BURRN!13年11月号の感想

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これまで発行元は「バーン・コーポレーション」で、発行人はその社長である先代編集長の酒井康氏だったBURRN!が、バーン・コーポレーションの親会社であるシンコーミュージック・エンタテインメントからの発行になり、発行人が草野夏矢氏なる見知らぬ人物に替わっている。

編集部員のツイッターなどを見ると「いろいろあった」ようだが、どうやらバーン・コーポレーションという会社は無くなったようだ。個人的にはそもそもなぜ分社化して発行されていたのかもよくわかっていなかったのですが。

まあ、恐らくBURRN!という雑誌はこれまでシンコーミュージックの中でも特別対応に値する雑誌だったのが、現在はそうではなくなった、ということなのだろうと思いますが、読者的にはそれによって内容が改悪されるのでなければどうでもいい話で。

表紙は彼ら最大のヒット作である「HYSTERIA」を再現したライヴ映像作品「VIVA! HYSTERIA」をリリースするDEF LEPPARD。「HYSTERIA」が発売された時期である1987年の古いメンバー・ショット。

いつも一人か二人のメンバーが表紙を飾るのが基本の表紙がメンバー・ショットに変っているのは発行元の変更による変化なのか、それとも単に使えそうな写真がこれしかなかったのか。

個人的にはHR/HMというのは基本的に「バンド・ミュージック」だと思っているので、こういうバンド全員のショットの方がHR/HM専門誌の表紙に相応しいと思います。

DEF LEPPARD、もちろん大物バンドという認識だし、実際アルバムもライヴも(ライヴは1回しか観たことないけど)素晴らしいバンドだと思います。

ただ、個人的な感覚ではBON JOVI、AEROSMITH、KISS、VAN HALEN、といったアメリカの大物バンドは既に日本でもHR/HMの枠を超えた人気と知名度を誇っているのに対し、DEF LEPPARDの人気はあくまでHR/HMの枠内にとどまっている印象で、せいぜい(と言うと失礼ですが)MOTLEY CRUEと同格、くらいの認識です。

もちろんリアルタイムで彼らの全盛期を体験した世代の方にとってはまた違うのかもしれませんが、グランジ/オルタナティヴのブームが始まって、DEF LEPPARDの人気が下降線を描き始めた時期からHR/HMを聴き始めた私の世代にとってはそれが実感なんですよね。

そのため、ライヴ映像作品が出るくらいで表紙にするほどなの? などと思ってしまったりもするわけですが、「HYSTERIA」といえばおそらくBON JOVIはともかく、AEROSMITH、KISS、VAN HALENのどのアルバムよりも売れているはずで、私がHR/HMを聴き始めた頃に既に「全世界で1,500万枚を売った」などと形容されており、現在ではその累計セールスは2,000万枚を超えている、HR/HMのフィールドで屈指の大ヒット作であるだけに、リアルタイム世代の人にとっては順当な処遇なのかもしれません。

正直、その「HYSTERIA」は高校生の時分に初めて聴いたときにはやや地味なアルバムだと感じたのですが、聴き込むと徐々にその完成度の高さに気付いていき、今では私のHR/HMヒストリーの中でも(その前作である「PYROMANIA」と共に)かなり重要なアルバムとなっています。

楽曲自体の完成度の高さもさることながら、80年代ならではの「未来感」が漂うサウンドなのがMyツボだったりするんですよね。

だからといって「VIVA! HYSTERIA」を買ってまで観たいかというと実はそれほどでもないのですが(観たら絶対楽しめるだろうな、とは思います)、フロントマンであるジョー・エリオットという人はなかなか話の上手な人で、インタビューは毎回かなり面白いです。

その後、来日プロモーションの一環かと思われるKISSのトミー・セイヤー(G)のインタビュー、「新しいバンドもプッシュしています」アピールの(?)AVENGED SEVENFOLDのハリウッドで行なわれたフリー・コンサートのレポートを挟み、先日来日公演を行なったCHILDREN OF BODOMのインタビューとライヴ・レポート。

