H.E.A.T / TEARING DOWN THE WALLS

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母国のスター・シンガー、エリク・グロンウォール(Vo)加入後の2作目となる、スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンドの通算4作目。

前作までのラインナップから、ツイン・ギターの片割れであったハットの似合うイケメン・ギタリストのデイヴ・ダロンが脱退し、エリック・リヴァース一人のシングル・ギター体制になっている。

前作同様、EUROPEの近作を手掛けたトビアス・リンデルをプロデューサーに迎えて発表された本作は、前作の仕上がりが素晴らしかったことで膨らんだ期待を裏切らないスケール感溢れるロック・アルバムである。

正直なところ、日本における彼らのファンが期待する「北欧メロディアス・ハード」としての純度は前作の方が上である。本作には、ブルージーというか、アメリカの土の臭いがする#2をはじめ、いわゆる「Keyをフィーチュアしたメロディアス・ハード」の類型から外れた曲も数多く収録されている(もっとも、前作もそんな狭い類型には収まっていなかったが)。

しかし、それがまた様になっているのだ。北欧のバンドでアメリカンなサウンドに挑んだバンドは80年代から数多いが、彼らほどナチュラルにアメリカ的なメジャー感を発散することができたバンドはほとんど皆無なのではないか。

もちろん、それらの(ひと昔前の感覚で)アメリカンな曲も含め、メロディとフックに富み、楽曲として上質であるからこそこういう好意的な評価ができるのだが。

彼らは祖国の大先輩EUROPEに憧れ、マネージメントもEUROPEと同じ『Hegenburg』に所属しているわけだが、正直そのEUROPEの全盛期でさえここまでのスケール感、メジャー感はなかったのではないか。

このバンドが売れないんだとしたら、大衆向けHR/HM(いわゆるアリーナ・ロック)の将来は限りなく暗い。【86点】

◆本作収録「Mannequin Show」のPV

私の世代の日本人にはサザンオールスターズの「愛の言霊」にしか聴こえないわけですが。

◆本作収録「A Shot At Redemption」

BON JOVIがやりそうな曲だなー。



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コメント

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前作より溌剌としてて今作のほうが僕は好きですね。「Laughing At Tomorrow」などから漂うメジャー感は凄いと思います。この系統ではトップクラスの出来のアルバムだと感じてます。

ルックスもいい、曲もいいので、ホントにH.E.A.Tが売れなきゃこれ系のバンドはヤバイですね。

まさかのイントロから思ったより愛の言霊でした(笑)
不意打ち過ぎて笑ってしまった…くやしい…
聞く前はちょっと似てるだけだろ?くらいにしかおもってなかったので

この適度な明るさと開放感は気持ち良くて好きです
メンバーはまだ20代くらいなんですかね?将来有望でポテンシャルを感じられます

私の世代だとブリトニー・スピアーズにしか聞こえないんですが(笑)
さすがにサザンを引用したわけじゃないでしょうけど、HEATのようなバンドだとブリのオマージュはありえそうで怖い。

このバンドが売れないとこのジャンルの未来はヤバイですが、エリクが“トビアス化”してるのも何気にヤバイ気がします(笑)

こういうバンドは音楽もさることながら、フロントマンの毛も大切です。

ちなみに私もトビアス化が始まってまいりました。

まとめてお返事

>B!13さん
たしかに前作より力強い仕上がりですね。
しかし本国も含め、あんまり売れてないっぽいのが厳しいところです…。


>名も無きメタラーさん
「思ったより愛の言霊」ですよね(笑)。
何だかんだで4枚目のアルバムなのでメンバーもアラサーかと思いますが、まだまだ若いし、ガツンとブレイクしてほしいんですけどね…。


>Mark.Nさん
たしかに「Oops!...I Did It Again」にも似てますよね。
ブリトニーと同じくらい売れてくれるといいのですが(笑)。

エリクは…おでこが広いだけじゃないですかね…。
坊主頭も似合いそうだし…大丈夫じゃないですか…?

頭髪はお大事に…。

はじめまして。

ネットを見ていると、わりと今作の評価は分かれている様な気がします。
living on the runのインパクトが凄過ぎて、前作が全編北欧メロディアス・ハード一色だったと誤解されている人が多い気がしました。
adoreさんが仰る様に前作から楽曲は狭い類型に収まっていなかったので、個人的にこの進化は妥当だと思っているのですが。

先行e.p.に前作ファンが好きそうな曲が収録されており、これをアルバムに入れていればもっと評価は高かったのかも…とも思いました。
よかったらチェックして見て下さい。

最後になりましたが、いつも更新を楽しみにしています。
お仕事大変そうですが、がんばって下さい。


>xxxさん

たしかに私も「Living On The Run」のパート2みたいな楽曲ばかりを求めるような人には受け入れられない作風かもしれないな、と思いました。

ただ、私自身「Living On The Run」パート2を求める気持ちがありつつも、これはこれでカッコいい、と納得させられたので、結果的に高く評価しています。

先行EPは未チェックでした。今度聴いてみます。
あたたかいコメントどうもありがとうございました。

「愛の言霊」、上の方も書かれてますが、
想像以上に似ててビックリでした(笑)
でも、心地良いサウンドですね。
結構好きです(≧▽≦)

>メガネコアラさん

この曲は必ずしもこのバンドのスタイルを象徴する曲とは言えませんが、いずれにせよ良いバンドだと思います。

興味深い文献を発見したので失礼させていただきます。
http://www.metalgate.jp/C_gothic.htm
>実際、「ゴシック・メタル」という言葉のルーツになった彼らの「GOTHIC」アルバムのインスピレーションとなったのは、スラッシュ・メタルに女声コーラスやヴァイオリンを取り入れ、独特の耽美的な暗黒世界を表現していたCELTIC FROSTの名盤、「INTO THE PANDEMONIUM」アルバムだったようで、ポスト・パンクのゴシック・バンドではない。

http://www.hmv.co.jp/news/article/1206070075/
「<稀代の天才Tom G. Warriorの世界>
> 『第1回:エクストリームメタル初の実験作、Into the Pandemoniumとは何であったのか』」
>実はこのヴォーカルスタイル、完全に元ネタがある。
アメリカのゴシック/デスロックバンド、Christian Death 。後にメタルに接近(失敗だったけど。)
)そしてレコーディングの最中、"Dead Can Dance" や "The Sister of Mercy" のようなヴォーカルスタイルを試すうち、それがしっくり来たと書かれている。


ということで、celtic frostを挟んで間接的には影響してるみたいですね。
adoreさんの推理?はかなりイイ線いってたみたいです。
こんなところで脈々とつながっていくとはまさか最初にゴシックロックを始めた人も思わなかったでしょう(笑)
ちなみにこのコラム書いてる方はジャパニーズブラックメタルバンドのSIGHの川嶋未来さんです。

>人さん

またずいぶん古い話を掘り返してきましたね(笑)。
ゴシックに関しては一時期ハマって、結構掘り下げた記憶があります。今はちょっとあんまりですが。

SIGHの川嶋さんのアンダーグラウンドなメタルに対する知識は凄いと思ってます。

今や「ゴシック」というとメタル的なヘヴィなサウンドをイメージする人の方が多いかもしれませんね。