STRATOVARIUS / UNDER FLAMEING WINTER SKIES

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2011年末に行なわれたヨルグ・マイケル(Dr)のフェアウェル・ツアーにおける、11月19日のタンペレ公演を収録したライヴDVD(海外盤ではブルーレイもあり)。

STRATOVARIUSはキャリアの割に映像作品の少ないバンドで、これまでリリースした映像作品は2000年に発表された「INFINIT VISIONS」のみで、それはビデオ・クリップやライヴ映像、ドキュメンタリー映像などを編集した作品だったので、純粋なライヴ映像作品はこれが初となる。

内容ですが、選曲もいいし、パフォーマンスもいい、素晴らしいライヴ作品なので、ファンであれば「買い」です。

メインは20代~30代と思われるものの、10代から中年と思しき人々まで幅広い年齢層のオーディエンスが来場しており、女性がかなり目につくことも含め、STRATOVARIUSの本国における人気を感じることができる(それだけに、その「熱さ」にはムラがあり、全員が全員熱狂しているわけでもない感じで、全体としては日本のオーディエンスに近い「お行儀の良さ」を感じましたが)。

ヨルグ脱退という特別なライヴということでMCの意味もわかるとなお楽しめるし、ボーナス映像として収録されているインタビュー映像もファンであれば非常に興味深い内容なので、日本盤がオススメ。

…なのですが、日本盤はDVDとCD2枚組のパッケージになっていて、正直高い。CDはバラ売り、最悪日本発売なしでもいいから分けて発売し、値段を下げてほしかった。DVDだけほしい人にとっては輸入盤との値段差がどうしても気になってしまいます。

とはいえ、実際観てみたら日本盤を買ってよかった、と思いましたけどね。

とにかく演奏がうまい。メロディック・パワー・メタルにカテゴライズされるバンドの中ではANGRAと並んで最高レベルであることは間違いなく、本作の主役(?)であるヨルグ・マイケルや、イェンス・ヨハンソン(Key)はもちろん、マティアス・クピアイネン(G)にラウリ・ポラー(B)という若い弦楽器隊の上手いこと上手いこと。

マティアスの正確極まりない運指、ラウリの左右両手の全ての指を駆使して展開されるベース・プレイは圧巻。

まあ、それでもHR/HMファンは上手いギターは見慣れているかもしれませんが、メロディ弾きとスラッピングのコンビネーションによるラウリ・ポラーのベース・ソロは、正統的なHR/HMばかり聴いてきた人にはちょっと珍しく映る技巧かもしれません。

この超絶技巧な演奏陣をバックにするとティモ・コティペルトの歌唱が技術的な意味で一段劣るのは否めませんが、そのフロントマンとしてのスキルはこれまたこのシーンでは屈指といえるもので、パフォーマンスのカッコよさ、客の盛り上げの巧みさ、いずれをとってもトップ・バンドのフロントマンとして恥ずかしくないものです。

私はこのバンドを「FOURTH DIMENTION」(1995)以来ずっと応援してきましたが、そんな私でさえこのバンドがここまで一体感のあるバンドらしいバンドになるとは正直な所思っていませんでした。

ヨルグ・マイケルはインタビューの中で「俺たちは別に親友というわけじゃない」と言っていますし、加入当初は文化的な違いによる摩擦もあったことを認めています。

しかし、音楽を通じてお互いを信頼していることは明言しており、そのことは本作のステージ・パフォーマンスからも充分に感じ取れます。阿吽の呼吸というやつですか。本作では現ラインナップだからこそのアレンジがティモ・トルキ時代の楽曲にさらなる輝きを与えています。

あと、インタビューを観ていて気持ち良かったのは、メンバーみな誰一人ティモ・トルキのことを悪く言う者はなく、むしろその才能を高く評価していること。

これを見ると、ティモ・トルキはバカなことをしたなあ、とあらためて思ってしまいますね。せっかく自分で最高のバンドを作ったのに…。

ヨルグ・マイケルはSTRATOVARIUSに加入した理由を、純粋に「EPISODE」アルバムのデモを聴いて、これを作り上げたいと思ったからと話しています。そしてティモ・コティペルトによると、「EPISODE」はヨルグ・マイケルが加入したことで本来実現したかったスピードにテンポを上げることができたのだとか。

ただ、ヨルグ・マイケルが一番好きなSTRATOVARIUSの曲は「Eternity」だそうで、それはまた随分渋い趣味だな、と思いましたが(笑)。

◆本作収録「Black Diamond」のライヴ映像




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コメント

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なんと……。

日本盤リリースされたんですね!

