HR/HMの歴史 2000年代編を本サイトにアップしました

METALGATE本サイトの「Archives」というコーナーに「HR/HMの歴史」というコンテンツがあり、それは今まで1990年代までしか書かれていなかったわけですが、本日2000年代を追加しました(こちら)。

『BURRN!』誌が30周年の振り返りをやっていたのに刺激されて…というのは嘘で、しばらく前からちょっとずつ書いていたのがようやく完成したというだけです。

「BURRN!が伝えてきたHR/HM30年史」、この文章を書く上で何かの参考になるかと思いましたが、お読みいただけば分かる通り、何の役にも立ちませんでした(苦笑)。特に90年代以降については、シーンの捉え方が全然異なるので…。

『BURRN!』誌は、もはやほぼ70年代~80年代に登場したHR/HMアーティスト、およびそれらのバンドに直接的に影響を受けたバンドのみを扱う「クラシック・ロック」マガジン状態ですが、私は「ハードでヘヴィな音楽を好むリスナーがその時代に何を聴いていたか」というポイントに軸足を置いてシーンを見ているので、ピックアップするアルバムなどもBURRN!とは変わってきます(もちろん重複もありますが)。

基本的な私の考えとして、「ハードでヘヴィな、刺激的な音」に対するニーズというのは、常に世の中に一定の割合で存在していて、そのニーズを持ったリスナーが狭義のHR/HMに興味を持つか、異なるジャンルのヘヴィ・ミュージックに興味を持つ人が増えるかでトレンドが移り変わっているだけ、というものがあります。

そして私の願いとしては、「ハードでヘヴィな、刺激的な音」を求めるリスナーの一人でも多くに、私の好きなタイプのHR/HMの魅力を知ってもらいたい、ということに尽きるため、こんなサイトを運営してきたわけです。私にとってはNU METALが好きな人も、V系バンドが好きな人も、ハードコアが好きな人も、BABYMETALが好きな人も、全て「潜在顧客」という意識でやっているわけですね。

あと私の書いている歴史観(というほど大袈裟なものではありませんが)の特徴として、基本的には「売れたもの/シーンへの影響が大きいもの」を中心に語っているので、メインストリーム寄りだということはあります。

「売れたけど、時代性とは無縁のもの」とか「音楽的な価値は高いけど、カルト的な名盤」みたいなものは基本、無視しています。これについては、10年・20年のタームで見たときに歴史的な意味を持ってくることもないわけではないので私の主観に基く判断にならざるを得ませんが。

そういう意味で、ポスト・ハードコア/ポスト・メタル的なサウンドについて切り捨てることになってしまったのはちょっと心残りではありますね。少なくとも2000年代の段階では、メインストリームに影響を与える動きになっていたと思えませんでしたし、特筆するほどの(数百万枚/全米TOP10クラスの)大ヒットもなかったので、ちょっとトピックとして挿入しづらかったのです。私自身が苦手な音で、あまり造詣が深くないというのもありますが…。

なぜ2010年代になってすぐ書かなかったのか、というと、歴史というものは、ある程度時間が経ってからでないと評価がしづらいからですね。当時それほど重要だと思っていなかった動きが、後から考えると大きな意味を持っていたりとか、当時大ヒットしたバンド/アルバムが、実は単なる瞬間風速的な現象で、その後大して歴史に爪痕を残すことなく消えていった、なんてのはよくある話で。

まあ、そういう意味では4年ほど時間を置いたところで、あくまで2014年の状況から評価された歴史記述にしかなっていないというのも事実なので、「今後修正されうる文章」ではあるのですが。

しかし、あらためて2010年代を振り返ってみると、2000年から2006年くらいまでは、90年代地に墜ちていたメタルの尊厳がどんどん回復してきたという手応えがあったのに、2008年くらいをピークに、ちょっと伸び悩んでいる印象です。

まあ、この音楽ジャンルの細分化が進み、音楽以外も含めた趣味嗜好の拡散も進んだこの時代においては、これくらいが伸びしろ的に限界なのかもしれません。

本文中で、2000年代後半から、80年代のHR/HMブームを体験した層が再び懐メロ感覚でHR/HMを聴くようになったことがマーケット的には大きい、ということを書きましたが、その40代から50代の層も、さすがに60代が近づくと体力的な問題から、ライブなどから足が遠のくと思われ(そもそも彼らが観たいと思うようなバンドもその頃には大半が引退しているでしょう)、その後は新規層の開拓が飛躍的に進まない限り、ビジネス的には相当厳しいことになるでしょう。とりあえず確実に『BURRN!』は月刊誌としては休刊ですね(苦笑)。