インタビュー中でアレキシ・ライホ(Vo, G)は、バンドのデビュー20周年が見えてくるようになったことについて「今が大事だから、アニヴァーサリーみたいなことは考えないんだよ。アニヴァーサリーなんてのは、軟弱な連中のためのものさ!」と発言していますが、果たして実際に20周年、30周年を迎えたときに同じことを言えているか、個人的にはちょっと楽しみです(笑)。

そしてその後に続くのは皮肉にもアニヴァーサリー企画で、先月から始まった「創刊30周年カウントダウン企画」。

先月の増田勇一氏に続いて広瀬編集長と対談をするのはソニーミュージックジャパンの洋楽部門の執行役員である白木哲也氏。

HR/HMというよりは音楽業界全般をテーマにした対談となっており、個人的には楽しめなくもないものの、フツーのHR/HMファンにとっては正直退屈なのではないかと思いました。

その後もなぁ…、コラム的な文章を挟んでいるとはいえ、ひたすら1984年にリリースされたアルバムのジャケットとタイトルだけ並べられても、リアルタイム世代のノスタルジー以上のものは与えられないのでは。

いかにBURRN!の読者が高齢化しているとはいえ、さすがに1984年から読み続けている、という人は現在の読者比率においてそれほど多くないのではないかと…。

その後には、来週行なわれるLOUD PARK 13出演バンドのインタビューが多数掲載されている。

新作発売のタイミングとうまく合ったTRIVIUMはもちろんカラーでページ数も多く(しかし台割は後ろの方)、この号の表紙のDEF LEPPARDのメンバーであるヴィヴィアン・キャンベル(G)を擁するLAST IN LINEに関してはDIOのトリビュート・バンド(ヴィヴィアンはトリビュート・バンドにはしたくないと言っているが)だけに、30周年カウントダウン企画の一環として「DIOの真実」なるこの雑誌らしい企画としての掲載になっている。

DIOがメンバーに対してあまり良い待遇を与えていなかったことは比較的よく知られた事実だが、ヴィヴィアン・キャンベルはロニー以外のメンバーが受け取っていた報酬が照明スタッフなど、クルーたちよりも安かったことを告白しており、そういう「裏話」が好きな人にとってはそれなりに読み応えがあるかもしれない(個人的にはどうでもいいが)。

ヘッドライナーであるはずのKING DIAMONDがモノクロ2ページ、全世界で見れば今回の出演バンドの中で一番多くのアルバムを売った実績があるはずのSTONE TEMPLE PILOTSに至ってはわずかモノクロ1ページという一昨年のLIMP BIZKITに匹敵する「申し訳程度」の扱い。

一方で両日の「トリ前」であるEUROPEとYNGWIE MALMSTEENがカラー扱いであるあたり、酒井康氏の影響が排除されようとも、この雑誌の基本的なスタンスはやはり変わらないようだ(苦笑)。

しかしイングヴェイのインタビューは…。唯我独尊に拍車がかかっていて、もはや完全に裸の王様状態。もうこの人から僕が求める音楽が今後生み出されることはないであろうと確信させられる内容でした。

マルセル・ヤコブに対するコメントを求められた際の言葉も、「俺は、亡くなった人のことは絶対に悪く言わない」と前置きしておきながら、まともな社会性の持ち主であれば絶対に口にしないようなコメントを発しており、悪口雑言が売り(?)のイングヴェイとはいえ、さすがに引きました(苦笑)。

メロディック・パワー・メタル・ファンとして興味を引かれたのはSTRATOVARIUSとHIBRIAのインタビュー。

STRATOVARIUSのティモ・コティペルトは次の作品を「伝統的で純粋な北欧パワー・メタル」にしたいと発言していて、これは期待(今の路線も悪くないけど)。

一方HIBRIAは「ぶっちゃけ、俺達はパワー・メタルはそんなに好きじゃないんだ」とか「俺達はパワー・メタルは聴かないんだ」「若い頃は聴いていたけど、飽きちゃったんだよ」などという不用意な発言の数々によって、恐らく現在の彼らのファンの9割以上を占めるであろうパワー・メタル・ファンを敵に回してしまった(?)ことが、次のアルバムのリアクションにどのように反映されてくるかいささか危惧されますね。

