DERDIAN / LIMBO

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イタリアの大都市、ミラノ出身のシンフォニック系メロディック・パワー・メタル・バンドの4作目となるフル・アルバム。

ギタリストのエンリコ・ピストレーゼを中心に1998年に結成され、当初はMETALLICAやMEGADETHなどのコピーをしていたというが、オリジナル曲を書き始め、2001年にファースト・デモ「REVENGE」を発表する頃には既にメロディック・パワー・メタルに路線を定めていた。

2005年にデビュー・アルバムとなる「NEW ERA PT.1」を発表。この時点で輸入盤を買いあさるようなマニアからは注目を集め、日本デビューも達成。2007年に発表されたセカンド、「NEW ERA PT.2 – WAR OF THE GODS」はアメリカの名門プログ・メタル・レーベル「Magna Carta」からワールドワイドで発売された。

三部作の最終章となった2010年の「NEW ERA PT.3 – THE APOCALYPSE」は、日本盤こそリリースされなかったが、この時期絶滅危惧種となっていた「クサメタル」の佳作として、その筋では高く評価されていた。

ただ、残念ながら商業的には振るわなかったようで、世界的な不況の影響もあってか「Magna Carta」との契約を失い、ヴォーカリストのジョー・カジアネッリも脱退してしまった(それ以外のパートも数多くのメンバー・チェンジを経ている)。

しかし、新ヴォーカリストにHOLY SMOKERSなるIRON MAIDENのカヴァー・バンドで歌っていた人物を迎え、完結した「NEW ERA」三部作に続く新たな作品として本作「LIMBO」が発表された。

アルバム・タイトルの「LIMBO」とは「地獄のそばにあるという地域、キリスト教の救いを受けないで死んだ人々や、洗礼を受けずに死んだ児童などの霊魂がとどまると言われる場所」だそうで、今年の1月に発売されたカプコンのゲームソフト、「DmC Devil May Cry」をプレイした人にはおなじみのワードであろう。

新たなテーマのもとに制作されたとはいえ、基本的な音楽性は変わっておらず、シンフォニックなKeyアレンジを特徴とするメロディック・パワー・メタルが展開されている。

イタリアのこの手のバンドで国際的な知名度を得ているのがRHAPSODY OF FIREだけであるため、基本的には「ROFフォロワー」として語られるバンドであろうが、あれほど濃密にシンフォニックではなく、同じイタリアのHIGHLORDやSECRET SPHERE、SKYLARKあたりの印象に近い。

シンフォニック・アレンジといっても「派手めなKeyアレンジ」の域を超えず、むしろ基本にあるのはティモ・トルキ在籍時のSTRATOVARIUSのような、もっとシンプルなメロディック・パワー・メタル・サウンドであるように思われる。

とはいえ、時にデス声やブラスト・ビートも挟み込むアグレッションや、プログレッシヴ・メタル的な雰囲気をスパイス的に交えつつ、クサいメロディが大仰に展開していく劇的なサウンドは、なかなかマニアの琴線に触れるものがあるだろう。

ただ、前任者よりは安定感があるとはいえ、Aクラスとは言い難いVoといい、現代のメタル・シーンにおいては決して高度とは言えない演奏力、厚みに欠けるアレンジ、ややチープなサウンド・プロダクションなど、全体的にはB級(C級?)と言わざるを得ない完成度であることもまた事実。

15年前だったら掘り出し物だと喜べただろうし、せめて10年前であればまあまあ楽しめたと思うが、正直な所、2013年にこのクオリティは個人的にはちとキツい。逆にこういうB級感あふれるクサいメタル・サウンドを愛好する人にとってはたまらない一枚かもしれないが…。

日本盤ボーナス・トラックはかつて同じイタリア出身のHIGHLORDもカヴァーしていた、ジャパニーズ・メタル・バンドMAKE UPによるテレビアニメ「聖闘士星矢」の主題歌、「PEGASUS FNATASY(ペガサス幻想)」のカヴァー。

英語バージョンの歌詞で歌っていたHIGHLORDと異なり、何の縁か、MinstreliXやDREAMSTORIAで活動する日本人ヴォーカリスト、Leo Figaroがオリジナルの日本語バージョンで歌っている。まあ、オマケという感じです。【79点】

◆本作収録「Light Of Hate」のPV[YouTube]


◆本作のティザー映像 [YouTube]




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コメント

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素晴らしい

このアルバムジャケットは素晴らしい。

こうゆうのが好みなので、思わずジャケ買いしてしまいそうだ(笑)。

井上 勇です。

井上 勇です。
こんにちは。
いつも、ブログを読ませていただいてます。
井上 勇でした。
また、読みに来ます。

イタリアン

確かにROFよりシンプルでストレートですね。
STRATOVARIUS並のクオリティなら文句ないのですが。

P.S.
レビューと関係ないけど、adoreさんって昔から文学少年でした?
いつもながら文章力には目を見張るものがありますね。
早稲田の一文(現:文学部)はどうやったら入れるんでしょうか(笑)。

親戚はライバル大学である慶應なのですが、自分だけMARCH。
出来が悪くてみじめ…。

記憶違いでなければ日本盤はサウンドホリックから出てましたよね?(ヒドゥン・マニアックス・シリーズだったかな?)。サウンドホリックの作品は良質なものが多かったのでお世話になりました。今は会社が倒産してしまった事を考えると、代表者の方が亡くなった事も含めて寂しいですね。

>ゆうていさん

こういうジャケットがお好みの感性の持ち主であれば、内容的にも琴線に触れるものがある音楽かもしれません。

>ストラディキャスターさん

今のSTRATOVARIUSよりクサくて良い、という人は結構いるんじゃないですかね。

早稲田出身の私が言うとイヤミかもしれませんが、MARCHでみじめって、その発言はどうなんですかね。
MARCH出身でも慶応や早稲田出身者より優れた人はいっぱいいますよ。

私が文学少年だったかというと、もちろん本好き、活字好きではありましたが、必ずしも「文学」を好んでいたわけではないですね。エンターテインメント性の高い作品が好きでした。

文学や難しい本を読むようになったのは、やっぱり大学に入ってからですね。
それも半分は見栄ですが(笑)。

>名も無きメタラーさん

サウンドホリックから出ていましたね。
マニア好みのバンドの日本盤をリリースしてくれる会社でした。

倒産したというよりは、代表者の方が亡くなった後、事業を継続しようという方がいなかったという話だったように記憶しています。
まあ経営状態が良かったとは思えないので、よほど好きでなければ続けていけない状況だったのでしょうね。