私のようなオールド・ファッションなHR/HMのファンにとって2000年代というのは、90年代に比べるとHR/HMの状況が良くなった、と感じられる時期でしたが、こうしてもう少し広い視野からヘヴィ・ミュージック・シーン全体を見渡してみると、果たしてここでピックアップされたバンドの中に、HR/HMを聴かない人たちでも「名前くらいは知っている」バンドがどれだけいるか? と考えると、実は90年代以上に厳しい状況なのかもしれません。

真面目な話、HR/HMが今後飛躍的に発展する可能性というのは、現在の発展途上国エリア以外には見出せない…というのが私の個人的な見解です。まあ、発展はせずとも、絶滅しないでくれればいい、という思いも個人的にはありますが。

…とまあ、くだくだと書いてきましたが、久しぶりにまとまった量の文章を書いたので、お楽しみいただけると嬉しいな、と思います。

◆HR/HMの歴史 2000年代編
http://www.metalgate.jp/history5.htm
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コメント

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HR/HM HISTORY

確かに2000年代初頭は良かったですね。
HR/HMを聴き始めたのが15~16歳で1996年だから、そんなに遅い方ではないと思っています。
あのときはHELLOWEENのキーパー2枚と『THE TIME OF THE OATH』、それとDREAM THEATERやらSKID ROWやらのアメリカのバンドを買いあさっていた時期でしたよ。
今から考えればバンドの数はそんなに多くなかったと思います。

90年代後半~2000年代初頭はSTRATOVARIUSに最もハマった時期でしたね。
HELLOWEENより好きなバンドがどんどん出て来た時期でもあります。

他にもB級といわれるバンドがデビューしていた時期ですが、今はほとんどがたった数年で消えていますし、時代なのかな…ということを彷彿と感じさせられます。

そんなわけでSTRATOVARIUSのネメシス最終形態をついに買ってしまいました(笑)。
彼らに再びハマりそうな気がします。
やっぱり本当の意味で良いバンドだけが残っていくんでしょうね。

とても興味深い内容で、読んでいて、面白かったですよ。
興味深い、記事を書いて頂き、ありがとうございます。

実はずっと待ってました(笑)

読みました。たしかに(B!とかの)一般的な日本人視点のメタルの歴史とは異なる切り口ですね。

この時代がティーンエイジャーだった自分にとっては懐かしい話ばかりです。リンキン、スリップノット、グリーンデイ、SUM41、マイケミあたりは、僕も好きでしたし周囲にいたロック好きの間でも支持されていました。確かにこれらのバンドがこの時代の「ロックの顔」だった実感はありますね。もう少しメタルに明るい人はドラフォとかチルボドも聴いてました。まあHRHMバブルを生きた今の4,50代からすると、ショボイだの幼稚だの言われるんでしょうが(苦笑)

「AMERICAN IDIOT」とメタルの関係はおもしろいですね。「これはパンクか否か」なんて議論もよくやりました(笑) マイケミも往年のHRファンに受ける要素が沢山あるのに、イメージだけで敬遠されてるフシがあり残念です。

80年代のようなバブルが来ることは無いでしょうが、絶滅することは無いと思いますよ。一度駄目になって這い上がってきたようなジャンルですので(笑)。しぶといですよ(笑)。

もしも明日から新しい作品が一つも出ないとしても、これまでの「遺産」を聴いていくだけでも自分の残りの人生では足りないぐらいですからね(笑)。

でも、正直新しいバンドにはたくさん出てきてほしいですし、素晴らしい作品を残してくれた人たちにはそれに見合った報酬を受け取ってほしいと思うのが本音です。

まとめてお返事

>ストラディキャスターさん
HR/HMというジャンルに関しては、70年代から聴いているような方々がゴロゴロしているので、我々のような90年代組なんてまだまだ小僧なんじゃないでしょうか(笑)。

「ネメシス最終形態」は私も買いました。半ばお布施感覚ですが(笑)。


>ランディさん
こちらこそ長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。


>Mark.Nさん
待っていたと言っていただけると嬉しいですね。管理人冥利に尽きます。

まあ、たしかにBURRN!の視点とはちょっと異なりますが、むしろあそこまで視野を狭めることの方がちょっとおかしいのでは…という気がしますね。
まあ彼らもビジネスでやっているので、載せても反響のないアーティストは取り上げていられないのでしょうけれども。

昔のバンドに比べて今のバンドはショボい、なんて言う人は所謂老害なので放っておきましょう。
ちゃんとした人は、自分が好きかどうかにかかわらず、音楽の良し悪しを決めるのは聴き手側であるということを理解しているはずです。


