EXTREME 来日公演 『PORNOGRAFFITTI LIVE』 at 渋谷公会堂 2012/4/20

EXTREMEというと、私のような90年代前半に日本でHR/HM聴き始めたような人間にとってはMR.BIGなどと並んで「必ず通る道」であり、その時期一番ホットなギター・ヒーロー(死語?)はポール・ギルバート(MR.BIG)とこのEXTERMEのヌーノ・ベッテンコートだった。

そんなわけで私も普通にEXTREMEは聴いていた。とりわけ私がHR/HMを聴き始めた当時の最新作だった「III SIDES TO EVERY STORY」と、彼らの代表作である「PORNOGRAFFITTI」はよく聴いた。

とはいえ実は当時、彼らの音楽にそれほど魅せられていたかというとそうでもなく、周りのHR/HM好きな友人たちがみんな聴いていたから聴いていた、みたいな側面が強かった。彼らの音楽には私好みの「哀愁」や「叙情性」が乏しかったからだ。

しかし、古いロックや黒人音楽などHR/HM以外の音楽も貪欲に聴くようになり、自分でもギターを練習し、大学のサークルでバンドごっこをやるなど、音楽経験が豊富になっていった大学入学以降、あらためて彼らの音楽の「凄さ」が理解できるようになり、それ以降あらためて「PORNOGRAFFITTI」は私の音楽人生でもかなり重要な意味を持つ一枚になった。今このサイト/ブログでレビューしたら91点をつけるだろう。

「III SIDES TO EVERY STORY」もクリエイティヴィティの面ではグレイトなレコードだが、「PORNOGRAFFITTI」で見せていたポピュラリティとマニアックさの絶妙なバランスがいささかマニアックな方向に傾き過ぎた観があり、特にセールスの面で「PORNOGRAFFITTI」に及ばなかったというのは理解できる。

いささか前置きが長くなったがEXTREMEの「PORNOGRAFFITTI」完全再現をうたった来日公演の追加公演にあたる渋谷公会堂(サントリーが命名権スポンサーを降りたため、CCレモンホールから再び元の名前に戻った)公演に足を運んできました。

最近は仕事が忙しくて本来であれば行けるはずもなかったのですが、たまたまこの日からこの週末にかけて、春の人事異動に伴うオフィスフロアの引っ越しがあり、夜7時半から引っ越し業者が入ってくる関係でオフィスにいることができず、強制的に仕事から引きはがされるため、ある意味絶好のチャンスだった。

夕方からの客先打ち合わせが長引いたので、かなり開演ギリギリのタイミングで到着。当日券窓口に行くと、S席のみが売れ残っている。安い席からソールド・アウトするってのが時代を感じますなあ。

S席とはいえ2階席後方。A席ってどこなんだ。
私の後ろにまるっと一列無人の列があり、その後ろにいた人たちはいわゆる関係者というか「招待客」ではないかと推測される。

東京3日目にあたる追加公演で渋谷公会堂がほぼ満席。90年代以降にデビューしたHR/HMバンドで現在これだけの動員力があるバンドが果たしていくつあるだろうか? 当時のHR/HM人気をあらためて痛感させられる。

当然観客の年齢層はやや高め。30代から40前後の人たちがメインっぽい。女性が結構目立つのは、やはりヌーノがイケメンだったからですかね(笑)。

私は事前に何も調べていなかったので知らなかったが、本日は冒頭3曲に限って写真撮影がOKらしい。そうと知っていればデジカメを持ってきたのに…。

一応通話には使用していないもののiPhoneは持っているのでそれで写真は撮ってきましたが、何せ2階席後方ゆえ、臨場感に関してはさっぱりとらえられませんでした。一番マシに撮れているので下の写真なのだから、その限界は推して知るべし。

120420extreme_live.jpg

まあ、写真を撮りに行ったわけではないので別にいい(負け惜しみ30%)。

あの印象的なピアノによるオープニングSEが始まると、ステージが明らかに。
ドラムだけが下にあり、ヴォーカル、ギター、ベースは2階的な高い位置にいるちょっと変わったセットだ(演奏が始まると全員下に降りてきたが)。

そしてSEが終わると、「Decadence Dance」のハード・ロックの王道感とファンクのグルーヴを兼ね備えた名リフが鳴り響く。

うひょ~、カッコいい、とリフに合わせて身体を揺らしていると、ゲイリー・シェローン(Vo)はいきなり客席にマイクを向ける。おいおい、冒頭から客に歌わせる気か(苦笑)。

結局2ラインくらい歌わされたあと、ゲイリーが自分で歌い出す。

曲順は当然アルバムの流れ通り。BURRN!誌のインタビューでは、有名曲が序盤に集まっていることなどを理由にアルバムとは違う曲順でプレイすることも検討されていたようだが、やはりこの手の企画は「自分が普段部屋で聴いていたのと同じ流れでライヴ演奏を聴ける」というのがポイントだと思うので、これでよい。

多くの曲においてエンディングを引っ張ることが多いのがファンクっぽい、のかな?

