TIMO TOLKKI / HYMN TO LIFE (2002)

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STRATOVARIUSのギタリストだった(発表当時)ティモ・トルキの2枚目のソロ・アルバム。

94年に発表された前作のファースト・ソロ・アルバムはクラシック曲のカヴァーなどを含む、ネオ・クラシカルなインストゥルメンタル曲を中心に、STRATOVARIUSのアルバムに入っていてもおかしくない、自身がVoをとるメロディック・メタル・チューンを収めた「いかにも」な作品だったが、本作の音楽性はそれとはガラッと変わっている。

全体的には当時ティモ・トルキがハマっていたというQUEENからの影響も感じられるメロディアスなポップ・ロック・サウンドが中心で、メタル色は極めて薄い。

基本的にはティモ・トルキ自身が大半の曲でヴォーカルを務めているが、ゲスト・ヴォーカリストとして元HELLOWEENのマイケル・キスクが#2「Key To The Universe」を、そして自身が参加したAVANTASIAのアルバムでの歌声を聴き気に入ったというWITHIN TEMPTATIONの歌姫、シャロン・デン・アデルが#7「Are You The One?」に参加している。

この時期、ティモがセラピーや自己啓発セミナーに傾倒し、12歳のときに父親が自殺したというトラウマを克服しようと戦い、癒しを求めていたことはファンには比較的よく知られている。

本作発表時点でのSTRATOVARIUSの最新作だった「INFINITE」にもそのセミナーからの影響が随所に出ていたが、本作はそうしたセラピーの集大成とも言える、非常に内省的で繊細な作品である。

問題の父親をテーマにした#8「Father」の歌詞を読む限り、ティモは全く父親のことを許せておらず、セミナーやセラピーによって彼の心が全く陶冶されていないことが容易に窺い知れるのが気がかりではあるが。

興味深い所では、STRATOVARIUSのオリジナル・メンバーの一人で、88年まで在籍していた(つまり、レコード・デビューの直前にバンドを去った)ミカ・エルヴァスカリがキーボード奏者として参加している。ミカは現在クラシック・ピアニストとして活動しているという。

ちなみにドラマーはNYLON BEATというフィンランドのポップ・バンドのメンバーで、セッション・ミュージシャンとしても活動しているアンシ・ヌカネンという人物。NYLON BEATという名前は、ヤンネ・ウィルマン(Key: CHILDREN OF BODOM)のソロ・プロジェクトWARMENにそのシンガーが参加していたことで名前くらいはご存じの方もいるかもしれない。

正直な所、STRATOVARIUSで書いた名曲の数々に比べると特筆すべき点のない楽曲ばかりではあり、やはりメタルをやった方がいいんじゃないの、という思いが去来しつつ、とはいえいくつかの曲にはそれなりに印象的なフックやメロディがあり、そういう意味ではティモ・トルキというソングライターのポテンシャルを証明する作品と言うことができよう。

IRON MAIDEN等を手掛けたディレク・リッグスによる美麗なアートワーク、伊藤政則氏による日本盤ライナーノーツと、ティモ・トルキが一番注目されていた時期のアルバムであることは間違いない。

そして、この後ティモ・トルキが産み出した音楽を聴いた後に振り返ると、過去の焼き直しではない新しい音楽を創造しようという意欲が感じられ、しかもそれなりの成果は出しているという意味で、ティモのクリエイティヴィティのピークを記録したアルバムという形容もできるかもしれない。【78点】


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コメント

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TIMO

自己啓発やセミナーの影響による、彼の心の底から叫びたくなる感情がひしひしと伝わってきます。
こういう作品が芸術作品といえるのではないでしょうか。
「INFINITE」の方が完成度は明らかに上ですが。

>ストラディキャスターさん

自分の内面を表現しようとすることを芸術と呼ぶなら本作はアーティスティックな作品であることは確かでしょうね。
聴き手にとって面白い作品であるかどうかは別として…。