『ヘドバン!』感想

hedoban01.jpg

Amazonではあっという間に品切れになり重版がかかる(そもそも初版が何部なんだ、という話もありますが)など、一部で話題のムック本、「ヘドバン」。

表紙にある見出しは「BABYMETAL巻頭超絶大特集」、「X『VANISHING VISION』再検証」、「世間と対峙し続けたメタル・レジェンド、デーモン閣下に吉田豪が迫る!」、「メタルゴッド祝還暦!伊藤政則ストーリーズ」。

伊藤政則氏のことを別にすると、メタル関連とはいえ、いわゆるBURRN!誌が避けて通るような話題がメインで、意図的にその辺を狙って作られたのだろう。

正直これ買った人の半分かそれ以上が今や本体であるさくら学院をはるかに超える動員力を獲得したBABYMETALのファンなんじゃないか、って気がするくらいの、60ページにおよぶBABYMETAL特集は読みごたえがある。ファンならぬ者には完読できないほどに…。

一応シンコーミュージックから出てはいて、奥野氏をはじめBURRN!関連の人も一部原稿を書いているものの、企画は外部っぽく、あんまりシンコーミュージックの書籍っぽくない。

判型が『Quick Japan』などと同じであることが示すように(?)、いわゆるサブカル誌のノリで、良くも悪しくもプロの仕事っぽくない内容である(誤植と思われる箇所の多さも含めて…)。

まあ、これはこれで個人的には楽しめたし、作っている側も楽しそうな感じではあるものの、やっぱりまあマニア向けの代物かな。BURRN!より遊び心があるのはいいものの、その遊び心はやっぱり閉じた世界に向けられたもので、ライトなファンや、ましてや一般人に伝わるようなものではない。

そもそも論として、本誌中のデーモン閣下のインタビューでもそんなようなことを言っているけど、聖飢魔IIとかXとか、こういう存在を「味方」にしなかったことが日本におけるHR/HMを、変にマジメでマイナーな音楽にしてしまったような気がするんですよね。

イロモノやミーハーなファンを嫌う、妙に理屈っぽいマニアがHR/HMを閉ざされたものにしてしまったというか。

KISSだってIRON MAIDENだって、オジー・オズボーンだって、一般人にとってはイロモノに映る側面は確実にあるはずだし、LAメタル系のバンドのルックスなんて総じてイロモノ以外の何物でもないわけじゃないですか。それらを許容して聖飢魔IIやXを認めない、って感覚に歪みを感じるわけですよ(まあ、LAメタルは当時から許容していなかった人も多いみたいですが…)。

ぶっちゃけ、彼らが一般人に(特に女性に)人気があって売れていたから僻んでいただけじゃないの、みたいな(笑)。

80年代、メタル・バブルで、まだメタルが良い意味で猥雑でチャラチャラしていた時期に、一般人の興味を引きそうな「おもしろい」部分を当のHR/HMファンたちが否定してしまったことが、日本におけるHR/HMの「終わりの始まり」だったんだろうと思います。

まあでも、一方でHR/HMがこうしてサブカルとしてでも細々と生き続けてくることができたのは、そういう芸能界色のあるミーハーな部分を切り捨てて、求道的と言えるほどにストイックにHR/HMを愛し続けてきたファンがあってこそ、というのもまた一面の真実で、本当にどちらが良かったのかは神のみぞ知る、なんですけどね。

ちょっと話が変な方向にズレましたが、ある程度キャリアと知識のあるメタル・ファンなら単純に面白いですよ。ヘッドバンギングやメロイック・サインなどについての「メタルのフォーマルを極める」特集とか、知ってても知らなくてもいい、でも知ってるとメタル通っぽい(?)知識や小ネタが満載で楽しいです。

ただ奥野さん、「ハイトーン・メタル」や「ビッチ・メタル」はともかく、「シケ・メタル」はちょっと難易度高すぎやしませんかね(苦笑)? このワビサビがわかる境地に辿り着くのはなかなか…(笑)。


※公式ツイッターによると、重版分は7月31日の発売になるようです。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

VANISHING VISIONは学生時代に購入して何度か聴いてみたのですが、他のアルバムに比べて「ジャケットも含めてなんか怖い・・・」と思ってあまり聴いていなかったのですがこれを機会にもう一度聞きこんでみようと思います。

とこれでX(JAPAN)のフォロワーっているんですかね?

