LIV MOON at 品川ステラボール 2012.11.30

最新作「THE END OF THE BEGINNING」がかなり良かったので観たいとは思っていたものの、仕事が忙しくてとても行けないかな、と思っていましたが、当日になって20:30スタート予定だった会議が中止になったため急遽駆けつけました。

とはいえ業務過多のため遅刻。当日券を買い求めて入場すると新作の実質1曲目「Free Your Soul」がプレイされている。

コンセプト作であるアルバムの流れ通りにプレイすると聞いていたので、まだ始まったばかりか。開演の19時に20分近く遅刻したのでてっきりもっと進んでいるかと思っていたがラッキー。

しかし、本公演はわざわざ椅子を設置しての指定席制のため、自分の席にたどり着くのにひと苦労。

椅子があるとノリにくいのだが、スタンディングなら1800人入るこの会場で、椅子を設置してなお満員にはなっていない状況では、スタンディングにしないとスカスカになって寂しいことになっていたと思うのでやむを得ない所か。

「Free Your Soul」が終わるとアカネ・リヴ(Vo)が「LIV MOONです。本日は皆さんを北欧神話の世界にお連れします」とやや芝居がかったMCを入れ、ミスティックなイントロを持つ「Fountain Of My Pleasure」へ。

数日前に同じ品川ステラボールで観たACCEPTでも感じたが、やはりこの会場は音が良い。ただ、あえて難癖をつけるならちょっとKeyの音が大きく、Gの音が小さい。まあ、これは意図的なものかもしれないが…。

ACCEPTとLIV MOON、一応同じHR/HMにカテゴライズされるバンドではあるが、とにかく力強いリフでシンプルに勝負するACCEPTと、シンフォニックでドラマティックな装飾に満ちたLIV MOONは「メタル」としての立ち位置は対極と言えるだろう。

ACCEPTからメタルを取ったら何も残らないが(褒めてます)、LIV MOONの場合はメタル的な要素を取り除いても音楽として成立するでしょうからね。

話が逸れましたが、続く「And Forever More」では、キー・マルセロが歌っていたパートを大村孝佳が担当する。キー・マルセロの歌唱が特に卓越したものではないこともあって無難にこなしている。

純白のドレスに身を包んだアカネ・リヴの歌唱は相変わらず絶品。複数回のライヴを観て、ここまで安定してハイレベルなパフォーマンスを披露するヴォーカリストは初めてかも。「And Forever More」の最高音のパートでは思わず鳥肌が立ちました。

煽情的な疾走パートを持つ「Black Fairy」を経て、タイトル曲「The End Of The Beginning」へ。小人のセリフのパートなどクセのある各登場人物のシアトリカルなパートもちゃんと生で歌いこなしていてさすがに元宝塚女優だなあ、などと思っていたが、最初のサビに入るタイミングで素人耳にもわかるくらい派手に入りを間違える。

この曲に限らず、今回は演奏面で割と「あれ? 今のミスじゃね?」と思うパートが散見された気がしました。

メンバーは皆テクニシャンだし、コンセプト・アルバムを再現するからといって今更緊張するようなキャリアの人たちではないから、単純にリハーサルが足りてなかったんでしょうね。

まあ、たった1回のライヴのためにそこまで入念にリハするのもバカバカしいっちゃバカバカしいですしね。やっぱりせめて大阪・名古屋くらいはツアーすべきだと思うんですけどねえ。

また話が逸れましたが、正直先日のACCEPTのときのように余計なことを考えずに熱狂してしまうようなライヴとは言い難かったというのが事実です。

椅子があったから、というのもあるかもしれませんが、やっぱりバンドのパフォーマンスからあまりバンドらしさというか、「熱」が伝わって来ないからでしょうね。

もちろんメンバー各人のプレイのレベルは高いのですが、常に「オレがオレが」という感じで、ことあるごとにエビ反りで無駄な速弾きを連発、ソロになるとセンターにしゃしゃり出ていく大村孝佳(G)に対し、なんとなくルーズで省エネモードっぽい(少なくともかつてアニメタルや「東上線友の会」で観たときよりは…)MASAKI(B)、淡々とタメのきいたパワー・ドラムを聴かせる前田秋気(Dr)、にこやかにリラックスして楽しんでいる風の西脇氏(Key)と、メンバーから伝わってくる「温度感」がバラバラなことがその原因でしょうか。

