摩天楼オペラ / JUSTICE

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VERSAILLESに続くシンフォニック・メタル風ヴィジュアル系バンドとして一部メタル・ファンの間でも注目を集めているKeyを含む5人組のメジャーからのリリースとしては初となるフル・アルバム(本作の前にインディーズで1枚のアルバムと2枚の企画盤、メジャーでミニ・アルバムのリリース実績あり)。

メロディック・スピード・メタル・マニアの間で評価の高かったMASTERPIECEの元メンバー(GとDrおよび脱退済みの前任Key)を擁していたり、Voが専門学校時代に元MAKE-UPの山田信夫のレッスンを受けていたなど、経歴的にもメタルとの接点は多く、実際メンバーたちはメタルからの影響を公言している。

私がこのバンドを知ったのは、昨年リリースされた現代のV系バンドたちによる90年代ヴィジュアル系バンドのトリビュート・アルバム「CRUSH! -90's V-Rock best hit cover songs」でXの「紅」をカヴァーしていたことがきっかけ。

彼らのオリジナル音源をちゃんと聴くのはこれが初めてで(YouTubeなどで多少聴いたことがある程度)、どんなもんでしょとCDの再生ボタンを押してみると、やや薄っぺらなKeyサウンドと軽いDrサウンドにちょっと肩すかし。

ただ、その後クワイアやギターの速弾きが入ってきたりして盛り上げた後、なかなかよく通る声のヴォーカルが入ってくると結構悪くない感じ。

「シンフォニック・メタル」というにはVERSAILLESほどコテコテではなく、バンドのコンセプトであるという「現代的なもの(摩天楼)と伝統美(オペラ)の融合」というバンド名が表す通り、ややモダンなアレンジもかなり使用されている。

全体としてはX JAPANやSEX MACHINEGUNS、VERSAILLESのように「こりゃ完全にメタルだな」と思える領域まで吹っ切れてはおらず、かつてSIAM SHADEやJanne Da Arc、Dあたりを聴いたときに感じたような「HR/HM色の強いJ-ROCK」というのが個人的な印象。

それはまあ曲調の幅の持たせ方やアレンジ、Voが前に出た音作りなど様々な要因があるものの、最大の理由はやっぱりV系特有のヴィヴラートを強調したヴォーカル、ということになるんでしょうね。

声域はまずまず広そうだし、歌唱力もなかなか高そうながら、やはりこの歌唱スタイルに抵抗がある人はいるでしょうねえ。

個人的には歌唱スタイルよりも、なまじよく通る声だけに#7「21mg」のような青臭いモラトリアム全開の歌詞が耳について気になってしまったのですが(苦笑)。

とはいえヴォーカル面の問題(聴き手側のものです)を無視すれば、演奏の随所にはメタル魂を感じるし、インスト・ナンバーの#9や、それに続く疾走シンフォニック・メタル・チューン#10「アポトーシス」などはメロディック・メタル・ファンの耳を引くことでしょう。

個人的には彼らのモダンな側面が強く出た#5、#6、#8といった楽曲も嫌いじゃないというか、むしろこの手の楽曲の方が完成度が高い気がするし、日本のロック・シーンで売れていくためにはこっちの路線を強化したほうが見込みあるかも。

最近あまりこの手のV系ロックを積極的に聴いていなかったので、最初のうちはちょっと拒絶反応めいたものもあったのですが、何度か聴いているうちにかつてのV系魂(笑)が蘇ってくると、そのメタルっぽさよりもむしろキャッチーな楽曲作りのセンスに魅力を感じるようになりました。

いわゆるヴィジュアル系の音楽に抵抗がない方であれば一聴の価値ありかも。

◆本作収録「Justice」のPV [YouTube]


◆本作収録「Helios」のPV [YouTube]

この曲は結構シンフォニック・メタルっぽい方かも。


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コメント

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なるほど、V系タイプにしてはなかなか歌唱力がありますね。