学生時代に彼らの音楽にハマって似たようなバンドをいろいろと探していたのですが「これだ!」というバンドには出会えなかったと記憶しています。
ジャパメタに限らず、彼らに影響を与えたと思われるバンド(ハロウィンやメタリカ)、逆に彼らが影響を与えたと思われるバンド(ルナシーやグレイ)などいろいろと聴き漁ってみましたが彼等に似たバンドを探し当てることはできませんでした。
それだけ彼等が凄いという事なのですが。

管理人さんはX(JAPAN)のアルバムの中でどれが一番好きですか?
自分は「Jealousy」が一番好きです。「BLUE BLOOD」に比べるとYOSHIKIが作った曲が少ないのが残念ですが、その分、他のメンバーが作った曲が素晴らしくアルバムとしてのバランスがよく感じるからです。予定通りに2枚組になっていればもっと良かったなとも思います。
「DAHLIA」も素晴らしい作品だとは思うのですが、リアルタイムで聴いた身としては「シングル曲の寄せ集め」という印象がどうしてもぬぐいきれません(笑)。

烏帽子田敬です。

烏帽子田敬です。
いつもブロブを見させていただいてます。
今日は、コメントしてみました。
また、読ませていただきます。
烏帽子田敬でした。

>名も無きメタラーさん

たしかに「VANISHING VISION」にはアングラで怖いイメージがありますね。
そんなバンドが「Forever Love」になるわけですから、世の中わかりません(笑)。

Xみたいなバンドを探す旅の過程においてメタルとV系を色々と聴くことになったのは私も同様です(笑)。
ただ、モロにX、みたいなバンドは確かにお目にかかりませんでしたね(曲単位ではともかく)。

Xの場合、作曲した人によって曲調がだいぶ異なるので、何をもって「Xっぽい」とするかも微妙なのですが、少なくとも私が求めていた「YOSHIKI節」は、他のバンドで満足させてくれるものはありませんでした。

まあ、でもそれはある程度のバンドだったらそういうものだと思いますよ。モロにサザンオールスターズ、みたいなバンドってそんなに思いつかないですよね?

一番好きなアルバムは「BLUE BLOOD」です。
おっしゃる通り「JEALOUSY」の方が完成度は高いと思いますが、これはもう思い入れの世界ですね(笑)。

お久しぶりです

Xとか聖飢魔IIとかに限らず○○はメタルじゃないとか言ってるのみると、大抵日本のバンドなんですよね(ほかはミクスチャーとかメタルコアとか)
「Xは歌謡曲」とか言われるとHELLOWEENもGAMMA RAYもRHAPSODYも
あの手のバンドはみんな歌謡曲になると思うんですよ

ちなみに僕はLAメタルとかは好まないのでYOSHIKIの書いた曲が多いBLUE BLOODが一番好きです

>ヘロウィンさん

メロディック・パワー・メタルやメロディアス・ハードについてはどれも歌謡曲扱いする人はいますね。
歌謡曲=メロディアスということであれば別にそれは構わないのですが。

Xの曲、HIDEや他のメンバーが書いた曲も悪くはありませんが、やはり一般的に「Xっぽい」と思われる曲はYOSHIKIの曲でしょうね。

早いものでヘドバンの創刊から1年が経ちました。創刊号で一番面白かったのは、デーモン閣下のインタビューでした。かなり昔の話とはいえ、かつての0点事件のことをいろいろ語っていましたが、シンコーミュージックから発売されている本で、よくあそこまで記載したな、と思いましたよ。後になって思うと、この頃、バーンコーポレーションが潰れるのは時間の問題だったんだな、と思ったものです。

>ランディさん

もう一年ですか。早いですねえ。
シンコーミュージックの内製ではなく、外部で作っているものとはいえ、BURRN!がイケイケの時代であればデーモン閣下のインタビューもあのままは出せなかったかもしれませんね。