PELLEK / BAG OF TRICKS

pellek01.jpg

ノルウェーの国営テレビで放送されているタレント・オーディション番組「The X Factor」の現地版で、2009年に番組の最終ラウンドであるTOP12に残ったペル・フレドリック・ペルケイ・アシュリーという若者のペルケイ名義によるソロ・デビュー・アルバム。

彼は番組の中で北欧やドイツのパワー・メタル・ソングを歌って勝ち上がった、いわゆるフィンランドのアリ・コイヴネン、アメリカのジェイムズ・ダービン、スウェーデンのエリク・グロンウォールなどと同様の所謂「メタル・アイドル」。

TOP12という微妙な成績だったことや、彼の選曲がマニアック過ぎたこともあってか、上記のメタル・アイドルたちのように大手メジャーからデビューし、大ヒットを飛ばすようなことはなかったが、YouTubeなどでは注目を集め、先日日本デビューを果たしたイギリスのDAMNATION ANGELSにフルタイムのメンバーとして加入、そしてアメリカのTHE ANABASISやフランスのTHE LOST ROCKERSといったプロジェクトへの参加を果たしている。

そして彼の才能とタレント性に目をつけたクリスチャン・リレグレン(GOLDEN RESURRECTION)が、自身が運営する「Doolittle Group」との契約をもちかけ、創作面でのパートナーであるトミー・レインエクシード(G:REINXEED)にプロデュースさせて制作したのが本作。

音楽的にはそのREINXEEDに通じる、シンフォニックなKeyがフィーチュアされたメロディック・パワー・メタルながら、あれほど大仰ではなく、疾走感も控えめで、よりヴォーカル・オリエンテッドな仕上がり。

そのヴォーカル・オリエンテッドなメロディック・パワー・メタルというスタンスは、日本盤ボーナスとしてSTRATOVARIUSの「Hunting High And Low」をチョイスしたあたりに端的に表れているといえよう。

ペルケイのヨラン・エドマン風な歌声と、このクラシカルかつドラマティックなサウンドとの相性は悪くなく、正直ペルケイの歌唱に漂うナルシズムがちょっと鼻についてしまった私でも充分に楽しめる仕上がり。

歌メロに漂う哀愁、そしてその優美といってもいい美旋律を支えるアレンジもなかなかどうして堂に入っていて、ガツンと来るようなインパクトはないものの、どの曲にも耳を引くフックがちゃんとある。

速い曲だけではなく聴かせるタイプの曲も魅力的なあたり、このペルケイという男は単なるアイドル崩れなどではなく、なかなかどうしてソングライティングの才能があるかも。

トミー・レインエクシードのギター・ワークも、REINXEEDほど弾きまくってはいないが、むしろREINXEEDよりも繊細なフレージングを披露していて、GOLDEN RESURRECTIONを聴いたときにも思ったが、この人はむしろ脇役をやっているときのほうがいい仕事をするタイプなのかもしれない。彼の手によるオーケストレーションも非常に効果的に楽曲を引き立てているし。

タイトル曲#11はヴォーカリストのソロ・アルバムにもかかわらず、トミー・レインエクシードが一人で書いてプレイしたインストゥルメンタル曲で、6年前に書いた曲だそうだが、アルバムの雰囲気にマッチした佳曲である。

なお、本作には#3にオリヴァー・ハートマン(元AT VANCE, HARTMANN)、#5のバラードにアマンダ・サマーヴィル、#9には最近KAMELOTに加入したことで話題を集めたトミー・カレヴィック(SEVENTH WONDER)らがゲスト参加し、ペルケイとデュエットしている(なお、#8で聴かれる女性ヴォーカルは、ペルケイのフィアンセであるMarit嬢によるもの)。【83点】

◆本作収録「Fugue State」のPV [YouTube]




【おまけ】

このペルケイ君は、セルフ・プロモーションのためなのか、それとも単にカラオケ好きなのか、色々なカヴァー音源を自らのYouTubeチャンネルにアップしています。

そこではHAMMERFALLの「Hearts On Fire」、SONATA ARCTICAの「Replica」、AVANTASIAの「Twisted Mind」、本作でも取り上げているSTRATOVARIUSの「Hunting High And Low」、MASTERPLANの「Heroes」、そしてKAMELOTの「Center Of The Universe」に「Abandoned」、DREAM THEATERの「The Spirit Carries On」など、当サイト/ブログをご覧の方であればみんな大好きな(?)楽曲を数多く取り上げています。

それ以外にも本作収録時のメイキング的な映像(様々なゲストとの絡みあり)や、単に自らの4オクターブに及ぶというハイトーンを見せつけるだけの映像まで、様々な動画がアップされていますが、個人的な思い出もあって面白かったのが以下の動画。

◆FINAL FANTASY II (With PelleK) [YouTube]


ファミコンの人気ゲームだった「FINAL FANTASY II」の戦闘音楽に歌詞をつけて、自分の彼女(フィアンセ)と一緒に宅録している動画です。

いや、個人的に小学生の頃大好きだったんですよね、「FINAL FANTASY II」。
当時小学生だった身には開始早々全滅を強いられる演出は衝撃的だったし、味方キャラが次々死んでいく悲劇的なストーリーも、当時他のゲームにはない深みを感じました。