このアルバムの曲は捨て曲がなく、そういう意味でも完全再現に適した作品だが、やはり冒頭の「Decadence Dance」と「Get The Funk Out」は傑出しているね。「Get The Funk Out」のギター・ソロなんて本当にこんな風にプレイできたら気持ちいいだろうなあと思います。

ヌーノは何でも感染症で指の皮膚に異常が出ているとかで本調子ではないみたいだが、充分に弾けている。さすがの上手さだ。

渋谷公会堂はそれほど音響のいい会場ではないが、今日はそんなに悪くもない。ちょっとベースの音が大きめといえば大きめだが、全体のバランスはまずまず。音も大き過ぎず、耳栓なしでもいい感じ。

そして全米No.1に輝いた大ヒット・バラード「More Than Words」をプレイするにあたっては最初、ゲイリーがギターを抱え、ヌーノがマイクを持ってみせ、まさかのサプライズアレンジかと思いましたが、やはり単なる戯れでした(笑)。

ヌーノも結構歌える人なんでヌーノVer.の「More Than Words」も聴いてみたかったけど。

この曲でもゲイリーは冒頭から観客に歌わせようとする、というか、当然みんな冒頭から大合唱になるだろうと踏んでいたようだが、残念ながら「聴く気満々」の客席から歌声は巻き起こらず、イントロを引き伸ばし、ゲイリーが促すことでようやく曲が開始する(苦笑)。

てか、心の準備ができてないことを急に振るのはやめていただきたい。日本人は欧米人ほど歌いたがりじゃないし、「事前のすり合わせと根回し」のないことに対する対応が苦手なんですから(苦笑)。

この「More Than Words」も高校生の頃初めて聴いたときには「盛り上がりに欠ける平坦な曲だなあ」と感じていましたが、今ではシンプルなようでいてパーカッシヴなギターのバッキング、ファルセットの使い方やハーモニーの付け方が絶妙で、素晴らしい曲だと思っています。色々なアーティストにカヴァーされていますが、やはり彼らのバージョンが一番ですね。エンディングの「普通、この手の曲でこんなことしないだろ」というアコギのタッピングがないとこの曲は完成しません(笑)。

通常のコンサートであればアンコールでプレイするような代表曲は早くも5曲目でやり尽くしてしまったわけだが、その後も退屈させられるような曲が出てこないのがこのアルバムの凄いところ。

唯一、ヌーノが電子ピアノを弾くジャズ・バラード風の「When I First Kissed You」ではちょっぴり眠くなってしまいましたが、それは前日朝5時まで働いていて寝不足だったからで、この曲が退屈だったわけじゃないですよ!(って、誰に言い訳してるんだ)

ゲイリー独特の踊るようにしなやかなステージ・アクションも、ヌーノの見事に割れた腹筋が象徴する肉体美も全く年齢を感じさせることのない素晴らしさで、本作が発売された20年以上前からのファンが観ても全く幻滅のないルックス/ステージングだったのも素晴らしいですね。

ただ、ゲイリーもヌーノも充分カッコいいのに、そんなに華というか、オーラがないのが、彼らがVAN HALENやBON JOVIのような大物になれなかった原因なのかなあ、などと思ってしまいました。

ヌーノは近年は人気女性R&Bシンガーであるリアーナのバック・バンドのギタリストとして活躍していますが、そういう意味(カッコいいけど華がない)では意外とバック・バンド向きのギタリストなのかも。そう考えるとちょっと悲しいけど(苦笑)。

途中、ヌーノが「今回のライヴが初めての人は?」「2回目の人は?」と客席に質問を投げかけ、「3回目の人は?」のときにひときわ大きな反響があった際に「Do You Speak English?」と訊いてきたときには思わず吹きました。

本当に3回以上今回の公演に足を運んでいるリピーターが多かったのか、それとも「人生通算でのEXTREMEのライヴ体験と勘違いした人がいたのか、はたまた本当にヌーノの言っていることがわからなくて「とりあえずイエーって叫んどけ!」って人が多かったのかは謎ですが(笑)、リピーターが出てもおかしくない充実したライヴ・パフォーマンスだったことは確かですね。

アンコールは、これも事前からレア曲をやるよ! ということで曲目が公開されていたようですが(集客のためでしょうね)、私の世代のギター・キッズ(死語)のチャレンジ曲だった「Warheads」、そしてちょっと不評だった(ような気がする)4th「WAITING FOR THE PUNCHLINE」からの「There Is No God」、「Hip Today」、そしてデビュー作からの快活なロック・チューン(このバンドに限らず、最近こういういい意味で頭の悪そうなロック・ソングってめっきり見かけなくなったなあ)「Mutha (Don't Wanna Go To School Today)」でエンディング。

