこそこだったのはやはりおかしいですよね(笑)。
でも結局点数なんて極端に言えば"その時の気分"で付けてるようなものなので、"気に入るかどうか"はリスナー次第でしょう。

わたしも何となく最近のヘヴィロテでLMKを聴いています。このヴォーカリストが妙に聴かせるんです。わたしはStranger In Us Allの出来からドゥギー・ホワイトにはあまりいい印象を持っていないのですが、このバンドには彼じゃなくてむしろよかったのではないでしょうか。

それにしても、このバンドはメタルじゃなくてハードロックなんですね。ヘヴィネスとかラウドネスの点から言えば、メタルを名乗っているKAMELOTよりはるかに「メタル」だと思うんですが……まあ楽曲と演奏さえよければ、ジャンルなんてどうでもいいですね!

>ストラディキャスターさん

人間がレビューする以上、ある程度「そのときの気分」に左右されるのは避けがたいことだと思います。
もっとも「仕事」としてレビューをする人は極力それを排する努力を怠ってはならないとも思いますが。

>Endeさん

このシンガーは往年のトニー・マーティンっぽくて私も好きです。

ハード・ロックかヘヴィ・メタルかってのは人によって意見の分かれる所かもしれませんが、個人的には横ノリのグルーヴを持った曲が多いので、基本線はハード・ロックだと思いました。
速い曲はメタリックなので一概には言えませんが。

> この手のサウンドのファンは未だに「ブリティッシュ」へのこだわりを捨てきれない人が多く、

若手というか、現役のハードロックバンドで「ブリティッシュ」出身というのは何がありますかね? イギリスならTHE ANSWERを思いつきましたが、彼らはアイルランド出身だから厳密には「ブリティッシュ」ではありませんね。THE DARKNESSとかですか(笑)。

>Endeさん

イギリスでは80年代中期以降既にHR/HMは壊滅状態でしたから、オールド・ファンがこだわる「ブリティッシュ・ハード・ロック」というのは主に70年代のスタイルですね。

イギリスからはもうこの手のバンドは出てこないんでしょうか。
THE DARKNESSの後も続きませんしね。