TONY O’HORA / ESCAPE INTO THE SUN (2006)

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日本では主に「元PRAYING MANTISのヴォーカリスト」として知られる英国人シンガー、トニー・オホーラの初ソロ・アルバム。

彼が参加したPRAYING MANTISのアルバムはかなり気に入っていて、そこで聴けるトニーのヴォーカルも気に入っていただけに、再び彼を表舞台に引っ張り出してくれた「Frontiers Records」のオーナー、セラフィノ・ペルジーノ氏のセンスにはニヤリとさせられた。

しかも、作詞作曲からミックス/マスタリングに至るまで、本作のブレインに抜擢したのがマグナス・カールソン(G, B, Key:MIDNIGHT SUN, LAST TRIBE, STARBREAKER, ALLEN/LANDE等)という人選もまた私のツボで、トニーのヴォーカルにマグナスの曲、となれば購入動機としては充分すぎるほど。

そして完成した本作は、予想を裏切らない上質なメロディアス・ハード作に仕上がっている。ただ、ヴォーカリストのソロ・アルバムということでマグナスが遠慮したのか、全体的にヴォーカル・オリエンテッドな色が強く、HR/HMとしてはいささか刺激に欠ける感がなくもない。

どの曲も適度に憂いを帯びた叙情的なメロディを備えていて質は高いのだが、アルバムとしてのメリハリが弱く、ついサラッと聴き流してしまう。BGMとしては心地よいのだが…。

よく聴けばメロウな曲から、ややヘヴィな曲までそれなりに幅はあるのだが、あまりこの手の音楽に興味のないリスナーが聴けば、どの曲も同じに聴こえてしまいかねないだろう。

いっそ途中にガツンとメタリックな楽曲や、アメリカンな印象を与えるほどに明るくポップな楽曲を挟むなど、異質な楽曲を混ぜた方が他の曲が引き立ったような気がする。

私はトニーの歌声が好きだから、翌年に発表されるALLEN/LANDEの2ndや、マーク・ボールズ(Vo)をフィーチュアしたTHE CODEXのアルバムと同等の評価を与えることができるが、客観的にはトニーはそれらのシンガーに比べると実力面では一段落ちるので、特にトニーの歌唱に愛着のないリスナーにとっては「無難なメロディアス・ハード作」という以上の印象は与えられないだろう。

個人的にはこの細めの歌声も含めて北欧メタルっぽくて雰囲気は良いと思うし、質自体は低くないだけにいささかもったいない、中庸な印象のアルバム。【82点】


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