AVANTASIA来日公演 at 品川プリンス ステラボール 2013/7/10

3度目となるTOBIAS SAMMET's AVANTASIA来日公演。最初の来日の際にはまさかアルバムを出すごとにコンスタントに来日してくれるとは思っていませんでした。

しかし毎回帯同してくるゲスト・ヴォーカリストが異なるので、メロディック・メタル・ファンとしては外せない。

ただ、今回は仕事の忙しいタイミングに重なってしまったため、直前の段階で今回は行けないかも…と思っていました。

しかし何とか会社を脱出、開演時間ギリギリに会場へ到着。会場はもはやおなじみとなった品川プリンス・ステラボール。

近年はHIBRIAやACCEPTLIV MOONなどのライヴも行なわれたので、だいぶメタル・ファンにもなじみの深い会場になってきましたね。

客は前回と同等か、ちょっと少ないくらいか。8割がたは埋まっている感じで、遅く入ったので中央後方にて鑑賞。

R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」(映画『2001年宇宙の旅』のアレ)が鳴り響いた後、最新作「MYSTERY OF TIME」のオープニング・トラックである「Specters」でショウがスタート。

バックのメンバーは概ねこれまで通りだが、ベースの人と、下手(しもて)後方でアマンダ・ソマーヴィルの隣に立っている角刈りの男性コーラスは初めて見る顔だ。

しかし、事前情報として元HEAVEN’S GATEのトーマス“フリーデル”リトケがコーラスをやるという話を聞いていたので、恐らくあの角刈りが彼なのだろう…。ううむ、遠目では全然わからん(苦笑)。

2曲目、「Invoke The Machine」が始まると、アルバム中でも歌っていたロニー・アトキンス(PRETTY MAIDS)がドラムキット後方から登場。ハスキーながら艶のあるパワフルな歌唱で会場を沸かせる。フロントマンらしい貫禄に満ちていてカッコいい。やっぱり11月のPRETTY MAIDS来日公演観に行こうかな…。

3曲目の「Black Orchid」が終わるとロニー・アトキンスはいったん上手(かみて)の袖に引っ込み、今度はボブ・カトレイ(MAGNUM)が登場し、「The Story Ain’t Over」と「The Great Mystery」を歌う。独特な手の動きが印象的なステージ・アクションは前回観たときと同様ながら、歌声は随分とかすれていて、これは調子が悪かったのか、それともやはり還暦を超えて衰えが隠せなくなってきたということか…。

どっかのカラオケボックスからパクってきたかのような赤いタンバリンを叩きながら歌うその様子は「いいぞ、ナイスタンバリン!」と声を掛けたくなるような「かわいらしいお爺ちゃん」という感じではありました。

「また後で会おう!」と言い残してボブ・カトレイが袖に引っ込むと、デビュー作収録の「Prelude」が流れ始める。

そしてアルバムの流れ通り「Reach Out For The Light」が始まると、ドラムキットの後方から現れたスキンヘッドの大柄な人物、マイケル・キスクに本日一番の大歓声が上がる。

前回の来日公演でカイ・ハンセンと奇跡の共演を果たして以降、UNISONICでLOUD PARKを含めて2回来日しているので、だいぶありがたみは薄れてきたが、やはり「守護神伝の声」に対する人気は未だ衰えず、といったところだろうか。

風邪を引いていたとかであからさまに不調だった前回に比べると調子は悪くなさそうだったが、音響の関係か、トビアスとの声の相性の問題か、実はあんまり「声の存在感」は強くない。

とはいえ、ここに来ているオーディエンスの大半が好きであろう「ジャーマン・メタル」タイプのメロディック・スピード・メタル・チューンなので、場内は大いに盛り上がる。ギター・ソロにおけるツイン・リードにも歓声が上がっていました。

主役であるトビアスが袖に引っ込み、マイケル・キスクがMCをした後歌い始めたのは、このプロジェクトのタイトル曲とでもいうべきアンセム、「Avantasia」。この曲をトビー抜きで演るってアリなの? と思ってしまいました(苦笑)。

マイケル・キスクが袖に引っ込み、新たに登場したのはMR.BIGのエリック・マーティン。もちろんトビアスも舞台に戻ってくる。

アルバムで歌っていた「What’s Left Of Me」でさすがの歌唱力を披露。日本でのライヴは恐らくこのプロジェクトに参加している誰よりも経験豊かなだけに、日本語を交えたMCや観客とのコミュニケーションも慣れたもの。「君たちは日本人じゃなく、アヴァンタジア人だよね!」などとオーディエンスを盛り上げる。

