W.ANGEL'S CONQUEST / IV

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先日このブログでも取り上げた、ワーナー・ミュージック・ジャパン内に設立されたMSM(メロディック・スピード・メタル)専門レーベル“a quarter century flame”第一弾リリース作品となるウクライナ出身の5人組MSMバンド(イマイチなじめない…)の日本デビュー作。

1997年にウクライナの都市ハリコフで結成され、当初はメジャー感覚のハード・ロックをプレイしていたものの、幾度かのメンバー・チェンジを経てメロディック・スピード・メタルへの方向性をシフトチェンジ。

2001年に発表されたファースト・アルバム「ENDLESS POWER」をロシアの「IROND REC」からリリース、当時日本ではちょっとした「メロスピ・ブーム」が起きていたこともあり、一部マニアの間で話題になった。

2005年に2nd「FROZEN SKY」を「MUSICAL HALL DESTRIBUTION」から、2009年には3rd「EMPIRE」を「METALISM」からリリース。現地ウクライナやロシア、ポーランドなどのイベントなどを中心にライヴも行ない、RAGEやSABATON、SIRENIAといったバンドの前座も務めた経験があるようだ。

アルバムごとのリリース間隔が長めで、アルバムごとにリリース元が変わっていることも、これまでの彼らの活動が平坦なものではなかったことを物語っていると思うが、さすがに曲がりなりにも10年以上のキャリアを重ねてきただけあり、通算4作目となる本作で聴かれる演奏力やサウンド・プロダクションなどはウクライナという「辺境」出身のバンドにしては安心して聴くことができるものになっている。

ただ、「ウクライナ出身」という希少性というか物珍しさのファクターを外して客観的に評価すると、とりあえず日本盤が出てもおかしくないクオリティはどうにか確保しているものの、正直傑出した所はなく、輝かしきMSM専門レーベル船出の一作としては少々物足りない仕上がり。

全体的な印象としては「薄味のSONATA ARCTICA」といった感じの流麗なヴォーカル・メロディを核としたメロディック・パワー・メタルで、まあ日本人好みと言ってもいいサウンドではある。

ただ、所々印象に残るメロディや、期待させるイントロが出てきて「オッ」と思わせるものの、全体として煮え切らない観は否めない。

正直速い曲については今回なぜだか初期ほどの煽情力がなく、本作ではむしろ北欧メタルに通じる哀愁のメロディ・センスを生かしたバラードやミドルテンポの楽曲の方が出来が良い。

そしてマイルドな声質を持つVoは初期よりだいぶ上手くなったものの高音域が弱く、Drもあまりパワー・メタルに適性のあるセンスの持ち主ではなさそうなので、あまりスピード・メタルのスタイルに固執しない方がいいかもしれない。

とはいえ、そうなるとMSM専門レーベルとしては困るのかもしれないけど(笑)。
てか、こうして「メロディック・スピード・メタル専門」と謳っているわけですが、所属バンドがよくある「音楽性の変化」を望んだ場合どうするのでしょう? 

契約に当たって「音楽性を変えないこと」とか、「アルバムの平均BPMは160以上」とか、そういう「縛り」を入れていたら面白いですが、アーティストとしては窮屈でしょうね(笑)。

なお、蛇足ながら、本作リリースに先立ってバンド名を「CONQUEST」から、中心人物であるW・エンゼル(Vo, G)の名前を冠した「W.ANGEL'S CONQUEST」に変更している。

本作のレコーディング中にギタリストとベーシストが交代したことが影響しているのではないかと思われますが、他のメンバーとしては「一人だけ目立ちやがって」という気持ちになりそうだし、マーケティング面でも特に知名度があるわけでもない人物の名前をフィーチュアするメリットというのはほとんどない(むしろバンド名が長くなって覚えにくくなるという意味ではマイナスかも)と思われ、本人以外誰も得をしない改名であるような気がします。

なお、来年には彼らのベスト・アルバムがリリース予定とのこと。【77点】

◆ワーナー・ミュージックによる無内容なティザー映像


◆バンド自身によるクロスフェード・サンプル



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コメント

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サンプル試聴しましたがスルーしました。やはり煮え切らないのは同じ感覚ですね。
2nd「FROZEN SKY(2005)」は伊藤政則のHR/HM名盤1300でも取り上げてますよね。
そこまで聴かなくてはならないレベルのバンドか?と思いました。
いい曲作れないなら「スピードでごまかしてくれ」ってのがメロスピマニアの本音(笑)。

>ストラディキャスターさん

まあ正直、この手の音なら何でも聴きたい、というマニア向けのバンドですね。
HR/HM名盤1300に取り上げられていたのにさえ気付きませんでした(苦笑)。

私も聴いたのですが、正直「悪くは無いのだけれど、特別に抜きん出ているワケでもない」というのが本音ですね。もちろんダメではないんですけどね。
個人的に一番のナゾはなぜ新レーベル第一弾にこんな超マイナーどころをチョイスしたことなのかですがw。

>ハルディンさん

たしかにコレが第一弾アーティストというのは謎ですね(笑)。

もし本気でコレがHELLOWEENやANGRA、SONATA ARCTICA、DRAGONFORCE並の存在に化けると思っているとしたら担当者の審美眼に疑問が出てきますし、現在契約できるベストの未契約バンドが彼らだった、としたらシーンの先行きが思いやられます。

まあ、たまたまレーベル設立のタイミングにハマったのが彼らだった、ということだと思いたいですね。

ウクライナといえば

自分にとってはVITALIJ KUPRIJだが、現在何をやってるのだろう?

またJOHN WESTとArtensionをやって欲しいのだが。

SEVEN THE HARDWAYで全く似合わない(笑)グランジしているMark Bols & Tony Macalpine & ヴァージル ドナティとRing Of Fireを再結成してくれも良いなぁ。

>ゆうていさん

たしかに最近ヴィタリ・クープリの名前をあまり目にしないような気がしますね。
クラシック・ピアニストとしてのキャリアを優先しているのでしょうか。

ARTENTIONとRING OF FIREならまだ前者の方が曲は良かったように思いますが、あれほどの演奏技術があればもっと良い曲を期待したくなりますね。