インスト・ナンバーの「Valhalla」がプレイされている間、アカネ・リヴは袖に消え、今度は黒いドレスにお色直し。彼女のルックスは個人的なストライクゾーンからは距離があるのですが、長身でスタイルが良く、目鼻立ちの造作が大きいため、遠目に映えるという意味で本当に「ステージ向き」の女性です。

「Midsummer Eve」、「Hell」、「霧の葬送曲」と佳曲が続く。特に「霧の葬送曲」におけるアカネ・リヴの高音の伸びには再び鳥肌が立ちましたね。

アルバム中にあるもう1曲のインスト「Land Of Spirit」は、「お色直し」に使うには尺が短いので、各人のソロ的なアレンジに。

ベーシストであるマグナス・ローゼン(元HAMMERFALL)作の曲だけあってベースから始まるこの曲ではMASAKI(B)が少しMCを入れると客席から「ヤカンはー?」という野次が飛び、客席と軽く対話。以前のショウでヤカンを使ったベース・ソロを披露していたためでしょう。私が観ていない前回の「SYMPHONIC MOON」に伴う2daysのライヴでもやったのかな?

今度はベージュっぽい(シャンパンゴールド?)のドレスに着替えたアカネ・リヴがステージに戻ってくると物悲しくも勇壮な「Immortals」の後、私が新作で一番気に入っているキコ・ルーレイロ(ANGRA)作の「黄金の涙」がプレイされる。

やっぱりエモーショナルで素晴らしい曲だ。この曲では歌唱というより、楽曲の素晴らしさに鳥肌が立ちましたね。

そして本編ラストとなる「Voyage」では帆船の帆を思わせる白い布がバックに上がり、女性バイオリン奏者も登場するなど、力の入った演出。

客席から上がっている腕の数もこれまでより多く、人気曲であることが窺われる。元々は作曲者であるKAZSINが音楽を手掛けたアニメ『北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王』の劇中曲が元になっていると思われる曲だが、こうして新しい命を吹き込まれている所に音楽のマジックを感じますね。

アンコールでは先ほど「Voyage」で登場した女性ヴァイオリニストも再び登場し、ヴィヴァルディの「四季」より「冬」のメタル・アレンジを聴かせる。なかなかカッコいい。

その後再びアカネ・リヴが登場。今度は淡いブルーのドレスに衣装替え。「SYMPHONIC MOON」から「Kiss Me Kill Me」をプレイし、「ようやくしゃべります」という言葉と共に(本編では冒頭に記したセリフ以外、「ありがと」という曲終わりの短いお礼しか口にしなかった)MCを行ない、主にコンセプト・アルバムを再現する企画が実現できたことに対する感慨と来てくれた観客に対する感謝を述べ、ステージを去る女性ヴァイオリニストを「南條由起でした!」と紹介して送り出す。

続いて「The Last Savior」がプレイされる。デビュー前から彼(女)らにはこういう曲をプレイしてもらいたいと思っていたものの、いざやられてみるとちょっと「狙いすぎ」に感じられてしまったこの曲だが、やはり速い曲はライヴでは映える。

そして「GOLDEN MOON」から彼らのレパートリーの中では比較的ポップな感触の名バラード「溺れる人魚」がプレイされる。別にアカネ・リヴのような卓越したシンガーでなくても歌えるような曲ではあるが、こういう普通の歌声もまた良い。

そしてメンバー紹介。アカネ・リヴが各人の名前をコールし、各メンバーが一言。最初にコールされたMASAKIが「東洋一のベーシストです」と名乗ったのを受け、前田秋気はボソッと「品川一のドラマーです」と名乗って笑いを誘う。

その前田秋紀にアカネ・リヴが「何言ってるの、日本一のドラマーだよ」と、前任者である菅沼孝三が聞いたら苦笑しそうな言葉をかけると、一時期のHYDE(L’Arc-en-Ciel)を思わせる髪型でイケメン度を増した大村孝佳は彼なりに流れを読んで「世界一のギタリストです!」と大言壮語。