続く「Promised Land」での歌唱を聴くと、やはりその基本的な歌唱力と声域の広さは卓越しているものの、エリック・マーティンのソウルフルでブルージーな表現力はこういうメロディック・メタル然とした楽曲では必ずしも生きていないかも…と思ってしまいました。

ケルティックなイントロに導かれて始まる「The Scarecrow」では再びロニー・アトキンスが登場。前2回の来日公演では今回不在のヨルン・ランデが登場した曲なので、やはり今回のアルバム、ツアーにおけるロニー・アトキンスの役回りというのはヨルン・ランデの代役なのだな、と思いました。

特に初来日の際のこの曲におけるヨルン・ランデのパフォーマンスはまさに鬼神、という感じの凄絶なものだっただけに、一般的に見れば充分にパワフルなシンガーであるはずのロニー・アトキンスをもってしてもそのインパクトを超えることはなかったが、アルバム音源の印象を損なうようなことはなかったのは流石。

続く「The Wicked Symphony」では、再登場のボブ・カトレイに加えて、これまではコーラス要員だったトーマス・リトケとアマンダ・ソマーヴィル、そしてオリヴァー・ハートマン(G)がメイン・ヴォーカルとして活躍。ただ、トビアス自身は再びステージを降りたので何となく誰が主役なのかわからず、ステージが引き締まらない印象。

大きく胸元の開いたドレスで豊満なバスト(豊満なのはバストだけではないが…)を惜しげもなく見せつけるアマンダ姐さんは唯一の女性ヴォーカル、そしてその卓越した歌唱力もあってそれまでもかなりの存在感を放っていたが、正直トーマス・リトケは若干空気な感じだったので、ここでのパフォーマンスに注目してみたが…やはり地味(苦笑)。

HEAVEN’S GATEのスタジオ・アルバムやライヴ盤を聴く限りでも、元々傑出したシンガーではなさそうだったが、ブランクのせいか当時はあった独特のアクも薄れ、いたってフツーの歌声。まあ、これだけブランクがあって普通に歌えているだけで充分だろ、って話もありますが。

その後、ステージに戻ってきたトビーの「ドイツでTOP10に入った曲だぜ」というお決まりの自慢に導かれて「Lost In Space」がプレイされる。最初聴いたときにはメタル・バンドがやるような曲じゃないだろ、とやや否定的だったが、何度も聴いた今では素直に「いい曲だな」と思える。

この曲がヒットして、実際そのことを毎回自慢してて誇りに思っていそうなのに、その後またこういうタイプの曲を書いて「柳の下のドジョウ」を狙うような素振りを見せないあたりが個人的には好感度高いです。

ロニー・アトキンスとの「Savior In The Clockwork」、そしてロニーとエリック・マーティンによる「Twisted Mind」がプレイされた後、トビアスが「悪いニュースがある」と言ってステージに戻ってくる。

エリック・マーティンが「いやいや、そんな話は聞きたくないよ」と返すと、「だけど、言わないわけにはいかないんだ…」などとしょうもない(?)寸劇を披露した後、エリックが「次の曲が最後の曲なんて、そんなこと言わないよな? そんなのアリだと思うかみんな?」とオーディエンスに問いかけると、一斉に「愛のあるブーイング」が巻き起こる。

トビアスは困ったような笑顔でそのブーイングを受け止め、「でもこれで最後なんだ、『Dying For An Angel』!」と曲名をコールする。アルバムではSCORPIONSのクラウス・マイネとデュエットしていたキャッチーな名曲で、エリック・マーティンもクラウス・マイネの代役とあらば相手にとって不足なし、という感じだろう(AVANTASIAに参加しているヴォーカリストで、全米TOP10ヒットを持っているのはクラウス・マイネとエリックだけ)。

アンコールはマイケル・キスクにアマンダ・ソマーヴィルという、かつてデュエット・アルバムを出したこともある組み合わせと一緒に「Farewell」、そしてマイケル・キスクと今度はオリヴァー・ハートマンをメインに「The Seven Angels」をプレイ。クライマックス感が盛り上がっていく。

そして最後は全てのゲスト・シンガーが揃っての「Sign Of The Cross」で締め。各ヴォーカルが登場してくる際、マイケル・キスクをコールした際にエリック・マーティンが登場してしまったのは演出なのかご愛嬌なのか。

イントロを引き延ばして、バックのメンバーを紹介。トーマス・リトケの紹介の際、「HEAVENS GATEのヴォーカリスト」と紹介すると大きな歓声が上がったが、この紹介でようやくそれと知った人も多いのでは(笑)。