「編集部のおすすめ」では、藤木氏が紹介する元ゼロ・コーポレーションの社長であった橋本徹氏がオーナー・シェフを務めているというPapiPopiなるレストランに興味を惹かれました(笑)。食べログの点数はやや微妙ですが…。

レビューについては、個人的には今月はマストバイと思えるほどの強力作はないですね。まあ、TRIVIUMとRECKLESS LOVEは既に購入済みですが。

あとはEDEN’S CURSE、IRON MASK、PLACE VENDOMEあたりは余裕があれば聴いてみたいと思っています。

◆発行元であるシンコーミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011311
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コメント

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一番の情報は橋本氏のレストランかも。
サイトのプロフィールにもギターを抱えた写真……ニヤリとしました。
近いうちに訪問したいですね。

そういえば、壁一面にギターを並べ、モニターもMV、他にも音楽グッズだらけ……そんな美容室がその近所あって、何度か行ったことがあります。まだやってるのかな。

1984年のジャケ集に「懐かしい~♪」と思ってしまう1989年生まれの僕ですが、DEF LEPPARDについては同感です。でも「PYROMANIA」のほうが好きです。

今月の私的マストバイはジャケがかっこいいSTRYPERですね。アマゾンの試聴ではかなり80sでメロディアスな曲が揃っていそうです(フルで公開されてる曲は微妙)。
PLACE VENDOMEもジャケがかっこいいので買います(?)

話は変わりますが、先月発売のALTER BRIDGEの新作がなかなか良いのでオススメです。毛色は違いますが、晩年のSENTENCEDが好きな人がハマレそうな「メインストリームロックと旧式メタルの融合」的なサウンドです。ポストグランジ上がりのバンドなのにギターソロ弾きまくりなのも良いです。

イングウェイの発言気になります。
好きな人だけになんかねぇ。

まとめてお返事

>Aiさん
HR/HM専門誌を読んで一番の情報が飲食店の件とは(笑)。
私も実は近所なので今度行ってみようかと思ってます。

ギターが並んでいる美容院は珍しいですね。
グッズやMVはHR/HMのものばかりなのですか?


>Mark.Nさん
生まれる前のものを懐かしいと思うって…(笑)。
DEF LEPPARDは、まあ「PYROMANIA」の方がHR/HMとしてのカッコよさは上ですね。

ジャケ買いは危険を秘めているのでほどほどに…(笑)。


>みーさん
3ページ程度なので立ち読みでもさほど時間はかからないと思います(などと言ったらシンコーミュージックの人に怒られますが)。
あまり後味のいいインタビュー内容ではないですね。


イングヴェイの例のコメントは引くとか腹立たしいとかのレベルではなく
彼がいかに程度の低い人間性の持ち主か分かり、とても残念です
トリロジーとかセブンスサインとかフェイシング・ジ・アニマルとかは
大好きなので、今月号は買わなきゃよかったと後悔しています

最低の人間です

表紙は本命A7Xで、対抗Dream Theater、大穴Triviumだと予想しましたがDef Leppardですかそうですか…。

今月はニュースコーナーに興味を惹かれる話題ゴシップが。
セバスチャン・バックがヴィンス・ニールの後任に云々の話はニッキーが語った「本を売るために注目されようとしているヤツがいる。」がズバリでしょうね。その昔BURRN!のコラムを飛ばしまくったバズの自伝が書店に並ぶ日は果たしてくるのか!?
Machine Headのロブ・フリンの「A7Xの新作はカヴァーアルバム」はわざわざ発表することではないと思います。読んでて不愉快でした。「ジョークだから」と言われればそれまでですが…。

