VALENTINE / ANDROGENIUS (2008)

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本日はバレンタイン・デーなので、VALENTINEのレビューを本サイトにアップしてみました。

実は昨年はそのちょっと前にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの新作をレビューしていたりして、まあちょっとしたバレンタイン企画ですね。

じゃあ来年はヒューゴが在籍していたVALENTINEをレビューするのか、みたいなことをお考えになるマニアな方もいるかもしれませんが、その予定はありませんのでご安心(?)下さい。たぶん今年でバレンタイン企画は最後です。わずか2年の寿命でした(笑)。

VALENTINE、いや、あえてロビー・ヴァレンタインと言いましょう。90年代に「メロディ派」のHR/HMファンとして過ごした人であれば、かなり印象に残っているアーティストだと思います。

私もその例外に漏れず、初期の彼の音楽はかなり愛聴したクチなので、このベスト盤の紹介にかこつけて、ちょっと彼に対する思い入れみたいなものを語ってみようかな、と。

本アルバムは、「二枚組ベスト」という体裁をとっていますが、恐らくこの内容を「ベスト」だと思うファンはかなり少ないのではないかと思われます。

1st「ROBBY VALENTINE」からは3曲(うち1曲は2バージョン)、2nd「THE MAGIC INFINITY」からは1曲、3rd「VALENTINE」からはゼロ、4th「VALENTINE4-UNITED」からは3曲、5th「NO SUGAR ADDED」からもゼロ、6th「BELIEVING IS SEEING」から6曲、7th「THE MOST BEAUTIFUL OF PAIN」からは7曲、8th「FALLING DOWN IN MISANTHROPOLIS」から6曲と、大半が2000年代に入ってからのアルバムの曲。

つまり、日本で人気があった時期の楽曲はほとんど収録されていない。

ロビー・ヴァレンタインはソロの初期において本国オランダで5曲のスマッシュ・ヒットを放っているが、本作に収録されているのは本国で6位を記録した最大のヒット・バラード「Over And Over Again」と、2ndからの「No Turning Back」の2曲のみ。

しかも、その「Over And Over Again」にしてからが、「FUTURE」と題されたDISC-1の#4ではバラードではない全く違う曲にアレンジされており、「PAST」と題されたDISC-2では「2008年バージョン」にリメイクされている。

同曲に限らず、ROBBY VALENTINE名義で発表した1stおよび2ndの収録曲は全てリメイクされており、その事実は「過去の否定」にも映る。

DISC-1の冒頭を飾るのが、EVANESSENCEからの影響丸出しのヘヴィ・チューン「Save Myself」で、「FUTURE(未来)」と銘打たれたこちらのディスクには、彼の楽曲の中でも新しい、モダンなタッチのあるヘヴィ寄りの曲が揃っているのは、意図的なものだろう。

しかし、どう考えても彼の本領、少なくとも彼以外には作れない音楽が詰め込まれているのは「PAST(過去)」と題されたDISC-2。

時代に恵まれず、その才能が正当に評価されなかった天才が迷走している姿がこのベスト・アルバムで浮き彫りにされていて、ちょっと聴いていて痛々しいものがありました。

いや、マジでロビー・ヴァレンタインってHR/HM史上屈指のメロディ・メーカーで、その点については紛れもない天才だと思うんですよ。

同じオランダのアルイエン・アンソニー・ルカッセンが、ロビーがゲスト参加した自身のプロジェクトAYREONの「INTO THE ELECTRIC CASTLE」発表時のインタビューの際、自分はロビー・ヴァレンタインのようにサクサクと音楽を作れない、彼がピアノの前に座ると、すぐにシンフォニーが生まれてくる、と語っており、その才能は客観的にはロビーより成功している同業者から見てもお墨付きでした。

それが、2014年現在公式サイトすらない有様(管理を任せていた人が突然勝手に閉鎖してしまったとのことで、ロビー・ヴァレンタインも困っているようですが…)。

このベスト・アルバムをリリース後、またしばらく音沙汰がなくなり、2011年と2012年に彼のルーツともいえるQUEENのトリビュート・アルバムを2枚リリースしました(日本盤未発売)。

それは、やはりヘヴィさを打ち出した「新機軸」が不評で、ルーツに立ち返った、ということなのでしょうか。

噂によると、既にオリジナルのニュー・アルバムも完成しているようなのですが、リリースするレーベルが見つかっておらず、実質お蔵入り状態になっているようです。

冷静に考えてみると、このベスト・アルバムも含め、日本ではずっと大メジャーの「UNIVERSAL」からアルバムが出ていた、ということがある意味驚きなのですが、それだけ売れていた時期の実績がかなりのものだったのか、あるいは担当者に恵まれていたのか、どちらだったのでしょう。