下手(しもて)でギターを弾いていたサシャ・ピートは、「君たちが持っているメタル・アルバムの92%をプロデュースした男」と紹介されていた。ここに集っているのは多くがいわゆるメロディック・パワー・メタルのファンだと思うが、さすがにそこまで高くはない…はず? 多い人でも2~3割くらいでしょう(と、思わずマジレス)。

オール・メンバーによる「Sign Of The Cross」がプレイされて、ショウは終了。トビアスは「君たちは素晴らしい観客だから、必ずまた戻ってくるよ!」と約束してくれたが、ということは、AVANTASIAというプロジェクトはまだ続く、ということですね。

今回トビアスがステージにいないことが多く、MCやオーディエンスとのコミュニケーションもこれまでに比べると少なめで、何となくシンプルな印象のライヴであったことは事実(後で知ったが、どうやらトビアスは体調不良だったらしい)。

前回、2回目の来日公演の際には、1回目のものをそのまま流用していて微妙な貧乏くささを感じさせたバックドロップは、今回にいたっては何もなく、そういう視覚的な要素の不足も「オペラ」と銘打つプロジェクトのライヴとしては物足りない。

オリヴァー・ハートマン&サシャ・ピートというギター隊は、現代メタル・シーンの水準で考えるとぶっちゃけ下手な部類に入るだけに、演奏が聴き所、というわけにもいかず、しかも今回この会場にしてはサウンドもあまり良くなかった(まあ、通常のバンドのライヴに比べると歌い手が多くて調整が大変であろうことは理解できるが)こともマイナス要因。

なかなかこれだけの人数にギャラを払って収益を上げていくには微妙な興行規模であろうことは想像がつくだけに、「やってくれるだけありがたい」ライヴであることは間違いなく、あれこれ文句を言うべきではないと思うが、理想を言えば、もっとゴージャスなステージ・セットで、ストーリーを描く映像なども付いた状態で観てみたいというのもまた本音。人間の欲望というのは際限がないですね(苦笑)。

それと、あと1、2曲「Shelter From The Rain」や「No Return」、「Stargazers」のような速い曲をやってくれればなおベターでしたね。

とまあ、色々とネガティヴなことを並べてしまいましたが、それはこのプロジェクトに対する期待の大きさの裏返しで、実際あの場にいてライヴ全体の感想として「不満」だった人なんてそんなにいないんじゃないでしょうか。普通のバンドのライヴに比べると格段に豪華で、満足度の高いライヴだったことは間違いありません。

そして私はこの会場でライヴを観た後の常として、プリンスホテルのフードコートでサクッと夕食をとり、タクシーを拾って会社に戻ったのでした。


※本文中でひと通り触れてしまいましたが、本日のセットリスト

01.Spectres
02.Invoke The Machine
03.Black Orchid
04.The Story Ain't Over
05.The Great Mystery
06.Prelude-Reach Out For The Light
07.Avantasia
08.What's Left Of Me
09.Promised Land
10.The Scarecrow
11.The Wicked Symphony
12.Lost In Space
13.Savior In The Clockwork
14.Twisted Mind
15.Dying For An Angel
[ENCORE]
16.Farewell
17.The Seven Angels
18.Sign Of The Cross

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コメント

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AVANTASIA

今回もかなり盛り上がったのではないでしょうか。
次回もまた期待したいですね。
最新作はストーリーの前半みたいなので、次もあるということですね。
次はまたカイ・ハンセンも来てほしいですね。

同じく3回目

私も3回目のAVANTASIAでした。

正直、キスクとヨルンのファンである私にとって、前回ほどの期待感はなかったのですが、エリックとロニーが加わった今回も素晴らしかったですね。

ただ、フェス以外の他国の公演では23曲ほどやっていて、Shelter From The RainやStargazer、Breaking Awayといった曲が日本で省かれていたのは残念でした。。。

公演中から不調そうだったトビーは、会場からスタッフに抱えられて出てきたとかで、相当体調が悪かったようですね。

前回のキスクといい、スケジュールがハードなのでしょうか??

次回は誰が来るのか、今から楽しみです!

>ストラディキャスターさん

盛り上がってましたね。メロディック・メタル系の盛り上がりは和やかでいいですね。
前半だけやって後半はナシ、というのは寂しいので、次作のツアーでもちゃんと日本に来てもらいたいと思います。

