FAIR WARNING / SUNDANCER

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あらかじめおことわりしておくと、このエントリーは掲題のアルバムのレビューという体をとっていますが、内容的にはあまりそういう文章になっておりません。

私のしょうもない自分語り的な独り言がしばらく続きますが、そちらにお付き合いいただける方はこのまま読み進めていただき、このアルバムの音楽的な内容、あるいは出来/不出来のみに関心のある方は他のサイトなりブログなりのレビューをご参照いただいた方がいいかもしれません。

このサイトは2004年にオープンして以来、本質的にはほとんど変化していません。途中、07年に掲示板を廃止してこのブログを始めたのと、私が30歳になったあたりを境に、文章の一人称が「僕」から「私」に変わったくらい(これは意図的にではなく自然にそうなっていったので、まあやはり年をとって意識の変化があったんでしょうね)でしょうか。

その理由としては、このサイトを始めた時点で私は社会人になっており、音楽的な趣味を含め、基本的な価値観がある程度固まっていたこともあるし、サイトがどうあるべきか、ということについては、当初からある程度中長期的な見通しを持った上で考えて作ったこと、そしてサイトのインターフェース的な意味では、アップデートしたい、変えたい、という思いがありつつも、仕事が忙しくて物理的に変えている暇がないという事情もあります。

ただ、レビューするアルバムの対象については、当初は自分が決めた、このサイトによってプッシュしていきたいコアとなるアーティストのみを扱っていた時期から、ブログを始めたあたりから少し幅を広げてはいて(それこそ聴いたHR/HMのアルバムは全部レビューしよう!などと意気込んでいた時期もありましたが、さすがにそれは無理でした)、強いて言うならそこが当サイト(ブログを含む)における本質的な意味での「変化」なのかなと。

その上で最近思うのは、あまり良くないと思ったアルバムについては、聴き込むのも時間の無駄だし、それについてのレビューを書くなどというのはそれこそ対象のバンドのファンの方を不快にさせるだけで誰も得をしないので、自分が良いと思った作品だけをレビューしていこうかなあ、ということだったりします。

そういう意味では、このFAIR WARNINGの「SUNDANCER」というアルバムは、レビューするべきではないアルバムかもしれません。正直な所、聴いた上での感想はあまりポジティブなものではなく、前作をイマイチと感じていたことによって聴く前からハードルが下がっていたという一種の「クッション」がなかったら、もっとあからさまに失望していたと思われるからです。

ただ、90年代にHR/HMにハマっていたメロディ派のHR/HMファンであればご多分に漏れず、私にとってFAIR WARNINGというのはかなり思い入れの深いバンドで、彼らのデビュー作からサード・アルバムまでは本当に愛聴しましたし、思い出・思い入れもあります。

本作はセカンド「RAINMAKER」と対をなす作品ということで、その「RAINMAKER」を聴いて「このバンドは単なる良質なメロディアス・ハード・ロック・バンドではなく、特別なバンドだ」という確信を持った人間としては、やはりちょっとモノ申したいと思い、こうしてブログで取り上げることにしました。

というわけで、本作の感想だが、「予想通り、期待に応えてくれない」アルバムでした。まあ、こういう作品になるだろうな、とは思っていましたが。

むろん、バンドの音楽的な地力は確かなバンドなので、音楽的な質は低くない。このバンドについて何の知識も先入観もない人に聴かせれば「いい曲、いいバンドだね」と言ってもらえるかもしれない。

しかし、FAIR WARNINGというバンドのこれまでの軌跡を知っている者、あるいは彼らを単純に「良質なメロディアス・ハード・ロック・バンド」として好んでいる人間にとっては、手放しでは褒められないというか、物足りなさを禁じ得ない。

元々、本作の姉妹作である「RAINMAKER」というアルバム自体、当時BURRN!誌のクロスレビューで非常に高い評価を受けた(最高95点、平均で90点オーバー)こともあって、日本では大ヒットを記録したものの、いわゆる「メロディアス・ハード」のファンにはやや賛否両論なアルバムだった。

デビュー作は非常に80年代的なゴージャスなプロダクションで、今聴くといささか時代錯誤というか、違和感のあるパーティ・ロック的な楽曲も含みつつ、路線としてはメロディアス・ハードのファンの琴線に触れるサウンドだった。

