ANTHEM / ABSOLUTE WORLD

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ユニバーサルミュージック移籍第一弾となった前作「BURNING OATH」を最後に、2001年の再結成後長らくフロントマンを務めてきた坂本英三が脱退、後任に選ばれたのは、かつて20数年前に坂本英三の後任としてANTHEMに加入した森川之雄だった。

他に選択肢ないのか、って気もする一方、このバンドの場合やっていることがものすごく限定されている上、中心人物である柴田直人氏の性格を考えるとどんな世代のどんな人とも上手くやっていける、ということは考えにくく、現実的にはほとんど選択肢はないのでしょう。

とりあえず森川之雄であれば実力に不安はなく、実際聴いてみるとやはり安心のANTHEMワールドでした。

ANTHEMの音楽はデビューして以来一貫して変わらない…というと柴田氏は怒るかもしれませんが、「こういうタイプのリフはこれまでにない」とか「こういうアレンジは初めて」などというディティールの話ではなく、基本的な音楽スタイルについて言えば、全く変化していないと言って過言ではないでしょう。アルバムごとの作風の変化の小ささに関して言えば、RUNNING WILDを超え、AC/DCに迫るかもしれません。

せいぜい「やや歌重視の正統派へヴィ・メタル」から「アグレッシヴなパワー・メタル色が強い」くらいの振れ幅でアルバムを発表してきたと言える彼らですが、本作についてはその「歌」と「アグレッション」のバランスがほぼ中間くらいの絶妙なブレンドになっていると思います(強いて言えば、やや「歌重視」に傾いているかもしれませんが)。

過去に森川が歌ったアルバムで言えば「GYPSY WAYS」に近いかもしれませんが、あれほど肩に力の入った作風ではなく、全力を出しつつもちゃんとペース配分も計算された、ベテランらしい安定感を感じさせる隙のない仕上がりです。この「安定感」はやはり森川の余裕のヴォーカルであればこそ、じゃないですかね。坂本英三の人間臭いヴォーカルの方が好きだ、という人も多いと思いますが。

いずれにせよ、これぞジャパニーズ・メタルの王道、と感じさせる力強い傑作。【85点】

◆本作収録「Shine On」のMV



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コメント

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森川は昔より声に艶があるというか、無駄な力みがなくなった感じなのが良いですね。
もちろん50代とは思えないほど迫力のあるシャウトも相変わらずかっこいい!
坂本から森川に交代したら音楽性が少しは変化するかなというほんの僅かな期待は見事に打ち砕かれましたが、これだけ安定感のある作品を出されたら文句は言えませんね。

>名も無きメタラーさん

昔みたいにガナらなくなったのは良いですね。それでいてパワーダウンしたような印象は全くないですし。

このバンドに変化を求めることは私はとっくに諦めていましたが、このクオリティなら文句のつけようがないですね。
全部聴いているわけではありませんが、再結成後では1、2を争う出来なのではないでしょうか。

陰陽座の瞬火さんと柴田さんってなんか似てませんか?
顔が似ているとか、同じ楽器だとか、音楽性が似ているとかではなく、上手く説明できないのですが、なんとなく(笑)。

>名も無きメタラーさん

バンドのイメージや音楽性に対して明確かつ頑固なまでのビジョンをもっているという意味では相通じるものがありますね。
そういう意味ではIRON MAIDENのスティーブ・ハリスにも通じるものがあるかもしれません。

タイトル

アルバムの内容は、なかなか良かったと思う。
ただし、ラジオで1曲だけ聴いたりするとアニメソングのように聴こえてしまうところが気になる。何故なら、再結成後のこのバンドのアルバムは、ヴォーカルのメロディが悪く言えば、J-ポップのように聴こえる曲が多いのは事実だと思う。
昔からそうだが、ある意味では、酒井氏が、もっとも過大評価していたバンドである事は、80年代から、メタルを聴いている人なら、知っているだろう。
酒井氏は、基本的に、伊藤政則氏の事務所のバンドは、ベタ褒めだったんだよ。これは、アウトレイジについても同じ事。
前田氏や奥野氏が、アウトレイジが好きなのはよく分かるし、高く評価するのは、よく分かる。
しかし、酒井氏が、90年代に、伊藤政則氏のラジオで、アウトレイジの事を絶賛しても、ハッキリ言って、説得力がありませんでしたね。

>ランディさん

以前にも言いましたが、酒井氏は私がこの世で最も信用していないレビュアーです(笑)。
あの人の音楽に対する向き合いからはルサンチマンしか感じませんね。