VAN HALEN 来日公演 at 東京ドーム 13/6/21

元々は昨年の11月に予定されていたが、エディ・ヴァン・ヘイレンが大腸憩室炎の緊急手術を受けたために延期されていたVAN HALEN来日公演の東京公演に行ってきました。

さすがVAN HALENクラスの大物ともなると、会社でも40代以上の人たちを中心に「おー、俺も初期は好きだったよ。『Jump』で見限ったけどな」とか、「サミー・ヘイガー時代のライヴは観たことあるよ。デヴィッド・リー・ロスのソロの来日公演も観に行ったな」などという人が席の周りだけでも結構いて、やはり人気あったんだな、と感じました。

会社の先輩だった人(現在は別会社に勤務)と一緒に観に行ったのですが、私も先輩も多忙のため、「現地で10分前集合」というスリリングなスケジュール。しかもチケットを持っているのは先輩なので、もし先輩が遅刻したら私も観られない、というさらにスリリングなシチュエーション(笑)。

ドームは広く、雨が降っていたため待ち合わせは容易ではなかったが、どうにか合流。開演時間間際だというのにまだまだゲート外に行列ができていたのは、天候のせいか、私たちのように仕事終わりギリギリで駆けつける人たちが多かったせいか。

今回チケットは業界にコネのある人を通じて取ってもらったのですが(もちろんお金は普通に払っている)、アリーナAブロックという、ほぼステージ正面の前方という良席。今回に限らず、関係者経由で取ってもらうチケットというのは非常に良い席であることが多く、一般消費者としてチケットを取るときとの落差に愕然とさせられます(笑)。

当日券は出ていたし、直前に「プロ機材でなければ撮影可」との告知が出ていたあたり、集客はやや苦労しているのかと思いましたが、会場を見回してみると、2階席こそガラガラなものの、1階席はあらかた埋まっている感じで、先日AEROSMITHを観たときのようなもの寂しさはない。

席に着いてほどなくして、客電が落ちないうちにドラム・キットに人影が。おや、あれはアレックス(・ヴァン・ヘイレン)じゃね? と思った瞬間に場内が暗転して他のメンバーが登場し、デイヴ・リー・ロス(Vo)の「Are You Ready?」というごくオーソドックスな声から「Unchained」でショウがスタート。

以下は本日のセットリスト。

01. Unchained
02. Runnin' with the Devil
03. She's the Woman
04. I’m the one
05. Tattoo
06. Everybody Wants Some!!
07. Somebody Get Me a Doctor
08. China Town
09. Hear About It Later
10. (Oh) Pretty Woman
11. Drum Solo
12. You Really Got Me
13. Dance the Night Away
14. I'll Wait
15. And the Cradle Will Rock...
16. Hot for Teacher
17. Women in Love...
18. Romeo Delight
19. Mean Street
20. Beautiful Girls
21. Ice Cream Man
22. Panama
23. Guitar Solo
24. Ain't Talkin' 'bout Love
25. Jump

全体としては、非常にオーソドックスでシンプルな「ロック・コンサート」だった。ステージ背面がいわゆるバックドロップではなくライヴの映像を映すスクリーンになっているが、他はこれといった装飾やステージ・セットと呼べるものはなく、あくまで演奏・パフォーマンスで勝負している感じ。

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今回の来日公演の目玉のひとつは何と言ってもデイヴ・リー・ロスがいること。さすがにかつてのような開脚ジャンプやテコンドー仕込みの派手なアクションはないものの、如意棒を操る孫悟空のごときマイクスタンド使いと、常に踊っているかのようなリズミカルかつ滑らかな動きでオーディエンスの目を引き付ける。

歌唱は、広く知られているように「歌が上手い」というタイプのシンガーではなく、声域やピッチについてはアレなのですが、初期VAN HALENの歌メロというのは極言すればラップのようなもので(?)、リズム感と声量が全て。そういう意味では今なお衰えぬ歌声だったと言っても過言ではないでしょう。

衣装もイエローのジャケットから、それを脱いでのベスト(年齢層の高い人なら「チョッキ」と呼びたくなるようなアレ)姿、そのベストを脱いでのシャツ姿、今度は青いジャケットに、と次々と衣装を変え、曲によってはハンチング帽を被ってみたりと、見た目に対するこだわりは流石ショウマンだなあ、という感じ。

ただ、やはり長髪ではなく普通のヘアスタイルで、衣装を除けば「普通の外人のオジサン」になってしまっているのがちょっと寂しいのですが…。

歌詞のあちこちに「Tokyo」を組み込んだり、やや意味不明な日本語のMCをしゃべってみたりと積極的に日本語に取り組んでいたが(本人も「ニホンゴガヘタデスミマセン」と言っていたが)、昨年2012年5月から今年の2月まで日本に住んでいたという割にはあまり日本語は上手になっていませんね(笑)。