ところで、V系やX絡みの記事を読んでいると
adoreさんのXに対する思い入れみたいなものが伝わってきます(笑)

個人的な思い入れを込めたもので全然かまいませんので、
いつかblue bloodあたりのレビューをしていただけないでしょうか?
期待してます(笑)

インディーズ時代の作品もだいたい聴いてて「色んな要素を取り入れすぎてゴチャゴチャしてる」って思ってたんでメジャーデビューをきっかけにいい意味で「薄まって」くれればなぁって願ってました
聴いてくとギターが全然目立たないなと思ってたらインストでおおっとなり、#10「アポトーシス」でもってかれました^^
日本語なのか英語なのか聴き取りにくくてビブラート全開の歌い方は清春さん
#2「濡らした唇でキスをして」のサビ前の「ホー♪」の歌い方はRYUICHIさんぽいなって思いながら聴いてました(笑)
仙台でライブがあるので多分参戦します^^(家族で陰陽座のライブにも笑)

Xのレビュー、ブログのアクセスが1500000いったらとかでどうですか(笑)

>LAMPSさん

Xは私の中で一番大きな存在ですし、V系はメタルに次いで私の音楽人生の中核を占める(占めた)ジャンルで、プレイヤーとしての自分が目指すものでもあっただけに、どうしても思い入れが出てしまうのかもしれませんね(苦笑)。

Xの「BLUE BLOOD」は私にとっていわゆる「無人島に持っていく一枚」なので、かえって何を語っていいのかわかりません(笑)。

>B!13さん

清春に比べるとだいぶ力強くて、個人的にはジャンヌの(というか今はAcid Black Cherryといった方が通りがいいのかな?)YASU、そして本人が言うとおりB'zの稲葉氏の歌い回しからの影響を感じますね。

しかし家族で陰陽座のライヴ…。そういう時代なんですねえ(しみじみ)。

もしXのレビューをすることがあるとしたら、それはこのサイトを終わりにするとき以外は考えられませんね(笑)。

ALLジャンルになると更に難しくなる...

「無人島に持っていく1枚」とはこの世で一番好きなアルバムと捉えて宜しいですか?

Adoreさんの好みから、ハロウィンの守護神伝第一章かソナタ・アークティカの1stかと思いました。

私も1枚なら簡単に選べるけど、これが10枚になると選出するのが途端に難しい。

...考えるの楽しいけど(笑)。

自分なら現時点ではDREAM THATER/IMAGES AND WORDSです。

もっと好きになれるアルバムに出会えると良いな。

未視聴ですが……。

V系はXが好きだった頃(現在は初期派)はそれなりに興味もあったのですが、今ではすっかりむさ苦しいオサーンバンドの虜です。

いや、まぁ、90年代後半のV系は嫌いではないのですが。

V系ってボーカルを無視して歌ではなく楽器隊の演奏を聴くものだと思っているので、歌だけならさほど気にならないのですが、そこに青臭い歌詞を乗せてくると凄く恥ずかしくなるのはやっぱりメタラー共通の反応だと思いますね(笑)

摩天楼オペラとVersaillesは個人的にV系の中で数少ないまともなバンドだと思っているので彼らには頑張って欲しいです。

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自分もV系からメタルを聞き始めたクチですが…

(まだ学生なのでXではなく今の世代のV系ですが…)

当サイトをメタル入門の際に大いに参考にさせていただいたのですが、
まさかそのサイトで、デビュー当時から追いかけてた摩天楼オペラの
レビューがお目にかかれるとは!! 感動のあまりコメントさせてもらいました。

V系な声質のVoは受け入れられにくいところはあるだろうけど、
音楽性は日本人好みなのではないかなと…
V系ボイスがOKな心の広いメタラーさんには
国産メタルバンドの一つとして聞いてほしいなと勝手に思ってます。

まとめてお返事

>ゆうていさん
まあ、たぶん人生で一番聴いたアルバムですし、自分の音楽的嗜好を決定づけたという意味でも、思春期・青春時代の様々な感情と結びついているという意味でも、「BLUE BLOOD」は特別なアルバムですね。いわゆる「人生を変えた一枚」です。