>名も無きメタラーさん
たしかにこれまでにリリースされてきた名盤を聴くだけでも、一生楽しめるでしょうね(笑)。

まあ、とはいえせっかくこれだけ愛してきたジャンルですから、できれば若い人にも聴いてほしいし、ビジネスとして成立するくらい盛り上がって、アーティストが生計を立てていける環境が続いていくといいな、と思います。

はじめまして。
いつもブログなど読ませて頂いております。

2000年代編とても読み応えがありました。
またコラムなども気が向いたらお願いします。
あと、バーンでやってた「この30年、この30枚」のadoreさんのセレクト
を是非教えて欲しいです。
こちらも気が向いたらお願いします。

>hiroさん

はじめまして。
長い文章をお読みいただきありがとうございます。

コラムは書きたいネタは結構あるのですが、長い文章を書くのはそれなりに時間と気力がいるので、なかなか取り組めずにいます…(苦笑)。

私は30年前にはメタルを聴いていなかったので、「30年の30枚」を選ぶ必然性はないですねえ…。

ただまあ、私の好きな旧譜を知りたい、ということであれば、このエントリーの後半(追記)を読んでいただけば、とりあえずタイトルはわかるかと…。
http://metalgateblog.blog107.fc2.com/blog-entry-631.html

読ませていただきました。
文章力があると自然と読み進められていいですね。
2009年からヘビーミュージックをスタートした自分には懐かしいバンドがいくつかあり面白かったです。
今ではコテコテのパワーメタラーですが、昔はMarilyn Mansonを敬愛し崇拝していたもんです。
人はどう進むのかわかりませんね。

漠然とした物ですが、メタルの未来は不安で仕方ないです。
20年後に40代になった時には若いバンドと言われるA7XやTriviumは今のメタリカ等と同じ年になっていて、その時の若いバンドと言われる物も出てきていると思います。
その時に単独でさいたまのアリーナを埋められているか
若いバンドは少なくともZEPP 位のキャパで来日できるのか
等シーンの衰退しないかが不安でたまらないです。

メタルの存亡についてはあんまり心配してません
単純にギター始めてもっと上手くなりたいと望んだり
分かりやすい「カッコよさ」を望めばかなりの確率でメタルを通るからです
ヘヴィなカッコいいギターが好きという層はいなくならないと思います
そもそもある程度の人気がなければ人気というのは問われないですし、メタルのファンってマイナーなことを看板にしてる閉鎖的な傾向があって「なんでは売れないんだ?」とか言うくせに、あんまり人気じゃないことを望んでるアンビバレンツな感情が見える人が多い気がします
メタルフェスがこれだけ行われてる昨今人気がないなんてことないのに

個人的には、いい新人バンドが出てこない事が気になりますね。
これは、伊藤さんもよく言っていた事ですけど、実際、その通りになっちゃっていると思いますよ。特に、アメリカですね。当時の事をリアルタイムだった人達は分かると思いますが、90年代の
80年代のバンドに対するバッシング、当時のアメリカのマスコミは本当にやり過ぎですよ。
あそこまで、80年代を葬り去ろうという運動したから、本当にアメリカから、いいバンドが出てこなくなっちゃったんですよ。
30周年記念号で、伊藤さんが広瀬さんとの対談で言っていた事は事実ですよ。
99年に、バックチェリーがデビューした時は、アメリカで、こんなバンドが出てくるのは、本当に久しぶりだな、と思ったものです。
本当に、90年代のアメリカのマスコミは、とんでもない事をしてくれたな、と思いますよ。
あの雑誌の表紙がマンネリ化した事も、80年代バッシングと無関係ではないと思いますよ。

まとめてお返事2

>エメッソンさん
MARILYN MANSONからパワー・メタルにシフトしたという方の存在は、個人的に勇気づけられますね(笑)。

大御所はたまアリ、若手はZEPP、たしかにそれくらいの人が呼べるジャンルであり続けてほしいですね。
まあ、日本の場合人口そのものが減っていくので、ジャンルの力とは別に厳しいところがありますが…。


>人さん
ヘヴィな音楽をカッコいいと思う層はいなくならない、私もそう思いたいですし、きっとゼロにはならないと思いますが、比率・実数とも年を経るごとに減っている気がするのが不安材料です。肌感覚でしかないですが…。

アンビバレントな感情、持ってる方いますね(笑)。
私は素直にAKBや嵐くらい売れてほしいと思っていますけどね(笑)。


>ランディさん
90年代における80年代的なものの否定はすごかったですね。
まあ、でも破壊なくして創造なし、そうやって歴史が作られていくという面もあるのだろうと思います。

私のように破壊される側、ありていに言えば敗者に与する人間には厳しい時代でしたが、あれだけの弾圧があってさえメタルは生き延びたということは、メタルの魅力の普遍性を証明したと言ってもいいのではないでしょうか。