「イシノウエニモサンネン」とか「ワタシニデキルコトガアレバ、オモウシツケクダサイ」などという脈絡不明の日本語MCこそあったものの、オーディエンスとのコミュニケーションは少なく、基本的には淡々と楽曲が演奏されていった印象で、楽曲自体が比較的コンパクトなこともあって、ほぼジャスト2時間という時間の割に曲数は多かった。

今回の公演における唯一のギミックは、「Beautiful Girls」の後に、先月YouTubeなどで公開されていたデイヴ・リー・ロス主演の謎のショート・フィルム『外人任侠伝~東京事変』の上映だった。小錦(懐かしい)の登場シーンや、デイヴが「牧場のいちごミルク」を飲むシーンでは笑いが起きており、場内の多くの人にとっては初見の映像だったようだ。

と、デイヴ・リー・ロス絡みの話が多くなったが、やはりライヴにおいて一番感銘を受けたのはエディ・ヴァン・ヘイレンのギターだった。

髪を後ろで結んでいるエディは病み上がりのためか、単に年齢的な問題か、アクションは少なく、全体的に動きは緩慢。

それでもそのギター・プレイ、ギター・サウンドは唯一無二で、東京ドームのあまり良からぬ音響の中でさえ(それでもアリーナはかなりマシなサウンドだったが)圧倒的という他なかった。

これまでに、少なくとも現在のエディより技術的には上であろうギタリストは何人か見てきたが、これほどまでに自然にテクニカルでメカニカルでさえあるギターを弾く人を見るのは初めてだ。

私は本来「泣きのギター」と呼ばれるようなギター・プレイの方が好みで、そういう意味では「泣き」の要素を一切感じさせないエディのギターは私の琴線に触れるものではないのだが、そんな個人の好き嫌いを超越したパワーとインパクトが今なおエディのギターには宿っていた。いやこれはマジでロック・ギター・モンスターとしか言いようがない。

こういう圧倒的な技巧を持ちつつ、奔放と言っていいほどのエナジーと個性を兼ね備えた革命的なギタリストというのはもう出てこないんじゃないかな。最近の上手いギタリストは皆、誰かの影響が強く覗いていたり、いかにも「スケール練習死ぬほどやりました!」みたいな「音楽エリート」っぽさが窺われていたりと、ちょっとこぢんまりしているんですよね。

新作の曲を含め、オーディエンスの反応はおしなべて良かったが、やはり「You Really Got Me」や「Hot For Teacher」、「Panama」などの有名曲の反応はすこぶる大きかった。

個人的には、前の席の人がずっとスマホ、コンデジ(ミラーレス一眼かも)、デジタル一眼レフと、3種類のカメラを駆使して写真を撮り続けていたのがいささか煩わしかったのですが。てか、白黒加工とか家に帰ってからやれよ、と(苦笑)。

ずっとカメラの動画モードで映像を撮り続けている人なども散見されましたが、どうせオフィシャルで撮っている人たちには敵わないのに、そこまで自分で写真や映像を一生懸命撮る意味がわかりません。せっかくのライヴなのだから、その場の「体験」をこそ堪能すべきだと思うんですけどね。

クライマックスで演奏された「Ain’t Talkin’ ‘bout Love」も当然の大盛り上がり。しかし70年代にこの曲を書いたって凄いよなあ。ブルーズやカントリー、ロックンロールなど、それ以前のロックにあった土臭さをほとんど感じさせることなく、それでいてシンプルなロックとしてカッコよく成立している。ある意味、とてつもなくプログレッシヴなバンドだ。

ラストは「お約束」の定番曲、全米No.1ヒットの「Jump」。デイヴ・リー・ロスの歌声はこの曲が一番テキトーだったが、もはやこの曲の持つパワーの前ではそんなことはどうでもよかった。アリーナにはパーンと盛大に紙吹雪が舞い、お祭り気分を盛り上げる。

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アンコールなどはなく、それは開演時間が押していたことと関係しているのでしょうか。終演後も、ものすごい早さでステージ上の撤収作業が始まりました。

帰りがけに他の客層をチェックしてみると、かなり年齢層の高い男性が大半。いわゆるオッサンだらけ、という状態で、35歳という、10代の若者から見れば充分に「オッサン」であろう自分くらいの年齢でさえ最も若い部類に入るのではないかと思ってしまうほど。