そして、「RAINMAKER」のヒットを受けて発売されたサード、「Go!」は「これぞFAIR WARNING」という独自のサウンドを確立した作品で、アルバム後半ややテンションが下がることを差し引いても名盤と呼ぶに値するアルバムだった。

然るに、「RAINMAKER」はHR/HMファン、とくにKeyキラキラのメロディアス・ハードを愛好するような人間の感性からするといささか生っぽいサウンドで、楽曲によってはややラフな感触を与える部分があり、その点が「典型的なメロディアス・ハード」を求める人たちからあまり好意的に受け止められなかったように感じている。

当時、アメリカではグランジ/オルタナティヴ全盛で、「ラフであること、生っぽいこと」がロックのトレンドだった。当時の彼らは曲りなりにもメジャー所属だったこともあり、ある程度そういう国際的なトレンドを意識せざるを得なかったのかもしれない。

個人的にはグランジ/オルタナティヴといった音楽も、周りに結構聴いている人間がいたこともあって普通に聴いていたし、個人的な趣味とは別として「作り込まれていない、ナチュラルで生っぽいサウンドが良い」という概念自体は理解・共感できるので「RAINMAKER」のサウンドは抵抗なく受け止められ、それどころか感動さえしたのだが。

然るに、本作「SUNDANCER」は、「RAINMAKER」の「生っぽい」部分が再び強く押し出されたサウンドで、その点で対になっているかどうかはともかく、「姉妹作」っぽくはある。

ただ、どうにも「泣き」が弱い。それは再結成後の彼らの音楽に対して常に感じてきたことで、これはもうバンドの資質なり目指す方向性なりが変わってしまったと認識せざるをえない。

BURRN!誌のレビューでは「充実度から言えば再結成作『BROTHER’S KEEPER』以上かも」と評されているが、こと「泣き」に関して言えば「BROTHER’S KEEPER」に劣る(少なくとも同作の方が「Go!」の音に近い)。

そして「泣き」に替わって表出してきた(良く言えば)「おおらかさ」とでも呼ぶべき明るいフィーリングがHR/HMとしての緊張感を削ぎ(楽曲自体もより普遍的な「ロック」を志向している)、個人的な「不完全燃焼」感につながっている。

とはいえ、その「おおらかさ」は再結成前からこのバンドに存在したエレメントではあり、それが強まってきたのはメンバーの成熟・円熟を示すものかもしれず(個人的には「泣き」というのは「青臭さ」と紙一重の感情だと思っている)、彼らのファンとしては温かく受け止めるべき変化なのかもしれないが…。

などと、少なくとも賛辞とは言い難い文章を書きつつ、7周めくらいの「SUNDANCER」を聴いているのだが、やっぱりジワジワ来るものはあって、やっぱりこのバンドは並のメロハー・バンドとは異なるレベルにいる存在だということもあらためて感じている今現在。

そういう意味では、本作を聴いて感じたモヤモヤした思いは、私自身の成長なり変化なりと、このバンドのそれが噛み合っていなかったことによるものに起因しているのかもしれず、つくづく音楽というのは「出会うタイミング」というのが重要なんだなあ、と感じています。

◆本作のティザー映像 [YouTube]



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コメント

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私も同意♪

今回の作品は、はっきりいって微妙過ぎますね。
まず、2stと対極と煽りすぎた感もありますし。自分でハードルをあげすぎてるw
個人的にはアンディの脱退がFAIR WARNINGにとっては致命傷だったのかと。彼のバンドとても良い作品を作っていますし。

聴いていて耳に残る曲が無く、気がつけばアルバムが終わっている・・という。

メタリオンであれだけ大物風を吹かせたのに、、もう実力はFAIR WARNING~GO!の頃には及ばないのかな・・。

今作は様子見してから、買うかどうか決めようと思ってましたが、あまり評判芳しくないですねぇ。
僕は最近、CD買うことに関して冒険しなくなってきました。ネットなどでレビューを調べてから買うようになってきましたね。CD不況にこういう形で影響を与えてるかもしれません。

FWは新譜を聴いてないので偉そうなことは言えませんが、blueさんと同意見で実はアンディ脱退が結構な影響だったのかなぁと。
Last Autamn's Dreamもだんだん「泣き」が薄れてきましたが、それでも歌謡ロック的なフックは十分残ってますからね。

SUNDANCER聴いていませんが。。

いつもワクワクしながら拝見してます!
adoreさんのちょっとガッカリレビューでも、
今まで全く不快に思ったことがありません!
今後も真っ直ぐなコメントを期待しております。

音楽も生もので、アーティストもその時代その瞬間の感性があって
作品にしているわけで傑作・駄作が共存するのもやむを得ない。
アーティスト自身が駄作と認めることは少ないですが
リスナーの我々はイマイチなものはガッカリと表現して良いと思います。

繰り返しになりますが、
adoreさんの言葉にはBAND愛を感じますので
不快に感じる方は極少数だと思います!

