ENFORCER / DEATH BY FIRE

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前作発表後に実現した来日公演の後、ツイン・ギターの片割れであるアダム・サースが脱退。オロフ・ヴィクストランド(Vo)がギターも兼任することで体制を立て直した彼らのサード・アルバム。

基本的な音楽性はこれまでと変わらず、NWOBHM直系のやや古臭いヘヴィ・メタル・サウンドであるが、本作においては時に初期METALLICAやMOTORHEADが引き合いに出されることさえあるほどのアグレッシヴばスピード感と、(あまりそのことが指摘されることは少ないが)北欧出身ならではのセンスを感じさせる歌メロ、ツイン・ギターのハーモニーともに煽情力を増しており、バンド全体としてパワーアップしたことを痛感させられる。

アルバムをかつてのヴィニール・レコードに見立て、A面とB面の1曲目にあたる#1と#6にインストを配するセンス、アルバム通して40分以内にコンパクトにまとめる、というこだわりも往年のマニアにとってはニヤリとさせられるものだろう。

音作りなどにも顕著なレトロ趣味や、いささかか細く響くB級風味のヴォーカルは、現代的なメタル・サウンドに慣れた若者にはある意味ショボく聴こえるかもしれないが、ここに収められたヘヴィ・メタルの原初的な初期衝動に満ちたサウンドには時代を超えた求心力がある。NWOTHMと呼ばれるバンド群の中から頭一つ抜け出した会心作。

これは単なる懐古趣味のようでいて、ひょっとすると原点回帰によって逆説的に「メタルの未来」を体現するバンドなのかも。そういう意味では先にレビューしたSOILWORKとなどは真逆のアプローチによって、メタルの未来を切り開く存在なのかもしれない。

しかしアレだね。パワー・メタル、メロディック・デス、ブラック・メタル、フォーク・メタル、メロディアス・ハードといったいかにも欧州的なスタイルのバンドはもちろん、LAメタル系やロックン・ロール系、そしてこういうNWOBHM型のバンドまであらゆるスタイルで最も優れたバンドが全て北欧から出てきているような気がするね。【86点】

◆本作収録「Mesmerized By Fire」のPV [YouTube]


◆前作ツアーのドキュメント映像。ライヴ風景のメインは日本公演のもの。



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コメント

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確かに…

北欧はメタルの懐が深くて広い!
きっと私なんかが知らないだけで、それ以外のジャンルでもポテンシャル高いと思います(^^)d…

初めて聴きました。カッコいいですね。
自分だけかもしれませんが、北欧メタルというより80年代の古き良きジャパメタを彷彿とさせますね。特にシンガーの歌い方が。

私も初めて聴きました。これは中々・・・。
このサウンドから何となくAngel WitchとRiotの『Fire Down Under』を思い出しました。
所謂「あの頃」のサウンドですね。懐かしい感じです。

まとめてお返事

>RED OCTOBERさん
たしかに北欧は人口に対してインターナショナルにヒットした音楽が多いですね。
豊かな感性を育む何かがあるのでしょうか。


>名も無きメタラーさん
ああ、BLIZARDとかREACTIONとかあの辺の、Aクラスになりきれなかったジャパメタを思わせるフィーリングもありますね。その辺もちょっと心惹かれるポイントかもしれません。


>X-Ray Dogさん
BURRN!誌で結構推してる(主に奥野氏ですが)のに、あまり聴かれていないんですね。
RIOTの「FIRE DOWN UNDER」、なるほど、たしかに言われてみれば。やはり「あの頃」のサウンドですね。私は後追いなので懐かしい、という感覚ではありませんが…(笑)。

http://www.metalgate.jp/R_inflames.htm
IN FLAMES
CLAYMAN
同郷スウェーデンのメロコア・バンドNO FAN AT ALLのカヴァー

No Fun At Allですよー

最近思うんですが、アルバムを2~5年待ってるメタル族はレアなのかな~?

>ヒモさん

ご指摘ありがとうございました。
修正しておきました。

>いのるさん

まあ、一般に普通の人、特に若い人は5年も経つと趣味が変わったり、熱が冷めたりますよね。
逆にある程度の年齢になってもメタル好きでいるような人にとっては好きなバンドの新譜を5年くらい待っているのは珍しくないんじゃないでしょうか。

adoreさんMILLENCOLINなんかも聴いてたんですね。
僕も高校時代によく聴いてました。スウェーデンはメタルと同じくパンクも、鋲ジャンモヒカンなバンドからポップパンクまでいいバンドが多いです。

北欧はもはやHR/HMの理想郷ですよね。
ベテランは人気を維持しているし、若いバンドもきちんとセールスを上げているってすごいですよ。
しかもちゃんと伝統を継承しつつも新しいスタイルが生まれてくるんですからね。
アメリカではほとんどメタルの香りがしないようなバンドがメタルチャートを席巻しているあたり、もしかしたら北欧シーンの方が「健全」に成長してるのかもしれませんね。

>Mark.Nさん

流行ってましたからね、メロコア(死語)。
GREEN DAYとかOFFSPRING、BAD RELIGIONみたいなアメリカものも結構聴いていましたよ。

北欧のメタル・シーンはたしかに理想的に映りますよね。
伝統文化がちゃんと継承されているような感じがしますし。

変化していくこと、力なきものは滅びることこそが正しい、という資本主義的な価値観のもとではある意味アメリカの方が「健全」なのかもしれませんが(苦笑)。