まあでも、実際VAN HALENが「若いファン」を獲得したアルバムって95年の「BALANCE」が最後だったんじゃないかって気がするし、当時10代だった人が今ではあらかた30代になっているわけですから、当然って言えば当然ですよね。

実際、こういうVAN HALENのようなアメリカンなハード・ロック・サウンドって今の若いHR/HMファンにとっては一番時代遅れなイメージで、なじみの薄いものになってしまっているような気がしますが、少なくとも今夜のVAN HALENに関しては未若い人が観ても何らかのインパクトがあったのではないかと思うだけに、この若者の少なさはちょっと残念ですね(まあ、若い人にとってはいささかチケット代が高すぎた感はありますが…)。

いやあ、しかしこれだけのベテランにここまでのライヴ・パフォーマンスを見せ付けられると、「全盛期のライヴを観たかったなあ」という叶わぬ思いを持ってしまいますね(苦笑)。大御所の風格と、今なお充分な「現役感」を感じさせられる納得のライヴでした。
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コメント

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やっぱりエディのギターってホントに凄いですよね。

自分も彼等の1stを高校時代に耳にして衝撃を受けたクチです。

技術的に~とか泣きだとかじゃなく、個人的にゲイリー・ムーアやブライアン・メイと並んで「最高のギター・トーン」を持つギタリストの一人だと思ってたり。

1stの曲、生で聴いてみたかったなぁ。

こういうライブをやる時のためにお金を貯めていないから見に行きたかったHelloweenも見に行けませんでした、ちくしょう!(泣)

>Shuさん

唯一無二のギター・トーンの持ち主であることは確かですね。凄いインパクトでした。
最近はチケット代も高いから若いファンは大変ですよね。そりゃライヴのオーディエンスの平均年齢も上がるというものです(苦笑)。

感無量です!

レポありがとうございます!

adoreさん、Aブロックだったんですね、羨ましいです。自分はBでした。

まさか初期の曲を生で聴ける日が来るとは思ってもいなかったんで、感無量です(大阪の初日も行ってしまいました)。

最近は、WHITESNAKEなどを除いて、Nightwishやらチルボドなどに行ってたので、観客がお父さん率高くていつもと雰囲気違うなあと思ってましたが
自分は本来そっちの年代でした(笑)。

エディを、15年ぶりに観て、素晴らしいプレイと、本人を生で見た嬉しさでなんもいえね~(古い)状態でした。

自分はデイヴ時代観てなかったので、
これでもう冥土のみやげができました(い、いや、これからも色々行きたいですが(笑))。

若い人にもっと見てほしかったですが、
親子連れもいたから、お子さんたちが語り継いでくれるでしょう!

感無量の公演でしたが、逆にエディの今までの作曲能力の高さを再確認したく、今はサミー期及びゲイリー期もよく聴いてます。





>KYさん

KYさんはBブロックでしたか。でも、一般で取ってBブロックだったらかなり良い席が取れたというべきではないでしょうか。
私はちょっとズルした感じですみません(笑)。

エディのあのギターは確かに何も言えませんよね。
大阪まで行ったなんてすごいですね!

観客の年齢層は高かったですねー。親子連れのお子様にも魅力が伝わっていればいいのですが、お子様にわかりやすいのはサミー・ヘイガー時代の曲だったかもしれません(笑)。

冥土の土産は、早すぎるでしょう(笑)。

VAN HALEN改めて聴きなおしてみたら、やっぱり凄いですね。

エディといえば、ロクに手元を見ず、笑顔で高度なソロを弾いてるイメージ(JUMPのPV)ですが
本当、自然に凄いことやってる感じです。

思い返せば、僕がロックにおけるギターソロの必要性を意識するようになったのは、
ジョージ・リンチとエディがきっかけでした(おっさんかw)

大阪の二日目に行きました。その昔、デイヴのソロライブを観ましたが、25年経った今も、華やかな存在感健在で、嬉しかったです。ただ、サミー時代の名曲DREAMSをもう一度聞いてみたいなぁなんて、思ってしまいました(歌うわけないですが)。

>Mark.Nさん

エディは今でもギターを弾くことを心底楽しんでいるように見えますね。「お仕事感」が全くないのが素晴らしいです。

しかしエディとジョージ・リンチとは、完全にLAメタル世代な感じですね(笑)。

>happychildsさん

25年前の、キレッキレのデイヴを見ているなんて羨ましいです。当時私は小学生で、ヴァン・ヘイレンの存在さえ知りませんでした。

「Dreams」はたしかに名曲ですが、デイヴが歌ったら悲惨なことになるのではないでしょうか(笑)。