ガッカリのアルバムだと言いつつも
7周もするあたり。。。
BANDへの愛情を痛いほど感じます!

いつも読ませていただいてます

突然のコメントで申し訳ないですが、きっかけは忘れましたが、
一年ほど前から読ませていただいてます。
RAINMAKERについて、当時私が思ったことを、
ずばり書いてあるのをみて、思わずコメントせずにはいられませんでした。
傾向の近い方の意見は、どんな雑誌のレビューよりも参考になります。
とはいえ、某B誌の購読は10年以上続いておりますが…

これからもブログ楽しみにしております。それでは。

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僕なんか

Youtubeで聴いた感じ「結構良さげ♪」とか思っちゃいますね。買いませんけど。
まぁ僕も日本のV系とKAMELOTとNIGHTWISHばかりリピートしていた頃とは大分音楽の趣味が変わっていますけど。

サイト/ブログの運営を中長期的に考えて始めて、その通りに続けられるって凄いですね。僕なんか試行錯誤というか迷走した結果やめちゃいましたし。僕も観た映画全部レビューするぞ!と意気込んだことありましたけど、モチベーション維持出来ませんでした。じゃあ自信持ってアフィリンク貼れるようなオススメ作品だけにしようかと思うと、駄作でも書きたくなることって結構あるし。

長々と自分語りすいません(汗

>blueさん

たしかに「RAINMAKER」と対になるアルバム、という謳い文句は、結果としてファンのハードルを上げることになってしまったかもしれませんね(苦笑)。

アンディがどこまで作曲に貢献していたかはわかりませんが、少なくとも所謂「バンドのケミストリー」が損なわれた感は否めませんね。

>Mark.Nさん

私もCDを買うときに冒険はしなくなりましたね。
興味のないジャンルのCDを買うことがほとんどなくなった、という意味で、メロディック系のHR/HMに関してはまだ普通の人より低いハードルで買っているような気もしますが(笑)。

アンディの脱退を惜しむ声は多いですね。
果たして今後、戻る可能性はあるんでしょうか…。今のFWに戻っても経済的にはほとんどメリットないでしょうしね…。

>A7xxAKIさん

自分の文章でワクワクしてくれる方がいたなんて感激です(笑)。
A7xxAKIさんのような理解者のコメントを目にすると、自分は読者に恵まれているなあ、とあらためて思いますね。

とはいえ、あまりネガティヴなことを書くのは本人の精神衛生上もよくないので、なるべく褒めたくなるようなアルバムに出会えるといいな、と思ってます(笑)。

普通は3~4周くらいでレビューをすることが多いのですが、レビューを書く時間がとれなかったせいで結果的に7周もしてしまいました(笑)。

>kenさん

1日あたりのアクセス数などはここ数年増えていないのであまり自覚しませんが、やはりここ1年など新規で読者になってくださっている方もぼちぼちいらっしゃるんですね。

「RAINMAKER」について思ったこと、というのが「特別なバンドだ」と感動した部分なのか、「生っぽくてラフ」と感じた部分のことなのかわかりませんが、共感していただけるのは嬉しいですね。

当サイト/ブログについては、BURRN!誌を補完するものとしてご活用いただけると幸いです(笑)。
今後ともよろしくお願いします。

>けー坊さん

本作、微妙な文章を書きましたが、「良さげ」な部分は確実にあるので、まあ機会があればお試しください。

当サイトについても、必ずしも当初の予定・イメージ通りに続けられているわけではないのですが、ある程度順調に続けられているのは、サイトの構成やトンマナ、ターゲットとする読者、SEOなどについてある程度明確に考えていたことが役に立っていると思います。

継続のモチベーションについては、恐らくなんだかんだ言ってある程度の人数の読者が付いてくれたことが大きいんだと思います。

おっしゃる通り、駄作でも書きたくなることってありますよね(笑)。

あと、こっそりとご指摘ありがとうございました。こっそりと直しておきました(笑)。