正直その事に一番驚きました(笑)

うわぁ、すげぇ見たい……。

ティモのくだりは彼が躁鬱病だということをメンバーが一番よく理解しているからなのかなぁとか思ったり。

これに比べるとポートノイなんていう某ドラマーなんか散々な言われようで……。

STRATOVARIUS

高いですよね。
CDとDVD分けて発売してほしいです。

ティモ・トルキがいたら、今では内省的な方向性のアルバムがほとんどだったんではないですかね。
REVOLUTION RENAISSANS(3rd以外)のようなアルバムばかりリリースしてたら、STORATOVARIUSファン辞めてたかもしれないです。
そういう意味では、「POLARIS(2009)」がリリースされた時は喜びました。
あくまで個人的な意見で、あくまで結果論なんですが。

ティモ・コティペルトが完全に会場の空気を掌握しているのはさすがですね
普通これだけ豪華な楽器隊がそろっていたら、一歩引いてしまいそうなのに・・・
背が低く、体も細身で、一見頼りなさそうに見えても、ステージでは圧倒的なカリスマ性を見せているという点では、ロニー・ディオを思い出させますね

ラウリ・ポラー、カッコいいですよね。

私もリアルタイムで聴いた「FOURTH DIMENTION」が大好きなのですが、
その後、ヨルグとイェンスが加入した時は「よく入ってくれたな~」と驚きました。
adoreさんのおっしゃるとおり、ティモ・トルキは勿体無いことをしましたね。

新しいラインナップで「FOURTH DIMENTION」みたいな
楽曲粒ぞろいのアルバムを作ってくれたら最高なのですが。

ラウリ・ポラー凄いですね・・・
ベースソロでここまで惹きこまれたのは初めてです
締めに出てきたフィンランディアのメロディも彼の生い立ちを知ってる人ならよりグっときますね

自分もラウリの上手さに驚きました。
個人的に彼の書く曲がイマイチだったので、テクもそこそこかと思いきや
とんでもない変態(褒めてます)だったとは・・・

ほかにもコード弾きの合間にキーボードに触る(しかも反対側から)マティアスとか、
ブルース・ディッキンソンばりにオーディエンスを煽るコティペルトとか、
ヨルグの超絶ロールなど見どころが多いですね

まとめてお返事

>Shuさん
まだSTRATOVARIUSは日本でDVDを発売できるだけの手堅い票を持っていると思います。
ご興味があるようならぜひどうぞ。いいライヴ作品だと思います。

マイク・ポートノイと違って、ティモ・トルキは音楽的には独裁者ではなかったという話もありますから、その点の違いもあるかもしれませんね。


>ストラディキャスターさん
高いですが、ファンであれば観る価値があるかと。

ティモ・トルキの音楽は内省的な方向には向かっていましたが、REVOLUTION RENAISSANSの2nd以外はメロディック・パワー・メタルの範疇にある音楽をプレイしていたと思いますけどね。


>高見沢さん
ティモ・コティペルトは世の中の標準で見たら別に小柄ではないし、結構マッチョなんですが、あのメンバーの中だと小柄に見えてしまいますよね(笑)。

彼のステージングは経験に裏付けられた熟練のフロントマンぶりで、オーディエンスを巧みに盛り上げてますよね。


>marochikuwaさん
「FOURTH DIMENTION」はB級ならではの魅力だったので、現在の高度に洗練されたSTRATOVARIUSがああいう作品を作れるとは思えませんが、、確かに楽曲センスが一番光っていたのはあのアルバムだったかもしれませんね。


>おーぜきマサシオさん
以前コメントいただいた法政の学生さんですよね? お久しぶりです。
ラウリ・ポラーのベース・ソロはなかなかHR/HM系のライヴではお目にかかれない逸品だと思います。

あの「フィンランディア」は曾祖父へのトリビュートなのか、あるいはフィンランド人全員が知っている曲だからこそのチョイスなのか、いずれにせよフィンランドのファンにとってはグッとくるアレンジでしょうね。


>ヘロウィンさん
私はライヴを観ているのでラウリのテクは承知していましたが、こうして映像で観るとあらためて圧巻ですね。

現在のSTRATOVARIUSの音楽的ポテンシャルの高さを端的に伝えてくれるライヴ映像だと思います。

>adoreさん

是非見たいですね。

しかし、結構な値段ですね……。

個人的にライブ「音源」を聴くよりもライブ「映像」が見たいなぁ。

そういえばラウリ・ポラーってそんなに凄いんですか?

見たこと無いのでアレなんですが、CDショップでラウリのソロを見つけて、このブログやファンの皆様からも絶賛されている事もあって買おうかなぁとか思ってるのですが。

adoreさんはラウリのソロを聴いた事がありますか?

>Shuさん

若い方にとっては結構な値段ですよね。
ラウリ・ポラーはメタルのベーシストとしてはかなり凄い部類に入ると思いますよ。
この記事に貼っているYouTubeの動画をご覧いただけばわかるのではないかと思いますが、ひょっとしたらガラケーでご覧になってるんですかね。

ラウリのソロは未聴です。
あくまでSTRATOVARIUSのベーシストとしてのラウリを評価しているだけです。

まあ、ソロも聴いてみれば気に入るのかもしれませんが、ベーシストのソロ・アルバムよりはバンドの音楽を聴きたいというのが本音ですね。

「Fourth Dimension」

BURRN!!の人気投票で初めて投票したのがSTRATOVARIUSの「Fourth Dimension」だったのですが、20位以内に入れなかったのを見て、当時の自分は「このアルバムの良さを分かってやれるのはレビューで90点をつけた広瀬編集長と自分だけだ!」と思っていました。
adoreさんを初め評価してくれる方がいて、大変嬉しく思います。
以前コメントで2曲目の「Distant Skies」が好きだと述べた事が有りますが、後半の8~10曲目が北欧っぽい叙情的な美しさに満ちていて、自分が北欧メタルに求めているのはこういう処だと思うのですよ。

>ゆうていさん

「FOURTH DIMENSION」はできることなら再録してもらいたいくらいの名盤だと思いますよ。
たしかに北欧らしいムードも強いですね。