KILLING TOUCH / ONE OF A KIND

killingtouch01.jpg

元VISION DIVINEのVo、ミケーレ・ルッピ率いるニュー・バンドのデビュー作。

かつてソロ・プロジェクトではコテコテのハード・ポップを歌っていた人ゆえ、今後はきっとそういう音楽をやっていくんだろうなあ、と予想していたが、本作で聴ける音楽はVDと大差ない、プログレ風味のあるメロディック・パワー・メタルで、ちょっと意外。

VDからの脱退は実質解雇だったようなので、ひょっとするとこのバンドはVDに対する一種の当てつけなのかも。

そのため、パッと聴きの印象はミケーレ在籍時のVDとほとんど変わらない。それは、ちょっと意地悪に言えばミケーレの歌うメロディや、ハーモニーの重ね方にあまりバリエーションがないこともひとつの理由だが。

まあ、いずれにせよそういう意味でミケーレのいた時期のVDが好きな人であればオススメ…と言いたいところなのだが、実はそうでもない。

なんかこう、メタルならではのロマンに欠けるのだ。ロマンという言葉は、「クサさ」と言い換えてもいい。

その理由は、恐らくメンバーのバックグラウンドにある。バンド・メンバーは各々イタリアの音楽学校の講師陣だそうで、さすがに演奏は素晴らしく達者である。その点に関しては、VDよりはるかに上だ。

ただ、一般に音楽学校の講師なんてものは、メタルバカでは務まらない。おそらく彼らはジャズやクラシックからポップ・ミュージックまで、幅広く、そして深い音楽的な素養を備えているに違いない。

そのこと自体は、無論責められるべきことではないが、恐らく彼らは、本作でメタル特有のベタな展開・メロディ意図的に避けている。

いや、こう書くと語弊があるな。本作で聴ける音楽自体はかなりピュアなメタルであって、決してジャズだのそれ以外の音楽の要素が感じられるわけではない。

このバンドのメンバーは、メロディック・パワー・メタルにありがちな「クサいメロディ」や「ダサい展開」を「薄めている」という表現の方が妥当だろう。

そのことは、一般的な感覚においては、「センスがいい」とか「洗練されている」という風に形容される類の話だ。

ただ、このことは私自身書いていて複雑なのだが、私が(そして恐らくメロディック・パワー・メタルと呼ばれる音楽のファンの多くが)聴いていて気持ちいいのは、まさにその「クサさ」であり「ダサさ」であって、「洗練」などはハナっから期待していないのである。

音楽的な面では特に突っ込み所のない、高品質かつスマートなアルバムだが、個人的に期待していたサウンドとはちょっと距離があるかな。【81点】


◆KILLING TOUCHのMySpace
http://www.myspace.com/killingtouch
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント