HEAVEN SHALL BURN / VETO

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ドイツを代表するメタルコア・バンドの、本国ドイツのチャートで初登場2位を記録した通算7作目のアルバム。

これまでYouTubeなどで彼らの音楽に触れたことはあって、「なかなかカッコいいな」とは思っていたものの、ちょっと調べてみると彼らはアティテュード的にはメタルというよりもハードコアに近いスタンスのバンド(実際本作もiTunesに取り込んでみるとジャンルは「Punk」と登録されていた)だと知ってちょっと腰が引けていた。

しかも、基本的に私が好きなメタルコアというのはサビがクリーン・ヴォーカルによるメロディックなエモいコーラスというヤツなのだが、このバンドは基本的にスクリーム・ヴォーカル・オンリー。

そんな私が本作に手を伸ばしたのはBLIND GUARDIANの初期の名曲「Valhalla」のカヴァーが収録されており、そこにBLIND GUARDIANのハンズィ・キアシュ本人がゲスト参加しているという話を聴いて興味を持っていたのと、Web上で目にする評判がすこぶる良かったこと、そして普段ハウリング・ブルからリリースされたアルバムをあまり入荷しない行きつけのCD屋に本作がたまたま入荷されていたという複合的な理由による。

そして結果的には「当たり」だった。本作のジャケットはジョン・コリアという画家が1898年に描いた「LADY GODIVA(夫であるマーシア伯レオフリックの圧政を諌めるために一糸まとわぬ姿で馬に乗り街を行進したという逸話を持つ11世紀イギリスの女性)」をモチーフにしているが、そのモチーフを歌詞にも採用した「Godiva」が本作のオープニング・チューンであり、この曲はライナーノーツの解説を信じるのであれば「HEAVEN SHALL BURN史上最もメロディアスな曲」だそうで、この楽曲で聴くことができるツイン・リードの叙情性にはなかなかグッと来るものがある。

とはいえ全体的にはドイツのバンドらしい厳格と言っていいほどに鋭角的で剛直なアグレッションが全編を貫いており、過去作と比較してメロディ志向が強まっているとしても、そのサウンドは未だストイックなまでに攻撃的である。

とてもメンバー全員30代とは思えないほどの、しかしよく聴けばそれだけのキャリアを重ねていればこその強靭で骨太なエクストリーム・サウンドと言えるだろう。

本作に興味を持つきっかけになったBLIND GUARDIANの「Valhalla」のカヴァーも、アグレッションを増していてカッコいい。ハードコア寄りのファンにとっては異質な曲に響くかもしれないが、このメタル色の強い作風のなかではそれほど浮き上がって聴こえない。

日本盤の初回限定盤には、自称(というかオビタタキ)「ベスト選曲」による昨年のライヴ音源がまるっとボーナス・ディスクとして付属しており、こちらも熱くてカッコいいサウンドなのだが、ここで聴ける過去の曲と比較すると、やはり叙情性という点において本作に収録されている楽曲は彼らのキャリアの中でも最もメタルっぽい(というかメロデスっぽい)サウンドであることは間違いないようだ。

日本盤ボーナス・トラックとしてKILLING JOKEの「Europian Super State」が収録されているが、こういうちょっとテクノ/インダストリアルっぽい楽曲をカヴァーするセンスも含めて、やっぱりアメリカのメタルコア・バンドとは異なるドイツっぽいセンスを感じる。

デビューから10年以上のキャリアを重ね、本国のチャートで2位に入るような大御所になってもメンバーは「バンドを楽しむために」普通の仕事に就いているという(そのためか見た目は「フツーのオジサン」っぽいメンバーが多い)。その辺の地に足のついたアティテュードも含め、質実剛健でドイツっぽい感じ。

メロデスは好きだけど、メタルコアはちょっと…っていう感じの方にもオススメできる、なかなかの好盤だと思います。【85点】

◆本作収録「Hunters Will Be Hunted」のPV [YouTube]


◆本作収録「Godiva」のリリック・ビデオ [YouTube]



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コメント

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初めまして。いつも楽しく読ませていただいております。
heaven shall burnカッコイイですよね!メタルコアは路線変更してスベってしまうバンドが多い中、硬派なスタイルを貫き通す彼らは非常に頼もしい存在です。
個人的にはエモ、スクリーモ寄りなサウンドよりも、こういったアグレッシブなリフでゴリ押しするタイプの音が好みなので(笑)

EDGE OF SANITYのBLACK TEARSなんぞもカヴァーしている辺り、以前からメタル寄りの立ち位置にいるバンドではあったのですが、今回の作品はさらに聞きやすくなっていると思います。(個人的に期待していたものとは少々違いますが、良い作品だと思います)
ただこういう音楽的な線引きは、個人的には年齢と共にどーでも良くなって来ておりまして、メタルとかメタルコアとか関係なしに自分の感性にハマった物を良しとして聞いています。
そういった作品をこういう所で、こういう風に紹介してもらえると、たまらなくうれしいです。

初めまして!いつも記事を楽しく拝見しております。
実はこのHeaven Shall Burn 「Veto」を聴き始めてから、adoreさんにレヴューしていただけないかな、と期待しておりました(笑)
特にValhallaのカヴァーは元の曲がすでに名曲だと思いますが、メロデス風アレンジによってさらに魅力が増していますね。この熱さはなんとなくChthonicのTakaoにも近いものを感じますが。
ブームは去ったかのように思われるメタルコアの中でもまだまだ期待させてくれるバンドだと思います。紹介してくださってありがとうございました!

>八丁味噌さん

はじめまして。
ゴリゴリ、バキバキのサウンドがお好みなら、このバンドはきっと頼もしい存在ですね!

>ありおっちさん

音楽のジャンル分け自体はどうでもいい話ですが、便利なこともあるのでついつい使ってしまいますね。
このブログについては、本体サイトよりもその辺はユルく柔軟に扱っているつもりです。

>mangakisserさん

はじめまして。ご愛読ありがとうございます。
果たして内容的にmangakisserさんの望むような紹介記事になっていたかはわかりませんが、とりあえずご期待に応えられてよかったです(笑)。

HSB、もっと日本でも人気が出てほしいですね。

知人にCDを貸したところメタルコア系が苦手だったんですが、この作品でHSBが好きになりましたね。
3年前の来日公演は素晴らしかったなぁ~。
前から2列目あたりで見てました。
Tシャツにメンバー全員にサインしてもらったのは良い思い出です。
また来てほしい!
最近、格安でNIGHTRAGEやTHE CROWNなどマニアックなバンドを呼んでるところが呼んでくれないかな……?

>通行人Rさん

私もこの作品で好きになりました(笑)。
この手のバンドを2列目あたりで観ているとアツそうですね。

マニアックな所が呼ぶと告知が足りなくて、本来観に行くべき人に来日公演の情報が届かないのがちょっともったいないんですよね。

BLOODAXE FESTIVAL 2014

只今、仕事に向かいながら、このアルバムを聞いてます。
BLOODAXE FESTIVAL 2014でHeaven Shall Burnの来日が決まりましたね~!
今のところ大阪の発表がありませんが、あると信じてますよ!
なかったら川崎クラブチッタまで行くしかない!
となるとBLOODAXE、LOUD PARK、KNOTFESTと毎月遠征に……!?
ちょっと立ち眩みが……。

>通行人Rさん

遠征で3ヶ月連続はキツいですね…。
しかしHEAVEN SHALL BURNが来日するチャンスを現実的に考えると、観たい方は今回観ておくほうがベターでしょうね…。