近年は、かつて在籍していた1ST AVENUEのシンガーだったピーター・ストライクスと活動を共にして、時々ライヴを行なったり(2007年にはコラボレーション・アルバムもリリースしている)、QUEENのカヴァーなどをステージでプレイしたりしているようです。

あのスター性に満ちていたロビー・ヴァレンタインが、いちヴォーカリストのバック・ミュージシャン的なポジションに甘んじている(それ以前からKYSSMETというバンドでベーシストとして活動したりもしていたようですが)、というのが個人的には歯痒いのですが、どうも彼の現在の一番の関心事は子育てのようで、天才とはいえ、彼も人の子だったということなのでしょう。

今後ロビー・ヴァレンタインがHR/HMシーンの第一線に戻ってくるかというと、それはなかなか難しそうな気がするのですが、彼が残した素晴らしい音楽は聴き継がれてほしいし、そのためにも1枚モノでいいから、ちゃんとしたベスト・アルバムが編集されて、一般的に入手しやすい形でリリースされてくれると嬉しいな、と思います。

◆「I Believe In Music」(1997)のPV [YouTube]

必ずしも彼の最高傑作ではないかもしれないが、彼の何たるかは伝わりやすい曲だと思います。


◆「Save Myself」(2007)のPV [YouTube]

現時点での最新PV。これはこれで悪い曲ではないのですが…。



ちなみにロビー・ヴァレンタインといえば、その貴公子然としたルックスでも注目され、「ロビー様」などと呼ばれて一種アイドル的な人気も博していたわけですが、そのナルシスティックなビジュアル・イメージが押し出されるようになったのは日本デビューを果たし、アーティスト名義を「VALENTINE」に変更した頃。

元々デビュー当時は、後にヘア・メタルと呼ばれるバンドの流れにある髪型・ファッションをしていたロビー・ヴァレンタインが、ある種女性的とも言える髪型やメイクに路線変更したのは、嘘かまことか、X JAPANのYOSHIKIの影響だという。

当時の「ロッキンF」のインタビューによると、X JAPANの世界進出第一弾となった「ART OF LIFE」がオランダでも発売されており、それを聴いたロビーはそのクラシカルなサウンドを気に入り、またYOSHIKIのビジュアル・イメージにもインスパイアされたのだという。

実際BURRN!誌の「来日こぼれ話」でも、ロビー・ヴァレンタインが来日時にX JAPANの旧譜CDを買っていったというエピソードが紹介されており、当時X JAPANを聴いていたことは間違いなさそう。

当時私はX JAPANの、さらにYOSHIKIの大ファンだったので、海外のアーティストがYOSHIKIの影響を受けている、ということについて、すごく誇らしい気持ちになったことを憶えています。

どうでもいいですが、この「ロビー様」に限らず、どうして日本人って「ベッカム様」とか「ヨン様」とか、「様」を付けたがるんでしょうね?(苦笑)

◆「Over And Over Again」のPV [YouTube]

ヘア・メタル時代のロビー・ヴァレンタイン。どうでもいいけどモデルの女性が美人。

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コメント

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おお、来ましたかバレンタイン…
自分はadore様より大分若いのでバレンタインの全盛は小さい子供でした。
ただクサメタラーにはマストみたいな言われ方をしていたのでずっと探していたのですがタワレコやBOOK・OFFはおろかレンタルにすらない有り様で先日東京のメタル専門店を回りセットでようやく手に入れました(笑)
なるほど、まさにメロディアスの権化みたいな存在ですね。
異論あるかもしれませんなが私はバレンタインのHRHMとしての寿命を縮めたのは3rdだと思っています。

いくらgodという超名曲があるとはいえ正直中盤のあのメルヘン全開の世界は正直サンホラなどで耐性がある自分でも厳しく、1stや2ndのほうがいわゆるメロスピ的な音楽をしているなと思いました。300円だったので全く損したという感じはしませんでしたがあれを新譜で買いたいかというと…尤も音楽始めた時に既にキラキラメロスピが溢れてたような若造の意見ですが(笑)
それと、同郷の友人であるバレンシアは近年本格的にメタル化してそちらで勝負しているようですね。
時代があと10年後ろならバレンタインもヨーロッパでスターダムに上がれたのかな…とも思うとなんとも言えないです。
自分はメタル氷河期というのは実感なくてもはや歴史の言葉みたいな感じなんですがやはり体験した者にしか分からない厳しさがあったのでしょうね。

本日2nd、4th購入!

いつか聴いてみようと思っていて、機会を逃していたアーティストの一人でした。
レビューを読んで、仕事帰りにブックオフに行ったら2nd、4thがあったので買いましたよ。ただ、バレンタイン当日に帯に「ヴ ァ レ ン タ イ ン」と書かれたCDをレジに持っていくのはだいぶ恥ずかしかったですが(笑)

いいですね、気に入りました。雪降るなかコレ聴いてたら、すごいテンション上がりました!