BURRN!に関して言えば、あの「弾圧」によってちょっと意固地にになってしまった観がありますが(苦笑)、いわば「敗者代表」的な存在だったわけですから、それもまたやむをえないといえばそうなのかもしれません。

リンキンパークの「Hybrid Theory」はリアルタイムではないですが、初めて聴いたときはブッ飛びました。適度にヘヴィだし、ラップはカッコイイし、何よりメロディアスで凄いアルバムですよね。エヴァネッセンスの1stは、ジャケを見るとアテネオリンピックの野球中継の映像が浮かびます(笑)たぶん聴きながら見てたのか・・・。僕の中でアテネといえばゆずの「栄光の架橋」じゃなくてエヴァネッセンスの「Hello」です(笑)

オレンジレンジの「musiQ」が載ってたのは嬉しかったです。小5に「musiQ」、小6に「Natural」が発売されて、僕の周りでは1人残らずオレンジレンジ聴いてましたね。卒業文集のタイトルも曲名から取って「キズナ」にしましたし。先生を説得できてたら卒業の歌でオレンジレンジを歌えてたと思います。ホントに周りでは人気ありました。ただ、去年くらいまでメインヴォーカルの人、声低い人、ラップの人からなる3人組のヴォーカルグループだと思ってたのでバンドだとは知りませんでした(笑)発売当時のAmazonレビューを見ると散々ボロクソに書かれてますね(苦笑)

2010年代は、パッと思いつくだけでもA7Xの「Hail To The King」が21世紀のブラックアルバムと呼ばれる事、ボブ・ロックプロデュースで新作を完成させた我らがBlack Veil Bridesが全米1位を獲得してスターになる事、アンジェラ亡き後のメタル界を代表するフロントウーマンとしてリジー・ヘイルに頑張って欲しいのでHalestormがもっと売れることを願ってます。

とても楽しく読ませていただきました。

さすがに2000年代だと、僕が知っている作品も多くなってきたのですが、
それでも聞いたことのない作品を挙げていくと、僕の嗜好は偏っていて、
adoreさんのようにシーン全体を見渡せる方はやはり幅広く聞いておられるんだなと思いました。

参考にさせていただきます〜〜

>B!13さん

B!13さんにとっては、この辺の音楽がきっと「リアルタイム」ですよね。
そういう人にとって納得感のある文章になっているかどうかはわかりませんが、ORANGE RANGEが好きな人(特に「チェスト」とか「キリキリマイ」などが気に入った人)は、ヘヴィな音楽が好きになる素養があったんじゃないかと思ってます(笑)。

ボロクソに叩かれるのは、人気があった証拠ということで…。

A7XやBVB、HALESTORMなどはたしかに10年代の期待株ですね。
こうしたバンドがさらにビッグになってくれるといいのですが。

>V系メタラーさん

まあ、なるべくヘヴィ・ミュージック・シーンやロック・シーン、引いてはポップ・ミュージック全体を俯瞰的に見るようにしてますし、話題になっているものは聴いてみるようにはしていますが、それでも一人の人間が書く以上偏りは避けられないので、あくまでひとつの見方、ということで…。

とりあえず楽しんでいただければそれで嬉しいですね。

はじめまして

2000年代編をずっと心待ちにしていた一人です。
自分は2009年の前半辺りにメタルへ傾倒していった素人同然のにわか太郎なので、adoreさんのようにシーンの動きをリアルタイムで見ていた人のコラムは非常に為になります。

若輩者の意見で恐縮ですが、ヘヴィメタルが衰退することはあっても忘れ去られるようなことは決してないと思っております。確かに売れているバンドは少なくなっていますが、技術の発達により個人が曲を作ってネット上に公開するハードルがガクッと下がりましたからね。今まで以上に玉石混交にはなりそうですが、バンドの絶対数が上がれば名盤が生み出される可能性も上がるんじゃないでしょうか。

それにメタルってある意味スポーツみたいなものですから、どんどん吹っ飛んだものが生み出されていくと思います。年々記録が落ちていくオリンピックなんてありえないのと同じですよ(笑)

長文失礼しました。

>ムラサメさん

心待ちにしてくださっていたとは嬉しいですね。
自分としてもこの記事はずっと書きたかった記事だけにそう言っていただけると書いた甲斐があります。

おっしゃる通り、メタルという音楽フォーマットが絶滅することはないでしょうね。

ただ、今のようにバンドという形態で、世界をツアーして、アリーナやクラブでオーディエンスが盛り上がって…みたいなあり方が続くかどうか? ということについてはちょっと不安があるという感じですね。

まあ、それはメタルに限らず、音楽業界全般に言える話だったりするのですが…。