VANDENBERG’S MOONKINGS / VANDENBERG’S MOONKINGS

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かつてTEASER, VANDENBERG, WHITESNAKE, MANIC EDENといったバンドで活躍したオランダ出身の長身ギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンバーグが組んだニュー・バンドのデビュー・アルバム。

2004年にVANDENBERGが一時的に再結成して収録した代表曲「Burning Heart」のリメイクを含めた2枚組ベスト・アルバム「THE DIFINITIVE」のリリースはあったものの、実質的には1997年にリリースされたWHITESNAKEのアルバム「RESTLESS HEART」以来17年ぶりのカムバックと言っていいだろう。

先日のジェイク・E・リーのRED DRAGON CARTELといい、しばらく音楽業界から身を引いていたギタリストの復活がここ最近のトレンドなのでしょうか(笑)。

元々オランダのサッカー・チーム、FCトゥウェンテのための曲を作るために起用したメンバーは、2008年のWHITESNAKEのオランダ公演で前座を務めたSTONEFLYのヴォーカリストだったヤン・ホーフィングに、かつて10年ほど前にエイドリアンが審査員を務めたミュージシャン発掘番組でエイドリアンの高い評価を得たマルト・ナイエン・エス(Dr)とセム・クリストフェル(B)で、いずれも国際的な知名度こそないが、高い実力を備えた人材である。

エイドリアン・ヴァンデンバーグというと、自らの名前を冠し、国際的な知名度を得るきっかけとなったVANDENBERGの印象が強く、あそこで体現されていた欧州らしい叙情性を秘めたHR/HMサウンドこそが彼の本質だと思ってしまいがちだが、ああいうサウンドはキャッチーなメロディが重視されていた80年代という時代に迎合したものだったのだろう、本作で展開されているサウンドはVANDENBERGのそれとはいささか趣を異にするものである。

彼のキャリアでいうならやはりWHITESNAKEに近く、シンガーの声質もあって、LED ZEPPELIN的に響く場面が多い、ブルージーでシンプルなハード・ロック・サウンドである。

まあ、最初のキャリアであるTEASERからして必ずしもメロディックなサウンドではなかったし、MANIC EDENなどもそうだったので、エイドリアンの本質はこういう70年代っぽい、ブルージーなロックン・ロールだったということなのだろう。

アルバムの仕上がり自体は悪くない。ブランクを考えれば上々と言っていいだろう。そういう意味で、いささかブランクを感じざるを得なかったジェイク・E・リーのRED DRAGON CARTELよりも印象は良い。

ただ、このヴィンテージでアナログな味わいの渋いハード・ロックは個人的な琴線からはやや距離のある音楽で、これはやっぱりリアルタイムでVANDENBERGやWHITESNAKEを体験し、今ではすっかり渋いロック親父となって、昨日あたり「ROLLING STONESを観にドーム行ってきました!」なんてFacebookに書いているような世代の人たちのための音楽なのではないか。いわゆる欧米人が言うところの「クラシック・ロック」ってヤツですか。

まあ、最初からVANDENBERGが再現されることはないだろうと予想していたので別に落胆したりはしませんでしたが、個人的には今後何度も聴くアルバムではないかな。

ストリングスを入れたバラード調の#4「Breathing」と#7「Out Of Reach」は大人の哀愁を感じる良い曲で、気に入っています。

なお、WHITESNAKEの「SLIP ON THE TANGUE」収録曲だった「Sailing Ships」のリメイク#13には、盟友デイヴィッド・カヴァデール(WHITESNAKE)がゲスト参加しています。

◆「Breathing」のPV


◆「Lust And Lies」のPV



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コメント

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レビューを参考に、早速「HEADING FOR A STORM」を聴いてみたのですが良いですね。特に「Waiting For The Night」が気に入りました。

新作よりこういう路線の方が少なくとも日本では売れるような気はするのですが、年を取るとやっぱりLED ZEPPELINの様な音楽を演奏したくなるものなんですかね?

レビューラッシュお疲れ様です。
ムーンキングス、バンド名がカッコいいので期待してましたが、先行公開された曲の方向性がアレだったので購入は断念しました(笑)
「HEADING FOR A STORM」は今でもたまに聴くほど好きです。

ALMAHもちょっとアレな出来でしたね。
前作はメタルコアとメロパワの中間のような意外と画期的なアルバムだったので、あの路線でいってくれたらよかったんですが。

エドゥは声が枯れてしまいましたが、英語の発音とか歌いまわしが凄く好みなので、このバンドで是非リバースしてほしいんですよねぇ・・・。

MoonKIngs

vandenbergはデビュー当時から好きで聴いていたので思い入れあります。なのでどうしてもその当時のサウンドを求めてしまうので今回もmanic edenの時と同様に肩すかし食らった感は否めないですね。所々に当時のエッセンスが感じられますがアルバム全体としてはキツかった。私も年齢的には十分なオッサンなんですがstonesはムリなんで・・・。

まとめてお返事

>名も無きメタラーさん
年を取るとLED ZEPPELINのような音楽を演奏したくなる、というよりは、自分が若い頃に好きだった音楽、自然にプレイできる音楽をやるようになるんじゃないでしょうか。
エイドリアンの場合はこういう音楽がルーツだったということなのでしょう。

とりあえず、「日本で売れる」ことは意識していないんじゃないでしょうか(苦笑)。


>Mark.Nさん
ちょっとここ1ヶ月ほどはレビューをがんばり過ぎました(苦笑)。
「HEADING FOR THE STORM」のような音を期待しているような人にとっては本作はちょっと肩透かしでしょうね。

ALMAHについては、個々の楽曲を見ると悪くはないのですが、やはり前作の路線で行ってほしかったですねー。
あの路線だったらエドゥの今の声でもアリな気がするんですけどね。


>godhand89さん
個人的にはMANIC EDENがあったおかげで、ある意味期待せずに済んだ気がします(苦笑)。

STONESについてはちょっと時事ネタに乗ってみただけで冗談ですが、ブルージーな渋いロックが好きな人であれば本作も楽しめるのでしょうかね。

いずれにせよ本作を買う人の大半はVANDENBERGのファンである(あった)人で、そういう渋いロックのファンではないと思いますが…。

VANDENBERGは、私がハードロックを聴き始めた頃、3rdの「ALIBI 」が出て、今でもアルバム単位では、このアルバムが好きです。エイドリアンが復活すると知って、うれしいものの何を期待したらいいか、
戸惑ったのも正直なところ。評判の悪かったMANIC EDENも好きだったので、ああいう渋ハードなんだろうな思っていたので、意外と溌剌とした音にびっくり。ツェッペリン風味がWHITESNAKEを彷彿させます。エイドリアンがあのバンドに加入した当時、こういう風味は求められてなかったと思うのですが、いつのまにやら持ち味になっていて、少々ほろ苦い。バラードを中心に悪くないアルバムなのですが、なかなかリピートしないのは、やっぱり曲ですね。渋いとか予想外とかを越えて唸らせるものがないと思います。いいメンバーに恵まれてるようなので次に期待です。バンドのロゴはやっぱりエイドリアン作、バンド名もかっこいいので、続けて欲しいなと思います。

>大介山さん

HR/HMを聴き始めの頃にリアルタイムで聴いたアルバムには思い入れがあるものですよね。私がイングヴェイの「FIRE&ICE」が好きなのに通じるかもしれません(笑)。

たしかにMANIC EDENよりはイキのいいロック・サウンドですね。
おっしゃる通り、もうちょい曲に求心力がないと、なかなかヴァンデンバーグの固定ファン以外にはアピールできないかと…。