この動画がバカップル動画に見えるのはきっとイケメン(でも男に嫌われそうなタイプのような気がする/笑)が歌が上手くてかわいい彼女と楽しそうにしていることに対する僻みなのでしょう(笑)。

ちなみにこの人の最新動画は海外の有名アニメの主題歌をメドレー形式のメタル・アレンジでカヴァーしたもの。

◆PELLEK'S ANIMEDLEY [YouTube]


日本人にはなじみの薄いアニメの曲が多いのでアニメタルのように楽しめるわけではありませんが…こういうネタ動画みたいなものも次々とアップしているあたり、この人の目指す所は日本のニコニコ動画における「歌ってみた」で人気の歌い手、みたいなものだったりするのかもしれませんね(笑)。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

はじめてコメントします

初めまして、アクセスカウンタが69万からの読者です。(笑)
このPVをみて歌メロが変わっているなーと感じました。

adoreさんのTWILIGHTNINGのReviewを引用すると、
「特に変なことをやっているわけではないが、誰にも似ていない」サウンドですかね。

LOUDNESSほど旭日旗が似合うバンドもいない!!by This Lonely Heart

ペルケイ、じっくり聴かせなくてもいいので、パワー、疾走感が増せば更に素晴らしい作品が出来そうです。FF2は最高です、我々の世代ではね。

中国・貴陽で開催されるライブイベント「YOGA MIDIフェスティバル」に出演予定だった日本のロックバンド・LOUDNESS(ラウドネス)が当日の2012年8月24日、中国政府からの要請で突然出演を中止させられた。

LOUDNESSこれからも応援してまっせ。
新アルバムも買いました。

>Fuck-Lowさん

はじめまして。69万からの読者というと、2年前くらいですかね?

たしかにメロディはありがちなメロディック・パワー・メタルとは変わっているかもしれません。
サイトを読み込んでいただいているようで、ありがとうございます(笑)。

>フィンさん

このナヨッとしたVoだと、あんまりパワーと疾走感で攻める押しの強いサウンドは合わないのではないかと思ってしまいました。

LOUDNESSの件は、あまりこのブログに政治的な要素を持ち込みたくないのであえてスルーの方向で…。

Van Halenキャンセル濃厚ですね

>名無しさん

まだ公式サイトに日本での公演は残っているので希望は捨てていませんが、キャンセルになったら残念ですね…。

あまり関係無いコメントですみません(苦笑)

adoreさんはFF2の原作をリアルタイムでプレイされているんですね。

僕は殆どのFFはリメイク版のみをプレイしていた身でファミコン版は未経験なのですが、FF2序盤の全滅シーンは初めてプレイした時は衝撃でした(といっても中学生の時なのでそこまで昔でも無いのですが……。)。

メタルとは全く関係の無い話題になりますが、adoreさんはFFシリーズのナンバリング作品の中でどの作品が一番お気に入りですか?



※HNを間違えてしまったのでもう一度投稿しました。

申し訳ありませんが前の投稿の削除を御願いします。

>Shuさん

私はファミコン世代なのでリアルタイムですね。
初期FFは名作揃いだと思いますが、やはり最初にプレイしたFF2には一番思い入れがあります。
ただ、そのスケール感と完成度に圧倒されたのはFF6ですかね。

ただ、実は私はFF6以降はプレイしておらず、評判の高いFF7をプレイしていないのが心残りではあります。
音楽が一番いいのは何気にFF3のような気がしていますが。

※前の投稿は削除しておきました。

投稿の削除ありがとうございました。

FF6!僕が一番好きなのはその辺りですねー。

5と6は一番プレイしていたと思います(リメイクですが……)。

FF3は……BGMは良いんですが、実は序盤の育成作業で飽きて進めてなかったり(苦笑)

FF7をプレイしてないのは意外ですね……。

あれが出たのは確か96年~97年辺りなので、当時のadoreさんは大学に通ってる位の御年ですかね……?

>Shuさん

大学時代はほとんどゲームやってないんですよね。
社会人になってゲーム会社の広告を担当するようになるまでは実質「卒業」してました。

リメイク版は知りませんが、ファミコン版のFF2は今思うとゲームバランスが悪く、裏技的なキャラ育成を強いられたので、FF3は育成なしに普通に進められると思ったものですが…。

FFの曲に自作の歌詞を付けちゃう所が凄いです。
ちなみに私はFF6と9が好きです。あとはFF6の現代版とも言われるロストオデッセイですね。

ついこの前、こんな番組が放送されたようですよ。
メタルの存在自体を知らない人も多いのでどんどん取り上げてほしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nah5SBsh-8s&feature=player_embedded

>学生メタラーさん

いい度胸ですよね。
ロストオデッセイをやっているとはXbox360持ちのコアゲーマーさんですか?

「世界番付」、Twitterなどで話題になってましたね。
でも結局こういうときに取り上げられるのはイロモノっぽいバンドなんですよねえ(苦笑)。
せめてSTRATOVARIUSとかCHILDREN OF BODOMを取り上げてくれればファンとしては嬉しいのですが。

ま、話題にもならないよりははるかにマシですけどね。