>クラウザーさん

あのライヴはリピートしたくなりますよね。
東京でしか観られないので、地方の人が気の毒になります。

トビーはインフルエンザだったという噂なので、むしろよくキャンセルにならなかったと思います。歌もボロボロというほど酷くなかったですし、その辺はやっぱりプロですね。

体力的な意味でもアグレッシヴな曲を減らしたのかもしれませんが、次回は万全の状態で来てもらいたいですね。

リアル80年代組としては、ロニーさんが自分のバンド以外で来日するってことで、今回初参戦してみました。

結果としてはとても楽しめました。普段のライブと異なり、目があちこちにさまよってしまう演出豊富なステージングでしたね。
最近のライブで2時間半というのは、珍しいですよね。「最後まで腰がもたない」と思ってましたが、気がついたら「もう終わりなの?」と。
トビーはつらかったようですが、そのおかげ?で次々と役者が入れ替わり、集中力を保って楽しめたようです。
エリックはステージに出たくてしょうがない、って感じでほほえましかったw。カトレイ翁のガラガラ声はLP2011のカバデイル翁を思い出させてくれました。

メロデシックメタル来日ラッシュもこれで一区切り。今年の残りはLP2013とPrettyMaidsかな。PM、プッシュしますよ~。
あ、楽器隊クイーンズライクの日本版はマーキーから出るようです。

>Metal88さん

ロニー・アトキンス目当てでいらっしゃったんですね。
このプロジェクトは役者が揃っているだけに、ステージのどこに自分の視線のフォーカスを合わせていいか迷いますよね(笑)。

長い曲も長いと感じさせない2時間半でした。
他の国ではもっと長いセットリストをやっていたことを知っていたので、そういう意味でも「もう終わりなの?」という感じでしたね。

PRETTY MAIDS、やはり一度は生で観ておくべきでしょうか…。

自分はHEAVENS GATEのフリーデル目当てでしたが角刈りになっててびっくり!それに今回は彼が歌うScales Of Justiceも日本公演ではカットされててショックでした…それにしても本当に地味でしたねぇ(笑)

YouTubeで観ましたが他に南米では参加できなかったロニーの代わりにStargazersを歌ってたりしててかなりパワフルな歌声を聴かせてくれました

もしまたDVDが出たら絶対に買ってしまいます!

>C.Oさん

やはりフリーデル目当ての方もいたんですねえ。そんな国は日本だけではないかという気がしますが、それなのに見せ場は少ないという…(苦笑)。
周りが役者揃いだけに、どうしても地味に映ってしまいますね。

このプロジェクトこそ、ツアーのたびにDVDを出してほしい存在だと思います。毎回がスペシャルなので。

PMは当時衝撃でしたね~。

・デンマークってどこさ?
・荘厳なイントロからスピードチューンへ
 (Burrn!の初代ベストチューンでしたっけ?)
・6人編成
・クリーンボイスとダミ声の使い分け などなど

何よりHMにわざわざ「メロディック」なんてつける必要のなかった時代、アグレッションとメロディとポップさを共存させた希有な存在だったと振り返ることができます。
他の80年代メロディックメタルと比較すると、Gt&Keyの絡むリフはPMの抜群の個性でした。(SHYも同系統だけどメタリックさが弱い?)

ロニーさんも50過ぎでしょうし、ハイトーンもでなくなってくるでしょうから、観るなら早いほうがよいかと。
ケンさんもぽっくり逝っちゃいそうな体型ですし(苦笑)

<訂正>
SHYはちょと別系統でした。
KeyのからみっぷりはPM並でしたが、
曲はPOP(誰もが親しみやすいメロディ)というより、哀愁度が高かったですね。
今度レビューをぜひ。

>Metal88さん

PRETTY MAIDS、私は後追いで、予備知識もちゃんとあり、彼らよりメロディックなバンドを聴いてから接したのでそれほど衝撃はありませんでしたが、やはりリアルタイムの方には衝撃的だったのですね。

SHYはもっとハード・ポップというか、いわゆるメロディアス・ハード的なバンドと認識していますが、きっと当時は今ほどジャンル分けが細かくなかったのでしょうね。

いずれにせよ、ベテランはもう観るなら早いに越したことはない、ですよね。

読み応えのあるライブレポートありがとうございます!
前回のライブには参戦したのですが今回はお金の問題でパスしました。
ただエリックマーティンが大好きなので出来れば行きたかったですが・・・
Promised Landをエリックが歌ったらヨルンより少し迫力に欠けてしまうのではないかと思うのですが実際はどうだったのでしょうか?

エリックのギャラがそんなに高くないのなら次のアルバムにも参加し、またツアーに同行して欲しいですね。
それが無理なら今回のツアーのDVDを出して欲しいです。

>ノヴァックさん

エリックはヨルンとはだいぶ持ち味が違うので、迫力に欠けるというよりは、「なんか違う…」という微妙な違和感がありました。

エリックに関しては、ギャラもさることながらMR.BIGの活動と被らないかどうか、も重要な要素のひとつでしょうね。
ツアーDVDはいずれにせよ出してほしいですが。