>タリスメンさん

まあイングヴェイが最低の人間なのは承知の上でそれを楽しんでいたわけですが、さすがに死者に鞭打つのは…と思わざるを得ませんでしたね。

まあ、それだけマルセルのことは嫌っていたということなんでしょうけど。

>B!13さん

せめてTRIVIUMを表紙にする気概があればと思うのですが、気概で雑誌は売れないのでしょう。

セバスチャンのモトリー後任発言は、あえて今言い出したのはおっしゃる通り自伝のプロモーションなのでしょうね。

ロブ・フリンは昔から言わなくてもいいことを言う人でした。
こういう性格はなかなか直らないんでしょうね。直す気もないんでしょうが。

二重作巡査です。

二重作巡査です。
更新お疲れ様です。
ブログを拝見いたしました。
また、拝見させていただきます。

DEF LEPPARDの表紙には、中年は思わず「おお」と思って手にしました。

当時、社内旅行の部屋で同僚と洋楽番組を見ながら「women、women♪」と歌ったことを思い出しました。(その部分しか歌えないんですが(笑))

あの1枚はよく聴きましたねえ~。

さかりを過ぎたころのライブも「今回は行かなくていっかな?」と思いつつ、行ったら「やっぱり行ってよかった~」になりますね。

といいながらVIVA!HYSTERIAを買う予定はまだないですが。

話はそれるのですが、先日仕事の研修旅行でバスの運転手さん(50代)の携帯の着信音が VAN HALEN「JUMP」でした。
おっ!はたから見たらわからないけど、いるね~。と思いました。

彼もBURRN!を支えてる一人だったかもしれませんね。



柳沼善衛です。

柳沼善衛です。
更新お疲れ様です。
ブログを拝見いたしました。
また、拝見させていただきます。



柳沼善衛

>KYさん

「同僚と洋楽番組を観る」みたいな行動自体が私の世代的には「そんな時代があったんだ」という印象です(苦笑)。

50代でVAN HALEN。リアルタイム組の方ですかね。
私も50代になってもSTRATOVARIUSとか聴いてるのでしょうか(笑)。

BURRN!11月号の感想

今回の創刊30周年カウントダウン企画の特別対談は読み応えが有りました。
紙ジャケは場所を取らないのは利点ですが、出し入れし難いので面倒臭いです。
リマスターは値段が変わらないのなら音質は良いのに越したことは有りませんが、余計なボーナストラックが蛇足です。
QUEENSRYCHEのOperation:mindcrimeがEYES OF A STRANGERで終わらなかったらアカンということです。
コンセプト・アルバムではなくても、YESの某アルバムが燃える朝焼けで終わらなかったら作品世界がぶち壊しですな( ̄▽ ̄;)。
どうしても入れるならせめて、ライブ音源程度に留めておいて欲しいです。
という訳で、そこそこ音質が改善されていて、余計な曲が入っていない2000年初頭のリマスター盤を好んで聴いています。
深紫と虹はリマスターよりもそれこそ昔の古い音源の方が好きなので、結局は単なる個人の嗜好の問題なんですけどね(笑)。

>ゆうていさん

12月号が発売されてからのタイミングで先月号の感想にコメントをいただくとは(笑)。

紙ジャケは扱いが面倒なので個人的にはよほどの理由がないと買いませんねー。

リマスターは、まあいくつかの作品では明確にその効果を感じることもありましたが、大して変わらないことも多く、特にiPodで聴くことが多くなってからはあまり気にしなくなってしまいました。

ボーナス・トラックが余計という感覚はよくわかります。
ただ、YESの一部のアルバムとか、やたらと豪華なボーナス・トラックが入っている場合、それが購入動機になることもあるので一概には言えませんね。

ただ、おっしゃる通りコンセプト・アルバムにボーナス・トラックはやめてほしいですね。
ボーナスを付けるなら2枚組にしてくれた方がマシです(笑)。