これから先、人生最高と思えるようなアルバムに出会えたら、それは凄いことだろうな、と思います。


>Shuさん
私はV系はあのアハ~ンなヴォーカルが重要な聴きどころだと思ってますよ(笑)。
歌詞についても、学生時代だったら共感できたかもしれないんですけどね…(苦笑)。


>Nanaさん
はじめまして。
ご指摘ありがとうございます。修正(というか削除)しておきました。


>V系メタラーさん
感動のあまりってそんな大げさな(笑)。
でも、デビュー当時から目をつけていたバンドというのは何となく特別な思い入れが出てくるものですよね。

メタル・バンドとして聴かれることを本人たちが望んでいるかどうか微妙な気がしますが、なかなかいいバンドだと思いますよ。

よかったです

adoreさん、初めましてMark.Nと申します。
最近このブログと親サイトを知りお世話になってます。
今回この摩天楼オペラのレビューをきっかけに買ったらスゴイ
よかったのでコメントします。
メタル的な趣向はadoreさんに近く、
V系はL'Arc-en-Cielしか聴かない(まぁ本人たちはVじゃないと言ってますが)
ですが、聴いてみたら意外にメタルしてた
ので気に入りました!

これからも冷静かつ的確なレビューよかったお願いします。

>Mark.Nさん

はじめまして。
そんなに強くオススメするような文章でもなかったような気がしますが(笑)、いずれにせよMark.Nさんにとって良い音楽に出会うきっかけになったとすれば嬉しいです。

私のレビューが冷静かつ的確かどうかはともかく、今後ともよろしくお願いします。

2008年にVersailles主催のヴィジュアル系イベントにGalneryusが出るということで参戦することにし、他の出演バンドの曲をyoutubeで予習しました。そのときに最も印象強かった曲が摩天楼オペラの「honey drop」で、それからお気に入りになっています。

「HR/HM色の強いJ-ROCK」という表現には同感です。ネットで「Nightwishなんかが好きだから、シンフォニック・メタルと言われてる摩天楼オペラを聴いてみたい」というような書き込みを見たときには、「ああ、この人は肩透かしを食らっちまうんじゃ…」と余計な心配をしてしまいました(笑)「Helios」あたりならいいかもしれませんが。

とはいえヴィジュアル系世代の僕には、歌い方なんかにも抵抗はないし、何より楽曲の質が高いと思うので、応援したいバンドです。「紅」をカヴァーした心意気も買いたいし。
ただ、初期の「alkaroid showcase」「honey drop」「瑠璃色で描く虹」等の頃の(誤解を恐れず書くならRoyal Huntあたりに通じる)哀愁感漂う雰囲気が最近薄れているような気がして少し残念です。メジャーの宿命とも言える部分もあるかもしれませんが。
今後方向性等どうなっていくかはわかりませんが、とりあえず期待しているバンドですね。今回とりあげていただいてなんとなく嬉しかったです。

>Endさん

たしかにNIGHTWISHを期待してこのバンドを聴くと「アレ?」となってしまいそうですね(笑)。

私は過去の音源をそれほど聴いていないので方向性の変化については何とも言えないのですが、まだ若いバンドですから、変化していくのは当たり前、と考えた方がよさそうですね。

どういう思い出があってしみじみするんですか?(笑)

鬼子母神の完全再現含む陰陽座のライブは最高でしたよ
唯一ケチつけるなら、「Vo.二人とも上手すぎてCD聴いてるみたい」ってことかなと(笑)

>B!13さん

いや、別に思い出はありませんよ。
たしかB!13さんは親御さんもこういうへヴィな音楽を好まれるというお話だったかと思いますが、私の世代だと親がへヴィな音楽を聴くなんて想像もつかないだけに、時代は変わったなあ、とややジジくさい感慨を抱いただけです。

しかし上手すぎることにケチをつけられたらミュージシャンはたまりませんね(笑)。