なんかHR/HMの枠に収めておくのは勿体無いアーティストですね。
こういう音楽はHR/HMファンしか聴かない時代だったのでしょうがないですが。

言いすぎかもしれませんが、フレディはもちろんマイケルジャクソンとかプリンスのような、「ビジュアル面・音楽面総てひっくるめてセルフプロデュースするアーティスト」として注目されたら良かったかも。

でも「バック・ミュージシャン、子育て」の事情を考えると、あまりそういうタイプではなさそうですね・・・。

>ノムさん

3rdがHR/HM生命を縮めたというのは鋭い指摘ですね。
たしかにあの作品はかなり濃い作品でその前の2作に比べると間口が狭い音楽だと思います。

純粋に音楽としては彼にしか作れない孤高の世界が表現された、アーティスト性を高く評価されるべき作品だと思うのですが。

>Mark.Nさん

バレンタインデー当日にVALENTINEのCDを買うというのはたしかになかなか勇気がいりますね(?)。

でも、彼の音楽は確かに雪景色に合いそうで、素敵な音楽体験になりそうです。

おっしゃる通り、本来HR/HMアーティストの枠の中に収まる才能ではなかったんでしょうね、彼は。

もともと目立ちたくてソロになったはずの人なので、バックミュージシャンをやっている現状に満足しているとは思えないんですけどねえ…。

懐かしい

好きだったなぁ~。
4thと5thがお気に入りでした。
ヴァレンシアとのコラボしたVも見に行った記憶があります。
大阪、ガラガラだったっけ……。

来年のバレンタインには、ラスベガス出身のエミリーという美人ヴォーカル率いるValentineでお願いします(笑)

個人的にロビーのベストワークはジナトラの2ndだったりします。
Take It To The Topのイントロのシンセを聴いた瞬間、周りの景色がパッと明るくなるような気分にさせてくれます。

>通行人Rさん

Vの来日公演、ガラガラでしたか…。
まあ、あの時点でだいぶ人気は下り坂でしたからね。

あっちのVALENTINEは、その時期に新譜が出て、それが良さそうであればレビューするかもしれません(笑)。

>高見沢さん

ZINATRA良いですよね。
私も「Take It To The Top」は大好きですが、あれはロビーではなくポール・レインの書いた曲なんですよね…(笑)。

まあ、あの印象的なKeyリフを弾いているのはロビーですが。

ややや、こんなんあったんすね。全然知らなかった(笑)
今度チェックしてみます。
これだけいろいろ聴いてきて、この歳になって、まだまだ未知の音楽(主にロック)に出会える。
幸せですな~。

>Zeppさん

彼が活躍した時期が多分ZeppさんがHR/HMシーンを見切った時期と重なっているのだと思います。

やや人を選ぶ音楽ですが、なかなか才能のあるミュージシャンですし、ブックオフとかで安く手に入ると思いますので、ご興味があればぜひ。

1年半程前にロビーを知り、今の所「THE MOST BEAUTIFUL PAIN」と「FALLING DOWN IN MISANTHROPOLIS」以外は持っています。
僕はポップでキャッチーな音楽が好きなので彼の音楽はど真ん中ストライクです!
彼の音楽はBon JoviのようにHR/HMファン以外の人にもアピールできると思うのですが、中々HR/HMフィールド以外からは評価をしてもらえてないのでしょうか?
だとしたら、adoreさんが仰るように「やや人を選ぶ音楽」というのが原因なんでしょうね・・・
とういか彼程のミュージシャンと契約するレーベルが無いというのも驚きですね。
僕もロビーはHR/HM史上屈指のメロディ・メーカーだと思っているので、エリックマーテンソンのようにFrontiers Recordsのソングライターになるっていうのも良いんじゃないかとも思うんですけどね・・・
まあ気長にHR/HMシーンに戻ってくるの待ちます!

話し変わりますが、もし気が変わったら来年の2月14日はヒューゴが在籍していたVALENTINE(なんなら改名後のOPEN SKYZとセットで)のレビューもお願いします!

>ノバックさん

HR/HMフィールド以外からは評価をしてもらえていない、というよりはそれ以外のフィールドで知られていない、というのが現実かと思います…。

出るところに出れば、結構評価される音楽だと思いますが、あの世界観がダメな人には全く受け付けない、というタイプのサウンドでしょうね(苦笑)。

職業ソングライターになるには個性が強すぎる気もしますが、あえて個性を抑えて他人のために曲を書いてみると、案外新しい境地が開けるかもしれませんね。

ヒューゴのいたVALENTINEは、聴いたことはありますが少なくとも当時(リアルタイムではないです。15年前くらい?)は「毒にも薬にもならないメロディアス・ハード」という印象で、現在はCDを所持していないのでレビューできないと思います…(苦笑)。