彼のファンと思われる人たちからは喝采を浴びていたものの、日本では一般にこういうビッグマウスがあまり好意的に受け取られないことを配慮したものか、アカネ・リヴが「そう、それでいい。世界一のギタリストだよ」とフォローしていた所に彼女の優しさを感じました。

西脇辰弥氏の「品川の小室哲哉です」で起きた笑いはいささか愛想笑いじみたもので、ちょっとスベっていたかも(苦笑)。アカネ・リヴもフォローできてませんでした(笑)。

そして最後の曲としてプレイされたのは、私の中で彼ら随一の名曲である「アマラントスの翼」。曲名がコールされたとき、「ああ、やっぱり彼らにとっても特別な曲なんだ」と、ある意味安心しました。

いや、個人的には超名曲だと思っているものの、PVも作られなかったし、この曲を書いた坂部剛氏がその後リリースされたアルバムでは起用されていないので、メンバーにとってはそれほど特別な曲ではないのかな、なんて思っていたんですよね。

それがこうしてアンコールのラストでプレイされているということは、少なくともオーディエンスのニーズがある曲だという認識はあるんだな、と。実際私の後方から「『アマラントスの翼』まで聴けるなんて感激~。満足~」なんて声も聞こえてきたし。

その「アマラントスの翼」が終了、南條由起も再び呼んでのカーテンコールを行なってメンバーはステージから去ったが、アンコールを求める拍手が鳴りやまない。

個人的には「アマラントスの翼」やった後じゃ何やっても蛇足だろ、と思っていたが、とりあえず「本日の公演は終了です」のアナウンスもないので、脱いでいた上着を着つつちょっと待ってみる。

するとアカネ・リヴが一人でステージ戻ってきて、マイクを通さず、声を振り絞ってあらためてオーディエンスへの感謝の言葉を伝える。

かなり大きな会場なので一言一句ハッキリと聞き取れたわけではないのですが、一生懸命な気持ちはよく伝わってきて、こりゃファンはグッとくるな、という感じでした。実際隣にいた女性も「リヴちゃんカワイ~」なんて言っていたし。

コンセプト・アルバムの再現という割にはビジュアル的な演出は控えめで、本文中で述べた通りバンド全体のパフォーマンスとしても必ずしも最高とは言い難い部分もあったのですが、楽曲の良さと、アカネ・リヴの卓越した歌唱力によって、少なくとも払った金額分の満足感は得られるライヴではありました。


◆本日のセットリスト(最初から観てたわけではありませんが)
01. Prologue
02. Free your Soul
03. Fountain of my Pleasure
04. And Forever More
05. Black Fairy
06. The End of the Beginning
07. Valhalla
08. Midsummer Eve
09. Hell
10. 霧の葬送曲
11. Land of Spirit
12. Immortals
13. 黄金の涙
14. Voyage

ENCORE:
15. Le quattro stagioni/L'Inverno [Instrumental Session]
16. Kiss me Kill me
17. The Last Savior
18. 溺れる人魚
19. アマラントスの翼



本日もカメラが回っていたようなので、きっとこの公演もいずれ映像作品としてリリースされる予定なのだろうと思います。

恐らくこのプロジェクトのビジネスモデルというのはあくまでリリースした作品を売ることが基本にあって、ライヴというのはDVDなどのライヴ作品を作るために行なっているに過ぎないのでしょう。

世の中的には「これからはCDを売るのではなく、ライヴで稼ぐ時代だ」などと言われて久しいですが、LIV MOONのようにこのプロジェクトが本業ではない人たちの集団にとってはツアーで各地を回るのは他の仕事をする時間が奪われるので(バンドとしてではなく各メンバー個人の)メリットがないのでしょう(何万人もオーディエンスが集まるなら話は別でしょうが…)。

そういう意味では、このLIV MOONというプロジェクトはキャラの立ったセッション・ミュージシャンをうまく使った、音楽業界における新しいビジネスモデルのあり方だったりもするのかもしれません。

