CARCASS / SURGICAL STEEL

carcass06.jpg

CARCASSの「HEARTWORK」といえば、日本に「メロデス」という言葉を誕生・定着させることになった一種のマイルストーン的なアルバムで、私も当然愛聴していました。

同作のオビには「あなたの琴線に触れる。」という、メタルのアルバムには珍しい簡潔なキャッチコピーらしいキャッチコピーが書かれていましたが、まさにその表現がしっくり来る作品で、タイトル曲のツイン・リードなんて今聴いてもたまらないものがあります。

17年ぶり(!)の新作となる本作は、リリース前からBURRN!誌の奥野氏がTwitterなどでさかんに絶賛していたので恐らく出来はいいのだろうと予測していた。

ただ、メロディ重視派である私としては、CARCASSのメロディの源泉はマイケル・アモット(ARCH ENEMY)だろうと勝手に思っていたので、実はそれほど期待していなかったというのが本音。

解散前のラスト・アルバムである「SWANSONG」が、当時聴いたはずなのだけれども、今となってはほとんど印象に残っていないような散漫な作品だったことも期待値を下げていた。

しかし、CDの再生ボタンを押してものの数秒で、本作が傑作であることを予感した。JUDAS PREASTの「Hellion」を思わせる序曲#1「1985」の煽情力はかなりのものである。

そして聴き終わったとき、予感は確信に変わっていた。これは傑作である。

その奥野氏による日本盤ライナーノーツによるとビル・スティアー(G)は本作のことを3rd「NECROTICISM – DESCANTING THE INSALUBRIOUS」と4th「HEARTWORK」を合わせたような感じ、と形容していたらしい。

私自身は、3rdは大学時代、デス・メタル好きの友人に「名盤だから聴いてみろ」と貸してもらった(正確に言うと押し付けられた)ものの、当時の私にはただの騒音にしか聴こえなかったというのが正直な印象で、上記のビルの形容が適切であるかどうかは判断できない。

私が感じたのは、「HEARTWORK」を現代的にアップデートした作品、という印象で、ここで展開されているアグレッションは、充分にエクストリームでありながら、例えば近年のSOILWORKやIN FLAMESに代表されるようなモダンでデジタルなアプローチの対局を行く、アナログなバンド・サウンドにこだわったものである。

このアグレッションを実現したのは、バンド自身のバックボーンもさることながら、プロデュースを手掛けたコリン・リチャードソン、そしてミキシングとマスタリングを手掛けたアンディ・スニープという、エクストリーム・メタルを好むファンの間では知らぬ者なき名手の手腕によるところも大きいだろう。

本作で展開されている音楽は、北欧をはじめとする大陸ヨーロッパのバンドほどに叙情的なメロディが満載されているわけではないし、「ブルデス」などと呼ばれているバンドに比べるとエクストリームでもないが、文句なしにカッコいい。

これは、誤解を恐れずに言えばJUDAS PREASTやIRON MAIDENが「最高にメロディックでも、最高にヘヴィでもないが、カッコいい」という感覚に近いかもしれない。この手のエクストリーム・メタルにおいて、ここまでバンド・グルーヴで魅せてくれるアルバムは久しぶりである。

アルバム・ジャケットのアートワークや、曲タイトルや歌詞世界については、おそらく英国人ならではのユーモア・センスで、正直我々日本人には理解しがたいものがあるのだが、当時のぶっ飛んだ邦題を踏襲した、各曲の邦題タイトルは、往年のファンであれば微笑ましく映ることだろう。【87点】

◆本作のティザー映像[YouTube]


◆本作収録「Captive Bolt Pistol」[YouTube]



スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

CARCASS

これは傑作ですよね。
久々にいいアルバムをリリースしてくれました。
こういった音楽性なら幅広い層から受け入れられるのではないですかね。

自分はARCH ENEMYからの後追いなので、このアルバムを聴いて、今更ながら「ビル・スティアーって凄い人なんだな~」と思いました。

AT THE GATESの新作も聴いてみたいけど、新作が出たとしてもCARCASSと違いあまり新鮮味がないかもしれませんね。

>ストラディキャスターさん

こういう音楽が必ずしも主食ではない私でさえ傑作であると思ったわけですから、こういうサウンドが好みな人にとってはたまらないでしょうね。

とはいえ、デス声である以上はリスナーの「幅広さ」には限界があると思いますが…(苦笑)。

>名も無きメタラーさん

私も本作を聴いて正直ビル・スティアーを見直しました(笑)。

AT THE GATEはラスト・アルバムの「SLAUGHTER OF THE SOUL」があまりにも伝説の名盤扱いされてしまったがために、新譜を作りにくい雰囲気なのかもしれませんね。

アモット兄がいないCARCASS、どうなんだろ?って思いましたが、まさに「HEARTWORK」の進化系ですね♪

これでアルバムを買うことに決めました(笑)
ありがとうございます(^^)/

それにしてもKALMAHといい、CHTHONICといい、メロデス当たり年かな?(DTは微妙だったけどw)

>メガネコアラさん

私もマイケル・アモット不在のCARCASSがここまでカッコいいアルバムを出してくるとは思っていませんでした。

メロデス当たり年かどうかは、C.O.Bあたりの新譜をどう評価するかでも変わってきそうですね。

私はHeartworkしか聴いたことがありませんでしたが、個人的には新譜の方がより好みです。
とにかく勢いがあって頭を振りたくなる曲ばかりだと思いました。
Loudparkも期待できそうですね。アモットも1曲だけでもゲスト参加してくれないかとひそかに待ち望んでいます(笑)

>mangakissorさん

「泣き」は「HEARTWORK」の方が強いですが、メタル・アルバムとしては本作の方がよりダイレクトかもしれませんね。
LOUD PARKの見所のひとつになりそうです。