SAVAGE MESSIAH / THE FATEFUL DARK

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前作「PLAGUE OF CONSCIENCE」がBURRN!誌の輸入盤レビューで奥野氏に95点という高い評価を受け、評判となったイギリスの4人組(VoがGも弾くツイン・ギター編成)のサード・フル・アルバムにして日本デビュー作。

ヘヴィ・メタルという音楽の発祥の地と言われつつ、その後はすっかりアメリカや大陸ヨーロッパの国々にそのお株を奪われ、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENといった発祥当時からの大物を除くと、世界的にも最もヘヴィ・メタルが廃れた国となっているイギリス。

しかし、このバンドがプレイしている音楽はそんな現代イギリスから出てきたとは思えないほどメタルらしいメタル。端的に言うとスラッシュ・リフを多用する正統派メタル、という感じか。さらにわかりやすく言うなら初期METALLICAとIRON MAIDENを融合した感じと言うか。

こんなバンドがイギリスから再び出てくるとは…と思っていたら、ベースのステファノ・セルバティコとドラマーのアンドレア・ゴリーオはイタリア人で、イタリアでKAMELOTのトリビュート・バンドをやっていた人物だという。

同じイギリス出身のDRAGONFORCEなどもそうだが、やはり生粋のアングロ・サクソン人でメタルをやろうとする人は少ないのだろうか、などと思いつつ、まあ良い音楽をやってくれるのであれば実際の所国籍や民族、人種などは一切関係ないわけで。

ドラマティックなイントロから切れ味鋭いスラッシュ・リフになだれ込む#1「Iconocaust」からイケてるが、スラッシーなリフ・ワークと、私のようなメロディ重視のメタル・ファンをもときめかせるツイン・リードが随所に登場し、メタル魂を鼓舞してくれる。

私は、スラッシュ・メタルは嫌いではないものの、「ジャンル全体が好き」とは言えないヌルメタラーですが、初期のMETALLICAやTESTAMENT、ANNIHILATORのような正統派メタルや様式美のエッセンスが感じられるバンドは好きで、このバンドもそれに近い感覚で好きになれる(このバンドの方がより正統派寄りでメロディックですが)。

歌メロがクサくならないあたりが大陸ヨーロッパのバンドとの違いで、個人的にはクサい方が好みですが、これくらいの微妙な湿り気具合の方が好ましい、と感じるメタル・ファンも多いのでは。あまりイカツくない軽めの歌声も聴きやすくて悪くない(ちょっとライヴだと弱そうな雰囲気も感じるが…)。

映画のタイトルから取ったというバンド名も、曲名のセンス、ジャケットのアートワークやメンバーのルックスなんかもとてもトラディショナルなメタルっぽくて好感が持てる。あまりそういう語られ方はしていないようだが、同じ「Earache Records」所属のENFORCERやWHITE WIZZARDなどと同様、NWOTHMの文脈で語ることのできるバンドかもしれない。

楽曲のあちこちに「あのバンドのあの曲みたい」なオマージュ・パートが出てくることも、既に伝統芸能であるヘヴィ・メタルならではの楽しみで、それらのいくつかは日本盤ライナー・ノーツで奥野氏に指摘されているが、個人的には#10「The Cursed Earth」のAメロがIRON MAIDENの「Where Eagles Dare」に似てるなー、と思ったり(笑)。

日本盤にはそのIRON MAIDENの「Be Quick Or Be Dead」、DIAMOND HEADの「Lightning To The Nations」、MOTORHEADの「Killers」、METALLICAの「Of Wolf And Man」という、ベタ過ぎず、マニアック過ぎない絶妙のカヴァーが4曲収録されていて楽しめます。特にIRON MAIDENの選曲は世代的にドンピシャで嬉しいですね。【85点】

◆本作収録「Hellblazer」のPV [YouTube]



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>非公開コメントの方

返信不要とのことですが、一応(笑)。
これは別にわざとではなく、偶然です。あ、たまたまそうなってるな、と自分でも気付きはしましたけどね(笑)。

あの会社のコンプライアンスと、当人の社会常識に関する意識の低さについては私も同感です。
そういうのを求められる業界ではない、ということなのかもしれませんし、私の考え方がサラリーマン的に過ぎるのかもしれませんが…。


イギリスで成功しているバンドとしてはクレイドルオブフィルスとかのブラックメタルはいるんですが
正統派のヘヴィメタルはやや減少気味かもですね
正統派がクラシックメタルと言われて久しい時代ですから
メタルはメタルでも複雑だったりもっと激しかったりする音に若い人はひかれるのかもしれないです
大御所の原点回帰(オーペスやダークスローンなど)やシンプルなロックにひかれる若い人は各所で起こってるんですけどね…
クラシックメタルはあんまり惹かれないのかな…

「発祥の地イギリスでメタルが衰退した原因とは?」
これは興味深いクエスチョンですね。ちょっと考えてみたものの、もっともらしい答えが浮かびませんでした。

一般的な音楽ファンがイメージするイギリスのバンド音楽といえば、オルタナ系ですからね。あの手のバンドは毎年注目のグループがでてくるくらい勢いづいていますし、あの国ではメタルは若者の興味の対象になっていない感じはしますね(苦笑)
イギリスだとメタルは時代の流れに締め出されちゃったんでしょうか(笑)それこそジャズみたいに。

SAVAGE MESSIAHいいですね。ジャケからはもっとバイオレントな音楽を想像しましたが。
スラッシュ×正統派はかなり惹かれるものがあります。

ボーカルの声が不思議な魅力がありますよね。軽めの歌声というとメタルバンドとしてはマイナスイメージがあるのですが、このバンドの場合はあまりそういうことは感じないので。

前作の95点は少し盛りすぎな気もしますね。4曲目あたりから後半にかけてダレてきますからね(笑)。評価は人それぞれですが。

まとめてお返事

>人さん
クラシック・メタルは新しくなく、かといって古すぎることもなく、中途半端な立ち位置に見られているのかもしれませんね…。


>Mark.Nさん
イギリスの大衆は熱しやすく冷めやすい、というのが個人的な印象です。
単純に(一部のレジェンドにまで上り詰めたバンドを除いて)流行遅れなもの、と思われているような気がします。

SAVAGE MESSIAHは、私ももっとアグレッション志向のバンドかと思っていたら、思いのほか正統派然としていて気に入りました。


>名も無きメタラーさん
このバンドのVoの軽さは、味のある軽さだと思います。
まあ、私はもともと軽めのヴォーカルも結構好きですが。

95点は、もしかすると今後の期待値込みの点数だったのかもしれません。