最後のカーテンコールでは、舞台袖でサポート・キーボーディストを務めていた西脇辰弥氏(近年はLIV MOONの音楽的中心人物としてHR/HMファンには有名ですね)も登場し、メンバーと肩を組んでご挨拶。日本企画のライヴならではですね。

「Warheads」を聴けたのはラッキーだったなあ、と思いますが、正直、当時流行していたグランジ/オルタナっぽい「Hip Today」(今日はヒップだが、明日には消えてなくなる、という歌詞とこの曲調をあわせて聴くとなかなか意味深ですが)をやってもらうよりは、近年ゲーム「Guitar Hero 80’s」で取り上げられて再注目された「Play With Me」を聴きたかったというのが本音。

しかしまあトータルで見て良いライヴだったのは確かで、2004年の再結成ライヴを観に行った私より耳の肥えた友人が「かなり良かった」と言っていたのも納得。

最近仕事でトラブルが連発して、ちょっとダウナーな気分だったのですが、そんな嫌な気持ちをリフレッシュしてくれる、とても気持ちいいライヴでした。

◆本日のセットリスト(書くまでもないですが)

01.Decadence Dance
02.Li'l Jack Horny
03.When I'm President
04.Get The Funk Out
05.More Than Words
06.Money (In God We Trust)
07.It ('s A Monster)
08.Pornograffitti
09.When I First Kissed You
10.Suzi (Wants Her All Day What?)
11.He-Man Woman Hater
12.Song For Love
13.Hole Hearted
[Encore]
14.Warheads
15.There Is No God
16.Hip Today
17.Mutha (Don't Wanna Go to School Today)


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コメント

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来日公演、よかったんですね。行けばよかったなあ。
自分、VAN HALEN流れであとから聴いたクチなんですが、前回の来日公演に行って、予想以上にクオリィティが高かったのを思い出しました。
あのエンディングを引っ張る所がかっこよくて(笑)。
陳腐な表現しか出ないですが、うまい!ですよね。
自然に体がゆれるというか。
今年のサマソニ、行く気を失っていたんですが、リアーナのバックでヌーノが来るんであればちょっと考えようかな。
(単独に行かなかった悔し紛れ?(笑))

More than wordsでマイクを向けたのは、おそらく18日の大阪会場ではしょっぱなから大合唱が起こって最後まで全員で歌った経緯から気を良くしたんだと思います。笑

私は大阪しか見れませんでしたが、ヌーノもゲイリーも全身で演奏していて、「体中から溢れている!(何かが)」という印象を受けました。
テクニックもそうですけど、ヌーノのあのリズム感(休符の入るフレーズをあんな余裕で弾くんですもん・・・)天才的ですよやはり。

ちなみに大阪ではEC最後の曲はPlay with meでしたよ。笑

>KYさん

EXTREMEのライヴは身体が揺れますね~。
いや、いわゆる黒人ファンク系の音楽はどれもグルーヴィなのですが、やっぱり私は根っこがHR/HMなので、そのファンキーなグルーヴをこういうパワフルなロック・サウンドでやってくれるというのが魅力ですね。

たしかにリアーナの来日公演のバックがヌーノだったら、それはそれで観てみたいですね。

>msynさん

なるほど~、大阪での「成功体験」があったんですね。
やっぱり東京人はシャイなんですかね(笑)。

ヌーノのあのリズム感は凄いですよね。
ギターでEXTREMEのコピーをしようとしても、ソロはもちろん、リフさえちゃんと弾くことができませんでした(苦笑)。
あのフレーズをあのリズムで弾くのは常人じゃないですね。

そう、普通は「Play With Me」をやって然るべきなのに…。
まあ、この日についてはあらかじめそういう趣向だと告知されていたわけですから、仕方がないんですけどね(苦笑)。

実は私もPORNOGRAFFITTIの存在は知っていましたが、当時はジャーマンメタルに傾倒していたので、そんなに良いものと思って聞いてたわけじゃなかったです。その後、色々な音楽に触れて、バックグラウンドが豊富になってきた時に聴いて初めて「がび~ん」ときました。5, 6年遅れでしょうか・・・Suziとか本当に好きですね。

>MACCOさん

たしかにジャーマン・メタルというか、メロディック・パワー・メタル的な音楽を求めている時期に聴いてもあまりピンと来ない音楽ですよね。

でも、私も一度その魅力にハマってからは、時々「身体が求める」という感覚を抱くほど気に入って聴いていますね。