ただ、そういう商売が成り立つのはリリース作品を必ず購入してくれる「信者」的なファンがある程度の規模で確保されている場合だけで、「信者」を作る上ではやはりある程度の数のライヴをやることは重要なのではないかとも思ったりするわけです。

現状、とりあえずなかなか質の高い音楽が提供されているので個人的には今後も新作が出ればチェックすると思いますが、「信者」というほどの思い入れまでは持っていない身としては、今後彼らの「ライヴDVD制作のためのライヴ」を観に行くかどうかについてはちょっと要検討かな、なんて思ったり。

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コメント

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ACCEPT、レヴューに付いて激しく同意

ACCEPT、いいっすよね。LIVEかぁ…私が最後に行ったのが
確か95年位のW.A.S.Pでしたかねぇ…
 田舎に引っ越し、金欠なのでそれが最後ですねぇ…
管理人様のレヴュー、よく読ませて頂くのですが、
どうやらDREAM TEAHTERが苦手のようで。
実は私、アルバム全て(レンタルを含む)持っているにも
関わらず、実は(今の所)何がいいのかさっぱり
分からないのです(苦笑)。では、何故もってるか、
①メタルリスナーの評価が高いので
②いつかDTの良さが聞き込めばわかってくるのではないか
だいたいこんな感じなんですが、
最近DTのバンドコンセプトってMETALLICA+RUSHという
情報を聴き、METALLICAの良さが分からん…というか
苦手な私は、(要はアメリカンなメタルって苦手なんですね、私)
それじゃあ好きになれないじゃないかーと。
 でも、何時か好きになるかも知れないので、
売ったりはしませんが。
 管理人様曰く、「せわしなく、乗れないリズムチェンジ、
キャチーさが無い、これ見よがしの速弾き、」などなど
私にはそこまで言う勇気はありませんが気持ちが分かります。
DTの人気がそこまで高いのってある意味不自然な気がする
のです。評論家(主にB!誌)が高い評価をしているから
DTの楽曲が分からん奴はメタラー失格、みたいに思われたく
ないから「DT?あ、ああ、す、素晴らしいよねー」見たいな
事を取り敢えず言っておけば自分のメタラーとしての威厳が
保たれるみたいな… 私が楽器が出来たのならDTの良さ
が少しは分かるのかな…
 で、正直な所!!「DTって結局、テクニックをひけらかすだけ
のオナニーバンドじゃねえか!!」って本当は言い切りたい。

 DT嫌い(そこまで言ってないか(苦笑)広言して憚らない
管理人様のある種の開き直りは凄いと思います(良い意味でね)

 前回HPについて質問しましたが、僕もレヴューページ作成
の下準備中で、テキスト文章打ちまくってます。

 では、長々と失礼しましたー!

ライブレポありがとうございます。
バンド全体が微妙にトーンダウンしつつあるのでしょうか。
当方、ライブにもいってない程度のファンですが・・・LIV MOONには本当にがんばってほしいものです。こちらで何度も同じコメントをしてしまって申し訳ありませんが、これだけの美女が、ここまで歌がうまくて、曲がメタルでシンフォニックでギターがはやい、だなんて、本来超ありがたい話なのですが(意味不明ですみません)

>一ファンさん

バンドとしてトーンダウンしているとは思いませんでしたが、商業的にはちょっと停滞感というか手詰まり感があるかもしれません。
何だかんだ言って魅力的な音楽をプレイするようになっていると思うので、このまま続いてほしいですけどね。

>RIOT1970さん

すみません、書いていただいたコメントが迷惑コメントフィルタに引っかかっていたようです…。

ちなみに、せっかく同意していただいて恐縮なのですが、私はDREAM THEATERは(全ての作品が、とは言いませんが)好きだし、凄いバンドだと思ってますよ。

ただ、DTのフォームだけを真似したようなバンドは、往々にしてノリにくいだけの難解なメタルになる傾向があって、ちょっと苦手ですね。

今さらですがHP作成がんばってください。
あまりがんばりすぎるとかえって燃え尽きる人が多いので、程々に…(笑)。